恋姫無双〜覇王の弟〜   作:ホークス馬鹿

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13話です。


13話

陳留城下裏通り

 

 

 

純と華琳が担当する街の中央部は、真ん中を走る大通りと、そこに並ぶ市場がメインであった。

 

純「あの、姉上。」

 

華琳「何?」

 

純「大通りは見て回らなくていいのですか?」

 

華琳「大通りは後でいいのよ。大きな所の意見は、黙っていても集まるのだから。」

 

純「なるほど・・・。」

 

華琳「それより純。・・・この辺りを見て、貴方はどう思う?」

 

純「そうですな・・・。野菜を置いてる店もあり、肉を置いてる店もある。後干物もあるな。そういった食材が売っているので、料理屋も多いですね。」

 

華琳「そうね。それで?」

 

純「えっと…、鍛冶屋があれば儲かりそうですな。」

 

華琳「鍛冶屋?」

 

純「ええ。食材を切るのに包丁が要ります。後調理器具も。とは言え、鍛冶屋は3つ向こうの通りに行かないと無いですよね。」

 

華琳「ええ、そうね。また、その向こうには料理屋は無かったわね。」

 

純「流石姉上。詳しいですね。」

 

華琳「街の地図を見ていたからね。それに、街の空気は地図や報告書だけでは実感出来ないし。」

 

華琳「たまにはこうして自分の目で確かめておかないと、住民達の意にそぐわない指示を出してしまいかねないわ。」

 

純「なるほど。確かにそうですな。」

 

華琳「ええ。それにああいう光景も、執務室に座っているだけでは分からないもの。」

 

華琳は露店の前の人だかりを見てそう言ったのであった。

 

真桜「はい、寄ってらっしゃい見てらっしゃーい!」

 

そこには露天商らしき少女がおり、その狭いスペースには、竹カゴがずらりと並べられていたのであった。そして、

 

純「・・・何だこれ?」

 

華琳「カゴ屋のよう・・・だけれど?」

 

純「いえ。カゴではなく、こちらの方です。」

 

そう言って純が指さしたのは、少女の脇に置いてあるなんとも言えない物体があった。

 

純「これは一体何の装置でしょう?」

 

華琳「・・・さあ?」

 

すると、

 

真桜「おお、そこのお二方、なんともお目が高い!コイツはウチが発明した、全自動カゴ編み装置や!」

 

そう答えたのであった。

 

純「全自動・・・」

 

華琳「カゴ編み装置・・・?」

 

真桜「せや!この絡繰の底にこう、竹を細ぅ切った材料をぐるーっと一週突っ込んでやな・・・、そこの兄さん、こっちの取っ手を持って!」

 

純「ああ・・・。」

 

純は、言われるがまま、機械の取っ手を手に取る。

 

真桜「でな。こうやって、ぐるぐるーっと。」

 

純「回すんだな。」

 

言う通りにぐるぐる回していくと、セットされた竹の薄板が機械に吸い込まれていき、暫くすると、装置の上から編み上げられた竹カゴの側面がゆっくりとせり出してきたのであった。

 

真桜「ほら、こうやって、竹カゴの周りが簡単に編めるんよ!」

 

純「ほお・・・。」

 

華琳「・・・底と枠の部分はどうするの?」

 

真桜「あ、そこは手動です。」

 

華琳「・・・そう。まあ、便利と言えば、便利ね。」

 

純「全然全自動じゃないじゃん。」

 

そう言って、純は取っ手から手を離した。

 

真桜「う。兄さん、ツッコミ厳しいなぁ・・・。そこは雰囲気重視、っちゅうことでひとつ。」

 

純「あ、そう・・・。」

 

少し呆れてしまった純であった。

 

純「まあ、いっか。面白いもんが見れたし。そのカゴ、2つ貰おうか。」

 

真桜「お兄さん、ホンマか!」

 

純「ああ。いいですよね、姉上。」

 

華琳「ええ。構わないわ。けど、なんで2つなのかしら?」

 

純「以前豫州の賊討伐で、稟と風も手柄を挙げたのですが、その褒美を与えておりませんので、代わりにカゴでもあげたら喜ぶかなっと。」

 

華琳「そう。構わないのではなくて。特に郭嘉は大喜びするわよ。」

 

純「そうでしょうか。流石にカゴというのは・・・。」

 

華琳「どのような物でも、褒美であれば臣下は嬉しいものよ。」

 

純「そうですか・・・。そうですね。では、2つ貰おう。」

 

真桜「毎度あり!」

 

