先遣隊
焔耶「急げ急げ!なんとしても、秋蘭様達と合流するぞ!」
純「焔耶、焦るな。これじゃ、兵達が戦になる前に疲れてしまう。」
焔耶「しかしお館・・・」
風「焔耶ちゃん。純様の言っている事は正しいのです。今兵達を疲れさせてしまえば、ただの足手まといなのですよ。」
焔耶「・・・分かった。」
そう言って、焔耶は馬のスピードを落としたのであった。
純「稟、後どれくらいだ。」
稟「後、十里ぐらいだと思います。先に偵察部隊を送りましょう。」
純「うん、それが良いだろう。人選は任せた。」
稟「御意。」
そう言って、稟は兵を選び、偵察部隊を送った。
純「焔耶、風。兵達の疲れはどうだ?」
焔耶「大分回復したみたいです。」
風「これなら、残りは駆け足でも大丈夫かと。」
純「そうか。」
焔耶「お館、先程は申し訳ありません。」
純「良いんだ。お前の気持ちは痛いほど分かる。秋蘭達を信じよう。」
焔耶「御意!」
その時、偵察部隊が帰ってきた。
偵察兵A「報告致します。」
稟「村の様子はどうでしたか?」
偵察兵A「はっ。村の周りは賊に完全に囲まれています。村の中では、夏侯淵将軍と曹純将軍が戦っている模様です。」
稟「分かりました。あなた達は本隊が来るまで休んでて下さい。」
そう言って、稟は偵察部隊を下がらせた。
稟「純様。」
純「ああ。皆の者、よく聞け!我々の仲間が十里先で戦っている。仲間を助け、賊を倒すぞ!」
兵士「「「おおーっ!!」」」
純「行くぞ!」
純の一声で、曹和隊は駆け出したのであった。
一方秋蘭達は、
柳琳「秋蘭様!西側の防壁、3つめの防柵まで破られました!」
秋蘭「・・・ふむ。残りの柵は後2つか・・・それでどのくらい保ちそうだ?李典。」
真桜「せやなぁ・・・。応急で作ったもんやし、後一刻保つかどうかって所かなぁ。」
秋蘭「・・・微妙な所だな。純様達本隊が間に合えば良いのだが。」
柳琳「きっと大丈夫です。お姉様とお兄様は必ず来ます。」
凪「しかし、夏侯淵様達がいなければ、ここまで耐えることは出来ませんでした。ありがとうございます。」
柳琳「それは私達も同じです。あなた達義勇軍の皆さんがいなければ、相手の数に押されて保たなかったはずですから。」
その時、
沙和「大変なのー!東側の防壁が破られたのー!防壁は、後1つなのー!」
沙和が慌てた様子でやって来て、東側の防壁が壊されたことを報告に来たのであった。
真桜「・・・あかん。東側の最後の防壁て、材料が足りひんかったらかなり脆いで。すぐ破られてまう!」
秋蘭「仕方ない。西側は最低限の人数を残し、残る全員で東の侵入を押しとどめるしかない。」
凪「では、先陣は私が切ります。私の火力を集中させれば、相手の出鼻は挫けるはずです!」
柳琳「でしたら私の隊が続きます。それで、一度は敵を退けられるはず・・・しばらくは時間を稼げるでしょう。」
秋蘭「・・・そうだな。なら柳琳、そちらの指揮は任せる。」
柳琳「秋蘭様もお気を付けて。では、楽進さん。」
凪「はっ!」
秋蘭「皆、ここが正念場だ。力を尽くし、何としてでも生き残るぞ!」
沙和「分かったの!」
真桜「おう!死んでたまるかいな!」
その時、
凪「か・・・夏侯淵様!外に砂煙が見えます!」
外に砂煙が見えるとの報告を受けたのであった。
真桜「なんやて!」
沙和「えー・・・。また誰か来たの?」
秋蘭「敵か!それとも・・・。」
すると、
柳琳「お味方です!青の旗色に曹の旗印!お兄様です!」
そう柳琳は報告したのであった。それを聞いた兵士達は、
兵士A「おお!曹和様だ!」
兵士B「曹和様が来たからにはもう大丈夫だ!」
気力を取り戻し、士気が上がったのであった。
先遣隊
純「稟、風、焔耶。ちゃんと付いて来いよ。」
稟「はっ!」
風「はい~!」
焔耶「もちろんです!」
純「突破するぞ!」
純達は村に向かっていき、包囲網を突破していったのであった。
