皆さんから寄せられる誤字報告は大変ありがたいです。
何度も見直してるはずなのにね、なんで誤字るかな、私……
あ、今回長くなりそうなので分けます
後編はまた後日
「〜〜〜〜♪」
どこか覚えのある古い曲を口ずさみながら、彼女はとある企業ビルの屋上に佇んでいた。
そう、今日この街を恐怖のどん底に陥れる怪人アンチフェネクスである。
彼女は生身で転落防止用の柵の外に座り、眼下に広がる街並みを眺めている。
『作戦時間だ。アンチフェネクス、行動を開始したまえ』
通信機から大総統の声が聞こえる。
途端に彼女は歌うのをやめ、漆黒の結晶体を取り出した。
「変身」
灰色のスターチェンジャーにそれをセットすると、結晶体から漆黒の炎が溢れ出す。
それは一瞬にして彼女の体を覆い尽くすと、その姿を怪人アンチフェネクスへと変貌させた。
彼女は早速新武装を試そうと、アンチクロスを取り出して、合体させる。
目標はもちろん、彼女の視界内に存在するブラック企業四社である。
『アンチクロス、ハイパーブラスターエネルギー充填120%。いつでも発射可能です』
急に喋り出したアンチクロスにちょっと驚いた彼女であったが、実害はないので一旦置いておくことにする。
彼女は手始めに一番近くにあるブラック企業に狙いを定め、引き金を引いた。
アンチクロスの先端から凝縮された漆黒の炎が放出される。
それはブラック企業の最上階の一室を貫くと、中にいた社長を苦痛を感じる暇もなく蒸発させた。
彼女は引き金を引いたまま、次の会社へと対象を移す。
黒い炎はその射線上にある全てを焼き尽くしながら次の会社へと突き刺さる。
『エネルギー残量0% リチャージまで3分』
「3分……早いというか遅いというか微妙な時間だね。まああと二つくらいならなしでもいいか」
彼女は右腕に漆黒の炎を灯らせる。それは徐々に大きさを増し、彼女の身長の倍以上の大きさになるとそれを三社目に向けて解き放った。
漆黒の球体は三社目のブラック企業の上層へと突き刺さり、そのまま上層部を燃やし始める。
続けて四社目に同様の火球を放つが、それは突如飛来した五色の光によってかき消された。
「なんだ、もう来たのか」
彼女はそれらが飛来した方へ視線を向ける。
すると、こちらに向けて走る七人の姿があった。
そう以前よりも絆が深まり戦闘力が増した星辰戦隊スターセイバーたちである。
「対象が全員釣れました。あとはお願いします」
「ああ、任された」
襲撃担当の涼太郎にそう告げると、短く返事が返ってくる。
通信を切り、彼女は屋上から飛び降りた。
徐々に加速し、とてつもない速さでコンクリートの地面へと激突する。
凄まじい轟音と土煙が周囲に広がる。
「邪魔」
彼女が腕を払うと、炎が土煙を吹き飛ばす。
すると、土煙が晴れたその先にはスターセイバー全員が戦闘態勢で待ち構えていた。
「よくも街を破壊してくれたわね!」
「これ以上の暴虐は俺たちが許さな──あれは、スターチェンジャー!?」
スターセイバーでも若い方の二人、スターブルーが前に立ち叫んだ直後、スターレッドもそれに続こうとした所でアンチフェネクスの左腕に巻き付いた彼らと同じスターチェンジャーを発見する。
「嘘!? あれが私たちと同じ星座の戦士って言うの!?」
動揺する星辰戦隊の面々、だがそんな彼らを遮るように前に出る人物がいた。
牡牛座の戦士、スターグリーンである。
「いや、この邪悪な気配は間違いなく怪人のもの。貴様、何者だ?」
短く、そう問いかける。
「……ま、そっちのことは知ってるし、名乗るなら私だけでもいいか。私は裏界十字軍第7の騎士、憂鬱の大罪騎士アンチフェネクス。まあよろしくってことで」
「裏界十字軍だと!? お前、もしかして里を襲撃してきたやつの仲間か!!」
「そうね、だいたいそんな感じ。他にも何か聞きたいことある? ちょっと気分がいいから機密事項以外なら答えられるよ」
飄々とそんな緊張感のかけらも無い態度で相対する彼女。
そんな態度をとる彼女に星辰戦隊の面々は困惑を隠せないでいたが、一人だけ反応する者がいた。
ケルベロス座の戦士、スターシルバーである。
「その声、聞き覚えがある。あの日、僕たちを倒した戦闘員だな!」