そうして、純はカゴを買い、視察を再開したのであった。その際、季衣と香風に土産を買ったのであった。

 

 

 

 

その頃、春蘭と栄華達は、

 

 

 

 

春蘭「この辺りは、服屋ばかりか・・・。」

 

栄華「ちょっと。今日は視察なのですから、お買い物はナシですわよ。無駄なお金は使わないようにして下さいまし。」

 

春蘭「そんな事は分かっている。服などどうでも良い。」

 

しかし、

 

栄華「あら。この服、可愛らしいですわね・・・。季衣さんや香風さんに着せたら似合いそう。」

 

栄華が服の誘惑に負けていたのであった。

 

春蘭「言う端からなんだ、栄華。今日は視察に来たのだから、買い物はナシなのだろう。」

 

栄華「わ、分かっていますわよ。私物を買いに来るのなら、ちゃんと日を改めて参りますわ。」

 

春蘭(やれやれ。本当は華琳様と2人で視察をしたかったのだが、純様の命令だしな・・・。)

 

栄華(・・・うぅ。やっぱりさっきの服、気になりますわね。)

 

すると、何か良い服を見つけた春蘭は、

 

春蘭「むぅ・・・、これは。」

 

春蘭「この華麗な装い・・・、華琳様がお召しになったらさぞお似合いになるだろうな。」

 

そんなことを言ったのであった。

 

栄華「・・・ごほん。春蘭さん?」

 

春蘭「わ、分かっている!買いに来るのなら、日を改めてだろう。」

 

春蘭「だが、1着しかなさそうだし、取り置きだけでも・・・。」

 

栄華「・・・お取り置きまでするなら、もう買うのと同じではありませんの。」

 

春蘭「・・・。」

 

栄華「・・・。」

 

春蘭「・・・なあ、栄華。」

 

栄華「・・・なんですの。」

 

春蘭「街の賑わいを確かめるなら、自身でも体感してみるのが一番だとは思わんか。」

 

栄華「あら。春蘭さんにしては、良い事をおっしゃいますのね。」

 

栄華「それに街にお金を回すのも、時には必要な事ですわ。」

 

春蘭「・・・なんだ、金は使わないのが一番ではなかったのか。」

 

栄華「世の中には、使ってはならないお金と使うべきお金がありますの。使うべきお金を使うのは、世間にお金を回すための健全な行いですのよ。」

 

春蘭「お前の言っていることはよく分からんが、私はひとまずこの店を視察してみようと思う。」

 

栄華「視察ですのよ。あくまでも、これは視察ですからね・・・。」

 

そう言って、2人は服屋に入ったのであった。

 

店員A「いらっしゃいませー!」

 

春蘭「おお、これはなかなか・・・。」

 

栄華「これも可愛らしいですわ・・・。」

 

店員A「あのぅ、お客様。失礼ですがこの辺りは、お客様よりも少々小さめの・・・。お客様に合うものでしたら、あちらの棚に。」

 

春蘭「私の物など買ってどうするのだ。」

 

店員A「え、お客様・・・?」

 

栄華「申し訳ありません。私達、知り合いの服を買いに来ただけですので・・・。」

 

店員A「そうでしたか。でしたら、何かありましたらお声掛けくださいませ。他の大きさもご用意出来る物がありますので。」

 

栄華「ええ。その時はお願い致しますわ。」

 

春蘭「ほほぅ・・・、これも悪くない。ああ、あれも華琳様に・・・。」

 

すると、

 

??「じゃあ、これは?」

 

1人の少女が春蘭に声を掛けたのであった。

 

春蘭「おおっ。これは素晴らしい!」

 

沙和「やっぱりなの!それだったら、こっちも合うと思うのー。」

 

春蘭「・・・そうか?それはイマイチだろう。むしろ、これを内側に合わせたほうが・・・。」

 

沙和「おおーっ。お姉さん、なかなかやるのー。」

 

春蘭「お主もな・・・って、誰だ貴様っ!」

 

沙和「うーん。さっきから、服を見る目がすごく熱かったから・・・。こういう服が好きなら、これも気に入るんじゃないかなーって思ったの。」

 

栄華「あら。そちらは、今年の流行りですわね。」

 

沙和「そっちのお姉さんも詳しそうなの!なかなかやるの・・・。」

 

栄華「ふふっ。まずは基本を抑えてこそ。その辺りは外しませんことよ。」

 

沙和「それにそっちのお姉さんは、自分のこだわりがちゃんとあるみたいなの・・・。そういうのも、とってもステキなの!」

 

