矛盾点とかはないはずなので、多分問題ないはず
7/1 23:40時点
投稿が遅れたのは、ちょっと設定見直したり、設定ふやしたりしてたからですね、はい
幻想機関が壊滅して早二週間ほど経った頃、かつて戦闘員と呼ばれた少女は惨状の真っ只中にいた。
彼女の周囲に倒れる人、人、人。その全てが全身に傷を負い血を流し、呻き声を漏らしながら今にも死に絶えようとしている。
「…………どうしてこうなった?」
一体どうしてこうなったのか、現実逃避に考える。
そう、それは彼女が幻想機関でやりたい放題して帰ってきた時のことだった。
彼女はさっきと同じ個室に入ると出る前にアクセスしていた掲示板を開く。
彼女が出る時にはレスポンスは300もなかったはずだが、すでに800を超えていた。
とりあえず今までの流れはおおよそハッカーと呼ばれたスレ民から聞いていたので書き込むことにする。
823:>>1
ヤッホー、帰ったよー
824:名無しの戦闘員
あ、おかえり>>1 早かったな
825:名無しの戦闘員
まじで帰ってこれたのかワレぇ
826:名無しの戦闘員
知ってるか、こいつサイバーガールぼこってきたんだぜ
827:名無しの戦闘員
あいつ出た時は死んだと思ったのにな
828:>>1
でさ、改めて転職先を募集したいんだけどさ、どこがいいと思う?
やっぱり事務とか裏方系がいいと思うわけよ
829:名無しの戦闘員
ない
830:名無しの戦闘員
ない
831:名無しの戦闘員
いやーないっすね
832:名無しの戦闘員
ないないないないない
833:ハッカー型怪人
無理だな
834:名無しの戦闘員
諦めろん
835:>>1
えー(´·ω·`) なして?
836:名無しの戦闘員
自分の戦闘力を考えろやボケェ!!
837:名無しの戦闘員
百歩譲ってサイバーガールの件はまぐれとしても、ガトリングブラザーワンパンできる人材を事務系に回せるかあ(#゚Д゚) !!
838:名無しの戦闘員
ブ○リーに畑仕事しろって言ってるようなもんやぞ
839:名無しの戦闘員
正直持て余す
840:名無しの戦闘員
とりあえず改造は年齢的に早そうだからなしとしても
名持ちの怪人になるべきそうすべき
841:名無しの戦闘員
てか改造いらないんじゃね
842:名無しの戦闘員
名無しと名持ちじゃ待遇も違うしな
843:名無しの戦闘員
ヴィランネームってやつやね、昔いた大怪人《アザゼラン》、本名
844:名無しの戦闘員
んで、是非とも>>1におすすめの職場があるわけよ
845:名無しの戦闘員
我々 スタッフが一生懸命、一生懸命捜しました
846:名無しの戦闘員
んで、見つけました
847:>>1
ほう、どんなの?
848:名無しの戦闘員
詳しい話は現地で聞くことになるから、ここに向かって【位置情報と何かが書かれた紙の写真】
んであとはこの下の方に書いてある手順を実行して
機密保持のためこのスレは後で消去するけど、ハッカーさんが
849:ハッカー型怪人
承ってます
850:名無しの戦闘員
多分>>1にとっては天職やろ
851:名無しの戦闘員
せやな
852:名無しの戦闘員
むしろここ以外ありえん
853:名無しの戦闘員
ちゃんと給金も出るし、週休2日は確実
働きに応じてボーナスもでるし、各種手当も充実してるぞ
854:>>1
そこまでいうなら行ってみてもいいかな、書類とかいる?
