「ねぇ、霊夢」
「なによ」
「この飾り付けは何かしら?」
「見ればわかるでしょ」
「屋台まで出しちゃって。何かあったかしら?」
「この季節といったらアレでしょう」
「アレ?」
「そ。霜月の酉の日のヤツよ」
「ああ、"酉の市"ね」
「ご名答。今年もやろうと思ってね」
「懲りないわね」
「そりゃ儲かるもの」
「前は儲からなかったじゃない」
「火事のせいでね。今年は防火ばっちりよ」
「本当かしら...」
「結界も貼ってあるからね。今年は稼ぐわよ!」
「そもそも貴方酉の市についてちゃんと調べたの?」
「え?全く調べてないわ」
「調べなさいよ!」
「面倒くさいわ」
「主催が催事を知らなくてどうするのよ」
「参拝客が増えればいいのよ」
「そんな考えだとそのうちバチが当たるわよ」
「ないない」
「あるわよ!」
「本当かしら~?」
「...仕方がないわね、私が酉の市について教えて差し上げましょう」
「流石は仙人様ね!」
「...元からソレを狙ってたのか」
「何の事かしら?」
「はぁ....まあいいわ」
「じゃあ説明よろしくね」
「...ではまずこの祭事の成り立ちからでも語りましょうか」
「てなわけで、酉の市というのは元々商売繁盛を目的としたものじゃなかったのよ」
「...」
「つまり本来お守りとしては売ってなかったのかもしれない熊手を、ましてや前みたいな禍々しいものを売ってるとまた火事を呼び寄せることになるわ」
「...」
「まあどうしても今年やるってのなら熊手や大団扇の形を制限するべきね」
「...」
「...」
「...」
「...聞いてる?」
「...zzz」
「起きなさい!」
「zzz...ん、何よ人が気持ちよく寝てる時に」
「人が解説してる間に寝てるんじゃありません!」
「あ、ああ、聞いてたわよ。しっかりきっかり」
「嘘おっしゃい!」
「いやーこれで主催も完璧だわー」
「全く聞いてなかったでしょう!」
「まっさかー!聞いてたに決まってるじゃない」
「じゃあ先程私がなんて言ったか分かりますか?」
「...いやー覚えてるに決まってるじゃない!アレでしょアレ!」
「アレって何よ」
「そりゃあソレよ」
「ソレ」
「そうそう、ソレよ」
「ソレって何よ」
「...まあアレソレどうこう言ってるよりもさっさと祭りの準備をしないとね!」
「あ、コラ!逃げるなー!」
「よう、霊夢!もう準備始めてるんだな」
「ああ、魔理沙じゃない。アンタ今年も何か出すの?」
「そうさな...最近また異変があったことだし、また異変解決の縁起物でも売ろうかな」
「ふーん...」
「あ、そうだな...今回は縁起物を組み合わせて熊手でも作ってみようか。ヘンテコ妖怪熊手ってな!」
「...やめときなさい」
「え、なんでさ」
「いいから。今年の熊手はウチだけで出すわ」
「お前が自分で動くとは珍しいな...誰かからの入れ知恵か?」
「どうだかね」