青州中央部
沛の一件から数日後、純は五千の兵を率いて青州に来ていた。その理由は、皇甫嵩からの援軍の要請に応え、姉の華琳に代わって出陣していたのである。
出陣する際、秋蘭、焔耶、稟、風を引き連れていたのである。三羽烏は、陳留の街の警備を一任しているため、連れてきてはいないのである。
現在、本陣に到着し、陣幕は焔耶と風に任せ、皇甫嵩のいる天幕へと向かっていた。
兵士A「名を申せ。」
純「兗州州牧曹孟徳の名代として参った、曹子元です。」
兵士A「了解した、では武器をこちらに。」
純「分かりました。行くぞ、秋蘭、稟。」
秋・稟「「御意。」」
そう言って、純は刀を兵士に預け、天幕に入っていったのであった。すると、既に先客がおり、桃色の髪をした少女と、白い衣を着た少年、そして、綺麗な長い黒髪の少女とペレー帽を被っている少女がいたのであった。
純「兗州州牧曹孟徳が弟、曹子元と申します。こちらは副官の夏侯妙才と軍師の郭奉孝。何卒宜しくお願い致します。」
皇甫嵩「こちらこそ宜しくお願いするわ。子元殿。そしてこの者達は、平原から参った劉玄徳の一味よ。」
純「宜しく頼む。」
そう言い、拱手したのであった。
劉備「宜しくお願いします。劉玄徳です。」
北郷「俺は北郷一刀。」
諸葛亮「諸葛亮でしゅ!はわわ!!」
関羽「関雲長も申します。」
それに対し、劉備達はそれぞれ簡単に挨拶をし、諸葛亮に関しては、噛んでしまったのであった。
純「それで、皇甫嵩殿、戦況は?」
すると、
皇甫嵩「ええ。極めて良くないわ。あなた方が来てくれて、どれだけ頼もしいか。作戦に関しては、あなた達に任せるわ。」
と皇甫嵩は、言ったのであった。
純「分かりました。秋蘭、稟の守りを頼む。俺は先に天幕に戻るから。」
秋蘭「御意。」
そう言い、兵士に刀を返して貰い、天幕に戻った。
曹和軍天幕
風「では焔耶ちゃん。この模型を使って8種類の陣形を作り上げて下さい。」
焔耶「うむ。これが魚鱗だ。」
風「はい~、正解です~。では次です。」
焔耶「えーっと、これが鋒矢だ。」
風「はい~、正解です~。流石焔耶ちゃん、しっかり学んでますね~。」
焔耶「うむ。お館を支えると決めた身、こういった兵法もしっかり覚えねば。」
風「おお~。流石焔耶ちゃん、風は感動しました~。」
その時、
純「戻ったぞ。」
純が戻ったのであった。
焔耶「お館、お帰りなさいませ。」
風「純様、お帰りなさいです~。」
純「焔耶、しっかり勉強しているようだな。」
風「はい~。もう風も驚いております~。ここまで飲み込みが早いと、風は教え甲斐があります~。稟ちゃんも同じ事を言ってますよ~。」
純「そうか。今後とも励めよ。」
焔耶「はっ!」
そして、暫くすると、秋蘭と稟が戻ってきたのであった。
純「お帰り。んでどんな感じ?」
稟「はい。二手に分かれて攻めるという形になりました。東は劉備軍、西は我らと官軍という形です。」
純「そうか。ご苦労だった。皆、明日の準備をしてくれ。解散!」
そう言って、それぞれ明日の準備をしに行ったのであった。
それから数時間後、秋蘭は純に呼ばれ、幕に向かっていた。そして、守兵に挨拶をし、
秋蘭「純様、秋蘭です。入っても宜しいでしょうか?」
そう言った。すると中から、
純「入れ。」
そう言われて、秋蘭は幕に入ったのであった。その時、純は机に向かい書状を読んでいたが、秋蘭が来るなり、
純「来たか。此処に座って。」
と胡座の上に座るよう促した。
秋蘭「書状はいいのですか?」
純「ああ。急ぎではないからな。」
そして、秋蘭は指示のまま純の胡座の上に座り、背を預けたのであった。
秋蘭「・・・少しは落ち着きましたか?」
純「・・・ああ。」
そう言って、純は秋蘭を抱き締めた。
純「お前と久しぶりに組むから、昂ぶっちゃってな。」
秋蘭「そうですね。私も久しぶりで少し舞い上がっております。」
純「・・・そうか。」
そう言って、純は秋蘭を更に強く抱き締め、髪の匂いを嗅いだり、首に顔を埋めたりした。秋蘭は擽ったそうにするが嫌がることなくされるがままとなっていたのである。