「うっわ、なんで覚えてるの怖!? 面倒だから忘れてくれてよかったのにね」
「忘れるものか!! お前に手も足も出ずにやられたばかりか、僕のせいで兄さんまで悪の手に……。そのことを思えば忘れられるはずがないだろ!!」
強く拳を握り締め、そう叫ぶ。
対してやれやれ、とどうでもよさそうに振る舞う彼女。
その態度が更にスターシルバーの怒りに油を注いだ。
「お前だけは絶対に許さない!! シルバーレイ」
「待て、スターシルバー」
スターシルバーの持つガトリングガンの前に手を晒し、無理やり射線を塞ぐスターグリーン。
慌ててチャージしていたエネルギーを解放し、必殺技を中断する。
「何をするんだスターグリーン!?」
「俺も、いくつか聞きたいことがある」
更に一歩前に出る。
遠くからでも彼が放つ強い怒りの感情が、アンチフェネクスにも伝わってくる。
彼の後ろにいたスターシルバーもその威圧に気圧され、一歩後ろに下がる。
「里の結界を破壊し、それを守護していた戦士を蹂躙したのは貴様か?」
「あ〜……うん、私で間違いないよ」
「歴戦の猛者、スターフェニックスを殺害したのは貴様か?」
「間違いなく、私が焼いたよ」
ボッと右手に漆黒の炎を灯し答える。
あのスターフェニックスを殺害したと聞き、グリーンを除く戦隊各員に動揺が走る。
「……最後に幻想機関のサーバールーム。そこにいたサイバーガールを倒したのは、貴様か?」
嘘偽りは許さない。言外にそう告げているような低い声で問いかける。
「そうね、それも私だよ。知ってるってことはまだ生きてたの? とどめ刺さなかったとはいえしぶといね、ヒーローって」
なんの躊躇もなく答える。
スターグリーンとサイバーガールが恋仲にあると知っていたらもう少し慎重な言い回しにしたかもしれないが、知らなかったが故に全力で地雷を踏み抜くこととなった。
「そうか、ならばもういい」
彼の体から緑色の電流が漏れ始める。
溢れ出る怒りの感情が電流となって現れたのだ。
「貴様があいつを傷つけた。その事実さえわかればそれでいい」
「…………あら? 何やら地雷踏んだっぽい?」
スターグリーンの只ならぬ雰囲気を感じ、何か口に出してはいけないようなことを言ってしまったのかと悟った彼女だったが、時すでに遅し。
どうしたものかと他の面々を見てみるが、同様に怒りに体を震わせていた。
ある者は里を蹂躙された怒りから、ある者は家族付き合いをしていた男を殺された怒りから、各々の理由でアンチフェネクスに対する怒りを激らせているのだ。
「ま、どうでもいいか」
だが、そんな程度では彼女の心は揺るがない。
自分がどのような事をしているのか十二分に理解できているし、それがどれだけ常識的に考えて罪深いことかもわかった上で行動しているからだ。
だから彼女は今の行動を、これからの未来を改めるつもりなど毛頭ない。
平和に暮らす自分なんて想像もできないし、邪魔な者はぶっ飛ばす的な狂犬思考の彼女がこの社会に適合できるとも思えなかったから。
「さあ、かかっておいでよ。誰から死にたい?」
両手にアンチクロスを握りながら、両手をコチラに向ける。
それはまるで母親が赤子に手招きするようだった。
「ふざけるな!」
「みんなの仇、討たせてもらうんだから!」
スターグリーンとブルーはそれぞれ牡牛の頭の形をした戦斧と蛇の紋様が刻まれた鞭を手に彼女へ迫る。
牡牛の戦斧はスターグリーン専用装備スターアックス。蛇の紋様の鞭はスターブルー専用装備スターウィップ。
共に歴代の星辰戦隊に受け継がれてきた、そして今日まで彼らと共に戦ってきた相棒ともいうべき存在である。
「グリーン・レイダー!*1」
「ブルー・ウィップ!」
スターアックスから雷の牡牛が現出し、スターウィップはそれ自体が水の蛇へと変化して彼女へ襲い掛かる。
それは超人因子を秘めたエネルギー体であり、まともに食らえば並の怪人ならば爆散してしまうほどの威力を秘めていた。
「不思議、前なら受けるだけで精一杯だったのに。今ならこんなこともできる」
クルクルと右手に持ったタウラブラスターを回しながらブレードモードへと変形させる。
それを左から右へ一気に振り切った。
