戦闘員さんは転職するようです   作:火影みみみ

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ちょくちょくこういうヒーロー側視点を挟む予定
敵側から見たほうがより解りやすかったので


星辰戦隊スターセイバー 第16話 激戦! 竜光寺兄弟に迫る危機!?

「ここが貴様らの墓場だ! スターゴールド、スターシルバー!!」

 

 牛の頭に筋骨隆々な男の体を持った怪人、地獄に住む鬼をモチーフにした幻想機関所属の怪人ゴズーラが雄叫びをあげる。

 片腕に持つ巨大な大鉈を掲げ、こちらへと突っ込んでくる。

 

「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」

「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」

「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」

「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」

「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「きぃ……」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」「キー!」

 

 同時に背後に並んでいた手下たち、幻想機関の最下級戦闘員たちも一斉にこちらへと突っ込んでくる。

 

「はん、なめられたものだな犬弥(けんや)

 

「ああ竜牙(りゅうが)兄さん、僕たちの力を思い知らせてやる!」

 

 彼らは黄金に輝く剣と、銀色の装飾がなされた小型のガトリングガンにそれぞれ竜とケルベロスの形を模した結晶体を装着する。

 

「「スターチェンジ!!」」

 

 その掛け声と共に彼らの姿が虹色に輝く。

 一瞬にも満たないその僅かな時間、たったそれだけの時間で彼らは見違えるほどに姿を変えた。

 片や竜を纏う金色の戦士に、片や西洋の魔犬を纏う白銀の戦士へと。

 

「まずは雑魚どもの掃除からだ! シルバーレイン!!」

 

 銀色の戦士、スターシルバーが持つガトリングから銀色の閃光が戦闘員たちへと放たれる。

 それらは小さな魔犬の形を取り、まるで生きているかのように一つ一つが通常では考えられない曲線の軌跡を残し、戦闘員へと突撃する。

 

「キー!?」「キー!?」「キー!?」「キー!?」「きぃ」「キー!?」

 

 常人の十倍ほどの力を持つ戦闘員とは言え彼の放つ銃弾になすすべなく倒れていく。

 

「お前の相手はこの俺だぁ!!」

 

 一方、黄金の戦士スターゴールドはその手に持った金色の剣、日本では青龍刀と呼ばれることの多い中国由来の剣、通称柳葉刀を手にゴズーラに斬りかかる。

 

「一人とは舐めよって!!」

 

 それを侮蔑と取ったのかゴズーラは手に持つ大鉈で剣を受け止める。

 

「ふんぬ!」

 

 そしてそのまま力任せに振り抜き、スターゴールドを吹き飛ばす。

 

「はん、見た目通りの脳筋野郎ときたか、だがこれならどう、だ!」

 

 剣の柄に取り付けられた引き金を1回引くと、剣が金色の光を帯びる。

 スターゴールドが数回剣を振り回すとその度に黄金の斬撃がゴズーラへと襲いかかる。

 

「ふん!! この程度で我を傷つけることなぞできぬわ!!」

 

 しかし、ゴズーラはそれら全てを一撃で粉砕する。

 

「次は、我の番だ!!」

 

 戦斧を両手で掲げ、力一杯振り下ろす。ただそれだけの動作のはずだった。

 しかし怪人の中で特に力のあるゴズーラの腕力でそれを行うとどうなるか、答えは火を見るよりも明らかだった。

 

「大・破・斬!!」

 

 振り下ろされた大鉈は硬い地面を容易に切断し、その際に溢れ出た衝撃波がスターゴールドへと襲いかかる。

 その範囲の広さから避けきれないと判断した彼は彼が持つ必殺技でそれを迎え撃つ。

 トリガーを3回引き、上段から下段へと剣を振り下ろす。

 

「ゴールドスラッシャー!!」

 

 剣から放たれた黄金の竜が破壊の権化に衝突する。

 1秒、2秒と拮抗は続き、遂には金色の竜が衝撃波を打ち破り、ゴズーラへと襲いかかる。

 

「グアアアアアアア!?」                             

                                  「いたっ!?」

 

 ただ直前の衝突で威力が弱まっていたのか倒すまでには至らず、彼の身体に少々の傷をつけたのと、大鉈を後方へと弾き飛ばしただけだった。

 大鉈はクルクルと宙を舞い、倒れていた戦闘員にぶつかるとそのまま地面へと落ちる。

 

