「ねぇ、霊夢」
「なによ」
「なんであんたが山にいるのよ」
「悪い?」
「あまり良くはないわね」
「そう」
「...何してるの?」
「栗拾い」
「天狗に捕まっても知らないわよ?」
「神なんだから何とかしなさいよ」
「神は万能の存在ではないわ」
「使えないわね」
「仮にも神様にその態度はなくない?」
「事実じゃない」
「そうは言っても私の本分は戦いじゃないもの」
「そんじゃあ秋の味覚を寄越しなさい」
「それも嫌よ」
「なんでよ。アンタ豊穣の神でしょう」
「神は基本的に一人を特別扱いしないのよ」
「人間全体に御利益を与えるってこと?」
「そうよ」
「つまらないわね」
「つまらなくて結構よ」
「たまにはいいじゃない」
「人なんて神にとっては季節に散りゆく木々の葉のようなものよ。一枚の葉を特別扱いなんてしないでしょう?」
「そういわれるとそうね」
「納得してくれたようでなによりよ」
「まあ期待してなかったからね」
「...なんですって?」
「だってアンタら弱いし。御利益も微々たるものでしょ」
「そんなわけないじゃない。私達は秋の神々、特に私は豊穣の神よ?」
「一人贔屓もしないんじゃなくてできないんでしょう?力が弱すぎて」
「そ、そんなわけないじゃない!」
「いいのよ強がらなくて。無理言って悪かったわね」
「八百万分の一の神といえども秋の神。それくらい造作もないわ」
「じゃあやってくれるの?」
「それは...!」
「なんだ、やっぱりできないのね」
「...」
「あーあ、この辺の栗はもう拾ったしそろそろ帰ろうかしら」
「...じゃない」
「あん?」
「やったろうじゃないの!」
「わ、吃驚した」
「巫女でありながらもこれ程までに神を侮辱するあんたには一度威光を見せる必要があるわ!」
「ふーん、そう」
「そんな適当でいられるのも今のうちよ!」
「やってくれるってことかしら?」
「ええ勿論!稔りの神の全力、とくと御照覧なさい!!」
「......案外簡単に乗せられたわね」
「何か言った!?!?」
「いえ、何も」
「それで他の人間との差を無くすために今年が超大豊作になったと」
「ま、まあちょっと張り切りすぎちゃったかな...?」
「ちょっとじゃないわよ!今年の作物は大豊作を超えて大飽作だって言われてるのよ!?」
「ご、ごめんなさい~」
「信仰もそんなに使っちゃうなんて...本年いっぱい貴方の夕飯は米とたくあんだけよ!」
「そ、そんな殺生な~」
「作物の値段が下がりすぎてあんまり得した気がしないわ...」