「何!?」
「嘘!?」
たったそれだけの動作で、雷の牡牛も水の蛇も一刀両断されてしまう。
それらは横に断ち切られ、空気に溶けるように姿を消した。
「狼狽えるな! 鳳凰院さんを殺した相手だぞ。これくらいできて当然だ!」
スターゴールドが一喝する。
彼はアンチフェネクスの一挙手一投足を見逃すまいと、愛剣を構えながら警戒し続けている。
それは前回のような油断はもう二度としないという彼の決意の表れでもあった。
「余計なこと言わないでよね。仕事しにくくなるじゃん」
左手のフェネクスマグナムを彼に向け、三度発砲する。
その銃口よりも明らかに巨大な炎の塊が三つ、スターゴールドへ迫る。
「ちぃっ!」
その威力を察し、受けるのは不可能と判断した彼は右に身を転がし回避。
しかし、それはアンチフェネクスの予測通りの行動であった。
「何!?」
回避するためにアンチフェネクスから視線を逸らしたその一瞬、彼女の背後に備わった鳳凰の尾の一つがまるで意志を持つかのようにスターゴールドへと伸び、彼の体を縛り上げたのだ。
「爆ぜろ」
瞬間、彼の体を縛り上げていた尾が爆発した。
アンチフェネクスの外殻を構成する炎は憂鬱の鳳凰から溢れ出たエネルギーを元に構成されている。本来ならばそれを操作し爆発させることなど簡単にはできないはずだったが、彼女の卓越したエネルギー操作能力と今まで自分のバリアを爆発させ続けてきた経験からそれを可能にした。
「ぐあああああああ!!」
「兄さん!?」
爆炎と共にスターゴールドの悲鳴が響く。
兄の危機にスターシルバーが彼の元へ駆け出そうとした。
「はいそこ。目を離さない」
「何!? うわあああああ!!」
タウラブラスターをスターシルバーに向けて連射する。
完全に兄のことしか目に入っていなかった彼は迫り来る無数の炎の礫をまともに食らい、変身が解除され地面へと転がってしまう。
「はいまず二人。次は誰がいい?」
「なんて強さなの。あれに勝てるのかしら……」
「ああ、だがそれでも俺たちが逃げるわけにはいかない!!」
歴戦の竜光寺兄弟が瞬く間に撃破され、彼らの間に動揺が走る。
スターホワイトが弱音を漏らすが、彼女を鼓舞するようにスターレッドはあるものを取り出した。
それはまるで太陽を単調化したようなデザインが特徴的な、中央に穴が空いた風車に近い円形の結晶体だった。
スターレッドだけではない、スターグリーンやスターホワイトもそれを取り出すと、各々のスターチェンジャーに後方からスライドさせるように取り付ける。するとその結晶体の穴とスターチェンジャーの挿入口がピッタリと重なる形で合体するではないか。
彼らは各々の星座の結晶体を取り出すと、新たな姿となったスターチェンジャーへとそれを押し込んだ。
「「「スターチェンジ、ゾディアック」」」
三人の声が重なる。
瞬間、三人の体がまるで太陽のような輝きに包まれた。
少し遅れて、彼らへ向けて幾数もの炎の礫が放たれる。
アンチフェネクスがその変身を脅威と捉え、タウラブラスターを乱射したのだ。
「チッ。手応えなし」
結果は芳しくはなかったようだ。
炎の礫は輝ける日輪にかき消され、中にいる三人には届いてはいないと彼女は理解した。
(ゾディアック……確か黄道十二星座のことだっけ? そして今変身してるのは獅子座と牡牛座と山羊座の戦士だから……うん、間違いなさそう。スーパーノヴァだけでも厄介なのに、そんな隠し球聞いたことないんですけど)
彼女が知らないのも無理はなかった。
太陽の力を授かった星辰戦隊の新たな力“ゾディアックフォーム“。
歴代の星辰戦隊でもスーパーノヴァより習得難易度は軽く、多くの人間が変身したことのあるこの形態だが、その習得難易度とは裏腹に習得できる戦士に制限がある。
ゾディアックフォーム。この形態になれるのはその名の通り黄道十二星座に連なる星座の守護を持つ戦士のみなのだ。
最近活動を始めた今代の星辰戦隊がこのフォームに至ったのは竜光寺兄弟を取り戻し、幻想機関のトップとの最終決戦の最中であったので、それまで収集したデータにはなかったのだ。
