恋姫無双〜覇王の弟〜   作:ホークス馬鹿

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19話です。


19話

本陣

 

 

 

華琳「さて。これからどうするかだけど・・・。新しく参入した凪達もいることだし、一度状況をまとめましょう。・・・純。」

 

純「はっ。俺達の敵は黃巾党と呼ばれる暴徒の集団だ。構成員は若者が中心で散発的に暴力活動を行っているが・・・特に主張らしい主張はなく、暴徒の群れの中心にいる張3姉妹の追っかけによるものだ。」

 

純「その首領の張3姉妹も、旅芸人であると言う点までは突き止めたが、それ以外は不明だ。どこにいるかも分かっていない。」

 

真桜「・・・ぶっちゃけ何も分かってへんのやな。」

 

栄華「本当に張角ら3姉妹が指揮を執っているかも怪しいものですわ。3姉妹が実際に扇動をして、煽られた者達だけが好き勝手に暴れている可能性もありますわね。」

 

春蘭「誰も口を割らん以上、本人を捕まえて聞くしかなかろうな。」

 

真桜「それ、口を割らんのやのうて、ホンマに知らんだけとちゃうん?」

 

桂花「その可能性も否定出来ないのが面倒なところね・・・。」

 

稟「はい、そうですね。」

 

風「ぐぅ~。」

 

稟「寝るな!」

 

風「おお!面倒な事だと思いつい・・・。」

 

稟「全く・・・。」

 

凪「目的とは違うかもしれませんが・・・我々の村では、地元の盗賊団と合流して暴れていました。陳留のあたりではいかがでしたか?」

 

華琳「似たようなものよ。ただ、この村の例もあるように、事態はより悪い段階に移りつつある。」

 

春蘭「悪い段階・・・?どういう意味ですか?」

 

桂花「ここの大部隊を見たでしょう?無為に暴れるだけの烏合の衆や、地の盗賊と組むだけじゃない。それなりの指揮官を戴いて、組織としてまとまりつつあるのよ。」

 

春蘭「・・・ふむ?」

 

イマイチ良く分かってなかったので、

 

桂花「要するに・・・今までのように、春蘭が大声で咆えたら終わるような敵じゃなくなるってこと。」

 

と説明したのであった。

 

春蘭「なるほど。」

 

桂花「・・・ホントに分かってるのかしら。」

 

香風「前より強くて、面倒になってる。」

 

春蘭「・・・うむ。それだ。」

 

純(コイツ、ゼッテー香風に乗っかっただけだろ・・・。)

 

華琳「ともかく、一筋縄ではいかなくなった事だけは間違いないわ。ここでこちらにも味方が増えたのは幸いだったけれど・・・これからの案、誰かある?」

 

桂花「相手も組織化しつつあるなら、それこそ張角ら3姉妹が首領として据えられてる可能性も高いです。そこを一網打尽にするしかありませんが・・・」

 

秋蘭「本拠地を潰せば一番良いのだが・・・旅芸人という出自故、我々のように特定の拠点を持たず、各地を転々としている可能性も高い。そもそも潰す本拠地がないなら、痛いな。」

 

凪「本拠地が不明で何処から来るか分からない敵ですか・・・。」

 

桂花「だからこそ、都から直々に討伐命令が出たのでしょ。ただ、それを討伐出来れば、華琳様と純様の名がさらに大陸に轟くのは間違いないわ。」

 

稟「はい。私も桂花の意見に同感です。それが出来れば純様の名が広がります。」

 

純「・・・。」

 

華琳「如何したの、純?さっきから黙っているけど。」

 

華琳の一言で、皆の視線が純に集中した。

 

沙和「・・・すいませーん。軍議中、失礼しますなのー。」

 

その時、柳琳や華侖と一緒に炊き出しを手伝っていた沙和が顔を出したのであった。

 

華琳「どうかした、沙和。また黃巾党が出たの?」

 

沙和「ううん、そうじゃなくってー。」

 

春蘭「何だ。早く言え。」

 

沙和「村の人に配ってた食糧が足りなくなっちゃったの。代わりに行軍用の糧食を配ってもいいですかー?」

 

華琳「・・・栄華、糧食の余裕は?」

 

栄華「数日分はありますけれど・・・義勇軍が加わった分の影響もありますし、ここで使い切ってしまっては身動きが取れなくなってしまいますわ。」

 