855:名無しの戦闘員
書類はいらない、てか>>1しか行かないから手荷物だけでOK
856:名無しの戦闘員
最優良物件だけど、その代わり高レベルの戦闘力が要求されるからな、
他のスレ民が身元を偽って受けに行っても死ぬだけぞ
857:名無しの戦闘員
わかる
858:>>1
ん〜、なんか変な感じするけど、とりま行ってくるわノシ
859:名無しの戦闘員
てらてらノ〜
860:名無しの戦闘員
ノシ
861:名無しの戦闘員
ノシ
862:名無しの戦闘員
ノシ
863:名無しの戦闘員
乙
864:名無しの戦闘員
ノシ
865:名無しの戦闘員
幸運を祈る
866:名無しの戦闘員
ノシ がんばれ
867:名無しの戦闘員
ノシ
868:名無しの戦闘員
ノシ
869:名無しの戦闘員
死ぬなよー
870:名無しの戦闘員
ノシッシ
871:名無しの戦闘員
多分ブラックよりマシだからノシ
872:名無しの戦闘員
その戦闘力さえあれば生きていけるから
何やら不穏な書き込みがあったものの、どうでもいいやと思いパソコンを閉じる。
メモした住所は思ったより遠く、終電までには間に合いそうにないと思った彼女はその日は適当なホテルで過ごし、次の日の早朝から電車を何本か乗り継いでようやく辿り着いた。
そこは町外れの寂れた場所、騒音とは無縁そうな田舎のさらに外れにある古い教会だった。
ゆっくりと扉を開け、中に入る。
古そうな外観とは打って変わり、中は床や壁も掃除が行き届いていて綺麗という印象を抱く。
そしてその中央に一人、教会の正面の壁に取り付けられた大きな十字架に跪いて祈りを捧げているシスターがいるのが見える。
彼女が扉を閉めるとその音に反応したのか祈りをやめてこちらへと振り返る。
「あら、学生さんですか? このような時間に何の御用でしょう?」
学生? と彼女は首を傾げたが、そういえば普通の子供が学校に行ってる時間だということを思い出した。
そして今の彼女の服装は少し前に潜入した学校の制服を着用していたこともあり、側から見れば学生としか思われなかっただろう。
「大罪をください」
彼女がそういうとシスターの表情が変わった。
先ほどまでの優しそうの雰囲気は消え去り、無機質な、まるで表情のない人形を相手にしているような錯覚に彼女は陥った。
「そのような物はございません」
「いいえ、人には誰しも罪があります」
「神は全てをお許しになります」
「いいえ、神は決して人を救わない。人を多く殺したのもまた神なのだから」
彼女がそう言うと、シスターは彼女に背を向け、胸にかけていた十字架のペンダントを逆さに持ち、それを近くの壁に突き刺した。
するとどうしたことか、十字架ごと壁が縦半分に割れ外開きの扉へと姿を変える。
その先には明らかに外から見た時には存在しなかった光景がそこに広がっていた。
空は曇天に包まれ陽は届かず、黒く濃い瘴気が扉からこちらへと流れ込んでくる。
そしてその最奥に、日本には似つかわしくも無いまるで中世の居城とでも言うべき建造物が聳え立っている。
「ようこそ、秘密結社【裏界十字軍】へ」
こちらへ振り返り、無表情で招き入れるシスター。
少し考え、中へ入る。
薄い膜のような物を通り抜けあちら側へ足を踏み入れた途端、一段と空気が重く、濃くなったようだと彼女は思った。
「……いや、違うのか」
思い直す。
濃くなったのは空気じゃなく、怪人因子の濃度だと感じた。
暗黒物質、魔力の源、悪魔の力など多くの名称があるが、これは古くから人類と密接に関わっており、神話に登場する多くの怪物や悪魔は怪人因子を取り込んだ生物であると言う論文も存在する。
また怪人因子はどこにでも存在し、どこにでも現れる。何の変哲もない村の中心にある日突然怪人因子が吹き出した結果、住人全てが怪人へと変貌した事件も存在するほどだ。
(にしてもこれだけ因子が濃い空間は珍しい。屋外でこの濃度ということは、別世界かな? 地球上にこれだけの濃さの地域はほとんどないし)
そう思うと彼女は居城へ向けて歩き始める。
あまり時間も掛からず居城へ辿り着く。
固く閉ざされていた城門は、彼女が近づくと歓迎するかのように独りでに開く。
「待っていたよ、戦闘員666号さん」
城門の向こう側、奇怪な格好をした女性がそこにいた。
身長こそ彼女と変わらないものの、上から下まで黄金の鎧を身につけ、黒いマントをなびかせて彼女を出迎えた。
「私の名前はクラウディア・デリット、裏界十字軍大総統を務めている者だ。これからこの組織に関しての詳しい説明があるので私についてきてくれ」
そう言うとマントを翻し、城内へ歩みを進める。
トップ直々の案内に少し面食らったものの、流されるままクラウディアの後を追う彼女。
「君の戦闘力や経歴については概ね調べさせてもらった。それらについては申し分はないが、何せ前職が戦闘員だからね。君の入団について懐疑的な者もいるのだよ」
そんなものだろうか? と彼女は首を傾げる。
(確かに戦闘員は戦闘員だけれども、下っ端に起用するならその程度でいいはずだけど、どこに疑う要素があるのだろう? あ、スパイとかかな、それなら納得)
疑問に思ったが口には出さない。面倒だから。
長い長い廊下を抜け、彼女たちはとある一室へと辿り着く。
扉の前にはメイドらしき人が二人、両端に佇んでいる。服には皺ひとつなく、身なりも整っていることからその辺りの指導が徹底されているのだろうと彼女は思った。
「ああそうそう、一応君は仮入隊ということになるからこれを被ってくれたまえ」
そう言って渡されたのは、頭を丸々と覆える鉄の仮面、言わば鉄仮面だった。
見た目は古い鎧の兜そのもので、今風のデザイン性などは一切感じられない。
端的に言って、ダサいと彼女は思った。
(え、何私これから牢獄に入れられるの? どこぞのフランス王子なの?)