彼女が十数年前のデータまで遡れば数件程度ならゾディアックフォームに関するデータを発見できたかもしれないが、言われた以上のことをするつもりがなかった彼女がそれを見つけられる可能性などほとんどなかったと言えるだろう。
「は!」
スターレッドが腕を振るうと、日輪が弾け、そこには黄金の鎧を纏ったスターレッドの姿があった。
背中には半透明の赤いマント、実際に炎で構成されたマントがまるで物質のようにゆらゆらと揺らめいている。
続きグリーンとホワイトも姿を現す。両者ともに黄金の鎧と炎のマントを纏っている。
「いくぞ! 里のみんなと、爺ちゃんたちの仇だ!」
(え、何それ知らない)
スターレッドが叫びながら彼女へと迫る。
レッドの言う爺ちゃんとはクラウディア大総統に殺害された獅子郷慎太郎のことなのだが、それを知らない彼女はただ内心首を傾げるしかなかった。
「はああああああああああ!!」
スターレッドの拳が灼熱の炎を纏い、彼女へと何度も何度も叩きつけられる。
一撃一撃が通常時の必殺技に匹敵する強烈なラッシュ。通常ならこれで終わらなくとも深手を負わせることができていた。
「なんだ、あの野郎と同程度の強化か。驚いて損した」
「なに!?」
スターレッドとアンチフェネクスの間、僅かなその空間にピンク色の薄い壁が幾重にも設置されていた。
そう、彼女が得意とするバリアである。
怪人状態となった彼女のバリアは並の星辰戦隊の必殺技程度では最早破ることのできないほどに強固なものとなっていたのだ。
「下がれレッド!」
「邪魔」
「!? ぐあっ!!」
その声に反応し、直ぐにスターレッドは飛び退こうとした。
しかし、その前に彼女の炎を纏った回し蹴りをくらい、そのまま地面をバウンドし、近くのビルへと激突した。
そしてアンチフェネクスが上を見ると、雷と炎を纏ったスターアックスを掲げ、こちらへと突撃しようとしているスターグリーンがそこにいた。
「レッド!? だが、これで終わりだ。ゾディアック・グリーン・タウラス!!」
スターグリーンが斧を振り下ろすと、雷でできた牡牛が出現し、身体全体に炎を纏って突撃してくる。
グリーンタウラス。ゾディアックフォームの炎の力を受けてようやく発動可能となった彼の最強の必殺技である。
歴戦の戦士となれば通常状態でもグリーンタウラス程度の必殺技なら発動することもできるが、それができる戦士は今代の中にはいない。
あれは受け切れなさそう。そう判断した彼女はアンチクロスを大剣モードへと合体変形させる。
彼女はそれを真横に構え、彼女のエネルギーを大剣に流し込む。
「セイヤ!!」
十分流れ込んだと判断した彼女はそれを一気に振りぬいた。
大剣が描く軌跡から、煌くピンク色のエネルギー波が放たれる。
彼女のバリアを限界まで圧縮して出来たそれは、まさに最強の切れ味を持つエネルギーの刃と言っても過言ではない。
牡牛と刃がぶつかり、一瞬拮抗したかに見えたが、直ぐに牡牛が頭から縦に真っ二つに切り裂かれてしまう。
「何!? ぐあああああああああああ!!」
そしてそれはそのままスターグリーンへと直撃し、触れた瞬間に大爆発を起こした。
「グリーン!? お前、よくも!! ゾディアック・ホワイト・カプリコーン!!」
スターホワイトが槍を構えて突撃してくる。
その姿に重なるように炎を纏った白く雄雄しい山羊の姿が現れる。
「なるほど、必殺技と一緒に突撃してくるタイプね。だけど」
彼女は左腕を前に出す。
金属と金属が擦れるような鈍い音が響く。
「嘘!?」
「さっきの牛ほど脅威じゃないね」
そう、ゾディアックフォームとなったスターグリーンの必殺技は星辰戦隊随一の破壊力を持つ。逆にスターホワイトは威力こそ上がるものの、それは槍の先端部に当たった場合の話。それ以外の部位が触れても何の影響も与えることは出来ないのだ。
そこを見抜き、アンチフェネクスは槍の刃の付け根を掴んで止めたのだ。
「はい、これで四人目」
彼女は右手でいつの間にかハイパーブラスターモードへ変形させていたそれを彼女に向けて放つ。
「きゃああああああああああ!?」
「ホワイト!!?」
チャージが十分ではなかったため最初の時のような威力はでなかったものの、彼女を戦闘不能にまで追い込むことに成功する。
