恋姫無双〜覇王の弟〜   作:ホークス馬鹿

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21話です。


21話

豫州・沛

 

 

 

 

 

燈「戦況はどうかしら?」

 

沛国将軍A「良くありませんな。」

 

沛国将軍A「既に北門も破られました。その奥に壁を作って、何とか凌いではいますが、いい加減、布きれの連中も痺れを切らしているようです。」

 

燈「大攻勢が来るのも時間の問題か。ここまで半月、よく保ったほうでしょうね。」

 

沛国将軍A「はい。そこらの賊のように、一当てすればすぐ崩れる烏合の衆かと思いましたが・・・、いやはや、敵ながらあっぱれ。なかなかに粘る。」

 

燈「仕方ないわ。報告はもう結構よ、持ち場に戻りなさい。」

 

沛国将軍A「・・・はっ。」

 

そう言い、将軍は部屋を後にした。

 

燈「・・・この状況であっぱれはないでしょうに。」

 

燈「とはいえ、あれの本質が見えない者は、ただの烏合の衆と見誤るか・・・。」

 

喜雨「違うの?暴徒と賊が寄り集まっただけでしょ?」

 

燈「・・・ええ。あれらには、あの黄色い布がある。」

 

喜雨「それが・・・?ただの布だよね?」

 

燈「ええ。私達にとっては、ただの布きれよ。・・・けれど、あの暴徒達にとってはそれこそが自分達の正義の証となる。」

 

喜雨「何それ。意味が分からない。」

 

燈「他に頼れるものもすがれるものもなくなってしまえば、そんなものでも希望に見えてしまうのでしょうね。進んだ道の先には、何もないというのに。」

 

燈「せめてあの布をかざした者が、荒れた土地を開拓する方向や、街を襲う賊に抗う力へと導く者なら良かったでしょうけれど・・・。」

 

喜雨「それって、誰かがあの布を使ってあの集団を操ってるって事?それが・・・、沛の城を囲んでる連中の正体?」

 

燈「恐らくね。力を合わせて沛を落とせば、お米が腹一杯食べられる。皆で協力して、私腹を肥やす悪の相を追い落とそう。・・・せいぜい、その程度の煽りでしょう。」

 

喜雨「母さんを殺しても、何も解決しないのに?」

 

燈「希望を失った民などそんなものよ。それが張角の望んだことか知る由もないけれど・・・、その言葉にすがって走り出した者達は、もう止まることはないでしょうね。」

 

喜雨「でも、沛やこの辺りの郡で生活が苦しい民なんて、もう殆どいないはずだよ。」

 

喜雨「最近は大きな干ばつも起こってないし、税を納めてもご飯はちゃんと食べられてる。暴れてた賊だって、曹操様と曹和様が退治してくれたはずなのに・・・。」

 

燈「黃巾の隆起は、なにも豫州で起こっているだけではないのよ。」

 

燈「東の徐州か、南の揚州か・・・。徐州の陶謙殿の権威も今はだいぶ弱まっているそうだし、揚州は税も重く、徐州以上に荒れていると聞くわ。」

 

燈「そんな場所で集った暴徒が、豊かな沛の都に押し寄せるのは・・・、まあ、当然の流れでしょうね。」

 

喜雨「大陸でも、貧しい所がまだそんなに・・・。」

 

燈「あなたが育てたこの豫州や、力を付けた曹操とその弟曹和が守る兗州が特別なのよ。そんな恵まれた土地は、この大陸からすればほんの一握りに過ぎない。」

 

燈「喜雨も、こんな事に巻き込んで悪かったわね。せめて、連中が城を包囲する前に逃がせれば良かったのだけれど・・・。」

 

喜雨「・・・土を触っていても、嵐が来る事はあるよ。」

 

燈「そうね。・・・けれど、連中が城まで入ってきたら覚悟を決めて頂戴。戦で虜囚となった若い娘は、不幸よ。」

 

喜雨「・・・よく知ってる。村のみんなから、何度も聞いたよ。」

 

燈「そう。なら、この短刀は・・・、あなたの分よ。」

 

そう言って、燈は喜雨に短刀を渡した。

 

喜雨「・・・。」

 

喜雨「でも、出来れば・・・、まだ死にたくはないな。」

 

燈「そうね。私もよ。」

 

喜雨「曹操様達、助けに来てくれないかな。・・・手遅れになる前には何とかしてくれるって、言ってたのに。」

 

燈「こういう時のために貸しは作っておいたし、それを理解出来ない愚物ではないはずだけれどね。」

 

