あ、前線で戦うとか無理なんで偵察してきますね。 作:喪家の狗
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ありがとうございます。
「...ってことでこの子勧誘してきました」
「いや、ダメですよ?」
「あれ?」
悲報。ダメって言われた。
魔王城へと戻ってきた俺は依頼人の同僚にこの子を届けたんだが、
「あ、すまん、やっぱ、いらん」
って言われたから完全に情が沸いてしまった俺が引き取った。
なんだよアイツ。無責任にもほどがある。拾ったら最後まで面倒見るのが飼い主のあるべき姿だろ。
...ん? 拾ったの、俺か。
ってことでね、ここで働かせてもらうために新人雇用なんちゃら係の人とお話をしていたんすよ(名前忘れた)。
「え、あー、あの今って新人雇用強化期間中ですよね」
「ええ、そうですよ」
「だよね、良かった。...え、じゃあなんで?」
「何でも何も...その子、戦えるの?」
「あ...」
た、戦えるのか...? この子が。
...いや、流石に無理でしょ。
チラリとみると食堂から逃げ出せたのが奇跡というくらいの体型をしている。
手足は細く、身体もあまり大きくない。とてもじゃないけど戦っても無駄死にするだけだろう。
今から鍛えても、ねえ。
「ええ~と......あ、じゃあペット、ペットです!」
「は?」
「あ、あのー、契約は無しでもいいですし、ちゃ、ちゃんと面倒も見ますし、ご飯もあげます。散歩にだって毎日...」
「え...。ぺ、ペットって...。あの、流石に非人道的といいますか、なんと言うか...」
「え、だめ?」
なんかすごい引かれてんだけど、なして?
「ぺ、ペット...!? ハツカ様の...!」
あ、ほら。本人はなんか喜んでるっぽいよ。
「せいどr」
それはちがーう。
普通の意味の愛玩動物程度の意味だったんだけどー?
あれー。この子、売女とかじゃないはずなのに何でこんな積極的なの?
まだ『つり橋効果の呪い』解けないの?
あとさ、様ってやめて?
俺どちらかと言ったら、敵に
「き、貴様~~!!」
って言われる方だから。
「と、とにかくダメです。なんか、良くない気がします」
「え~、じゃあ何なら良いんすか~?」
こっちは女将さんのと約束がかかってるんでい。なんとかここに置いて貰えるようなんかしなきゃ。
「そうですね...。...ふっ、『お料理係』、ならどうでしょう?」
「お、『お料理係』!?」
ピシャッと雷が落ちた気がした。
「あー、あのー、それはー、それだけは何とかならんですか? 流石に可哀想なんでー」
「どの口が可哀想と...」
「あ、の。私、お料理ならちょっとは、自信ありますよ?」
何もわかっていない子がそんなことを言った。
「あら、そうなの? なら『お料理係』で、けって~」
「いやいやいや、ちょっと待ってくださいよ。流石に何の説明もなしというのは...」
キョトンってかわいく首傾げてる少女に『お料理係』の恐ろしさを教えてあげることにした。
「良い、あのね? 『お料理係』って言うのは...」
俺の後ろで、何とかさんが固唾を飲んだ。
「朝、昼、夜、何処かで1日1回はご飯を作らなきゃいけないの...」
「きゃーーーー! いやーーー! そんなの無理ーーー!!」
何とかさん、うるせえです。
『お料理係』の恐ろしさはわかりますけど、耳元でそんな大声出さんでください。
「...え?」
ほら見たまえ。あまりの恐ろしさにこの子が呆然としてるじゃん。
「そ、それだけですか...?」
更にガクガクと震え膝から崩れ落ち......て無い?
あれ?
り、理解できなかったのかな?
「え、えっと。もっかい言うよ? 1日1回はご飯を作らなきゃいけないの。おーけー?」
「え? ええ、向こうでは毎日それよりも多かったですから...」
何とかさんと顔を見合わせる。
「な、なんてことなの...!? 人間って毎日そんなことを!?」
「ま、まじか...。やべえよ、人間。そんなに働いて何が楽しいんだよ...」
2人してガクガクと震え膝から崩れ落ちた。
色々あったけど、なんとか『お料理係』の一員に加わり、最もキツイと言われる朝ごはん担当になったというのにケロッとしていた。
な、なんなんだ、この子。
その後、魔王様から『キキョウ』の名前を与えられ、『お料理係』朝ごはん担当『アキノナナクサ』の仲間入りを果たした。
そして今日この日、大図書館にある図鑑の人間の項目に「お仕事が大好き」「クレイジー・ワーカー」と加えられ、見たものに恐怖を与えた。