桂花「・・・とはいえ、ここで出し渋れば騒ぎになりかねないわよ。」

 

栄華「分かっています。既に補充の手配はしてありますから、それがこちらに着くのが・・・そうですわね。3日分なら、出しても構いませんわ。」

 

沙和「3日分ね。わかりましたなのー。」

 

凪「すみません。我々の持ってきた糧食があれば良かったのですが、先程の戦闘であらかた焼かれてしまいまして・・・。」

 

栄華「焼けてしまったものは仕方ありませんわ。悔やめば灰が食べられるようになるわけでもなし、あるもので何とかしましょう。」

 

その時、

 

純「・・・糧食・・・。ふっ、その手があったか・・・。」

 

華琳「・・・純?」

 

純の言葉に皆の視線が再び純に集まる。

 

純「部隊の規模が大きくなればなるほど、糧食の数は増えていく・・・。」

 

香風「・・・あー。」

 

秋蘭「・・・なるほど。」

 

純「流石秋蘭。分かったようだな。香風も。」

 

稟「なるほど。流石です。」

 

風「その手がありましたか~。」

 

季衣「にゃ?」

 

栄華「ああ、その手がありましたわね。桂花さん。」

 

桂花「分かってるわよ。・・・今どうすれば良いか考えてるんだから、声を掛けないで。」

 

春蘭「どういう意味だ?」

 

華琳「流石ね、純。」

 

真桜「流石大将やないの。」

 

春蘭「お、おい・・・!華侖がいないと、分かっていないのは私だけのようではないか!」

 

季衣「春蘭様、大丈夫です。僕も分かりません!」

 

純「あいつら黃巾党は、今や大部隊まで発展している。現地調達だけでは武器、食糧を賄いきるのは不可能だ。どこかに、連中の物資の集積地があるはず。そこを叩けば、情報だって集まるし、仮に何も無くても相手に確実に打撃を与えられる。もっと運が良ければ、張3姉妹がいるかもしれない。」

 

華琳「ええ。桂花。」

 

桂花「はい。周辺の地図から物資を集積出来そうな場所の候補を絞り、それぞれに偵察部隊を向かわせます。」

 

華琳「任せるわ。物資の集積場所だけでなく、搬入と搬出に使えそうな道や痕跡も見逃さないようにしなさい。いいわね?」

 

桂花「もちろんです!」

 

純「稟と風も頼めるか?」

 

稟「お任せ下さい。」

 

風「お任せなのですよ~。」

 

純「他の者は、桂花達の偵察経路が定まり次第、出発しろ。それまでに準備を済ませておくこと!」

 

春蘭「はいっ!」

 

季衣「分かりました!」

 

華琳「相手の動きは極めて流動的だわ。仕留めるには、こちらも情報収集の早さが勝負よ。皆、可能な限り迅速に行動なさい!」

 

そして、それぞれ即座に行動を移したのであった。

 

 

 

 

それから数日後、

 

 

 

 

華琳「既に廃棄された砦ね・・・良い場所を見つけたものだわ。」

 

凪「敵の本隊は近くに現れた官軍を迎撃しに行っているようです。残る兵力は1万がせいぜいかと。」

 

純「ふん。だから砦を捨てて逃げようとしてんだろうな。」

 

春蘭「はい。そうでしょうね。」

 

栄華「正直、ここまで使い捨てられると良い気分ではありませんわ。砦をひとつ建てるのに、一体いくらかかると思っていますの。」

 

純「お前らしい考えだな。」

 

春蘭「その身軽さと神出鬼没が連中の強みなんだから、仕方ないな。」

 

純「ああ。もう少し遅かったら、この砦はもぬけの殻だったな。」

 

華琳「いずれにしても、厄介きわまりない相手に一当てする絶好の機会でしょう。・・・それで凪、こちらの兵は?」

 

凪「我ら義勇軍と併せて、八千と少々です。向こうはこちらに気付いていませんし、絶好の機会かと。」

 

純「そうだな。なら、一気に攻め落とすか。」

 

華琳「ええ、そうね。」

 

すると、

 

桂花「華琳様、純様。それに際して、ひとつご提案が。」

 

華琳「何?」

 

桂花「戦闘終了後、全ての隊は手持ちの軍旗を全て砦に立ててから帰らせて下さい。」

 