燈「・・・少し、間が悪過ぎた可能性はあるのよねぇ。」

 

すると、外が騒がしいことに喜雨は気付いた。

 

喜雨「・・・何?」

 

燈「いよいよ、向こうの大攻勢が始まったのかしらね。」

 

その時、

 

沛国兵士B「報告です!」

 

兵士が知らせにやって来た。

 

燈「何?」

 

沛国兵士B「城の北方に新しい軍団を確認!」

 

燈「旗は。」

 

沛国兵士B「はっ!旗は曹!陳留の、曹孟徳殿とその弟、曹子元殿です!」

 

喜雨「・・・曹操様と曹和様?」

 

燈「もうここまで来たというの・・・?まさか・・・。」

 

 

 

 

 

沛城城外

 

 

 

 

 

秋蘭「斥候の兵、戻りました。既に沛城は最寄りの北門を始め、主要な門のいくつかが崩壊。黃巾党に城下への侵入を許しているそうです。」

 

秋蘭「ですが、城や門にいまだ陳の旗は健在。陳登殿は不明ですが、陳珪殿はまだ無事と思われます。」

 

華琳「・・・間に合ったようね、純。」

 

純「こちらもなりふり構わずに来たのですから、易々と陥ちてもらっていては困りますよ。」

 

そう言って、純は指示を出した。

 

純「まずは城と、陳珪・陳登親子の確保が最優先だ。その後に賊を捕え、暴徒どもの繋がりを曝く。これだけの規模の賊だ、張角に続く手掛かりは必ずあるぞ。」

 

凪「はっ!」

 

純「稟、桂花。」

 

稟「はい。まずは落とされた北門を集中して攻略します。その後、城の確保と各城門の支援に隊を分割します。」

 

桂花「それと門の攻撃は、内外から同時に行い、門を攻める敵を挟撃して殲滅します。」

 

春蘭「まずは、あの1番近い門を攻めている連中を叩き潰せば良いのだな。」

 

稟「はい。そうです。」

 

桂花「好きなだけ暴れなさい。」

 

春蘭「良い策だ!季衣も行けるな?」

 

季衣「もちろんです!ご飯もお腹いっぱい食べましたから、いくらでも戦えますよーっ!」

 

純「焔耶も、好きに暴れろ!」

 

焔耶「はっ!!」

 

純「よし。ならば、我が陳留の勇者達よ!沛国を襲う脅威を蹴散らし、この地に平穏を!そして、我が国の農の希望を救出せよ!」

 

秋蘭「総員、進撃を開始せよ!」

 

そして、陳珪・陳登親子の救出戦が始まったのであった。

 

 

 

 

 

城内

 

 

 

 

 

春蘭「はあああああああああああああああああああっ!」

 

季衣「でりゃああああああああああああああああああ!」

 

黃巾党A「うわぁぁぁっ!なんだあれは!逃げろ、逃げろぉっ!」

 

黃巾党B「こら、お前らばかり先に逃げるな!逃げるのは俺が先だぁっ!」

 

春蘭「雑魚は捨て置け!まずは城までの道を切り開くのだ!行くぞ、季衣!」

 

季衣「任せて下さい!どりゃああああああああああああっ!」

 

黃巾党C「うわーっ!」

 

純「おーおー、相変わらずだなぁ、春蘭は。」

 

真桜「なんか、弱い者いじめ感はんぱないな・・・。でも、大将はもっと強いんだよな・・・。」

 

沙和「うん・・・。春蘭様達が味方で、ホントに良かったの。」

 

すると、

 

秋蘭「純様。」

 

秋蘭が香風らを引き連れてやって来た。

 

純「秋蘭か。その様子だと、作戦通りにやってるようだな。」

 

秋蘭「はっ。万事滞りなく。」

 

純「そっか。」

 

香風「純様、華琳様がお城の中に行くと。」

 

沙和「えーっと、北門を抜けたら、沙和達は何するんだっけ?」

 

真桜「残った門の開放やな。内側から街中を掃除して回る組と、門の外側に回り込んで敵軍を後ろから叩く側に別れるんやて。」

 

凪「私達は全員、門の外側から賊の背後を叩く側だ。それでは純様、行って参ります。」

 

純「ああ。3人とも、気を付けてな。」

 

そう言って、3人はその場を後にした。

 

香風「なら、シャン達もいこー。」

 

純「そうだな。あの流れを止めるのはさすがにな。」

 

秋蘭「はい。姉者と季衣の手綱は私が何とかします。純様、どうかご無事で。香風も、頼んだぞ。」

 

