お久し振りです。何とか投稿できました。次回がいつ投稿できるか分かりませんので、申し訳ありませんが、気長にお待ち下さい。
それでは、どうぞ。
司隷・洛陽
季衣「でっかーい。」
春蘭「どうだ季衣、驚いたか。」
栄華「・・・別に春蘭さんが誇るところではありませんでしょう?」
季衣「でも、陳留も大きいって思ってたけど、もっと大きい街があるんですねぇ。すごいなぁ・・・。」
純「はは。しかし、都は久し振りですね、姉上。」
華琳「ええ、そうね。」
純「懐かしいですね。覚えてます?姉上が北部都尉に任命された時の事。」
華琳「ええ、覚えてるわ。赴任当初は酷かったわね。」
燈「私もその噂は聞きましたわ。」
季衣「華琳様!純様!聞かせて下さい!」
そう言って、華琳は昔のこと語った。
回想・数年前
華琳が北部都尉に任命され、純と春蘭、秋蘭と一緒に向かったのだが、あまり良い地域とはいえなかった。施しを求めるだけでなく、犯罪が横行しており、肝心の役所もしっかり対応していなかった。その都尉府の門番も居眠りをしているほどである。
春蘭「彼奴らー!!」
秋蘭「・・・。」
それを見た春蘭と秋蘭は、怒って門番を起こし、殴ろうとしたが、
純「待て、お前ら。」
純が2人を止めたのである。
秋蘭「し、しかし・・・。」
春蘭「そうです、純様。止める必要はありません!!」
純「安心しろ。然るべき処置はとる。」
華琳「そうね。さあ、入るわよ。」
そう言って、役所の中へ入っていった。
華琳「春蘭。」
春蘭「はっ。」
華琳「二刻ほど後に大鍋2つ分の粥を用意してくれないかしら?くれぐれも熱くもなく、冷たくもなくね。良いわね。」
春蘭「なんとお優しい!鍋をもんぜ・・・」
華琳「いいえ。入口の目立たない場所に置いておくのよ、行きなさい。」
春蘭「は、はぁ・・・?」
よく分からないといった顔をしていた春蘭であったが、すぐに華琳の命令に従い、その場を後にしたのであった。
純「秋蘭。」
秋蘭「はっ。」
純「人手を借りたい。後ほど幾人か曹家から兵をよこしてくれ。門外に囲いを立て、『静粛に』と札を掛ける。」
秋蘭「・・・目的は分かりませんが、承知しました。すぐに手配します。」
純「それから・・・」
秋蘭「はっ。門番を起こさないように、ですよね。」
純「そっ、頼んだぞ。後、棍棒も持ってくるように。それも2本。」
秋蘭「御意。」
そう言って、秋蘭もその場を後にしたのであった。そして、華琳と純は役所の中に入ったのであった。
そこは、明らかにしばらく使っていないようであり、煤や埃が溜まっていた。それを見た華琳と純は、呆れた表情を浮かべたのであった。
純「これは想像以上にひどいですね。」
華琳「奴らは当てにならないわ。私達自ら、掃除するしかないわね。」
純「そうですな。しかし、とても役所とは思えませんね。」
華琳「そうね。だからこの地域は治安が悪いのよ。」
純「俺達が何とかしなければなりませんね。」
華琳「ええ。」
そう言って、掃除を始めたのであった。
回想終了
栄華「そんなことがありましたわね。あの日の後、お姉様とお兄様の煤と埃だらけのお姿を見て驚きましたもの。」
純「はは。それは悪かった。」
季衣「それで、それからどうしたんですか!」
華琳「そうね、それから私達はこうしたのよ。」
そう言って、華琳は話の続きをした。
回想
二刻後、北部都尉府の前には老若男女問わず大勢の人が集まった。そして、華琳の命で持ってきた粥に驚きと戸惑いを浮かべていたのであった。
華琳「よく集まってくれたわ。私はここの北部都尉に任命された、曹操よ。そして、我が弟の曹和。臣下の夏侯惇、夏侯淵よ。」
そして、大鍋に入っている粥を指差して言った。
華琳「見ての通り、2つの大鍋には粥が入っているわ。今日より、ここ北部都尉府門前に、毎日粥を置く。鍋でも食べても良いわ!」
そう言うと、集まった人々は喜びの声を上げた。しかし、
純「ただし、1人1杯だけだ!」
純がそう言うと、人々は一転してブーイングの声を上げた。
華琳「1杯にするのは、あなた達を飢え死にさせないためよ。役所の裏には広い空き地がある。後ほどそこに道具を揃えておくわ。」
純「女は、天幕を織れ!男は北部都尉府の兵に志願すれば、俺と夏侯惇、夏侯淵が毎日訓練に付き合ってあげよう、軍事訓練だ。飯も食えるし、夜も眠れる。しかし、物乞いをする事は許さぬ!」
その発言に、
市民A「どうやって生きていくんだ・・・?」
市民B「どうすりゃ良いんだよ・・・?」
