大きく息を吐く。これから行われる事の重大さ、心の重さ。それらをすべて背負い、一世一代の勝負に出る。忘れてはいけないことが世の中には多く、けれど人は忘れゆく。未だ終末は来るべくもなく、されど。
貴方が、終わるべきと云うなら。
「ふむ」
終末の喇叭を思い切り鳴らした私を、興味のなさそうな目で一瞥する貴方がいる。これはあなたの望んだことで、あなたにできる私の最後のナニカなのに。
時間だ。黙示録の四騎士、四人のウマ娘がやってくる。
第一のウマ娘は雪のように白い毛を持ち、勝利の上に勝利を重ねるべく出ていった。支配の栄光は全てを拭い去り、あとには何も残らない。
第二のウマ娘は燃えるような赤を身にまとい、より激しい戦争を起こすために武器を与える。戦乱は血すらも蒸発するほどの熱気で、屍は山のように積み重なっていく。
第三のウマ娘は黒い毛をなびかせて、すべてに飢えをもたらすために飛び出す。飢饉はにんじんを絶やしつくし、二度と作物は生えなくなる。
そして第四のウマ娘が降り立つ。その顔は青白く、彼女は疫病と死をもたらす。───そろそろ聞きたいんだけど、世紀末覇王はいつになったら登場するんだいロブロイくん。え? 出てこない!? 終末を描いておきながら最後の最後にこのボクが出てこなかったら、いったいどうやって世界は終わりを迎えるんだい!? この後にこの四人とボクがウイニングライブをすることで世界が終わりを迎える筋書きかと……。
……そういえば冒頭は誰の独白なんだい? いやなに歌劇を嗜む者として、話の気になる点は気になるともさ。……じゃあここを私とオペラオーさんにしましょうって、まさかこの混沌とした物語は君が書いたのかい!? ……覇王ともあろうものが驚いてばかりだ。全く君には脱帽したよロブロイくん。賛辞と共に、『ボクが世界を終わらせるホントの黙示録』の執筆権を君にあげよう!
まず『貴方が、終わるべきと云うなら』まで遡ってだね、それ以降は新しい神話を書こうじゃないか。ボクが世界を終わらせる役で、ロブロイくんはこの興味なさげな人だ。ボクが喇叭を吹いて、ボクが四人出てくる。そして最後にボクが登場して、ロブロイくんは満足げに終末を語るのさ。さあ、語ってみたまえ!
……テイエムオペラオーは私のために世界を終わらせる物語を書きました。それはまさに天上天下唯我独尊、けれどその御世は間違いなく麗しく、私はこれからも彼女と物語を語れることをうれしく思うのでした。めでたし、めでたし。
なるほどなるほど。……はっはっはっ。はーっはっはっ!! 見事だよロブロイくん。そう、世紀末とは破壊と再生! 生命の輪廻! ボクは世界を終わらせた後に、偉大なる王としてすべての人をよみがえらせるのさ! ……どうかな。いい物語になったかな。時折思うのさ。覇王とは民から理解されないこともある、とね……。君と語らうのが、ボクは楽しかった。君は、どうだったかな。……もし大いに楽しんだのであれば、また共に物語を作り上げよう! では! ありがとう! 次なる誘いを待っているとも!
……そう言ってオペラオーさんは去りました。本の中では私が貴方に世界を終わらせてくれと頼んだことになりました。もちろん私はそんなこと望まないけれど。貴方が、終わるべきと云うなら。そう言ったお話も、すてきだと思いました。
お話についての語らいは、あなたとの作成作業は。新鮮で、楽しくて。話をみんなで考えるのも悪くないと思いました。今度はもっと素敵なプロット、用意してきますね。