「今だ犬弥!!」

 

「うん、兄さん!!」

 

 丁度戦闘員を殲滅し終えたスターシルバーが合流する。

 これより放たれるはこの兄弟にのみ許された合体奥義。

 シルバーレインとゴールドスラッシャー、この二つの必殺技が合わさることにより他のスターセイバー五人の合体奥義に引けを取らない殺傷力を誇る恐ろしい攻撃となる。

 その名も

 

「「シャイニング・ブレイカー!!」」

 

 白銀の魔犬と黄金の竜が合わさり、ゴズーラへと襲いかかる。

 

「く、ぐぬぅ、もはやこれまでかああああああああああ!!」

 

 防ぐ間もなく、それをまともに受けたゴズーラの内部へとエネルギーが浸透し、それが蓄積された怪人因子と反応、すぐ様に爆破四散した。

 

「今回は楽な仕事だったね、兄さん」

 

 怪人が死んだのを確認し、二人は変身を解く。

 

「いや、雑魚どもはともかくあいつのパワーは目を見張るものがあった、もう一体の怪人を奴らが引き付けていなければ危うかったかもしれん」

 

 実はこの怪人単体で運用されるものではなく、もう一体の対となる怪人、馬頭鬼をモチーフとしたメズーナが存在したのだ。

 ゴズーラはパワー特化型の怪人だが、メズーナは防御特化型の怪人であり、攻防一体となった連携こそがこの2体のコンセプトだったのだが、呆気なく分断させ両者ともに撃破されてしまったのだ。

 

「そんなことないよ! 兄さんと僕ならどんな怪人が来ても蹴散らせる!! あんな軟弱な奴らなんか必要ない!!!」

 

 そう強く主張する彼、竜光寺(りゅうこうじ)犬弥はその境遇から彼らに対してコンプレックスを抱いていた。

 彼は兄と同様に幼年期に力に目覚めていたのだが、彼がヒーローとなったのはごく最近のことだ。

 彼の力の源となっているケルベロス座だが、今はもうヘラクレス座の一部として見なされていて現存していない。

 それが原因で長らく現存する星座のどれでもない正体不明の力を持つ子供として扱われ、同じ星座の力を持つ一族からも爪弾きにされていた。

 それを庇ってくれていたのは兄と家族だけであり、それら以外の星座の一族は全て敵だと彼は思い込んでいた。

 

「犬弥、お前の気持ちは理解できる、だが世界を守るには俺たち二人では不可能だ」

 

 それに対して兄はある程度割り切って考えていた。

 確かに弟を排斥しようとした一族は許せないが、何も一族全てがそう考えていたわけではないことを彼は知っていた。

 幼かった弟はまだ覚えてはいないが、一族の何名かは彼らを庇ってくれていたのを何度か目撃している。

 特に他の五人の内スターレッドとスターホワイト、そしてスターグリーン、つまりは獅子座と山羊座、お牛座の家系は彼らの恩人と言ってもいい家系であり、協力するのもやぶさかでは無いと彼は考えていた。

 

「だけど、兄さん」

 

「なん」

 

 なんだ、と言おうとして振り返った竜牙が見たものは一人の戦闘員だった。

 倒したはずの戦闘員が立ち上がり、そばに転がっていたゴズーラの大鉈を拾い上げる。

 それがゆっくりと残像を残しながら片手で天に掲げると、その刃全体に禍々しいエネルギーが収束するのを目にした。

 それは1秒も経たないうちに収束し、まるで見るもの全てに死を与える死神のように、それを振り下ろした。 

 

「犬弥!!」

 

 あれに当たられば死ぬ、そう確信した彼は咄嗟に弟を突き飛ばしていた。

 

「兄さん?    兄さん!!!?」

 

 突き飛ばされた犬弥は一瞬何が何だかわからない様子であったが、すぐ後ろで響いた爆発で何があったのかを理解した。

 

「が、は……」

 

 竜牙は咄嗟に変身する際に発生する力場で衝撃を和らげようと試みたものの、ゴズーラの突風のような衝撃波とは違い一線集中とも言うべき斬撃はそれだけでは打ち消すことはできなかった。

 その斬撃は変身したスターゴールドの強靭な装甲を破壊し、その際に余剰エネルギーが爆発を引き起こした。

 結果、竜牙は全身に大火傷を負い戦闘不能にまで追い込まれたのだ。

 

