マ法少女プリティーダービー   作:春華ゆが

3 / 3
 マ法少女プリティーダービー 前回までのあらすじ
 おいっすーナイスネイチャでーす。ある日謎のメールが来てマ法少女に任命されたアタシは、マジカルな力を使ってマ法少女トゥインクル・レッドに変身! ウマ娘のマイナス感情が暴走した化け物、バーケンを救うために戦う正義の味方になったのでしたー。
 とはいえバーケンも一筋縄ではいかなくて。前回は街中で現れたバーケンをどうにもできなくて大ピンチ! だったんだけど。そこに現れたのは新たなるマ法少女、最強無敵のトゥインクル・ブルー! 一体誰なんだろう? 
 ともかく、アタシと彼女の活躍によってまたもやバーケンの脅威から世界は守られたのだった……。明らかにあんまり活躍できなかったけど、アタシがリーダーなのは変わらないらしい……。やれやれ。
 ま、いっちょ頑張りますか! 愛と平和を守るため、マ法少女は今日も征く! 



マ法少女応援団体!?

 第三話「マ法少女応援団体!?」

 

「トゥインクル・チェンジ・コース! この速度で、夢の舞台のその先へ────!」

 

「……あたしは、ダイエットしたくて……! でも我慢も辛くて……それで……」

「うんうん、もう少し。もう少し頑張ってみようよ。努力は必ず報われるんだから」

 

 というわけで。こんにちは、トゥインクル・レッドです。

 

「トゥインクル・チェンジ・コース! このマ法が、夢を駆ける力になる────!」

 

「ダンスがうまく出来なくて、このままじゃバックダンサーにもなれない……」

「それならボクと一緒に練習しよう! 才能はきっと埃をかぶっていて、まだ見えないだけだよ!」

 

 まあこんな感じで。トゥインクル・ブルーと一緒に、バーケンになってしまったウマ娘たちを取り戻すのもそこそこ慣れたもので。バーケン達は、マイナス感情に私たちが寄り添ってあげることで、マ法での攻撃が通りやすくなる。そういう意味ではトゥインクル・ブルーもアタシも、辛い思いを超えてきた経験があるってことかな。マ法少女の適性、というやつだろうか。

 ところで。マ法少女として活動するときは基本的に他の人を避難させているのだが。最近……見られてる気がする。今日も、見られてる気がする。見られてると、変身を解除できない。だってアタシ達マ法少女は、正体をバラすなと謎のメールで命令されているのだから。

 

「帰ろう! トゥインクル・ブルー!」

「え〜偶にはもうちょいレッドとお話ししたいよー! だめ……?」

 

 しかもだ。こんな感じでトゥインクル・ブルーまでアタシの正体に探りを入れて来てる。なんで味方にそんなことされなきゃいけないんですか……。とりあえず。

 

「トゥインクル・リターン・ホーム・ワープ! さっと帰る!」

「またねー、トゥインクル・レッドー!」

 

 またね、かぁ……。アタシ達が会うのは、マ法少女として事件を解決するときだけ。また会うってことは誰かが苦しんでるってことだから、あんまり会いたいと思ってはいけない気がする。でも、悪い気はしなかった。悪い子だなアタシ。

 ……そういえば、トゥインクル・ブルーって誰なんだろう。やっぱり気になる。きっとあちらも、それが気になるからアタシに声をかけているのだろう。でも我慢我慢! 秘密というのは、知ってる人が少ないほど秘密の強度を増すのだから……!