などと困惑する彼女をよそに、クラウディアは話を続ける。
「後で話すが次の仕事には君も出てもらう予定なのだが、我々と違って君はまだ顔が割れていないからね。後々に備えて君には顔を隠したまま活動してほしいのだよ。そんな無骨な物しか用意できなかったのはすまないが、代わりの仮面ができるまではそれで我慢してほしい」
そういうものか、と渋々その場で鉄仮面をかぶる。消毒はされているようで匂いは感じなかった。
クラウディアが扉の方を向くとメイドらしき人が扉を開ける。そこは円盤状の大机が中央にある会議室のような場所であった。
円卓には椅子が七つ。その内五つには既に座している人がいて、皆が彼女らの方へ目を向けている。
「待たせたな、諸君」
マントをなびかせ、声高々にそう告げるクラウディア。
そのまま扉から一番遠い席、一番豪華な装飾がされたその椅子へと腰掛ける。
何をしていいのかわからなかった彼女はとりあえずクラウディアの後をつけて、その側に佇むことにする。
「では本日の議題だが、まず初めに次の襲撃について各自の担当が決まったのでこれから発表しようと思う。まずは」
「いやいやいや、ちょい待ちやリーダー」
クラウディアの言葉を遮る関西弁の男性。
金髪にサングラス、さらにはアロハシャツなどまるで成金かヤクザみたいだなと彼女は思った。
「その前に珍妙な子について説明頼んます。流石にそれをスルーして会議っちゅうのはおかしいんとちゃいますか?」
(私もそう思う)
この人とは気が合いそうだ、と彼女は思った。
「それも踏まえてこれから説明しよう……いや、まず最初に言ってしまうか。今は仮入団という形になってはいるが、彼女は粛清した【怠惰の騎士】を襲名する予定の……そういえば名前なんだっけ?」
その発言に金髪の男性を始め誰もが椅子からずり落ちる。
立っていた彼女も思わず体勢を崩しそうになるが、なんとか耐える。
「リーダーのポンコツは今に始まったことや無いけど、未だに慣れる気がせんわ」
「ほんとにね。あなたも大変よねそんなの被らされて、それ、確か倉庫にしまってあった骨董品でしょ? 暑かったら脱いでもいいのよ」
金髪の男に続き、修道服に身を包んだ清らかな、一言で言うならば清廉潔白という言葉が相応しい女性が話しかけてくる。
確かに鬱陶しいし、脱いでしまおうかとも考えたが、顔を隠すのには納得していたので止めた。
「いやいやちょっと待ちたまえ。確かに名前を聞いてなかったのは謝ろう。何せ彼女をスカウトしたのはついさっきだからね! 他の組織に取られる前にウチに引き込みたかったのさ! 数多のスレ民たちとのレスバトルを勝ち残り、それ相応の地位と待遇を用意し、それに彼女が同意するならという厳しい条件を経てようやく彼女をここに呼び寄せることに成功したのだよ!!」
その言葉を聞いて、彼女はここにきてようやく自身の思い違いに気がついた。
下っ端戦闘員や裏方や事務とかではなく、幹部候補として彼女はここに呼び寄せられたのだと。
「あのーー」
「レスバトル? てことはテメエ、さっきまでサボって掲示板見てやがったな」
「……あ」
彼女の言葉を遮り、鋭い目つきの黒髪の男性がギラリとクラウディアを睨む。
そして仕事中に掲示板を見ていたことがバレたクラウディアは目に見えて冷や汗を流して落ち着かない態度をとっている。
「あはははは。まあまあまあまあそのことは良いのだよ涼太郎。だからその目は止めたまえ、止めたまえぇぇ……」
コホン、と一息ついてからクラウディアは説明を始める。
「彼女は少なく見積もっても上級ヒーロー程度の力を有している。専用装備があれば彼女の実力はまだまだ伸びることから考えても【大罪騎士】の末席に加えても問題ないと私は判断した。そこでだ、前々から議題に上がっていた強襲作戦に彼女も加わってもらおうと思う」
「ちゅーことは、ようやく封印地点が特定できたんやな!」
「ああ。組織が長いこと探し続けた大罪の在処はもう掴んでいる。それについてはラインハルトから言ってもらったほうが早いだろう」
