恋姫無双〜覇王の弟〜   作:ホークス馬鹿

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47話です。

何とか投稿できました。

メチャクチャ長いです。読みにくかったらお許しください(土下座)

では、どうぞ。


47話

陳留・玉座の間

 

 

 

 

 

香風「ねむい・・・。」

 

焔耶「香風、起きろ。眠いのは分かるが、もう少しだ。」

 

真夜中に、華琳と純から突然の集合命令が下され、眠そうな目をこすっていた。

 

真桜「っちゅうか焔耶、香風と一緒やったんや。」

 

焔耶「そこの廊下で力尽きているのを拾ったのだ。」

 

真桜「でも何やの、こんな時間に集合て。焔耶は聞いとる?」

 

焔耶「私も知らない。今から徐州に強襲を掛けるとかでもないだろうしな。」

 

真桜「ありえそうなんが嫌やなぁ。けどそれなら、せめて寝る前に言うて欲しかったわ。」

 

焔耶「うむ・・・。」

 

焔耶(前にいる軍師組も、そんなに緊張している様子はない・・・。それにもし夜に動くなら、準備は昼に済ませるはず・・・。)

 

凪「・・・。」

 

焔耶「凪、流石に早いな・・・。」

 

しかし、

 

凪「・・・。」

 

焔耶「・・・凪?」

 

反応がなかったため、様子を見ると、

 

凪「・・・。」

 

真桜「・・・寝とる。」

 

焔耶「目を開けたままだと・・・。」

 

目を開けた状態で寝ていた。

 

沙和「・・・すー。」

 

風「・・・むにゃむにゃ。」

 

華侖「ぐー。」

 

その横では、全力で寝ている者もおり、華侖に至っては大の字で堂々と寝ていたのだった。

 

焔耶「沙和、風、起きろ。華侖様も起きて下さい。」

 

風・沙「「・・・おおっ!」」

 

焔耶「反応まで一緒とは・・・。」

 

柳琳「姉さん。姉さんも起きて、ほら。」

 

華侖「むにゃむにゃ・・・、もう脱いでいいっすかー?」

 

柳琳「姉さん!」

 

焔耶「凪もとにかく起きろ。」

 

凪「っ!!」

 

霞「焔耶ー、これ何の集合か知っとるかー?」

 

焔耶「いや、私も分からない。」

 

霞「そっか・・・。星もかー?」

 

星「私も知らない。急に集合が掛かったからな・・・。」

 

桂花「そこ!うるさいわよ!」

 

稟「風、早くこちらに来なさい。あなたの場所はこちらでしょう。」

 

風「おおっ。すっかり忘れてました。」

 

皆それぞれに定位置に着いたところで、華琳と純、春蘭と秋蘭が入って来た。

 

華琳「全員揃ったようね。急に集まってもらったのは、他でもないわ。純。」

 

純「先程早馬で、徐州から州境を越える許可を受けた輩がいる。」

 

燈「・・・州境を?」

 

華琳「ええ。入りなさい。」

 

??「・・・は。」

 

そう言われて、入ってきたのは

 

凪「な・・・。」

 

真桜「何やて・・・!」

 

桂花「関羽・・・!?」

 

関羽であった。

 

華琳「見覚えのある者も多いでしょうけれど、一応、名乗ってもらいましょうか。」

 

関羽「我が名は関雲長。徐州を治める劉玄徳の家臣にして、それを支える者である。」

 

霞「なんで関羽がこないな所に・・・。」

 

焔耶「お館と華琳殿に助けを求めたという事か・・・?」

 

純「残念だが、少し違うな。説明してくれるか?」

 

関羽「・・・私は、孟徳殿と子元殿の領地の通行許可を求めに参りました。」

 

焔耶「・・・そういうことか。」

 

純「焔耶、気付いたか。」

 

焔耶「はい。これはあくまで推測なのですが・・・。」

 

純「構わない。言ってみろ。」

 

焔耶「はっ。恐らくあの劉備と天の御遣いの事ですから、仲間のために戦うのが嫌だから荊州か益州に逃げるためにお館と華琳殿の領地を通らせて欲しいといった事ではないかと。」

 

純「流石だな、焔耶。」

 

関羽「・・・魏延殿の言う通りです。我々は、益州へ向かいたいのです。」

 

稟「なんと無謀な・・・。」

 