純「秋蘭もな。」

 

香風「はーい。」

 

 

 

 

 

城内

 

 

 

 

燈「来ていただけたこと、改めて礼を言わせていただきますわ、曹孟徳殿、曹子元殿。・・・正直、間に合わないかと思っていたもの。」

 

華琳「同盟の誼だもの。礼には及ばないわ。」

 

純「既に城には兵を入れて、防備を固めている。城下と城門は今掃除している最中だが、敵の指揮系統は崩壊しているようだし、後は時間の問題だ。」

 

燈「そう・・・。重ね重ね、感謝するわ。」

 

純「陳登も無事だったんだな。」

 

喜雨「うん。何とか助かったよ。・・・ありがとう。」

 

燈「しかし、どうやってここまでこんなに早く来られたの。私の遣いは、賊討伐の遠征先に着いたはずでしょう?」

 

華琳「純の判断で、そこから直接来たのよ。」

 

純「ああ。陳留に戻る時間も惜しかったからな。」

 

燈「そんなに糧食に余裕があったの?」

 

純「いや。手持ちの糧食など、ここに来る道程の半分ももたなかったぞ。」

 

華琳「ええ。そうだったわ。」

 

栄華「ですが、どこの太守や県令も、少し声を掛けただけで今までの恩返しとばかりに快く糧食を貸して下さいましたわ。」

 

純(ま、割増にした代金を後で支払う事を条件にだがな・・・。)

 

栄華「沛国の相殿をよしなに、だそうですわ。」

 

燈「・・・そう。」

 

純「別に緊急時だからって脅したとか、弱みを握ってどうこうってわけじゃねーから、安心しな。」

 

栄華「ええ。涙ながらに訴えただけですわ。こちらも賊退治の連戦で満身創痍ではあるけれど、大切な盟友である沛国の相殿をなんとしてでも助けねばなりません・・・とね。」

 

燈「・・・随分と、大衆受けしそうな手段を取ったものね。」

 

桂花「その方が民の語り草になるでしょう。」

 

稟「はい。こういう時は、危機感や悲壮感を出すくらいの方がちょうどいいので。」

 

純(まあ、だから傷めた装備で移動させたんだけど・・・。)

 

燈「・・・。」

 

華琳「そんな事より、あの連中はどこから現れたの?貴女はともかく、陳登の人望があれば沛の農民が城に攻め入る事などないでしょうに。」

 

喜雨「・・・僕にだってそんな人望はないよ。」

 

栄華「ふふっ。そうでもありませんわよ。」

 

栄華「沛に入った後で道なりの村に声を掛けたら、陳登さんをお助け出来るならお代は結構です・・・という農民の方が後を絶ちませんでしたもの。」

 

喜雨「え、じゃあそれって・・・。」

 

栄華「もちろんこちらも、適正な代金をお支払いさせていただきますわ。今は手持ちがありませんから、買い掛かりにさせていただきましたけれど。」

 

喜雨「・・・そっか。なら良かった。」

 

燈「恐らく、喜雨の力が及ばない、徐州や揚州でしょうね。徐州は押さえの陶謙殿の力も衰えていると聞くし、揚州は徐州以上に無法がまかり通っているそうだから。」

 

純「なるほど・・・。」

 

燈「それでね・・・ちょうど良い機会だし、2人にお願いがあるの。」

 

華琳「これ以上何を求めるつもり?」

 

燈「ええ。・・・あなた達との同盟を解消させてくださらない?」

 

純「・・・ほお。」

 

この宣言に、流石の華琳達は驚き、陳登も驚いていた。

 

華琳「この時期に、随分と一方的な話ね。・・・それで、破棄した後はどうするつもりなの?」

 

燈「ええ。この豫州を、あなた達の下にお預けするわ。」

 

華琳「・・・。」

 

純「・・・。」

 

燈「もはやあなた達には、この沛国・・・いや、私と同盟を結ぶ旨味はないでしょう?」

 

桂花「だからといって、本当に売国の徒となるつもり!?」

 

燈「ふふっ。今さらでしょうに。」

 

燈「・・・曹洪殿、正直に答えていただきたいわ。先程の件、ここまでの通り道で立ち寄った沛の県令達は、みな本当に喜んで糧食を差し出してくれたのではなくて?」

 

栄華「・・・。」

 

彼女の問いに、栄華は図星だったのか、何も答えなかったのであった。

 

燈「曹子廉殿。遠慮は無用よ。」

 

栄華「・・・県を預かる令ともあろう者達が、私のような遣いの小娘に媚びへつらう・・・とてもおぞましい光景でしたわ。正直、二度と思い出したくありませんわね。」

 