「兄さん!! しっかりして兄さん!!!」

 

 すぐに彼を抱き上げるが返事はない。痛みで気絶してしまったのだろう。

 

「よくも、よくも兄さんを!! スターチェンジ!!!」

 

 彼を地面へと横たえ、変身。

 一刻も早く目の前の戦闘員を片付け、兄を近くのヒーロー専門病院へと連れていかなければならない。犬弥はそう考えていた。

 この時、彼がその場から兄を抱えて逃げていれば未来はまた違ったものになったかもしれない。

 しかしこの時の彼は怒から冷静な判断ができなくなっていたこともあり、その選択肢を取ることはなかったし、もう過ぎ去った過去のことを語っても仕方がない。

 

 

 だが、この場この時においてその選択肢が最大の過ちだったことは確かであった。

 

 

「消え去れ! シルバーレイン!!」

 

 白銀の銃弾が戦闘員へ襲い掛かる。

 

「はぁ……めんどくさ」

 

 迫り来る銃弾を避けもせず、戦斧を引きずりながらこちらへと歩み始める戦闘員。

 無数の銃弾が戦闘員に突き刺さる――寸前で何かに阻まれ霧散した。

 

「何!?」

 

 もう一度必殺技を放つが同じように寸前のところで霧散する。

 

「この! この!! この!!!」

 

 諦めずに何度も何度も撃ち続けるが、ついに戦闘員に傷をつけることは出来なかった。

 

「はぁ……いい加減うざい!」

 

 それでも鬱陶しさからか、戦闘員は持っていた大鉈をスターシルバーへ投げつけた。

 

「!?」

 

 高速で迫るそれを辛うじて避けるスターシルバー。

 再度迎撃しようと視線を戻すと、既に至近距離まで移動していた戦闘員の姿があった。

 

「な!?」

 

「もう面倒だし寝てろ」

 

 強く拳を握り締め、スターシルバーの胴体にボディブローを叩き込む。

 その衝撃で数メートルほど吹き飛ばされるが、何とか体勢を立て直す。

 

「がっ!? この程度、で、倒れると思ったら」

 

「いんにゃ、もう終わり」

 

 戦闘員が指差すと、スターシルバーの胴体に拳状に形作られたエネルギーの塊がめり込んでいた。

 

「じゃ、死ね」

 

 戦闘員がパチンと指を鳴らすと、そのエネルギー体は爆発し、そのままスターシルバーを吹き飛ばした。

 

「あああああああああああああああ!!?」

 

 吹き飛ばされ、地面へと叩きつけられる。

 意識が朦朧とする中、彼は自分の身に何が起きたのかを理解した。

 

(アイツは自分の周囲にバリアみたいな物を張る力があったんだ、それで僕のシルバーレインを受け止め、拳状に固めることで攻撃力を強化、更に暴走させることで大爆発を引き起こすことができるのか!!)

 

「くそ、兄さん……」

 

 薄れ行く意識の中、遠くで気絶している兄へと手を伸ばす。

 しかしその手は届くことはなく、兄と同様に意識を手放してしまった。

 

「……はあ、怒りのあまりつい反撃しちゃったけど、これどうしよう?」

 

 一方、この惨状を作り上げた張本人は悩んでいた。

 本来はいつものようにやられた振りをするはずだったのだが、大鉈が彼女へと直撃した際の恨みから衝動的に行動してしまったのだ。

 

「……まあ、提出すればボーナスくらいでるよね?」

 

 とりあえず本部へと連れて行くことにした戦闘員は二人の襟首を掴んで引きずりながらその場を後にする。

 …………なお、その際に与えられた特別ボーナスがどのようなものだったのかは語るまでもないだろう。




作品によって理由は様々だけどやられる時って大抵爆発するよね

竜光寺 犬弥 ややブラコン気味
竜光寺 竜牙 兄、クールというよりかは不良に近い感じ

戦闘員さん  上から鉈が降ってきたのでキレた、よくみれば悲鳴が上がっている
       めんどくさがり屋なのか、わりと大事なことを省いたりする

星辰戦隊スターセイバー 七人組の戦隊だが、初期の五人と追加戦士の二人は仲が悪い、というか弟が嫌ってる
            番組風に例えると今現在は登場して間もない感じ、あと数話で和解する

ゴズーラ、メズーナ 通称牛頭馬頭コンビ、コンビネーションがウリだったが、分断されやっけなく死んだ
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