遠い夢を見ました。私と同じ、ライスシャワーという名前のいのち。その夢を見ました。
長い夢を見ました。ライスシャワーという名前には、しあわせを呼ぶという意味が込められていて。そのいのちが、走りはじめて。おわるまで。時は那由多のように感じられました。
久しい夢を見ました。そのいのちは、勝つために。どんな時でも、どんな舞台でも。信頼を背に乗せ、走り続けました。……いちばんをとったライスシャワーを迎えたのは、非難の眼でした。
怖い夢を見ました。幸せの青い薔薇のようには、なれない。誰もがそのいのちに、悪夢を見ました。……きっと、それは私の、ライスのこと。そんな気がしました。
尊い夢を見ました。それでも、ライスシャワーは勝利を願いました。孤高でも、孤独でも。限界まで、全てをかけて。夢を見ました。だから、そのいのちはもう一度勝利を掴めました。そばに信じるひとがいたから。たとえ、また望まれていない勝利だったとしても。誰の歓声もいらない。ただ勝ちたい。そう、見えました。
脆き夢を見ました。それから先、そのいのちは燃え尽きたように、勝てなくなってしまいました。……ライスは、そこまで夢を眺めて。違うところと、同じところ。その両方を見つけられた気がしました。
黒い夢を見ました。そのいのちは、望まれない勝利を掴んで疎まれ。望まれた時に、勝てなかった。勝ち続ければ、或いは負け続ければ。愛されたのに。そう、黒い心が囁きました。ライスは、お兄さまもいて、ウララちゃんも、ロブロイさんもいて。ブルボンさんやマックイーンさんも、私を祝福してくれて。幸せものだったと、思いました。
暗い夢を見ました。そのいのちは、期待を背負えど。愛されたのは、僅かな人達にだけ。競う相手は文字通り命を賭けていて、ライスたちのように仲良くはできませんでした。でも、それでも。走って、走って。勝つために、走って。私たちのレースとは違う世界が、そのいのちには見えていたように思えました。
光る夢を見ました。同じところは、ひとつ。私とそのいのちは、どちらもライスシャワーでした。しあわせを呼ぶことを、望んでいました。勝つことを、望んでいました。……信頼するひとが、いました。私にとってのお兄さま。だから、走り続けられました。
眩き夢を見ました。そのいのちは、もう一度勝ったのです。その勝利は、ずっとずーっと望まれていて。みんなが、ライスシャワーを祝福したのです。……私は、その姿に。青い薔薇を重ねることができました。きっとしあわせでした。きっとそのお話は、めでたしめでたしで終わったと思いました。……まだ、夢は続きました。
終る夢を見ました。みんなの期待を背負って。そのいのちは、漸く皆から勝利を望まれました。そして、駆け抜けた先に。祝福の雨へと、届くことはできませんでした。最期にそのいのちが願ったのは、信頼するひとが無事であること。そうだったように、思いました。
夢を見ました。始まりから終わりまで、ひとつの物語を。ひとつのいのちを。ぼんやりして、ふわふわして。それでも、確かに。私とそのいのちは、重なり合って見えました。
あなたがいたから、私が生まれた。そんな、そんな物語が、頭に浮かびました。万華鏡のように、おなじいのちの見え方を変えたような。同じように走って。勝ちたいと、願った。そこはきっと、一緒だと思いました。
目を覚まして、頭がぼんやりしているうちに。夢の中身を、日記に書きました。
むかしむかし、あるところに。そのいのちは、どんな時でも勝とうとしました。祝福されなくても、ただ勝ちたいと願いました。
夢の記憶は瞬く間にほどけて、日記に記せたのはこれだけ。でも、一つ願いました。私も。そのいのちが願ったように。願われたように。
しあわせを呼びたいと。
あと、もう一つ。
すてきな夢を見せてくれてありがとう。