春蘭「ふっ。貴様、この私とやり合う気か?華琳様のための私は、自分で言うのもなんだが・・・、かなり凄いぞ?」

 

沙和「んー。このお店、可愛い服がたくさんあるし・・・、わかったの!その勝負、受けて立つの!」

 

栄華「面白くなってきましたわね・・・。なら、私も負けませんわよ!」

 

そして、勝負が始まったのであった。春蘭と栄華は肝心の視察を忘れて・・・。

 

 

 

 

そして、

 

 

 

 

春蘭「・・・うむ、久しぶりに良い戦いであった。血がたぎったぞ!」

 

沙和「私も楽しかったの。その買った服も、きっとその子達に似合うと思うのー。」

 

栄華「ふふっ。あなたの見立ても、なかなかお見事でしたわ。」

 

沙和「お姉さんとも、またいい勝負が出来る気がするの・・・。」

 

春蘭「しかし、少々服を買いすぎたな。これでは持って帰るまでに落としてしまいそうだ・・・。」

 

すると、

 

沙和「あー。それなら、この竹カゴを使うといいの。」

 

春蘭「おお、それは助かる!感謝するぞ!」

 

沙和「あ、でもそれ、売り物なの・・・。」

 

春蘭「なんだ、そうなのか。」

 

沙和「あと今思い出したけど、今日中にこのカゴ、全部売らないといけないの・・・。」

 

春蘭「ふっ。それならそうと早く言え。今日の勝負の礼だ。そのようなカゴ、私が全て引き取ってやろうではないか!」

 

しかし、

 

栄華「ちょっとお待ちなさい、春蘭さん!それとこれとは別問題ですわよ、必要な分だけ買えば十分でしょう!」

 

栄華は、買いすぎであると反対したのであった。

 

春蘭「好敵手には相応の敬意を払わねばなるまい。任せろ!」

 

沙和「おおっ!お姉さん、太っ腹なのー!」

 

春蘭「はっはっは。誰がお腹がたゆんたゆんで子供が乗ったらフカフカだとー?」

 

沙和「誰もそんなこと言ってないのー。」

 

春蘭「まあ良い。ほれ、これで・・・」

 

そう言って、春蘭は金を出したのだが、

 

沙和「・・・。」

 

春蘭「・・・。」

 

栄華「・・・。」

 

服を買いすぎて、もう殆ど残っていなかったのであった。

 

沙和「・・・それはさすがに、1個しか売れないの。」

 

春蘭「え、栄華・・・!」

 

栄華に助けを求めたが、

 

栄華「お金なら貸しませんわよ。それは、使う必要のないお金ですもの。」

 

春・沙「「そ、そんなぁ・・・。」」

 

はっきりと断られてしまったのであった。

 

 

 

 

一方、秋蘭と華侖達は、

 

 

 

 

秋蘭「・・・。」

 

凪「・・・。」

 

華侖「・・・。」

 

秋蘭「・・・。」

 

凪「・・・。」

 

華侖「・・・ふぁあ。」

 

秋蘭「・・・良いものだな。このカゴは。」

 

凪「・・・どれも入魂の逸品です。」

 

秋蘭「・・・そうか。」

 

凪「・・・はい。」

 

秋蘭「・・・。」

 

凪「・・・。」

 

そして、秋蘭はまたカゴを見ながら、じっくり考えていたのであった。一方華侖は、

 

華侖「・・・あ。こっちはお肉売ってるっす。くださいなー。」

 

秋蘭と凪のカゴを巡っての静かなる戦いに飽き、遊んでしまったのであった。

 

秋蘭「・・・。」

 

凪「・・・。」

 

華侖「・・・むぐむぐ。お肉おいしいっす!もう1本欲しいっす!」

 

男「姉ちゃん、このカゴひとつおくれや。」

 

凪「・・・まいど。」

 

秋蘭「・・・。」

 

凪「・・・。」

 

華侖「あ!こっちは何すか・・・?わ、ぴゅーって吹いたら変な音が出るっす。面白いっすー!」

 

秋蘭「・・・。」

 

凪「・・・。」

 

華侖「よし!これを季衣と香風のお土産にするっす。2人とも、ぜったい喜んでくれるっす・・・!」

 

すると、

 

秋蘭「・・・よし。」

 

凪「・・・っ!」

 

秋蘭「これを2つ、もらおうか。」

 

凪「・・・はっ。」

 

最終的に、秋蘭が2つカゴを買うという事になったのであった。

 

 

 

 

 

突き当たりの門

 

 

 

 

華琳「・・・で?」

 

春蘭「・・・。」

 

秋蘭「・・・。」

 

