満天にどこまでも広がる青空の下、1人の少年が木の下で横になっている。
この少年の名は、曹和、字は子元、真名は純である。
真名とは、その人の誇りで相手が許可しない限りそれで呼ぶことが許されない名前である。
彼には同い年だが、腹違いかつ1日違いの姉がいる。その名は、
華琳「純!またそのような場所で横になって!」
彼女の名前は曹操、字は孟徳、真名は華琳である。そう、彼はあの三国志の英雄、曹操の弟である。ちなみに華琳は夏侯姉妹も連れている。
純「ああ、姉上。どうしたのですか?あっ、春蘭と秋蘭もいるし。」
春蘭とは、夏侯惇、字は元譲の真名であり、秋蘭は、夏侯淵、字は妙才の真名である。一応、赤い服で黒髪が春蘭、青い服で水色の髪が秋蘭である。
華琳「どうしたのですかじゃないわよ。また私塾を無断欠席して何してるの?」
純「別に良いじゃないですか。少しくらいずる休みしたって。それに、今はもっと大切なことを考えていたんですよ。今現在のこの大陸の情勢を。」
華琳「・・・そう。」
そう言って、華琳は純の横に座ったのである。
華琳「・・・確かにあなたの言うとおり、今の都はおろか大陸の情勢を見れば間違いじゃないわね。」
純「でしょ。だから・・・」
華琳「でも、今はしっかり基礎を身に付けるべきよ。分かるでしょ。それにあなたは、私に匹敵するかそれ以上の才を持っているし、私以上に人を惹きつける魅力もあるわ。」
純「買いかぶりすぎですよ。」
華琳「そんなことはないわよ。ねえ、あなたたち。」
春蘭「はいっ!!純様の強さは大陸一だと思います!!」
秋蘭「私も姉者に同感です。純様の才は、一番だと思います。」
そう言って、華琳たちは純の才能を褒めた。
純「でもなあ・・・。」
華琳「それに分かっていると思うけど、あの私塾に通っているのは名門の家系の子ばかり。そういった子達と縁を結んでおくのは大事よ。」
純「それは姉上がやれば良いじゃないですか。」
華琳「あなたはそうやって私を立てようとする。純、私はあなたにも私の隣に立って欲しいの。」
純「姉上、上に立つ者は1人です。2人は必要ありません。もしそのようになったらいずれ曹家は2つに割れてしまいます。」
華琳「・・・そう。あなたは相変わらずね。」
純「でも、姉上の覇道を支えていきたいのは確かです。そこだけは分かってください。」
華琳「そう、分かったわ。それで、今日はどうするの?」
純「このまま帰ります。ちょっと体を動かしたくなったので。」
華琳「そう。じゃあ、帰りましょう。」
純「はい。秋蘭。」
秋蘭「はっ。」
そう言って、純は立ち上がり、秋蘭は純の隣に行き、華琳たちと一緒に帰ったのである。
その夜、純たち曹家一門で食事をしていたら、
華侖「純兄ー!今日私塾に行かずにどこに行ってたんすかー?」
柳琳「もう、姉さんったら食べ物を口に入れたまま喋るのはやめて。」
栄華「柳琳の言うとおりですわ。はしたないですわよ華侖さん。お兄様が困っているではありませんか。春蘭さんも。」
春蘭「ふが?」
秋蘭「姉者・・・。」
純「ちょっと風に当たってな。考え事をしてた。」
華琳「ええ。この大陸の情勢を考えながらね。」
華侖「そーなんすか?純兄は凄いっすねー!」
柳琳「姉さん。」
純「まあ柳琳。いつものことだから。」
柳琳「はい、お兄様。」
華琳「けど、純。明日はちゃんと私塾に出なさい。」
純「はあ、分かりました。」
華琳「ええ、それでいいわ。」
食後、
純「あっ、そうだ。秋蘭、この後大丈夫か?」
秋蘭「はい、大丈夫ですが、何か?」
純「ちょっと俺の部屋に来てくんない?お前にあげたい物があるんだ。」
秋蘭「はい、分かりました。」
そう言って、秋蘭は純について行ったのである。
栄華「相変わらずお兄様と秋蘭さんは仲が良いですわね。」
華琳「ええ、そうね。」
純の部屋
純「さっ、入って入って。」
秋蘭「はい。それで純様。私にあげたい物とは?」
純「待ってて。おっ、これこれ。」
すると純の手にあるのは、木箱だった。
秋蘭「これは?」
純「開けてみて。」
そう言われて、秋蘭は木箱を開けた。
秋蘭「これは、首飾り?」
純「そ。俺特製の。」
その首飾りには『秋』と彫ってある石がついてあった。
純「受け取ってくれる?」
秋蘭「はい、ありがとうございます。」
そう言って、秋蘭は首飾りを胸に抱きしめた。
純「どれ、付けてあげるよ。」
純は、秋蘭の手から首飾りを取り、秋蘭の後ろに立ち、首飾りを付け、鏡の前まで秋蘭の手を引いて促した。
純「うん、凄い似合ってるぞ。」
秋蘭の肩口から鏡をのぞき込みながらそう言った。秋蘭はそっと首飾りに手を触れて具合を見てみた。
秋蘭「ありがとうございます。大切にします。」
少し涙ぐみながら、秋蘭は礼を述べた。すると、後ろに純がいるため、純の匂いを感じ、心が安まったのか、秋蘭は振り返り、純の背中に手を回し、胸に顔を埋めた。
純「秋蘭?」
秋蘭「少しの間、こうさせてください。」
純は少し戸惑ったが、優しく受け入れ、秋蘭の頭に手を置き、撫でた。
翌日、秋蘭が首飾りを付けている姿を見て、皆が微笑ましく思ったのは内緒である。