村中央
純「秋蘭!柳琳!」
秋蘭「純様!!」
柳琳「お兄様!助かりました!」
純「お前達、ここまでよく耐えたな。」
秋蘭「彼女らのおかげです。」
純「この者か?お前達、よくこの村を守ってくれた。俺は曹和、字は子元と言う。お前達は?」
すると、
凪「自分は楽進、字は文謙と申します。・・・我らは陽平義勇軍。黃巾党の暴乱に抵抗するため、こうして兵を挙げたのですが・・・」
その時、ある1人の少女の顔を見た瞬間、
純「あっ。」
真桜「あー!」
純は真桜を見て、お互い指を差し合ったのであった。
秋蘭「純様、知り合いですか?」
純「ああ、前にみんなで城下に視察に行ったときにな。へえ、お前も義勇軍か。」
真桜「せやで。ウチは李典、字は曼成。そっか・・・てことは、あの時の姐さんが、州牧様で、兄ちゃんはその弟さんか・・・。」
沙和「私は于禁、字は文則なのー!お兄さん、とってもカッコいいの!」
その時、
凪「真桜!沙和!曹和様に対してその言い方は何だ!」
沙和「っ!!凪ちゃん痛い!!」
真桜「本気で殴ったなー!!」
凪が、真桜と沙和に拳骨を下ろしたのであった。
純「はは。ああ秋蘭、柳琳。後半刻ほどで、姉上達の本隊もやって来る。それまでに、何としても持ち堪えるぞ。」
秋蘭「はっ!!」
柳琳「はい!!」
純「俺は焔耶と一緒に西側に行くから、そちらは任せたぞ。」
秋蘭「御意!!」
柳琳「分かりました!!」
純「稟と風はここで補佐をしてくれ。」
稟・風「「御意。」
純「じゃ、行ってくる。来い、焔耶!!」
焔耶「はっ!!」
その時、
秋蘭「純様!!どうかご無事で・・・。」
そう言われたので、純は右手を掲げて行ったのであった。
西側
純「よし、矢を放て!!」
純の命令で、多くの矢が放たれた。それによって、賊が多少怯んだのであった。
その様子を見た純は、鞘から刀を抜き、
純「敵に一当てする。突撃!!」
兵士「「「おおーっ!!」」」
純「焔耶も、思いっきり暴れろ。しかし、状況を見て一度退くからな。」
焔耶「はっ!!」
そう言って、純達は突撃した。その時純の動きは、まるで流麗な舞の如く刀を振るい、敵を斬っていったのであった。その舞のような動きに焔耶は思わず、
焔耶「・・・カッコイイ。」
そう呟きながら、敵を鈍砕骨で潰していったのであった。
その後、華琳達の本隊が到着し、黃巾党は壊滅的被害を受けて、撤退したのであった。
春蘭「純様!秋蘭!ご無事ですかっ!」
純「ああ!大丈夫だ!」
秋蘭「危ないところだったがな・・・まあ見ての通りだ。」
季衣「秋蘭様ーっ!」
華侖「柳琳!柳琳はいるっすかー!」
柳琳「姉さん!」
妹の様子を見た華侖は、
華侖「るー!!」
柳琳に抱き付いたのであった。
柳琳「もぅ、姉さんったら。そんなに心配しなくても大丈夫だから。」
華侖「お姉ちゃんなんだから、心配するに決まってるっすー!無事で良かったっすー!うわーん!」
香風「・・・純様。」
純「うん。香風も助かった。」
香風「・・・うん。」
華琳「皆、無事で何よりだわ。けれど、損害は大きかったようね。」
秋蘭「いえ。防壁こそ破られましたが、純様の救援と彼女らのおかげで最小限の損害で済みました。村の住人も皆無事です。」
純「彼女らは陽平義勇軍と申し、黃巾の暴乱に抵抗するために兵を挙げたそうです。」
その時、
春・栄・沙「「「あー!」」」
春蘭と栄華、沙和が互いに指を指し、叫んだのであった。
華琳「・・・何よ、一体。」
純「実は姉上、俺も到着して気付いたのですが、以前に皆で視察に行ったときに会った、絡繰を作ってたカゴ売りの者です。」
華琳「・・・思い出したわ。あの時の。」
真桜「せやで。」
沙和「私は前に服屋でむぐぐ」
しかし、沙和が喋ろうとしたときに春蘭と栄華が口を押さえ、
春蘭(そ、それは内緒にしておいてくれっ!)
