純の部屋
純「・・・。」
純は、部屋の窓から月を眺めていた。
純「・・・。」
その時、純は占い師の言葉を思い出していた。
回想
占い師(類い稀なる梟雄となるであろう。)
回想終了
純(梟雄か・・・。歴史に名を残せばそれでいいと言ったが・・・。)
その時、
秋蘭「純様。秋蘭です。」
純「秋蘭?ちょっと待って。」
純は扉を開けた。
純「どうした、秋蘭。何の用だ?」
秋蘭「純様にお伝えしたいことがあって参りました。」
そう、秋蘭は言ったのであった。
純「そうか。まあ入れ。」
そう言って、純は秋蘭を部屋に入れた。
純「で、俺に伝えたい事って・・・!?」
すると、背中に衝撃を感じたので振り返ると、秋蘭が純の背中に抱き付き、顔を埋めていたのであった。
純「おい、秋蘭!?どうしたんだよ急に!?」
すると、
秋蘭「・・・まないで下さい。」
純「え?」
秋蘭「1人で抱え込まないで下さい。」
秋蘭はそう純に言ったのである。
純「何の事だ?」
すると、
秋蘭「先程の占い師の件です。梟雄でも構わないと仰っておりましたが実は気にしておられたのでしょう。」
純「・・・気付いてたか。」
純がそう言うと、秋蘭は頷いた。
純「まあ、後の人が俺の事をどう評価しようが、名を残せればそれでいいというのは本当だ。けど、いざ言われるとな・・・。受け止めづらいというか。ましてや梟雄なんて言われるとは思わなかったから・・・。」
すると、秋蘭は抱き締めてる腕を更に強くし、こう言った。
秋蘭「私は初めて純様に仕えた時から知っております。純様は確かに強いです。けど、その強さは、私やその周りにいる人達を守るための強さであると。だから、1人で抱え込まないで下さい。」
純「分かった。」
そう言って、純は秋蘭の腕に手を添えたのであった。
暫くが経ち、
純「しかし、お前に見抜かれるとはな・・・。」
秋蘭「私は純様と共に過ごした時間が非常に長かったので。」
純「なるほどね・・・。」
秋蘭「後純様、他にもまだお伝えしたいことがあります。」
純「ん?何だ?」
すると、秋蘭は深呼吸してこう言った。
秋蘭「実は、私は初めて会った時から、純様の事が好きです。大好きです。」
純「・・・。」
秋蘭「もうこの気持ちが抑えられないんです。我慢出来ないんです。もう、あなた様がいないと駄目なんです。」
すると、
純「いや・・・。実は・・・、俺も・・・、お前の事が・・・、好きなんだ。」
そう、純は秋蘭に伝えたのであった。
秋蘭「!?」
純「いつからかは忘れちまったけど、お前のことが目から離せなくなって、気付いたら目で追ってた。お前のことが気になって仕方が無かった。お前とも一緒にいたいと思ってた。」
すると、秋蘭の目から涙が一筋落ちた。
秋蘭「・・・その言葉、ずるいです。」
純「けど、俺は・・・。」
秋蘭「稟の事ですよね。私は構いません。純様は、自身を好きでいてくれる人皆を幸せにして下さい。」
純「・・・秋蘭。」
秋蘭「けど今は、私だけを愛して下さい。」
純「・・・分かった。」
そう言って、純は秋蘭の手を取り、寝台に向かい、そのまま一夜を過ごしたのであった。
翌朝、
純「んんっ・・・。」
純は目を覚ますと、横に秋蘭の嬉しそうな、恥ずかしそうな、そんな微笑みが視界に入った。
秋蘭「おはようございます、純様。」
純「おはよう。・・・もしかしてお前、ずっと起きていたのか?」
秋蘭「いえ、純様よりちょっと早く目が覚めただけです。お陰で寝顔が見れて良かったです。」
自分の無防備な姿を見られた恥ずかしさからか、純は布団を頭から被りたい気持ちになった。
それを察した秋蘭が、
秋蘭「そう恥ずかしがる必要はありませんよ。可愛らしかったです。」
そう言ったのであった。
純「おい、男に可愛いはねーだろ。それを言うなら、俺より昨日の秋蘭の方が絶対可愛かったぞ。」
すると、
秋蘭「そのような恥ずかしいこと、言わないで下さい。」
昨夜の出来事を思い出したのか、秋蘭は恥ずかしそうに視線を逸らし、布団の中の足をもぞもぞと動かしたのであった。
そんなギャップが可愛いと感じた純は、
純「秋蘭ー、秋蘭ー♪」
秋蘭「あの・・・、なんでしょうか純様?」
純「ううん、恥ずかしがる姿が可愛らしかったから名前を呼びたくなった。それだけ。」
秋蘭をからかったのであった。
秋蘭「な、何ですかそれは。だったら私も・・・、純様。」
純「何、秋蘭。」
秋蘭が子猫の鳴き声みたいに甘える声音に純が答えると、
秋蘭「ふふ、呼んでみただけです。」
そう言った秋蘭は、大陸中のどんな美人でも逃げ出すような笑顔を浮かべたのであった。
そして、細い喉から小さな笑い声を上げた。その度に腕に乗った頭が揺れ、絹より柔らかい髪の毛が擽ったく感じた純であった。
その様子が愛おしく思った純は秋蘭の頬に手を添え、
純「秋蘭。」
秋蘭「はい。」
純「大好き。」
秋蘭「あ・・・。」
そう言い顔を近づけ、目をつぶる秋蘭に優しく口付けをしたのであった。