残りの三人をどうしようか、そう考えた彼女だったが、スターブラックの姿がないことに気づく。
直後、背後から殺気を感じると同時にバリアを軽く数度斬り付けられる感覚が伝わってきた。
彼女が振り向くと、少し離れた箇所に専用装備スターダブルナイフを携えたスターブラックの姿があった。
恐らくは、そのナイフで彼女を後ろから斬りつけたのだろう。だが、それらは全て彼女が無意識に張っているバリアに阻まれてしまったが。
「ヒーローが不意打ちとか感心しないなあ」
「くっ、背後にもバリア張ってるとか用心深過ぎだろ」
「まあね。ついでにこんなこともできるよ」
パチン、と彼女が指をならすと、地中からコンクリートを突き破り、触手状のエネルギー体がスターブラックの四肢を縛り上げる。
「何!? これはまさかバリアの形を変化させているのか!」
「正解。じゃ、死ね」
スターホワイトと同様にスーパーブラスターモードの一撃を放つ。
「させない! ブルーウィップバリア!!」
近くにいたスターブルーがブルーウィップを盾のようにはりめぐらせる防御の技を使用し、アンチフェネクスの一撃からスターブラックを守ろうとする。
しかし、それはあまり効果がなかった。
確かに一撃目の炎弾を押しとどめることはできたが、その後すぐに発射された二発目、三発目の炎弾がブルーウィップバリアを破壊したのだ。
「こんなの、連続で受け切れ──きゃあああああああ!!」
「うああああああああああああ!!」
結果、両者ともにまともに炎弾を喰らい、変身が解除されてしまう。
「さて、残るはあなただけかな」
くるり、と彼女は振り返る。
そこには今ようやく崩れた壁の中から脱出し、彼女へと突撃しようとしていたスターレッドがいた。
「なんて強さだ。だが、正義の心がある限り、俺たちは決して負けない!」
そう吠える。
自身もボロボロであるはずなのに、一向に戦意が衰えることはない。
その魂の叫びとも言うべき咆哮は皆の心を震わせる。
「そうだ。貴様を逃せば、途方もない被害をもたらすだろう」
「里にはいい思い出はないけど、生まれ故郷を荒らしたのなら、それは仇になるよね」
竜光寺兄弟が立ち上がる。
「私とレッドの新居を燃やした罪は重いんだから」
「いや、レッドさんには婚約者がいるって言ってたよね」
「あんなの形式的なものでしょ! まだチャンスはあるんだから」
今重傷を負ったばかりのブルーとブラックもよろめきながら立ち上がる。
「ちょっとは落ち着いたかしら」
「ああ、ようやく頭が冷えた。すまない」
ホワイト、グリーンも立つ。
彼らの目に怯えはなく。戦意をたぎらせこちらを睨みつけてくる。
「…………はぁ、めんどくさ」
それを肌身で感じて、彼女の中に嫌悪の感情が芽生える。
「全く、どいつもこいつも愛だの正義だの。面倒臭いったらありゃしない。もういい、聞いてるだけ無駄だからもう全員死ね。バリア、
ここに来て初めて、彼女は自身を覆っていたバリアのほとんどを解除する。
それはその分のエネルギーを攻撃に回すと言うことで、先ほどよりも強力な攻撃が迫り来るであろうことは星辰戦隊全員に理解できた。
事実、彼女の持つアンチクロスが先程よりも赤々と輝きを増しているではないか。
このままでは絶対絶命そう思われた。
だが、彼女がバリアを解除する瞬間を待ち侘びていた者がいた。
「クリムゾン・フェニックス!!」
頭上から炎の不死鳥が迫り来る。
瞬時にそれを察知した彼女は、咄嗟に大剣モードのアンチクロスで飛ばした斬撃にて、それを撃退する。
「今の鳥……いや、あいつは間違いなく殺した。なら継承者か」
「その通りよ!!」
スターレッドの側に、一人の少女が舞い降りる。
真紅の鎧を身に纏い、まるであの隠れ里にいたスターフェネクスを思い出させるその女性は声高々にこう叫ぶ。
「私はスタークリムゾン! 今代の不死鳥座の戦士にして、あなたが殺したスターフェニックスの娘! ようやく見つけたわよ。この殺人鬼!!」
また面倒なことになったな。と何処か他人事のようにそう思う彼女だった。
・ブラック企業
一社だけまだ生き残った
・スタークリムゾン
只今復讐の鬼、金髪で高校生程度の年齢