栄華(そうですわ。私とあなたは初対面。いいですわね。初対面ですわよ・・・?)
そう述べたのであった。
沙和(むぐむぐ。わかったの・・・。)
季衣「どうしたんですか?春蘭様。」
春蘭「い、いや、何でもないっ。何でも!」
沙和「むぐぐー。内緒にするから、離してなのー!」
栄華「そうですわ。何でもありませんわ。おほほほほほほほほ。」
沙和(でもこれだけお話してたら、とっくにバレてる気がするの・・・。)
季衣「春蘭様・・・なんなんですかね?」
秋蘭「さあな。何かあったのだろうが、姉者に合わせておいてやってくれ。」
華琳「・・・で、その義勇軍がこの村を守っていたのね。」
凪「はい。ですが、黃巾の賊がまさかあれだけの規模になるとは思いもせず・・・こうして夏侯淵様と曹和様に助けていただいている次第。身の程も弁えず、お恥ずかしい限りです。」
華琳「けれど、あなた達がいなければ私は大切な将を失う所だった。皆を助けてくれた事、感謝するわ。」
そう言って、華琳は凪達に頭を下げた。
凪「それはこちらも同じです。こちらが感謝こそすれ、感謝されるようなことは・・・。」
その時、
純「姉上。この者達を、我が軍に加えてみては如何でしょうか。」
華琳「義勇軍が私の指揮下に入るということ?」
純「はい。皆、鍛えればひとかどの将になる器です。」
凪「聞けば、曹操様と曹和様もこの国の未来を憂いておられるとのこと。一臂の力ではありますが、その大業にぜひとも我々の力もお加え下さいますよう・・・。」
華琳「・・・そちらの2人の意見は?」
真桜「ウチもええよ。新しい州牧様とその弟さんの話はよう聞いとるし・・・そのお方が大陸を治めてくれるなら、今よりは平和になるっちゅうことやろ?」
沙和「凪ちゃんと真桜ちゃんが決めたなら、私もそれでいいのー。」
華琳「秋蘭から見てどうかしら?」
秋蘭「村のカゴ売りで終わらせて良い人材ではありません。純様の仰る通り、鍛えればひとかどの将になる器かと。」
華琳「そう・・・。純と秋蘭が認めたなら問題はないでしょう。名は?」
凪「楽進と申します。真名は凪・・・曹操様と曹和様にこの命、お預け致します。」
真桜「李典や。真名の真桜で呼んでくれてええで。以後よろしゅう。」
沙和「于禁なのー。真名は沙和っていうの。よろしくおねがいしますなのー♪」
華琳「凪、真桜、沙和。以後宜しく頼むわね。それでは3人の件はこれでいいわね。物資の配給の支度が終わったら、この後の方針を決めることにするわよ。各自、持ち場に戻りなさい。」
純「かしこまりました。」
そして、それぞれ持ち場に戻ったのであった。