「ねぇ、霊夢」   作:鬼如月

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立春

「ねぇ、霊夢」

 

「なによ」

 

「私の趣味をバラしたそうね」

 

「なんのことよ」

 

「推理小説」

 

「ああアレね」

 

「なんでバラしちゃったのよ」

 

「バラしちゃだめなものだったの?」

 

「そうじゃないけど恥ずかしいわ」

 

「あらそう。悪かったわね」

 

「いいわ。過ぎたことだし」

 

「ありがと。私も知らなかったのよ」

 

「バラしてほしくないことを?」

 

「そうじゃないわ」

 

「じゃあなによ」

 

「アンタの親友が執筆を知らないことよ」

 

「親友だからこそよ」

 

「そういうものなのかしら」

 

「恥ずかしいのよ」

 

「良い出来なのに」

 

「執筆中を観られるのが嫌なのよ」

 

「それは確かにゴメンだわ」

 

「でしょう?あれからレミィが毎日来てるわ」

 

「御愁傷様ね」

 

「誰のせいだと…」

 

「口止めしないアンタのせいでしょ」

 

「…それもそうね」

 

「それにしたってアンタの小説一般販売しないのかしら」

 

「鈴奈庵とかに出せってことかしら」

 

「そうね。毎回ここまで来るのが面倒なのよ」

 

「複製コストが高くてね」

 

「文屋にでも頼めばいいじゃない」

 

「アイツらはダメよ」

 

「そりゃまたどうしてよ」

 

「見返りが重いからよ」

 

「というと?」

 

「誇張記事のインタビューだと」

 

「あら怖い」

 

「何書かれるかたまったもんじゃないわ」

 

「私でも断るわね」

 

「でしょうね」

 

「でもアンタの小説面白いわよ?文豪が書いたって言っても気付かれないくらいに」

 

「お世辞でも嬉しいわ」

 

「世辞じゃないわよ」

 

「でも一般には出さないわ」

 

「恥ずかしいから?」

 

「そうよ」

 

「勿体ないわね」

 

「そうかしら」

 

「いい金稼ぎになりそうじゃない」

 

「生憎金には困ってないのよ」

 

「そう。残念ね」

 

「なにがよ」

 

「そりゃ勿論本の複製よ」

 

「ああ、そう…」

 

「でもやっぱり面白いわよこれ。もう毎週通ってるもの」

 

「読書の息抜きで書いてるだけよ」

 

「それも才能ね」

 

「えらくべた褒めね。珍しい」

 

「それほど面白いってことよ」

 

「本には正直ってことね」

 

「私はいつも正直よ」

 

「流石に嘘ね」

 

「流石に嘘よ」

 

「でも評価は素直に受け取っておくわ」

 

「しっかり受け取りなさい」

 

「上から目線ね」

 

「それにしても魔法を使う殺人事件なんて斬新な発想よね」

 

「描写しやすいのは身近なものだから」

 

「だから魔法を選んだと」

 

「そうよ」

 

「魔女らしいわね」

 

「悪い?」

 

「悪い」

 

「失礼ね」

 

「失言だったわ」

 

「うまくないわよ」

 

「あら残念」

 

「まあいいわ。それで今日は何の用?」

 

「推理小説の次の話を読みたくてね。良い場面で終わってて気になるのよ」

 

「あるにはあるわ」

 

「なによ煮え切らないわね」

 

「昨日強奪されちゃったのよ」

 

「…誰に」

 

「白黒よ。きっと当分返ってこないわ」

 

 

 

「…………んの泥棒魔女がァ!!!!」

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