ようこそひより至上主義の教室へ   作:nagai

11 / 23
 6巻読みました。出番はほぼありませんでしたがひよりが心配です。正直今一番ひよりが読めないキャラです。
 筆者のいくつか立てた展開では、一番最悪のパターンで退学、一番良くて綾小路と改めてお友達。その他あまりよくない未来が見えてしまっています。


8話 暴力事件

 石崎が大けがをしていたので何事かと思っていた。

 とはいえ、龍園に折檻されてぼろぼろにゃん状態なのは珍しい事ではない。それ故に深く考えずに、まあ、そんな日もあるよねいしたろうっ! くらいにしか捉えていなかったのだが。

 

 

 プライベートポイントが振り込まれなかったものだから、そこでようやく何かが起きていると理解。龍園に話を聞きに行ってみると、にやにやと笑いながら「知らねぇな」とのこと。

 

 まあ、別に教えてもらえなくても、クラスポイントの査定に響く何かしらの事件が起きていて、大方それが別クラスとのいざこざなんだろうということくらいは分かっている。

 

「それがまさかDクラスにちょっかいをかけていたとは」

 

 思考の過程で思わず口に出してしまい慌ててひよりを見るが、どうやら読書に集中しているようで視線は本の上の文字をなぞり続けていた。なぜだか嬉しいことに、最近俺の部屋を訪ねて本を読むことが増えたひよりをしばらく眺め堪能してから、俺は本に視線を戻しつつ考え事を再開する。

 

 俺も詳しいことは知らないが、なかよしのほのほBクラスに龍園が嫌がらせ行為を行っているとはなんとなく聞いていた。だからBクラスと何かあったのかと思ったが、まさかDクラスとは。

 

 

 Dクラスは不気味な生徒が多い故に俺もあまり関わっていなかったが、Dクラスに仕掛けるというのは正直悪くない。龍園の考えを完璧に読み解けるはずはないが、堅実に後顧の憂いを断ってBクラス攻略に専念するという意味でも、殴りやすいボディをしていたからワンパンくれてやったでもどちらでも悪くはないのだ。

 もちろん合理的に行動しているわけではなく、ただ何となくで行動するときもあるのが人間だが、龍園は程度に差があれども何らかの狙いをもって行動する人間だ。

 けれどもそれが余興を楽しむ方にぶれたり、堅実に勝ちに行く方にぶれたりすることがあるから読みづらい。

 

 今日一日情報を集めた結果として、とりあえずDクラスの須藤君とやらがボコボコ実行犯で、けれど正当防衛を主張。Cクラス側の三人はボコボコ被害者で、とりあえず被害者だと主張。

 

 

 まあ、今回の件については特にやることはないな。変にDクラスを刺激してしまうのではないかと焦ったが、今回の件がどうなるか、大人しく静観するべきだ。

 学校側がどんな対応をするのかも気になる。この学校に入ってまだ数か月。退学者はおろか、大きなペナルティを負った生徒も出てきてはいない。Dクラスには無理だろうが、それこそポイントの暴力でなあなあに済ますことができるだろうが。

 

「? 先ほどからページが進んでおりませんけれど」

「……あっ、いや、ちょっと考え事をね。ポイント早く振り込まれないかなって」

「■■君は、龍園君は嫌いですか?」

 

 ひよりに突っ込まれて、適当な返事をした後に、ひよりにしては珍しいというべきか、踏み込んだことを聞かれた。不意打ちだったので、表情を変えないように意識するので精いっぱい。別のどこかで図星を察せられた可能性はある。変に誤魔化すよりも素直に認めておいた方がいいと判断。

 

「そうだね。リーダーとしては認められないから……嫌いとまではいわないけれど」

「私も、龍園君のやり方は苦手です。ですが、このクラスで勝つために必要な事なのかもしれないと、最近になって考え始めました」

「そうか……」

 

 龍園が優れたリーダーかどうかは、そう聞かれた場合俺はまだ判断を下すには早いと答える。

 けれど、それでも暫定評価は出し続けておくべきで、その暫定評価では現状不合格。

 素質はあるし、カリスマ性もある。思い切りの良さなども高評価。けれど過信と手段を択ばなすぎるところがいただけない。敵を作りすぎるのも問題だ。龍園がトップになることで明らかにポテンシャルが落ちた生徒も少なくない。

 今後の将来性に期待という意味では、放置して様子を見るというのが俺の出した結論。

 

 俺は龍園が誰かに敗北した時にリーダーへと成り代わる。

 