 

「……うーん。不思議な現象だ、実に興味深い。そう思わないかいデジタルくん?」

「はひゃっ! ひゃ、ひゃい〜!! こんなリリカルでキュートな、そしてミステリアスなウマ娘がいるなんて……。マ法少女……!」

「そうだろうそうだろう、まさに御伽噺にでも出てきそうな不可思議な能力……。光り輝く"マ法"……。その力の秘密を、解き明かしてみたいねぇ……!」

「……はっ! そうだ、そうですよぉ〜! マ法少女の戦いをサポートする、応援団体を設立する! おお! これはとても素晴らしいアイデアな気が」

「……ふむ。なるほど。確かに我々はマ法少女を研究し、その一環として新たな力を彼女たちに授ける! そしてその対価として更なる研究をさせてもらう! ……流石だデジタルくん」

「ほひょっ! ほ、ほめられた……」

 

 怪しい? 影が二人。何やら話していることに誰も気が付かなかった……。

 

「……なにこれ」

 

 アタシがいつものようにトレセン学園に向かうと、そこにあったのは謎のポスター。謎の人だかり。そして……中心にいるアグネスタキオンさん。

 

「マ法少女応援団体……。ってちょっと……!」

 

 声をあげそうになる。しかし今のアタシはマ法少女とはなんの関係もないナイスネイチャ。いやいやでも。この写真とか。まるっきり、アタシとトゥインクル・ブルーじゃん。いつの間に……!

 

「これって本当? CGじゃないの?」「なになに……マ法少女は化け物から人々を助けてくれる」「皆でマ法少女様を応援しよう……」

「信じ難いかも知れないが、マ法少女は実在する。いずれニュースにも取り上げられるかも知れない。私たちは、そんな彼女をサポートしようとして応援団体を設立したのさ」

「はぁ〜あん……。……というわけですぅ〜!」

 

 マ法少女の存在は徐々に公になっている。人払いをしても、それは避けられないみたいだ。それにタキオンさんの熱弁は、少なからず嬉しかった。アタシたちの活躍が認められた気がした。んーでもでも!

 ひっそり活動しないと正体がバレてしまわないか。うん、そうだ。ここは堪えよう。そう思った時だった。

 

「魔法少女ですって!? それはアタシのことかしら!」

 

 えっ誰? もしかして新しいマ法少女? アタシも含め、皆が声のする方を見る。

 

「こんにちは! アタシの名前はスイープトウショウ。まさに今皆が探してる、魔法少女その人よ!」

 

 名前を名乗っているというその一点で、マ法少女ではないと判断できたのはアタシだけだった。

 

「ふむ……今まで見てきたマ法少女とは違うようだが。きみもマ法少女なのかい?」

「そう! このトレセン学園で魔法少女と言ったら、アタシをおいて他にはいないんだから!」

(はぁ〜……帽子かわいいがすぎる……!)

 

 マ法少女を名乗るスイープトウショウの登場で、マ法少女応援団体は俄かにいろめきだった。どうしよう。アタシが出ていって説明した瞬間に、マ法少女だってことがバレちゃうし……。そもそも信用されるかどうか。

 それに……盛り上がっているところに水を差すのは悪いような気がした。うーむ。でも名前を明かしている以上、彼女はマ法少女じゃないはずだ。誤解は解かねば。しかしどうしよう。

 うんうんと悩んでいると、トウショウが"マ法"を披露すると言って外へ皆を連れ出していく。なんだかわからないけど、よくない流れが出来てる気がする……! そうだ!

 今この瞬間、人気はなくなった。なら、ここで! ……いやもうちょい離れてから。

 

「トゥインクル・メタモル・レッド! 一瞬の隙に変身します!」

 

 とうっ! ぴかっと赤く光って、アタシはトゥインクル・レッドに変身する。ひらひら衣装に赤いメンコ、マ法少女ここに来たる! やることはただ一つ、あの子が間違ってバーケンに立ち向かったりしないうちに、誤解を解かなきゃ……!

 

「今からアタシが、浮遊魔法を披露します! 一瞬だけだから、ちゃんと見ててよね! せーのっ……!」

 

 スイープトウショウは何やら小難しい呪文を唱える。皆、固唾を飲んでそれを見守っている。しかしそこに! 現れるマ法少女!