季衣「ねえ、益州って遠いの?」

 

柳琳「はい。一番近い道を通っても、豫州から荊州の北側まで全部を横断する事になりますよ。」

 

季衣「え・・・それってものすごく遠くない!?」

 

桂花「ものすごく遠いわよ。だから、無謀って言ってるの。」

 

真桜「けど、袁紹や袁術と正面からぶつかるよりは、マシやと思うで。命あっての物種や。」

 

凪「それはそうだが、我々とて別に徐州と同盟を組んでいるわけではないだろう?」

 

栄華「同盟どころか、目的地の益州も含めてこちらの仮想敵の一つですわ。」

 

秋蘭「・・・だが、そのどちらかに逃げると言ってもアテはあるのか?漠然と逃げるだけでは、もはや軍とは呼べんぞ。」

 

その問いに、

 

関羽「それは・・・。」

 

関羽は顔を俯いた。

 

純「既に向こうから打診もあったのではないのか?劉姓のよしみもあるだろうし、東西から俺達を牽制する同盟を結ぶというのは、理に叶っているからな。」

 

華琳「ええ、そうね。」

 

燈「益州州牧の劉璋は軍事にはさして明るくない人物と聞きますし、劉備さんの率いる将が客将としてでも陣営に加わるのは、悪い話ではないでしょうね。」

 

華侖「えーっと、結局それって、どういう事っすか?」

 

桂花「・・・劉備達有力な将を率いた一大集団を、わざわざ私達の敵国に送る手伝いをしろって事よ。」

 

焔耶「更に無茶苦茶な感じがした気がするが・・・。」

 

関羽「・・・。」

 

純「とはいえ関羽も、それは重々承知の上のようでな。この策が通るとは思っていないようなんだ。・・・そうだろう?」

 

関羽「・・・それを承知で、お願いに参りました。」

 

霞「主も無茶なら、それを頼みに来る将も無茶やなぁ。正気やないで。」

 

関羽「それでもだ。」

 

霞「気合入っとんなぁ。なんでまた、そないに頑張るん?」

 

関羽「確かに張遼の言う通り、私も無茶だと思っている。しかし、我々が生き残る可能性としては、これが最も高い選択でもあった。」

 

霞「そっか・・・。しかし、その忠義、誰かさんにそっくりやなぁ。なぁ春蘭。」

 

春蘭「わ・・・、私はこんなに愚直ではないぞ!」

 

しかし、

 

華琳「・・・。」

 

純「・・・。」

 

桂花「・・・。」

 

秋蘭「・・・。」

 

春蘭「誰か何とか言えよ!」

 

皆にスルーされたのだった。

 

華琳「だからこれから、その返答をしに劉備の元へ向かおうと思うのだけれど・・・。誰か、付いて来てくれる子はいるかしら?」

 

 

 

 

徐州・彭城

 

 

 

 

純「なんだかんだで全員か・・・。人気者ですね、姉上。」

 

真夜中の行軍であったにもかかわらず将はおろか、兵は誰一人文句を言わず準備は速やかに行われた。

 

華琳「あなたほどではないわ。付いてきた将の殆どは、あなたを慕っているし。」

 

純(でも、まんざらでもなさそうだな・・・。)

 

関羽「・・・感謝します、孟徳殿、子元殿。」

 

華琳「さあ。私達はまだ協力するとも敵対するとも言っていないわよ。」

 

純「そうだ。その言葉は、無事に事が済んでから聞くことにしよう。」

 

関羽「それでも、主に会っていただけると、言って下さいましたから。」

 

純「・・・そっか。」

 

秋蘭「純様、先鋒から連絡が来ました。・・・前方に劉の牙門旗。劉備の本陣のようです。」

 

純(州境ギリギリだな・・・。)

 

華琳「なら関羽。あなたの主の所に案内して頂戴。」

 

純「何人か一緒に付いてきてくれ。」

 

桂花「華琳様!純様!この状況で劉備の本陣に向かうなど、危険すぎます!罠かもしれません!」

 

春蘭「桂花の言う通りです!せめて、劉備をこちらに呼び出すなどさせては・・・?」

 

華琳「でしょうね。私も別に、劉備のことを信用しているわけではないわ。・・・けれどそんな臆病な振る舞いを、この私がして良いと思う?」

 

純「・・・はぁ、全く。」

 