純「どうしてお前らは、揃いも揃って竹カゴを抱えてんだ。」

 

秋蘭「はぁ。今朝、部屋のカゴの底が抜けているのに気付きまして・・・。」

 

純「・・・なら、しゃーねーな。どうせお前のことだから、気になって仕方がなかったんだろ?」

 

秋蘭「は。直そうとは思っていたのですが、こればかりはどうにも・・・。」

 

純「しかし、なぜ2つ買ったんだ?1つはお前の分だが。」

 

秋蘭「もう1つは純様の分です。」

 

純「俺の?何で?」

 

秋蘭「先日、2人で一緒に純様の部屋でお茶してた時に会話の一部を聞いていたので。『カゴ壊れてしまったし、どうしようかな。』と。」

 

純「覚えてたんだ。わざわざありがとな。」

 

そう言って、秋蘭からカゴを受け取ったのであった。

 

華侖「あたしは季衣と香風にお土産を買ってきたっすよ!」

 

華琳「そう、喜んでくれると良いわね。・・・で、春蘭と栄華は?何か山ほど入れているようだけれど・・・。」

 

春蘭「こ、これも・・・、季衣の土産にございます!」

 

栄華「え、ええ・・・。それと、香風さんにも。」

 

華琳「何?服?」

 

春蘭「はっ!左様でございます!」

 

華琳「・・・そう。土産も良いけれど、ほどほどになさいね。」

 

栄華「ええ。そうしますわ。」

 

秋蘭「それで、純様もカゴを2つ持っていますね。何故ですか?」

 

純「これか。前豫州での賊討伐で、稟と風も手柄を挙げたんだけど、なかなか褒美をあげる物が思い出さなくて、カゴで良いかなと思って、買ったんだよ。」

 

秋蘭「・・・そうですか。喜ぶと思いますよ。特に稟が。」

 

その時秋蘭は、少し拗ねた態度を取ったのであった。それに気付いた純は、

 

純「今度お前にも何か買ってやるから。なっ。」

 

そう言い、秋蘭の頭を撫でてやったのであった。

 

秋蘭「・・・はい。」

 

そう言って、少し頬を染めた秋蘭であった。

 

華琳「それで、視察はちゃんと済ませたのでしょうね。カゴなり土産なりを選ぶのに時間をかけ過ぎたとは言わせないわよ。」

 

華侖「もちろんっす!」

 

栄華「お、お任せくださいまし・・・。」

 

純「栄華、声が震えてるぞ。」

 

栄華「いえ、何でもありませんわ。」

 

華琳「ならいいわ。帰ったら今回の視察の件、報告書にまとめて提出するように。」

 

そう言って、城に帰ろうとしたその時、

 

??「そこのお若いの・・・。」

 

純「ん?」

 

華琳「・・・誰?」

 

謎の声の主にかけられたのであった。

 

??「そこの、お主達・・・。」

 

栄華「何ですの?占い師?」

 

春蘭「華琳様と純様は占いなどお信じにならん。慎め!」

 

華琳「・・・2人とも、控えなさい。」

 

春蘭「は?・・・はっ。」

 

そして、占い師は華琳と純を見つめて、その結果を述べた。

 

占い師「強い相が見えるの・・・。稀にすら見たことの無い、強い強い相じゃ。」

 

純「ほお、一体何が見えるんだ?言ってみな。」

 

占い師「力のある相じゃ。兵を従え、知を尊び・・・。お主達が持つは、この国の器を満たし、繁らせ栄えさせる事の出来る強い相。この国にとって、稀代の名臣となる相じゃ・・・。」

 

春蘭「ほほう。良く分かっているではないか。」

 

占い師「・・・国にその器があれば・・・じゃがの。」

 

栄華「・・・どういうことですの?」

 

占い師「まずそこの娘、お主の性、今のひび割れた国の器では収まりきらぬ。」

 

占い師「その野心、器の内に留まるを知らず・・・、溢れた野心は、国を侵し、野を侵し・・・、いずれ、遙か地の果てまで名を轟かせて、類い稀なる奸雄となるであろう。」

 

すると、

 

栄華「あなた!それ以上お姉様を侮辱するならば、容赦は致しませんわよ!」

 

栄華が鋭い目つきで怒ったのだが、

 

華琳「栄華!」

 

栄華「し、しかしお姉様!」

 

華琳「そう。乱世においては、奸雄となると・・・?」

 

占い師「左様。それとそこのお主。」

 

そして、今度は純に対して、

 