 

「ちょっとまったー! ……えーと、マ法少女トゥインクル・レッド、ただいま参上です……!」

「……ひょえ〜! マ、マ法少女があたしたちの前に……!」

「おお……! トゥインクル・レッドくん! その節はどうも助かったよ。それで、きみ達のために応援団体を立ち上げたんだ! 今はきみの仲間のトウショウくんにマ法を見せてもらうところさ!」

「ありがとうございます、タキオンさん。……で、その子についてなんですけど。マ法少女では、ないかなーって思います……」

 

 言ってしまった。周りの空気が凍る。あちゃーやめてやめて。

 

「何よ! 誰だか知らないけど、アタシの魔法が信じられないっていうの!?」

「信じられないってわけじゃないし、むしろ何が起こってもおかしくないなと最近思い直したところではあるんですけど。ただ、一つ。マ法少女は正体を明かしてはいけないんです」

「えっ。じゃあトゥインクル・レッドは本名じゃないのかい……?」

「そこに驚きます……?」

 

 一つ。致命的な違い。そこを突かれて、スイープトウショウは黙りこくってしまった。いや。

 

「うわ──ん!! せっかく、せっかく魔法少女の同士が出来ると思ったのに〜!」

 

 泣いて、逃げ出す。全速力で。……追いかけようとした頃には、見失ってしまった。

 

「なんだったんだろ……」「こっちがホンモノのマ法少女?」「写真の通りだし」「マ法見せてよ!」

「あー待って待って、押さないで……!」

「トゥインクル・レッドくん! この薬を飲んでみてくれないか?」

「いや変なクスリはちょっと……!」

 

 人々は一体になっていて。もう立派に応援団体が出来上がっていた。悪い気はしないけど、泣いて出ていったトウショウが気になる……。のに抜けられない!

 

(トウショウさんの涙……! この跡を辿っていけばきっと! 不肖デジたんが、全てのウマ娘の涙を救いますよ〜!)

 

 

「よく来たわね。哀れな魔法少女のところへ」

「はい……。あたしはウマ娘が泣いているのなんて見過ごせましぇんから……」

「……もうアタシには、誰も要らなくなったの。本当の魔法。それを使えるようになったんだから」

 

 トレセン学園の外れ。アグネスデジタルとスイープトウショウは対面していた。不思議な発言に戸惑うアグネスデジタルをよそに、スイープトウショウは一枚の小さな紙を取り出す。それは黒いオーラを放っていた。

 

「トゥインクル・メタモル・ダーク。あのお方より賜ったこの力で、アタシが真の"マ法少女"になる───!」

 

 闇がスイープトウショウの身体を包む。心を蝕む。暗黒の光が消えたあと、トレセン学園の制服からその服装は様変わりしていた。身体のラインをすこし浮き立たせた衣装。ゴテゴテと装飾のついた帽子。枯れた枝で出来た杖。まさに闇堕ちフォーム。

 

「マ法少女トゥインクル・ダーク。暗黒マ法を執行するわ───!」

 

 そう言ってスイープトウショウ、否トゥインクル・ダークがアグネスデジタルに杖を向ける。危ない、アグネスデジタル!

 

(ははぁ〜、コスプレウマ娘にやられるなんて、幸せな最期……!)

 

 満更でもない彼女に向けて、黒いエネルギー弾が飛ばされる──! ほんとに危ない!

 

「危な──い! トゥインクル・ブルー・スパーク!」

 

 そこに割り込む蒼光! その名は!

 

「マ法少女トゥインクル・ブルー! ここに推参! まさか敵にまでマ法少女が来るなんて……でも、ボクは負けないよ!」

 

 今ここにマ法少女同士の闘いが幕を開ける! ……ところでトゥインクル・レッドは?

 

 マ法少女トゥインクル・ダーク。その力は並のマ法少女を超えた力だった。トゥインクル・ブルー危うし! 頼む! 事態に気付いてくれトゥインクル・レッド!

 そして闘いの果て、トゥインクル・レッドは新たな力を手に入れる───かも知れない。

 次回! 『対決! マ法少女対マ法少女!』まあいいけど、いいとこ無かったねアタシ……まあいいけど。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。