春蘭「・・・ぐっ。」

 

華琳「だから関雲長。もしもこれが劉備もしくは天の御遣いの罠だったなら・・・貴方達はこの場で残らず死んでもらう事にするわ。特に、我が弟の実力はあなたは知っていると思うけど。」

 

関羽「それはありませんゆえ、ご随意に。」

 

華琳「それで・・・、誰が私と純を守ってくれるのかしら?」

 

春蘭「はっ!」

 

季衣「僕も行きます!」

 

流琉「私も!」

 

純「なら、春蘭、季衣、流琉、霞・・・、それから、焔耶と星、稟と燈も来い。残りの皆はこの場に待機。秋蘭、桂花、指揮は任せた。」

 

純「関雲長の確約も取ったから、中で異変があったなら、あの陣で動く者は俺達以外残らず鏖殺しろ。」

 

秋蘭「はっ。」

 

桂花「華琳様、純様、お気を付け下さいませ。焔耶、季衣、命に替えても華琳様と純様のことをお守りするのよ!」

 

季衣「うんっ!」

 

焔耶「無論、承知だ!」

 

春蘭「おい、私も行くぞ!」

 

桂花「焔耶と違って、脳筋のアンタは頼りにならないわ。」

 

春蘭「何だとぅ!!」

 

純「やめろ2人とも。行くぞ。」

 

華琳「では関羽。案内を。」

 

そして、劉備達のいる本陣に向かった。

 

 

 

 

劉備軍本陣

 

 

 

 

劉備「曹操さん!曹和さん!」

 

華琳「久しいわね、劉備。連合軍の時以来かしら?」

 

劉備「はい。曹和さんも、あの時愛紗ちゃんと鈴々ちゃんを助けて下さって、ありがとうございました。」

 

純「別に大したことじゃねーよ。」

 

華琳「それで今度は私達の領地を抜けたいなどと・・・また、随分と無茶を言ってきたものね。」

 

北郷「・・・ごめん、それを通したのは俺なんだ。でも、みんなが生き延びる為には、これしか思いつかなくて・・・。」

 

すると、半歩分だけ前に立つ北郷が申し訳なさそうに眉を下げた。

 

華琳「ふうん?貴方が・・・ね。まあ、それを堂々と行う貴方達の胆力は大したものだわ。いいでしょう、私達の領地を通ることを許可してあげる。」

 

それを聞いていた純と稟は、

 

純(・・・やはり即答か。という事は。)

 

稟(純様、宜しいのでしょうか?)

 

純(・・・どうせ姉上の事だ、ゼッテー何か要求してくるよ。)

 

小声で話していたのだった。

 

劉備「本当ですか!」

 

春蘭「華琳様!?」

 

純「まあ、劉備とこの陣の状況を見れば、長々と話す余裕もねーだろう。手短に済ませる。」

 

劉備「曹操さん・・・、曹和さん・・・。」

 

北郷「良かった・・・。」

 

すると、劉備と北郷はホッとした顔をした。

 

華琳「移動に使う街道はこちらで指定させてもらうわ。物資と糧食の手配もしてあげる。・・・で、益州に向かう兵はどれほど?一万?二万?」

 

その質問に、

 

劉備「え、ええっと・・・。」

 

北郷「そ、それは・・・。」

 

2人は目を泳がせたのだった。すると、

 

諸葛亮「十五万です。」

 

後ろから諸葛亮が人数を言ったのだった。これには、

 

春蘭「じゅ・・・っ!?」

 

純「・・・。」

 

春蘭は驚きのあまり絶句し、純は眉間にしわを寄せたのであった。

 

華琳「・・・それだけの兵がいて、戦わないというの?」

 

劉備「あ、いえ・・・兵は二万もいないくらいです。後は・・・」

 

諸葛亮「話を聞いた徐州の都の民が、我々と行動を共にしたいと。」

 

華琳「呆れた。それを真に受けて、全部連れて行くというの?どうせ年寄りや子供もいるのでしょう?」

 

北郷「それでも・・・平原から付いてきてくれた人もいるし、見捨てるわけにはいかなくて。」

 

純「・・・稟、燈、こちらでも糧食を都合するとして、何とかなりそうか?」

 

燈「移動の大半は豫州ですから、物資の余裕はなくもありません。こちらで隊を先行させれば何とか・・・。途中の開拓村で、希望者を受け入れるという手もありますし。」

 