純「つまり・・・」

 

桂花「黃巾の暴徒如きにいいようにされる陳珪に見切りを付けて、華琳様と純様に乗り換えたって事です。」

 

稟「はい。桂花の仰る通りです。」

 

燈「軍師殿は本当に遠慮が無いわね・・・。」

 

燈「でも、残念ながらその通りよ。恐らく、豫州の他の郡でも状況は変わらないでしょう。」

 

華琳「陳珪・・・。」

 

純「・・・。」

 

燈「豫州はもはや、あなた達のものという事よ。私が何をしようとね。」

 

華琳「・・・そう仕向けたのは、あなたでしょうに。」

 

燈「・・・で、どう?外の戦いももうすぐ終わるでしょう。今の内に決めておいた方が、戦後処理に手間取らなくて済むと思うのだけれど?」

 

純「なら・・・1つだけ答えろ。」

 

燈「何なりと。」

 

純「お前の目的は、何だったんだ?姉上を州牧にまで引き上げ、自分の属する州を売り渡すような真似までして・・・お前は、一体何を見ていたんだ?」

 

燈「そうね・・・。」

 

すると、陳珪は穏やかな微笑みを浮かべ、

 

燈「有能な後進に道を与えたかった、ではダメかしら?」

 

そう答えたのであった。

 

純「本当のことを言いな。」

 

華琳「ええ。おためごかしは嫌いよ。」

 

燈「・・・なら、この地を守るための大樹が欲しかった、とでも言えば満足する?」

 

華琳「育てた大樹に屋敷を潰されていては世話はないわね。」

 

燈「そうね。それでも、大樹の陰や洞を新しい家とすることは出来るわ。」

 

そう言い、何か憑きものが落ちたように感じた純であった。

 

燈「何よりこれからは、国ごとその大樹の恩恵に預かっていられるのだもの。国1つを差し出した対価としては、まずまずだわ。」

 

華琳「貴女には為政者としての誇りはないの?」

 

燈「この土地と民もろとも果てるのが為政者の誇りというなら、そんなものはとうに捨ててしまったわね。」

 

華琳「・・・。」

 

純「・・・。」

 

燈「ふふっ。あなた達のその顔が見られただけでも、十分な対価な気がしてきたわ。」

 

華琳「・・・その言葉、私達の寝首を掻いた時にも口にするつもり?」

 

燈「さあ?そんな時が来ない事を願うだけだわ。もっとも、弟の場合は返り討ちに合うやもしれないわね。」

 

燈「・・・さて、曹孟徳殿。曹子元殿。我が真名を預けるに足るお方よ。我が恭順を受け入れるや。あるいは我が首を刎ねた血と屍の上に立ち、此の地の主となるや。」

 

華琳「・・・。」

 

純「・・・。」

 

香風「華琳様ー。純様ー。外の制圧、終わったって。」

 

燈「・・・曹孟徳殿。曹子元殿。いざ。」

 

そして、華琳と純は小さくため息を吐いて、

 

華琳「・・・いいでしょう。ならばその真名とこの地、私達に預けなさい。」

 

燈「・・・御意。」

 

 

 

 

陳留に向かうその道中、

 

 

 

 

純「姉上、燈をあのままして良かったでしょうか?」

 

華琳「沛の事後処理もあるし、ひとまずの処置よ。まあ、しばらくはこのままでしょうね。」

 

純「そうですね。これは燈自身が片付ける問題ですし、何より喜雨もいますからね。」

 

華琳「ええ、そうよ。」

 

すると純は、後ろを振り返り、

 

純「お前達、ずーっと黙ってたけど、不満だったろう?」

 

そう言った。すると、

 

桂花「はい、不満です。」

 

桂花がそう言ったのであった。

 

桂花「でも、燈が怪しいのは前々からずっと言っていたことですし、今さら言っても仕方ないです。」

 

稟「はい。私も桂花の意見に同感です。」

 

栄華「それに、お姉様の事ですもの、どうせいつもの・・・」

 

華琳「ええ。罠があるなら食い破る、それだけよ。」

 

純「なるほど・・・。」

 

春蘭「華琳様と純様の領地が増えるのだ。何にせよ、めでたいことではないか。お前達もうだうだ言っていないで、素直に喜べ。」

 

桂花「戦働きするだけだと色々考えなくて、楽で良いわね。」

 

と、春蘭に対して皮肉を言うと、

 

春蘭「ふふん、羨ましいか。」

 

そう返されたのであった。

 