そして、純は秋蘭の顎を指で軽く掴み此方に向けさせた。すると、秋蘭は潤んだ瞳で純を見上げ、唇から吐息が漏れる。純はそのまま唇を奪う。最初は触れ合うだけだったが、次第にもっと深くという思いが支配し、秋蘭から純の口の中に舌を入れたのである。
純もそれに応えるよう秋蘭の舌に自分の舌を絡めたりしながら、秋蘭の口の中を蹂躙する。いつの間にか純と秋蘭は抱き合う様な格好になっていたのであった。
そして、純は唇を離し、
純「続きは帰ってからな。」
と言ったのであった。すると秋蘭は、少し不満そうな顔をしながら
秋蘭「・・・生殺しですか。辛いです。」
そう言ったのだが、
純「今は戦の時。帰ったら、お前の望み通りにしてやる。その時は、眠れなくなるくらい可愛がってやる。」
そう純は、秋蘭の耳元で囁いたのであった。それに秋蘭は背筋にゾクリとした震えを感じ、
秋蘭「・・・はい!」
喜色満面の笑みで返事をしたのであった。
純「でも、今日は一緒に寝よ。」
そして、お互い抱き合うように倒れる。
純「・・・へへ。お休み、秋蘭。」
秋蘭「はい、お休みなさいませ、純様。」
そう言い、互いに抱き締め合いながら眠ったのであった。
翌日
稟「それでは、今回使用する策を説明させていただきます。」
純「その前に、皇甫嵩殿。一応我らと官軍は一緒に行動しますが、我らの作戦に従って良いのですか?」
皇甫嵩「ええ、構わないわ。現状あなた達が頼りですし、あなた達に任せます。」
純「分かりました。すまんな稟、続きを。」
稟「はっ。まず、中郎将殿と秋蘭様で騎兵を率い、賊軍に奇襲を仕掛けて下さい。ある程度成功したら・・・」
そう言って、稟は地図に書いてある目の前の森を指さし、
稟「この森を一直線に駆け抜けて下さい。風は、賊軍が森に入り、中郎将殿達が抜けた頃合いを見計らって、森に火を放ち、即座に撤退して下さい。そして、焔耶は、四方より取り囲み、敵を殺戮、及び殲滅して下さい。」
純「よし、その策で行こう。」
皇甫嵩「ええ。良い策だわ。」
そして、各自準備を始めたのであった。
数時間後、戦闘が始まった。
皇甫嵩「奇襲は成功したわね。後はこの撤退の時機を間違えないことだわ・・・。」
すると、
伝令兵「伝令!『そろそろ策を始動する』とのこと!」
皇甫嵩「ええ、分かったわ。全軍、撤退!!」
秋蘭「全軍、一時撤退する、退け!!」
そう言い、皇甫嵩と秋蘭の騎兵は撤退を始めたのであった。
森
兵士A「程昱様!中郎将様と夏侯淵様の撤退が完了しました!」
兵士B「賊軍が完全に森の中に侵入しました!」
それを聞いた風は、
風「では皆さん、石火矢を構えて下さい~。全軍、放て!!」
そう言って、全軍石火矢を放った。すると、森はあっという間に燃え広がった。
風「では皆さん、撤退を開始して下さい~。後は焔耶ちゃんが何とかしてくれますよ~。」
そう言って、風の部隊は撤退を始めたのであった。
一方焔耶は、
焔耶「おおー。策が成功した。よし、奴らを殲滅するぞ!!」
兵士「「「おおーっ!!」」」
そして、黃巾党を殺戮していった。すると、
首領「ひぃーっ!これはどういうことだー!」
黃巾の将らしき者が目の前で叫んでいたのであった。
焔耶「賊将、この私が討ち取ってやる。覚悟ーっ!!」
首領「なんだとぅ!貴様を討てば何とかなる、死ねーっ!!」
そう言って、焔耶に突撃するが、
焔耶「はあっ!!」
彼女の敵ではなく、一撃で討ち取られたのであった。
焔耶「敵将、この魏文長が討ち取った!!」
兵士「「「おおーっ!!」」」
こうして黃巾の戦いは終了したのであった。
官軍天幕
そして純は、秋蘭と稟を引き連れて、皇甫嵩のいる天幕に向かった。
純「皇甫嵩殿、お疲れ様です。」
皇甫嵩「ええ。夏侯淵殿の巧みな指揮と郭嘉殿の策、そして魏延殿の武勇のおかげだわ。」
秋蘭「ありがとうございます。」
稟「恐縮です。」
純「それで、劉備軍の方は?」
皇甫嵩「完了したとのお知らせが来たわ。」
純「そうですか。」
その後、劉備達が皇甫嵩の陣に来た。
純「劉備もお疲れ様。」
劉備「あ、はい。ありがとうございます。でも、私はあなたに今回の戦で一言言いたい事があるのです!」
関羽「桃香様!お辞め下さい!相手は曹和殿です。ご主人様も何とか言って下さい!」
北郷「・・・。」
純(なんだ?何か邪険にされるような事やったか?)