クラウディアがそう言うと、ラインハルトと呼ばれた二十代後半の男性が立ち上がる。
「歴代の大総統の悲願であった大罪の入手。その所在がここ、日本と突き止めてから早数百年。それから一向に調査の進展はなく、もしかすると存在しないのではないかと思われていました」
「しかし、逆に考えればいいと私は気づきました。最早手の届く場所は国家機関含めて全て調査を終えた。ならば普通ではない場所に大罪は隠されているのではないでしょうか?」
「そして過去のデータを全て洗い出し、この日本で一箇所だけ探索できていない場所があることがわかりました。それがここ、日本富士山下に広々と存在する樹海。そこに隠された一つの隠れ里にたどり着いたのです」
彼が指を鳴らすと円卓の中央に立体映像が出現する。
まずは日本地図を表示し、そこから徐々に拡大して、最終的には富士の樹海のとある地点にて停止した。
「入念な調査の結果、この地点には人里が存在していて、太古の昔からこの場所に住み続けている一族の存在を確認しました」
「幾重にも張り巡らされた結界。幾重にも作られた自然の迷路。幾十幾百の偽装を抜けたその先に、ソレは確かに存在したのです」
「彼らこそ我々から大罪を奪い、この極東の地に封じ続けていた一族。忌まわしい星座の加護を受け、幾度となく我らの前に立ち塞がった正義の使者。星辰戦隊スターセイバーの隠れ里なのです!」
高々と告げる男。
それを受けて、げっ、と鉄仮面の下で顔を歪める彼女。
せっかく転職先を見つけたと言うのにまたあいつらと関わらなきゃいけないのか、と戦闘員時代の嫌な記憶が蘇る。
必殺技を受けて死にかけたり、超人因子が浸透した腕を切り捨てたり、隠れ家で作ってたトランプタワーが完成しかけた時に奇襲を受けて台無しにされたりといい思い出がない。いや、そもそも敵に対していい思い出も何もないのだが。
「さて、聞いたとおり我々裏界十字軍は二週間後、この星辰族の隠れ里を強襲する。詳しい作戦は後日説明するが、日時は二週間後の早朝、日の出と共に決行とする」
その言葉を聞いた途端、そこにいた五人から強い波動が漏れ出したのを彼女は感じた。
怒り、憎悪、そして歓喜、それらが入り混じった複雑な感情の渦。何が彼らをそこまで駆り立てるのか彼女には理解できなかった。
そして、同時にこう思った。
(あ、これ今から言っても無理なやつだ。私の戦力を作戦に組み込んでるからここで変なことすると全員から反感を買うやつだ。残念無念)
休暇が保障されているのならまあいいやと、彼女は諦めた。
会議は大いに盛り上がった。
誰がどこの家を襲うか決め、どれだけ予算を使用できるか交渉し、ついでにただ突っ立ってただけの彼女のことは作戦行動以外に関してはほとんど放置された。
その後クラウディアに連れられた先で今後の住まい、裏界十字軍所有のマンションへと案内され、組織の詳しい設備や装備などを見て周り、それら全てが終った頃にはもう夜になっていた。
次の日には鉄仮面以外の専用装備、いや専用装備を作るにはまだ時期的に悪いとの理由で仮の装備を与えられた。
前の戦闘服は簡単なライダースーツにフルフェイスのヘルメットという性能はともかく見た目は簡素なものだったが、鉄仮面はそのままに四肢と胴体に簡易的なプロテクターを装着するようなものとなった。
その見た目からどこかのギリシャ系漫画かアニメで見た気がしないでもなかったが、彼女はあまり詳しくなかったのですぐに考えるのをやめた。
それからは精密検査や性能試験や休日を経て、気がつけば決行日当日となっていた。
「待たせたな諸君、現時刻をもって【オペレーション:パラダイスロスト】を開始する!」
富士山樹海上空にてクラウディアが告げる。
「星辰族の結界は里を中心として球体状の結界が張られている。これは地中にも存在しているため地下からの突破は不可能である。故に、これより事前調査にて判明した比較的結界が薄いこの箇所に彼女が突入し、結界を無力化。その後我らも突入し、各自の大罪を入手せよ。全員の奪還が完了次第撤退することになるので、各自通信機能はオンにしたままとする」
