「ねぇ、霊夢」   作:鬼如月

23 / 24
大雪

「なぁ、霊夢」

 

「なによ」

 

「それ、寒くないのか?」

 

「寒いわよ」

 

「...それなら厚着をすればいいじゃないか」

 

「してるじゃない。マフラーに手袋、それに深靴だって」

 

「いやいやいや....」

 

「なによ?」

 

「肩!それに腋!そんなに肌を出してると風邪ひくぞ!」

 

「そんなこと言われてもこれは巫女としての正装だし...」

 

「普段は適当なのに何でこんなところで真面目になるんだ...」

 

「失礼ね」

 

「事実だろう」

 

「否定はしないわ」

 

「やっぱり事実じゃないか」

 

「あらひどい。否定しなかっただけなのに」

 

「実質的に肯定だろう」

 

「さてね。まあそれとは全く関係ないんだけどちょっと訊いてもいいかしら」

 

「問題ないがどうしたんだ?」

 

「この辺でいい呉服店しらない?できれば編み物の服を取り扱ってるところがいいわね」

 

「全然関係あるじゃないか!」

 

「欠片も関係ないわよ。ええ、全く」

 

「...面倒だから反応しないぞ」

 

「えー、ケチね」

 

「いつにもまして面倒くさいな。暇なのか?」

 

「暇...ではあるわね。冬だとあまり人に会わないし」

 

「皆家から出たがらなくなるからな。稀に普段より元気になるやつがいるがな」

 

「例えば?」

 

「高火力で星好きな魔法使いとか」

 

「ああ、アイツね...」

 

「偶に竹林や鈴奈庵で会うが、彼女は何時も元気だな」

 

「大方魔法の応用で防寒対策は出来てるんでしょう。アイツはアレで結構繊細だからね」

 

「ほう、よくわかるな」

 

「これでも付き合いは長いからね。そのくらいわかるわよ」

 

「なるほどな...お前も同じ様にできないのか?巫術とかで」

 

「できなくはないけど...」

 

「なんだ、煮え切らないな」

 

「面倒なのよ」

 

「めんどう」

 

「薄い服を何重に着るのと分厚い上着を一枚着るのを想像しなさい。大体そんな感じよ」

 

「あー...確かに面倒だな。それなら上着一枚羽織るだけで済ませたい」

 

「そ。アイツはその面倒すら好んでやるからね」

 

「それはまた何故だ?」

 

「"これも魔法の上達に繋がる!"だと。ほんと魔法バカよね」

 

「ふむ...なるほどな。彼女の自信は努力に裏付けされたものだったってワケか」

 

「あ、ソレあまり他言しないでよね。アイツ、自分の努力を知られるの嫌がるから」

 

「はいはい、わかったよ」

 

「それならいいけど」

 

「それにしてもお前も彼女を見習って努力したらどうだ?」

 

「ああ、ダメダメ。やる気がでないわ」

 

「爪の垢を煎じて飲むくらいしてみればいいのに」

 

「爪の垢なんて不味くて食えたものじゃないわよ」

 

「...食べたことが?」

 

「流石に冗談よ」

 

「あ、ああ、流石にな!」

 

「.......冗談よ」

 

「何故二度言った!?」

 

「それじゃ暗くなってきたしそろそろ帰るわね」

 

「あ、おい、何故二度言ったんだ!食べたのか!?爪の垢を!?」

 

「...それじゃあねー」

 

「何か言ってくれ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、服買い忘れた」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。