市民は戸惑っていた。
純「それを教えてやろう。毎日1杯の粥を施されるより、生きる術を身に付け働き、肉を食え!」
そう言うと、
市民「「「うおー!!」」」
市民は大盛り上がりであった。その反応に満足した華琳はこう述べた。
華琳「すなわち、怠け者は養わないわ。暇人も。見えるかしら、まさに怠け者、暇人よ。」
そう言って、後ろに指を指すと、先程居眠りをしていた門番がいた。
門番A「曹操様!曹和様!お許しを!!」
門番B「お助けを!!」
春蘭「跪け、貴様ら!!」
そう言われ、市民達の前に引きずり出された。
純「秋蘭。」
秋蘭「はっ。」
純「棍棒を持った兵は用意したか?」
秋蘭「はい、ご命令通りに。」
純「こいつらの前に出せ。」
秋蘭「はっ、出ろ。」
そう言って、秋蘭は兵士を門番の前に出した。
純「50打て!済んだらとっとと帰れ!」
そして、門番は50回棍棒に打たれたのであった。それを見た華琳は、
華琳「純。」
純「はっ。」
華琳「明日棍棒を5本用意しなさい。出来れば倍の太さを。別々の色を塗り、棚を置いて、そこに並べておきなさい。」
純「五色棒ですか。分かりました、すぐに手配します。」
華琳「春蘭、皆に粥を配りなさい!」
春蘭「はっ!さあさあ並べ、押すなよ!」
そして、1日を終えたのであった。
回想終了
季衣「へえ、スゴイですね!!」
春蘭「そうだろう。」
栄華「別に春蘭さんが命令したわけでもありませんのに・・・。」
純「はは。後、姉上。蹇碩の叔父の件は覚えてますよね?」
華琳「ええ、覚えてるわ。」
季衣「それって、どんな事が起きたのですか?」
純「あれはな、姉上が北部都尉に任命されてしばらくが経った時だ・・・。」
回想
北部都尉兵士A「時すでに2更!出歩くことは控えよ!夜遊びは禁ず!」
華琳が北部都尉に任命され、華侖と柳琳、栄華も北部都尉府に入った。そして、まず華琳が決めたことは、夜間の出歩きの禁止である。それによって、酔っ払いが騒ぐこともなくなり、治安が一気に回復したのであった。その日の夜、事件が起きた。
蹇碩叔父「飲み足りぬぞ!!」
酒場店主「ああ、駄目です!!店仕舞いしますので、どうかお帰り下さい!!」
蹇碩叔父「うるさい!!」
酒場店主「ああっ!!」
その時、
春蘭「何事だ!!何の騒ぎだ!!」
春蘭と秋蘭が兵を引き連れてやって来た。
酒場店主「お聞き下さいませ!!2更を過ぎたのにこの方が帰って下さらないのです!!酒を出せと言われても出来ませぬ!!禁止令に背く事に!!」
蹇碩叔父「うるさい、黙っておれ!!貴様の都合など、どうでも良い。俺様は飲みたい時に飲むのだ!!たかが洛陽北部都尉とその弟如きが、夜間通行禁止令だと!?下らぬ事を!!」
春蘭「貴様ー!!」
秋蘭「純様を愚弄するとは!!」
そう言って、春蘭と秋蘭は逮捕しようとしたが、
蹇碩叔父「捕まえるものなら捕まえてみろ!!俺様は蹇碩の叔父だぞ!!」
そう言うと、
春・秋「「!?」」
春蘭と秋蘭は妥協してしまった。それもそのはず、蹇碩は現皇帝のお気に入りの宦官であったからだ。
蹇碩叔父「はっはっはっ!!やっと分かったか!!今宵は見逃しておけ。穏便に済ませろ。お互いの将来にとって、その方が良い。少し酒を飲んで、時を忘れただけなのだ。次は遅くならぬ。二度とお前らの手を煩わせる事はない。」
その時、
純「次などあり得んな。」
春・秋「「純様っ!?」」
純が馬に乗ってやって来た。
蹇碩叔父「俺様を知らぬか!?俺様は蹇碩の叔父だぞ!!」
純「ほお・・・。」
蹇碩叔父「お前とお前の姉の祖父さんは、蹇碩と親しかったな。」
純「そうだったな。そもそも、使命を果たすために私情を挟んではならない。法を犯せば罰を受けるものだ。」
蹇碩叔父「夜間通行禁止令が法だと言うか?お前達姉弟が来るまで、この街は明るく賑わっておった。捕り物などなかったのだ。」
純「これまでの北部都尉が怠慢であったからであろう。夜間通行禁止令は、我が姉である現北部都尉が定めたものだ。それに背いた者は、誰であろうと許さぬ。縛り上げろ!!」
そう言って、蹇碩の叔父を捕らえたのであった。
翌日
北部都尉府の門前には、大勢の人が集まり、そして、蹇碩達もやって来た。その真ん中には、蹇碩の叔父が腕を縛られていた。
華・純「「蹇碩殿。」」
蹇碩「これは曹操殿、曹和殿。」
それぞれ拱手して挨拶した。そして、華琳と純は門前の人々の前に立った。