パラダイスロスト。日本語で失楽園と呼ばれるソレは古い聖書にて語られた出来事のことである。
蛇に唆されたアダムとイブは神の言いつけを破り知恵の実を口にしてしまう。それが元で彼らは楽園を追放されたとされている。
これにより現代に生きるアダムとイブの子孫である人間には彼らの大罪、原罪が受け継がれているとされている。
今回のこの作戦名はこの原罪にちなみ、裏界十字軍が大罪を手にするということと星辰族の楽園を滅ぼすという意味を含んでいる。
今回早速特攻隊長のような役割を任された彼女だったが、これは事前に説明されていたし、前の職場のように急に業務内容が変更になるなんてこともなかったので特に異論はなかった。
(確かに急に結界無くしてきて、って言われた時は驚いたけど、確かに同じバリア系の私ならできそうだし矛盾もなかったからね。死ねとか言われたら逃げるけど)
そう思い今回の任務を請け負った。
「では、早速だが頼めるかい」
クラウディアはそういうと輸送機の後方、大型の荷物用の搬入ハッチを開く。
気圧差から室内に突風が吹き込むが、それもすぐにおさまった。
彼女はゆっくりと出口へ進む。
ハッチの先端部まで来ると、少し視線を下に向ける。
(うっわ高いなぁ。一万フィートって約三千メートルだっけ? えっと降下地点は……あったあれだ)
目を凝らしてみると、樹海の上空に不自然な亀裂があるのが見て取れた。
それはほんの数センチ単位の小さな亀裂で、こんな辺鄙な場所でわざわざ樹海の空を観察でもしない限り絶対に気づくことはないものであった。
裏界十字軍の調査によると、この亀裂は結界の中心部とのことで、この真下に結界を維持する装置か魔術的ななにかが存在しているのだと推測されている。
同時にこここそが結界の弱点であり、この地点に同じ結界系の力を加えることによって結界を歪め、一時的に無力化すると彼女は聞かされてた。
「……では」
深呼吸の後、彼女は跳んだ。
そのまま頭から亀裂に向けて自然落下し、どんどん速度は上がっていく。
そうして亀裂まであと数メートルに迫ったところで右脚にバリアを集中、回転を掛け右脚を亀裂に叩きつけることで結界に干渉しようと、試みた。
結論から言ってしまえば、これは失敗した。
「え!?」
ただ失敗したのではない。そもそも触れることが出来なかったのだ。
彼女の右脚は結界を通過し、そのまま彼女自身も結界を素通りし、そのまま星辰族の隠れ里へと落下することとなった。
「ああああああああああああああ!!!? 何コレどうなってんの。え、やば死ぬ死ぬ防御防御防御!!!」
流石にこれは予想外の事態であった為、彼女は非常に混乱した。
足に集中していたバリアを全身に張りなおし、彼女も衝撃に備え頭を抱えた。
数秒後、隠れ里の中央に存在した巨大な結晶体を貫通し、彼女は地面へ激突した。
隕石のごとく落下したことの衝撃は大きく、周囲にいた一族はその衝撃で落下地点に近いものほど瀕死の重傷を負うこととなった。
「…………どうしてこうなった?」
何とか無傷で済んだ彼女が体を起こすと彼女の周囲に倒れる人、人、人。その全てが全身に傷を負い血を流し、呻き声を漏らしながら今にも死に絶えようとしている。
その後、冒頭にあったように少しの間現実逃避をした後、もうどうでもいいやと仕事に逃げる彼女の姿があった。
・裏界十字軍
かなり古い組織、少し前に大規模な粛清騒ぎがあった
・大罪騎士
大罪をモチーフにした騎士、大総統含めて7人いる
・クラウディアさん
ポンコツ、けどリーダーとしての能力は高い、そして強い
具体的に言えば上級クラス
・戦闘員さん
女性青銅聖闘士みたいな風貌になった
「追記 7/3」
・巨大な結晶体
結界の要、里の設立からずっと結界を維持していたがどこぞの狂犬のせいで壊れた、修理不能
・瀕死の星辰族
結晶体の守護をしていた、下級から中の下くらいの実力はあった、事故で全滅した