と桂花が提案したのであった。

 

稟「私も桂花の意見に賛成です。軍旗を立てた方が今後のために良いと思います。」

 

華侖「え、置いて帰るんすか?なんで?」

 

桂花「この砦を落としたのが、我々だと示す為よ。」

 

純「なるほど。黃巾の本隊と戦っているという官軍も、狙いはおそらくここだ。ならば、敵を一掃したこの城に曹旗が翻っていれば・・・。」

 

稟「はい、そういうことです。」

 

華琳「ふふっ、面白いわ。いいでしょう、軍旗を持って帰った隊は厳罰よ。」

 

栄華「まったくもぅ・・・砦もですけれど、軍旗もタダではありませんのよ?」

 

純「ふっ、栄華は反対か?」

 

栄華「・・・いいえ。今後のために必要な策だと理解していますから、結構ですわ。そういう意見がある事だけ、お心に留め置いてくださいまし。」

 

そう言って、栄華はため息をつきながら言った。すると、

 

真桜「せやったら、誰が1番高いところに旗を立てられるのか、競争やな!」

 

凪「こら、真桜。不謹慎だぞ。」

 

華侖「面白そうっすー!あたしもやるっす!」

 

春蘭「ふん。新入りどもに負けるものか。季衣、お前も負けるんじゃないぞ!」

 

季衣「はいっ!もちろんですっ!」

 

香風「いちばん高い所・・・。シャンも頑張る。」

 

凪「・・・むぅ。」

 

純「そうだな。1番高いところに旗を立てられた者には、何か褒美を考えておこう。それでどうでしょう、姉上。」

 

華琳「ふふっ。ええ、良いわよ。」

 

すると、

 

凪「それでしたら、私も頑張ります!」

 

凪が先程の態度と打って変わって、やる気になった。

 

純(急にどうしたんだ?)

 

純がそう思っていると、

 

華琳「ただし、作戦の趣旨は違えないこと。狙うは敵の守備隊の殲滅と、糧食を残らず焼き尽くすことよ。いいわね。」

 

華琳がそう命を下したのであった。

 

春蘭「はっ!」

 

純「それが良いですね。」

 

すると、

 

沙和「あの・・・華琳様?」

 

華琳「何?沙和。」

 

沙和が華琳に質問をしたのであった。

 

沙和「その食料って・・・、さっきの村に持って行っちゃ、ダメなの?」

 

華琳「ダメよ。糧食は全て焼き尽くしなさい。私達の糧食とする事も禁じるわ。」

 

沙和「どうしてなの・・・?」

 

桂花「我が軍は今まで、どこからも略奪を行わずに戦ってきたのよ。」

 

稟「もし盗賊ごときの糧食をかすめ取るような真似をしてしまえば、今まで築いてきた評価が台無しになってしまいます。」

 

純「村に施しを行って手持ちの糧食が心許ないのは事実だが、かといって目の前の賊に売って貰う訳にもいかない。・・・ならば、焼くしかねーんだ。」

 

沙和「けど・・・!」

 

華琳「・・・それに、奪った糧食を村に持って行けば、今度はその村が黃巾党の復讐の対象になるかもしれない。規模は前回とは比較にならないでしょうね。」

 

沙和「・・・あ。」

 

栄華「あの村は既に、警護の増援と糧食を手配していますわ。それで復興の準備は整うはず。お姉様とお兄様はあの村を見捨てるような事はしませんから、安心なさい。」

 

純「そういうことだ。糧食は全て焼け。米一粒たりとも持ち帰ることは許さない。それが奴らの怒りを全てこちらで引き受け、村を守る手段だと理解するんだ。いいな?」

 

沙和「・・・分かったの。」

 

華琳「なら、これで軍議は解散とするわ。先鋒は純と春蘭が務めなさい。」

 

純「はっ。」

 

春蘭「お任せ下さい!」

 

華琳「ならば、この戦をもって、大陸の全てに曹孟徳の名を響き渡らせるわよ。我が覇道はここより始まる!各員、奮励努力せよ!」

 

全員「「「はっ!!」」」

 

華琳「純、各部隊の配置、任せたわよ。」

 

純「御意。」

 

華琳「それと、義勇軍の皆は貴方の下に付けるわ。」

 

純「分かりました。」

 

そう言って、それぞれ各部隊の配置を決めたのであった。

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