桂花「・・・その厚かましさ、羨ましいを通り越して腹立たしいんだけど。」

 

栄華「いずれにしても、燈さんを信用出来ないのは今までと何一つ変わりませんわ。信用の置ける者を補佐に入れて、監視の目を強くするくらいしかありませんわね。」

 

華琳「・・・。」

 

純「姉上、如何なさいましたか?」

 

華琳「いえ、何か忘れている気がするのよ・・・。」

 

純「賊の城に旗を立てて、1番高い所に立てることが出来たら褒美をやるというお話では?」

 

華琳「ああ、そうだったわね。」

 

純「確か、2番目が凪だったんだよな?」

 

凪「はい。後一歩及ばずでした。」

 

そう言って、凪は悔しそうにしていた。

 

純「焔耶は4番目と?」

 

焔耶「はい。春蘭様に及ばず。」

 

焔耶も悔しそうな表情であったが、

 

春蘭「いや、お前もなかなかだったぞ。流石純様の家臣だな。」

 

春蘭がそう褒めたのであった。

 

純「では焔耶、此度の褒美として、お前には俺の隊の指揮の一部を委ねる。」

 

焔耶「え!?宜しいのですか!?」

 

純「ああ。まだまだ未熟な所もあるが、お前の武とその指揮には、光るものがあったからな。頼んだぞ。」

 

それを聞いた焔耶は、稟の時と同様、全身が熱くなるように感じた。慕っている主からの期待と信頼に歓喜したのだ。

 

焔耶「はっ!!期待に応えれるよう、全力でお館をお支えします!!」

 

純「ああ。」

 

そして、

 

純「2番の凪には俺が褒美を出してやろう。」

 

純がそう言ったのであった。すると、

 

凪「本当ですか!?」

 

凪が食いついてきた。

 

純「ああ、何が望みだ?」

 

すると、

 

凪「では私を純様の傍に置いて下さい!!」

 

そう言ったのである。

 

純「ほお、それは何故だ?」

 

凪「私は純様の傍で、色々学びたいのです。あなたについて行けば、私はもっと強くなれる気がするんです!お願いします!!」

 

そう言われて、純は華琳の方を見た。すると、

 

華琳「構わないわ。純、彼女の望みを叶えてやりなさい。」

 

そう答えたのであった。

 

純「分かった。では、俺の傍で仕えろ。真桜と沙和はどうする?」

 

真桜「ウチも凪について行くでー。」

 

沙和「沙和もなのー!」

 

他の2人もそう言ったので、

 

純「分かった。宜しくな。」

 

そう言ったのであった。

 

華琳「あなた達、純は我が軍随一の武人でもあり、私が最も信頼の置ける者よ。ついて行くのは大変だろうけど、頑張りなさい。必ず、大きく成長出来るはずよ。そして、純に仕えてる焔耶、郭嘉、風とも、互いに成長し合うのよ。」

 

そう華琳が伝えると、

 

凪「はっ!!」

 

真桜「はいよー!!」

 

沙和「はいなのー!!」

 

凪ら三羽烏はそう答えたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

燈「・・・ふふっ。」

 

その頃、燈は1本の短刀を見つめていた。

 

喜雨「母さん・・・?」

 

燈「・・・ああ、喜雨。まだ起きていたのね。」

 

喜雨「少し眠れなくて。・・・どうかした?」

 

燈「ええ、ちょうど良かったわ。これを・・・預かっておいて欲しいの。」

 

そう言って、喜雨に短刀を渡したのであった。

 

喜雨「これって・・・母さんの分の短刀?まさか、母さん・・・。」

 

燈「大丈夫よ。ここで自ら命を絶つほど、私は繊細な世界に生きていないわ。」

 

喜雨「・・・そう。」

 

燈「明日から陳留でしょう。早く眠ってしまいなさい。」

 

喜雨「うん・・・そうするよ。・・・母さんも、早く寝てね。」

 

燈「ええ・・・。」

 

そう言って、喜雨は部屋を後にしたのであった。

 

燈「・・・あれが、英雄というのでしょうね。」

 

燈「・・・されど英雄は、ただの1人で成るものではなし。」

 

燈「諸子百家然り、秦王政然り、項羽と劉邦然り・・・。」

 

燈「曹孟徳。曹子元。この先も英雄たらんとするならば、この先あなた達姉弟を育て、導き、競い合うのは、果たして・・・一体、誰なのかしらね。」

 

燈「・・・その行く末、見届けさせて貰うわ。我が大樹。」

 

そう、1人部屋の中で呟いたのであった。

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