すると劉備は、
劉備「この度のあなた達の行いは間違っております!いくら賊とは言え、それを殺戮、殲滅するなんて酷すぎます!中郎将様もどうしてこのような策に従ったのですか!?」
そう言って、今度は皇甫嵩にも怒鳴るように言ったのであった。
関羽「桃香様!相手は中郎将様です!」
北郷「止めるな愛紗!俺も桃香の意見に同感だ!」
関羽「ご主人様!!」
すると、
純「言いたい事はそれだけか?」
純は劉備達とは対照的に比較的冷静な態度で対応したのであった。
劉備「それだけとは何ですか!!」
北郷「そうだ!!どういう事だ!!」
そう劉備は言い返し、北郷は純に殴りかかったが、秋蘭に拳を掴まれ、地面に押さえ込まれた。
秋蘭「貴様、誰を殴ろうとした・・・。」
北郷「く、くそ・・・。」
純「秋蘭、離してやれ。」
秋蘭「し、しかし・・・。」
純「良いから。」
秋蘭「・・・御意。」
そう言って、北郷を解放した。
純「所詮それだけだろう。奴らは人を殺め、物を略奪し、そのまま暴徒と化した。中にはやむなく参加した者もいるかもしれん。しかし、それでも他の奴らと何ら変わりはない。かような者に、慈悲など必要ない。そもそも、この戦は皇甫嵩殿からの黃巾党の討伐の援軍要請。その目的を違えた事を俺達は行ったか?」
その問いに、劉備と北郷は完全に沈黙してしまった。
皇甫嵩「劉備!貴女は風鈴の教え子として目を掛けていたけど、今回は許せないわ!それに今回の私達の賊の対応は全く間違っていないと思うわ!もしあそこで許し、また被害が出たらどうするつもりなの!?」
桃香「そ、それは・・・。」
皇甫嵩「何も言えないなら、軽率な発言をするのは辞めなさい!!」
そう言って、劉備を完全に黙らせたのであった。
劉備「・・・っ!!失礼します!!」
そう言って、劉備は天幕を後にした。
北郷「桃香!!おい、お前、桃香に散々酷い事言いやがって!!間違ってるのはお前らだろうが!!」
すると、北郷は純にそう言ったのであった。
関羽「ご主人様!!これ以上立場を危うくするのはお辞め下さい!!」
そう言って、関羽は必死に諫めた。すると、
北郷「・・・ちっ!!」
舌打ちしてその場を後にしたのであった。
関羽「ご主人様!!」
すると、関羽は振り返って、
関羽「申し訳ありません!!中郎将様!!曹和殿!!」
北郷の行為に必死に謝罪した。
純「いや、気にするな。」
皇甫嵩「私もよ、関羽殿。気にしないで良いわ。」
関羽「し、しかし・・・。」
純「関羽、気に病む必要はない。その代わり、その武勇、今後とも民のために振るってくれ。」
そう言われて、関羽は申し訳なさそうな顔で拱手し、その場を後にした。
皇甫嵩「申し訳なかったわ。まさかあの子があんなことを言うなんて。」
純「いえ、お気になさらず。しかし、先程彼女の師の真名らしきものを呼びましたが。」
皇甫嵩「ああ、風鈴、蘆植の真名よ。」
純「ほお。蘆植殿の・・・。」
皇甫嵩「ええ。蘆植殿もよく言っていたわ。正義感が強く、争い事が嫌いなのだけど、理想と現実の区別がつかなくなってて、何度も諭したのだけど、全く耳を貸してくれなかったと。」
純「そうですか。しかし、あの調子だと、北郷と申す者も・・・。」
皇甫嵩「ええ。恐らく劉備の思想に共感したのかもしれないわね。関羽も大変ね。」
純「それを言うなら、この場にはいなかったですが、諸葛亮も苦労してるかと・・・。」
皇甫嵩「ええ。そうなのかもしれないわね・・・。」
そう言い、天幕には暫く沈黙が支配したのであった。
道中
純「いやー、終わった終わった。」
秋蘭「しかし、あの劉備らはなんと申しますか・・・。噂と違ってましたね。」
純「そうだったな。しかし、今後俺や姉上にとって、大きな敵になるやもな。理想とは、一種の美酒と同じだ、人を酔わせる。もしかしたら北郷も、その美酒に酔ってるのやもしれねーな。劉備然り。張飛然り。」
秋蘭「はい・・・。」
純「あの調子じゃ、関羽も苦労してそうだな。恐らく諸葛亮も。」
秋蘭「そのようですね・・・。」
稟「純様。劉備達にはもう1人軍師がいます。」
純「ほお、誰だ?」
稟「純様は臥龍鳳雛はご存じですか?」
純「ああ、知ってる。水鏡の秘蔵っ子で、臥龍は諸葛亮の事だが・・・、まさか・・・。」
稟「はい。あの場にはいませんでしたが、鳳雛、龐統も仕えております。」
純「そっか・・・。なら尚更、警戒しねーとな。」
稟「はい。」
純「それはそうと、焔耶と風、お前ら良くやったな。焔耶なんか、敵将の首を取るとはな。」
焔耶「はっ!!ありがたきお言葉!!」
風「はい~!!」
純「秋蘭、お前もうかうかしてらんねーな。」
秋蘭「いえいえ。まだ焔耶には負けるつもりはありませんよ。」
焔耶「私もです、秋蘭様。」
そう言ったのであった。
その後、陳留に帰還後、華琳に報告した純は、その夜秋蘭を自身の部屋に呼び、先日の約束通り、眠れなくなるくらい可愛がったのであった。