稟「後半の荊州北部も、それまでに物資の確保を行えば不可能ではないとは思いますが。」

 

純「・・・そうか。」

 

華琳「・・・ふむ。」

 

その様子を見た劉備と北郷は、

 

劉備「あの・・・、曹操さん?曹和さん?」

 

北郷「・・・。」

 

不安な顔で見ていた。

 

華琳「・・・いいわ。そこはこちらで何とかする。」

 

純「けれどその十三万の足手まとい、例え一人でも賊へと堕としたら、生きて俺達の領を出られないと知れ。いいな?」

 

劉備「もちろんです!ありがとうございます!」

 

華琳「それから通行料は・・・、そうね、関羽でいいわ。」

 

その言葉に、

 

劉備「・・・え?」

 

北郷「ちょ、ちょっと待ってくれ!それは・・・っ!」

 

劉備と北郷の表情は、安堵から一変、驚愕に染まった。

 

純「やはりそうか・・・。」

 

純は、こうなると思ったのか、別段驚きもしなかった。

 

華琳「何を不思議そうな顔をしているの?旅芸人でも関所で通行料くらい払うわよ?当たり前でしょう。」

 

劉備「え、でも、それって・・・!」

 

華琳「それをこちらにこれだけの難事を押しつけておいて、まさか一銭も払わずに通れるとでも思っていたの?冗談よね?」

 

北郷「け、けど・・・!」

 

華琳「それに、貴方達の大切な十五万が無事に生き延びられるのよ?もちろん、ここから追撃に来るだろう袁紹と袁術はこちらで何とかしてあげましょう。」

 

劉備「でも・・・!」

 

華琳「その代価をたった一人の将の身柄であがなえるというなら・・・、安いものだと思わない?」

 

関羽「・・・桃香様。」

 

劉備「それは・・・。」

 

劉備「そう・・・ですね。」

 

華琳「・・・。」

 

そして、

 

劉備「ありがとうございます、曹操さん。」

 

と言った。これには、

 

北郷「桃香っ!?」

 

諸葛亮「桃香様っ!?」

 

張飛「お姉ちゃん!」

 

北郷達は驚きの声をあげた。しかし、

 

劉備「・・・でも、ごめんなさい。」

 

華琳「あら。」

 

劉備「愛紗ちゃんは私の大事な妹です。鈴々ちゃんも朱里ちゃんもご主人様も・・・、他の皆も、誰一人欠けさせないための、今回の作戦なんです。」

 

劉備「だから、愛紗ちゃんがいなくなるんじゃ、意味がないんです。こんな所まで来てもらったのに・・・、本当にごめんなさい。」

 

そう言って、劉備は頭を下げた。

 

華琳「そう。流石、徳をもって政事を成す劉備だわ。・・・残念ね。」

 

関羽「桃香様・・・、私なら。」

 

劉備「言ったでしょ?愛紗ちゃんがいなくなるんじゃ、意味がないって。朱里ちゃん、他の経路をもう一度調べてみて。袁紹さんか袁術さんの州境あたりで、抜けられそうな道はない?」

 

諸葛亮「・・・はい、もう一度洗い直してみます!」

 

そして、諸葛亮が地図を広げてもう一度安全な道がないか調べようとした時、

 

華琳「劉備。」

 

劉備「・・・はい?」

 

純(・・・まずい!)

 

華琳「甘えるのもいい加減になさい!」

 

と一喝したのだった。

 

劉備「・・・っ!」

 

華琳「たった一人の将のために、全軍を犠牲にするですって?寝惚けた物言いも大概にすることね!」

 

劉備「で・・・、でも、愛紗ちゃんはそれだけ大切な人なんです!」

 

華琳「なら、その為に他の将・・・張飛や諸葛亮、そして十三万の貴女を慕う民が死んでも良いと言うの?」

 

劉備「だから今、朱里ちゃんに何とかなりそうな経路の策定を・・・!」

 

華琳「それがないから、貴女達は今、ここにいるのでしょう?・・・違うかしら?」

 

劉備「・・・そ、それは・・・。」

 

華琳「諸葛亮。」

 

諸葛亮「はひっ!」

 

華琳「そんな都合の良い道はあるの?」

 

諸葛亮「そ・・・それは・・・。」

 