 けれど例えば、万が一にも龍園が、クラス全員を勝たせる方法を考えていたらどうだろうか。8億貯めるだとか、確実に全員が勝てる方法はあるにはあるのだ。

 8億ポイント貯める方法は大きく二つある。片方は難しいが確実にできる方法。もう片方は学校のルールを詳しく調べて本当にできるか確認する必要がある上に難しいし確実性に欠く方法。

 前者は実行後のリスクが大きく、後者は実行後は確実に勝てる方法。

 

 まあ、それをやろうとしてたら本物の馬鹿か本物の天才か。少なくとも俺は絶対にやらない。

 たとえどちらであってもリーダーとして認めてやろう。仲間を仲間として見ることは俺にはできない、リーダーとして必要な資質の一つなのだから。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

「こんにちは!」

 

 翌日の放課後。ひよりは今日は部活があるので一緒に遊べない。泣く泣く見送ってから、暇だから石崎の傷に塩を塗る(物理)か、Bクラスの神崎と仲良くおしゃべりしようか悩みに悩んで、結局須藤君を探して声をかけることにした。

 少し探したところで、ベンチに座っている須藤と数人のDクラスを発見。中にはあの綾小路もいた。

 

「こ、こんにちは」

 

 俺の元気のいいあいさつに戸惑いがちに返事をしたのは確か、櫛田。櫛田は俺がこの学校で連絡先を交換した最初の人である。本当は初めてはひよりに捧げたかったところなのだが残念でならない。

 

 この櫛田のすごいところは、おそらく俺以外の大勢とも連絡先を交換しているであろうに、交換して暫くの間はちょくちょくメッセージを送ってきていたところだ。ヘブライ語で全部返事をしていたら、わざわざ翻訳してから返事を返してきたヤバい奴。

 仕方がないので、俺は親切にも日本語で「これからは音声でやり取りしましょう」と言ったうえで、常にアイヌ語でしゃべり続けていたら、謝られたうえで連絡が途絶えた。

 

「あ、えっと、志島君だよね」

「えー」

「な、何か用かな?」

「いやぁ、偶然見かけたから何をしているのかなって。あれかな、目撃者探しかな?」

「そ、そうだね、えっと、志島君も何か知っていたりするかな?」

「ぜーんぜん。具体的にどんなことがあったのかもいまいちわかってない」

「だよね……」

「まあ、でも。俺としては正しい方の味方だから。何かあったら必ず教えるよ。須藤君……だっけ? 頑張ってね!」

 

 俺が声をかけると、須藤は無邪気に「おう」と返事をして、手を振る俺に片手をあげて別れを告げた。櫛田は手を振ってくれているが、他のDクラスの生徒たちはあっけにとられた表情を浮かべたまま。こういう時にとりあえず挨拶できる須藤は、運動部という感じがして嫌いじゃない。

 

 

 

 今後存在感を増していく龍園。

 Bクラスにも嫌がらせはしていたようだが、Dクラスが受けたのは攻撃と言える。最初の被害者だからこそ、最初の被害者だという意識があるからこそ、龍園の存在に嫌でも注目するだろう。

 龍園の存在が強まれば強まるほど、龍園という闇が深まれば深まるほど、俺という存在に偽りの光を見る可能性はある。

 

 リスクは高いが、だからこそ分散する。少しでも多くに関わる。少しでも多くの勝ち筋を広げる。

 

「まあ、無理に勝つ必要はないんだけれど」

 

 この学校のシステムは面白いと思う。正真正銘に実力を持つ人間は、俺みたいな卒業後の進路が簡単につかめる人間は、Aクラスに固執する必要がない。実力がある人間は勝負する必要すらないのだ。

 けれど、まだわからないが、きっと何かがあるはずだ。

 Dクラスの存在意義を、俺は一度考えたことがある。きっとそこに、この学校の掲げる実力至上主義の答えがある。

 

 今回のCクラスとDクラスの騒動がどう転ぶのか、よく見ておこう。

1000人お気に入り記念になんかやりたいんですが、そういうの今までにやったことないので、何がいいかアンケート取ります。

  • 1000文字ジャストの話
  • ひよりの良いところ1000個あげる話
  • 西暦1000年のIFとかいう謎小説
  • 1000年未来設定の謎小説
  • ひよりと1000㎞ウォーキングする謎小説
  • ひよりと千手観音像を彫る謎小説
  • もう兎にも角にも謎小説
  • 七夕特別編(遅刻確定)
  • デートする普通の話
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。