「ねぇ、霊夢」
「なによ」
「今日は何用?いきなり押しかけてきて」
「用なく来たらダメだった?」
「そういうわけじゃないのだけれど」
「じゃあさっさと茶くらい出しなさいよ」
「図々しいわねぇ」
「アンタ程じゃないわよ」
「あら失礼」
「普段敬われてるんだからこれくらいは失礼にならないわ」
「ひどい暴論ね」
「それほどでもあるわよ」
「褒めてないわ」
「知ってるわよ」
「もう...じゃあとっておきの茶菓子でも出そうかしら」
「とっておき?」
「そ。今朝いいものが実ったのよ」
「実った...ってことは果物?」
「ご名答」
「アンタらが果物育ててたなんて聞いてないけど」
「そりゃ言ってないもの」
「...また変なこと考えてないわよね?」
「まさか。研究材料に育ててただけよ」
「ああ、あの医者のか...」
「じゃあ切り分けてくるからちょっと待ってて頂戴」
「はいはいりょーかい」
「お待たせ。待ったかしら」
「今来たとこよ」
「ずっといるじゃない」
「アンタが振ってきたんでしょ」
「そうだったかしら」
「アンタねぇ...」
「それよりこれ、今朝獲れたての橘の実よ」
「げ」
「?どうしたのよ」
「いや...ちょっとこれは食べたくないわね」
「折角用意したのにそれはひどくないかしら?」
「...アンタ、非時香菓って知ってる?」
「知らないわ。何よそれ」
「端的に言うと不老不死の仙果よ」
「...!」
「詳細は省くけど、田道のなんたらが当時の天皇を想って取ってきた果実のことよ。古事記にも記されているわ」
「...それでその非時香菓が橘のことですって?」
「あくまでもそう言われてるだけではあるけどね」
「ならいいじゃない。私が食べてもなんともなかったわよ」
「そりゃアンタは蓬莱人じゃない」
「そう言われればそうだったわ」
「蓬莱人が作った橘なんて怖すぎて口に入れられないわよ」
「折角切り分けてあげたのに...」
「アンタと医者で食べればいいじゃない」
「いやそれはちょっと...」
「なにかあるの?」
「今回は沢山獲れちゃって。今月の初めからおやつが全部コレなのよ」
「調理すれば飽きないでしょうに」
「あの研究第一の人が料理なんかに現を抜かすと思う?」
「...確かにそうね」
「他の子は何やら怖がってるようで触ろうともしなかったしねぇ...」
「やっぱりみんな非時香菓だと思ってるじゃない」
「え~...この大量の橘どうしようかしら」
「...気は進まないけど一つ、考えがあるわ」
「よう輝夜!今日も殺しに来てやったぞ!」
「あらいらっしゃい。今日は趣向を変えて大食い対決にしない?丁度橘が余ってたのよ」
「大食いだぁ?...まあ腹は減ってたからいいが」
「勝敗は橘の種の数にしましょう。妨害防止のために食べる場所は離そうかしら」
「ふん、いいだろう。後で吠え面かくんじゃねぇぞ!」
「そのセリフ、そっくりそのまま貴方に返すわ!」
「はぁ...はぁ...うっぷ。どうだ輝夜!この勝負方法を選んだのは失敗だったな!」
「いいえ、成功よ。余った橘を消費してくれて助かったわ」
「は...?」
「私の食べた数は0個。数えなくても貴方の勝利よ、おめでとう」
「おまっ...お前...!」
「何?ご不満?じゃあ腹ごなしにでも殺し合いましょうか。まあ貴方はそれだけ食べちゃあまともに動けないでしょうけど」
「...........っの性悪野郎がああああああ!!!」