「ねぇ、霊夢」
「なによ」
「貴方が来るなんて珍しいじゃない」
「そうね」
「何かあったの?」
「何も無いなら来ちゃダメなのかしら」
「そんなことはないけど」
「そろそろ夏も佳境だからよ」
「ああ、それで向日葵を?」
「そうよ」
「そう」
「妙に平静ね」
「いつも優雅で平静ですわ」
「自分で言う?ソレ」
「まあ花見に来た子を苛めたりはしないわよ」
「アンタ意外と紳士的よね」
「意外ってなによ」
「そのままの意味よ」
「失礼ね」
「ご不満?」
「まあまあね」
「大体の人妖がそう言うわよ」
「今かなり不満になったわ」
「そんなことより花見よ花見」
「花は心を落ち着かせてくれるものね」
「不満は収まった?」
「まあまあね」
「流石向日葵ね」
「照れるわ」
「アンタじゃないわよ」
「花を操れる私は実質花みたいなものよ」
「そういうものかしら」
「適当言っただけよ」
「この...!」
「まあちょっと溜飲は下がったわ」
「そう...」
「それより貴方」
「なによ」
「やっぱり何かあった?」
「何もないわよ。どうしたの?」
「向日葵を見にわざわざここまで来たことなんてないじゃない」
「...まあちょっとね」
「やっぱり何かあったんじゃない」
「最近永遠亭の玉兎に絡まれててね」
「ああ、あの鬼灯の子ね」
「鬼灯?」
「あの子に合いそうな花よ」
「変な覚え方ね」
「照れるわ」
「褒めてないわよ」
「それで追われてると?」
「追われてはないのよ」
「あら、じゃあどうして逃げてきたの?」
「アイツ、ウチに来る度文句言ってくるのよ」
「あー...それは面倒ね」
「毎度グチグチ言うもんだから嫌になっちゃってね」
「それでおめおめ逃げてきたと」
「なんか言い方に棘があるわね」
「綺麗な花には棘があるってやつよ」
「そういう話じゃないでしょ」
「まあそうね」
「さっき紳士的って言ったの訂正するわね」
「あら酷い」
「じゃあアンタが同じ状況ならどうするの?」
「その日の夜は兎鍋ね」
「全然紳士的じゃないじゃない!」
「紳士的に食べるわ」
「他人には紳士的じゃないのね」
「食材に礼儀を払う必要なんてないでしょう」
「これまた酷い言い草ね...」
「失礼ね」
「失礼なのはアンタでしょう」
「そんな!」
「それに驚くことに驚きだわ」
「驚天動地だわ」
「...正気?」
「冗談よ」
「ならよかったわ」
「じゃあそろそろお暇するわね」
「あら、もう帰るの」
「次の季節の花を観に行くのよ」
「まだ花も咲いてないでしょうに」
「花が咲くまでを観察するのも乙なものよ?」
「ふーん、私にはわからない世界ね」
「私がわかればそれでいいのよ」
「そういうものかしら」
「そういうものよ」
「じゃあ私も帰ろうかしら」
「ああ、今はやめといたほうがいいわよ」
「どうして」
「閻魔がさっき神社の方へ向かってったわ」
「えー...嫌な予感しかしないわね」
「休日だから説教して回るそうよ」
「はた迷惑な話ね。じゃあもう少しいようかしら」
「私の説教は帰りにするらしいから逃げるわ」
「アンタねぇ...」
「それじゃあまた会いましょう」
「ええ、また....とりあえずもうちょっと花見に興じるとしますか」
「神社に居ないと思ってたらこんなところに居たのですね...」
「ゲ!なんでここに!?」
「前回は小町の説教で出来ませんでしたからね。今回はその分みっちり説教することにしましょうか」
「どーしてこうなるのよー!」
「帰りに来るって言ったのに...あの子も人の話を聞かないわね」