華琳「夜間通行禁止令は、酒酔いの騒ぎで、治安が悪くなるのを防ぐために定めた法であるわ。しかし、それを平然と破り、あろう事かそれを咎めた役人に盾突いたこの不逞の輩、見逃すわけにはいかない。」
市民「「「そうだー!!」」」
華琳「そして私は今回の沙汰で、皆に知らしめるわ。大小を問わず、罪を犯した者には罰を与えると!!思い知るが良い!!この国の世のために、人のために!!」
そう言って、華琳と純は蹇碩に振り向いた。
華琳「蹇碩殿、お尋ね致します。私、曹孟徳のこの考え、そして、我が弟曹子元の対応、正しいでしょうか?」
蹇碩「正しいとも、もっと早くやるべきであった。」
純「更にお伺い致します。法を破り、深夜に酔って役人に盾突いたこの罪に、如何なる罰が相応しいか?」
蹇碩「そうだな・・・。」
そう言って周りを見るが、目を逸らされてしまった。
華琳「蹇碩殿、どうぞご遠慮なく。」
蹇碩「宜しい。此度犯した罪は、大罪とまでは言えまい。死罪には値せぬ。棒打ちだ。棒打ちの刑だな。」
そう言ったのであった。
蹇碩「加えて・・・。」
そう言い、華琳と純に近付き、耳元でこう言った。
蹇碩「曹操殿、曹和殿。私と曹家は付き合いが深い。つまり、顔を立ててくれても良かろう。されどもちろん・・・」
すると華琳は、蹇碩の言葉を遮り、
華琳「なるほど・・・。」
蹇碩「ほお・・・。」
華琳「よく分かりました。」
そう言った。
華琳「幼き頃より私達は世話に、赴任して日が浅いのにもかかわらず、禁止令を出したこと、お許し頂きたい。」
蹇碩「そうか・・・。」
華琳「棒打ちは幾たび・・・?」
蹇碩「そうだな・・・。顔を立ててくれ。20?」
しかし、華琳と純は表情を変えず、30、40にしても表情を変えなかった。そして、
蹇碩「50にしろ!!」
華琳「よし!!蹇碩殿の仰せに従います!!純!!」
純「はっ!!春蘭!!」
春蘭「はっ!!」
そして、純は春蘭を呼び、耳元でこう言った。
純「50で殴り殺せ。」
春蘭「御意。」
そう言い、春蘭は棒を持って、蹇碩の叔父を殴った。
市民「「「もっとやれー!!」」」
その間、華琳と純は冷めた目で棒叩きの様子を見ていたのであった。そして、50回を叩き終え、様子がおかしい事に気付いた1人の兵士が近付いてみると、
兵士A「曹操様、曹和様。死んでしまいました。」
それを聞いた華琳と純は、蹇碩に近づき、拱手してこう述べた。
華琳「蹇碩殿。刑を執り行いました。」
純「残るは、後始末だけです。お待ちになりますか?」
華琳「それともお帰りに?」
兵士A「曹操様!曹和様!死んでおるのです!!幾たびも棒で打たれ、死んだのです!!」
その時、兵士があまりに慌てていたので、
純「お前は黙っていろ!!」
純が覇気のこもった一声で黙らせたのであった。
そして、
華琳「蹇碩殿。叔父上は、持ち堪えられず、息絶えました。」
華琳は蹇碩にそう述べた。
蹇碩「曹孟徳よ・・・、曹子元よ・・・。良くやった・・・。殺りおったな・・・。」
華琳「ここは洛陽北部都尉の管轄。あなたが如何なる官職にあろうとも、私が上です。」
純「無礼な振る舞いあらば、棒打ちに処す。如何なさいますか?」
そう言われ、蹇碩は苦虫を噛んだような顔をしながら、その場を後にしたのであった。
純「おい。」
兵士A「は、はっ!!」
純「さっきは怒鳴って悪かったな。」
兵士A「い、いえ。」
純「コレも作戦でな。申し訳なかった。」
兵士A「いえ、お見苦しいところをお見せしてしまいました。」
純「いいんだ。その代わり、街の治安では、頼りにしてるぞ。」
そう言って、純は兵士の肩を叩いた。
兵士A「はっ!!」
この一件以来、法を犯す者はいなくなり、治安が一気に回復したのであった。
回想終了
純「・・・といった事があった。」
季衣「スゴーい!!悪い人を懲らしめたんですね!!」
春蘭「そうだぞ、季衣!!」
栄華「何故春蘭さんが誇るのですか?命令したのは、お姉様とお兄様ですよ。」
純「はは。しかし、あの一件で、姉上の名が一気に広まったんだ。」
華琳「ええ。ついでに純の名前もね。」
純「しかし姉上、あの時の蹇碩の顔、傑作でしたね。」
華琳「ええ、見てて気分が良かったわ。」
純「はは。」
華琳「ふふ。」
秋蘭「しかし、流石に少し肝が冷えました。」
純「それは悪かったな、秋蘭。」
そう言ったら、秋蘭は純に寄り添うような形で近付いたのであった。
燈「それより、急ぎましょう。西園軍の任命式、遅れるとそれだけで印象が悪くなりますし。」
華琳「そうね。皆、急ぐわよ。」
そう言って、朝廷に向かったのであった。