占い師「お主は、そこの娘以上に危うい。その器は、あらゆる理を全て破壊し、敵味方問わず多くの者の命を奪い、恐れられ、その名は遙か天の果てまで轟かせ、類い稀なる梟雄となるであろう。」

 

そう述べたのであった。その時、

 

秋蘭「貴様!純様を愚弄する気か!」

 

栄華「お姉様に飽き足らず、お兄様も侮辱するならば、許しておけませんわよ!」

 

秋蘭と栄華が、特に秋蘭が烈火の如く怒ったのであった。

 

純「秋蘭!栄華!」

 

秋蘭「・・・し、しかし純様!」

 

栄華「この方は、お姉様だけでなく、お兄様も侮辱したのですよ!」

 

純「いいから下がれ。」

 

そう言って、2人を下がらせたのであった。

 

純「そうか。乱世において、姉上は奸雄、俺は梟雄になるのか・・・?」

 

占い師「左様。それも、千年、万年・・・人の世が続く限り、名を残すやもしれぬほどのな。」

 

純「・・・ふっ。そうか・・・。」

 

華琳「・・・ふふっ。千年、万年と・・・ね。」

 

華琳「気に入ったわ。栄華、この占い師に謝礼を。」

 

栄華「は・・・?」

 

純「聞こえなかったのか?礼だよ。」

 

栄華「ですがお姉様、お兄様。このような胡乱な輩に出すお金など・・・。」

 

華琳「・・・純。この占い師に、幾ばくかの礼を。」

 

純「御意。」

 

そう言って、純は幾らかの金を占い師の脇に置いてある茶碗に入れた。その際、栄華は華琳の事を、秋蘭は純の事を悪く言われたのが気に入らなかったのか、静かに睨みつけたままであった。

 

純「乱世の梟雄大いに結構だ。それが例え悪名だろうが何だろうが、人の世が続く限り人々の記憶に刻まれるのならばな。」

 

華琳「ええ。私も大いに結構。人の世が続く限り名を残すなら文句は無いわ。」

 

そう言って、その場を後にしたのであった。

 

 

 

 

その帰り道、

 

 

 

 

華琳「・・・それにしても春蘭。よく我慢したわね、偉かったわ。」

 

春蘭「・・・はぁ。」

 

純(こいつ、あの占い師の言った意味、分かってねーな。)

 

そう思っていると、

 

華侖「ねえねえ純兄。あの占い師の人、結局なんて言ってたんすか?らんせの・・・?かんゆー?と、きょーゆー?」

 

純「乱世の奸雄というのは、奸知に長けた英雄という意味だ。」

 

華侖「かんち・・・。」

 

純(こいつもかよ・・・。)

 

栄華「奸知というのは、ずる賢くて、狡猾という意味ですわ。」

 

華侖「おー!じゃあ、きょーゆーは?」

 

秋蘭「残忍かつ強く荒々しい人という意味だ。」

 

華侖「おー!そーなんすねー!」

 

純「つまり、姉上は世が乱れれば、ずる賢い手段で上へのし上がるヒドい奴で、俺は、強いだけでなく、残酷なやり方で上へのし上がる悪人という事だよ。」

 

その時、

 

春蘭「何だとぉっ!あの占い師、華琳様と純様にそんなひどい事を!華琳様!純様!今すぐに引き返して、あのイカサマ占い師の首を刎ねてやりましょう!」

 

突然春蘭がキレたのであった。

 

純(やっぱコイツ、分かってなかった・・・。)

 

秋蘭「・・・姉者。あの占い師の言葉、分かっていなかったな。」

 

栄華「ああ・・・、そういうことですの。」

 

華琳「・・・だから、いいと言っているでしょう、春蘭。落ち着きなさい。」

 

春蘭「これが落ち着いていられますか!くそぉ、あの占い師め!」

 

純「春蘭、いいから落ち着け。二度は言わんぞ。」

 

春蘭「は・・・、はい。」

 

純の一言でやっと春蘭が落ち着いたのであった。

 

純「・・・。」

 

秋蘭「純様?」

 

純「ん?どうした、秋蘭?」

 

秋蘭「いえ、何でもありません。」

 

純「そうか・・・。」

 

秋蘭「・・・。」

 

その時、秋蘭の目には、純の感情が僅かに乱れていると感じたのであった。

 

城に戻った後、純は稟と風に例のカゴを渡し、稟はそれを大事そうに持っていたのである。

 

一方季衣と香風は、例の盗賊3人組を追っていたが、途中その3人組が例の旅芸人に書物を渡したのだが、これが後に大陸中を騒がす事になるのは、この時誰も知る由は無かったのである。

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