華琳「郭嘉。大陸中を渡り歩いたあなたなら分かるわよね?どう?」

 

その問いに、

 

稟「ありません。」

 

稟は即答した。

 

稟「まず十三万の民を連れた時点で、現実的ではありません。とはいえ、一番安全な経路を使ったと仮定して、追跡を振り切りつつの行程であれば・・・そうですね」

 

稟「目的地に一万も辿り着ければ、御の字ではないでしょうか。それは、曹操軍一の精鋭である純様の部隊でも、同じでしょう。」

 

劉備「・・・っ。朱里ちゃん・・・。」

 

諸葛亮「・・・。」

 

劉備「そんな・・・。」

 

稟「旅というのはそれほど過酷なものなのですよ。それは、一から兵を集めて挙兵したあなた方も十分ご存じなのでは?」

 

劉備「・・・。」

 

華琳「現実を受け止めなさい、劉備。あなたが本当に民の為を思うなら、関羽を通行料に、私達の領を抜けるのが一番なのよ。」

 

華琳「それでも民の脱落は出るでしょう。けれど、こちらはその民を受け入れる余裕もあるわ。耕す土地も与えられる。」

 

関羽「桃香様、私の事は大丈夫ですから・・・。」

 

劉備「曹操さん・・・だったら・・・」

 

華琳「それから、あなたが関羽の代わりになる、などという寝惚けた提案をする気なら、この場であなたを叩き斬るわよ。それこそ十三万の民全てを道に迷わせる行いだわ。それに、国が王を失ってどうするつもりなの?」

 

劉備「・・・!」

 

華琳「それから、天の御遣い北郷一刀、貴方もよ。・・・まあ、貴方が我が弟より秀でている自信があるのであれば、言うくらいは許してあげるけれど?」

 

北郷「ぐっ・・・。」

 

まさに口を開こうとしていた北郷が歯噛みするように押し黙った。もし華琳が釘を刺していなかったら、関羽の代わりを、劉備の代わりを申し出ていたことだろう。

 

華琳「・・・どうしても関羽を譲る気はないの?」

 

劉備「・・・。」

 

華琳「まるで駄々っ子ね。今度は沈黙?」

 

劉備「・・・。」

 

華琳「いいわ。あなたと話していても埒が明かない。・・・勝手に通って行きなさい。」

 

劉備「・・・え?」

 

華琳「聞こえなかった?私達の領を通って良いと言ったのよ。・・・益州でも荊州でもどこへでも行けば良い。」

 

春蘭「華琳様!」

 

華琳「ただし。」

 

劉備「・・・通行料ですか?」

 

華琳「当たり前でしょう。・・・先に言っておくわ。あなたが南方を統一した時、私と弟は、必ずあなたの国を奪いに行く。通行料の利息込みでね。」

 

劉備「・・・。」

 

華琳「そうされたくないなら、私達の隙を狙ってこちらに攻めてきなさい。そこで私と弟を殺せれば、借金は帳消しにしてあげる。」

 

劉備「・・・そんなことは。」

 

華琳「ない?なら、私と弟が滅ぼしに行ってあげるから、せいぜい良い国を作って待っていなさい。」

 

華琳「あなたはとても愛らしいから・・・、私の側仕えにして、存分に可愛がってあげる。」

 

劉備「・・・。」

 

華琳「純、霞。劉備達を向こう側まで案内なさい。街道の選択は純に任せるわ。」

 

純「良いのですか姉上、俺を案内役にして。」

 

華琳「麗羽達なら、純がいなくても十分に戦えるわ。逆にここで純を使う方が無駄ってものよ。」

 

純「そうですか。稟、道の選択を頼む。」

 

稟「はっ。」

 

純「焔耶と霞は俺と一緒に劉備軍の先頭。星。」

 

星「ここに。」

 

純「お前は、劉備軍の後ろから脱落者が出たら俺に報告してゆっくり来い。」

 

星「はっ。」

 

華琳「それでは私達は戻るわよ・・・劉備、あなたがした選択・・・、間違っていなければ良いけれどね。」

 

劉備「・・・間違ってなんかいません。それを、絶対に証明して見せますから!」

 

華琳「良い返事だわ。・・・帰るわよ!」

 

そう言い、華琳達は自分達の軍に戻り、純の部隊と霞の部隊は劉備軍の案内に向かったのだった。

 

 

 

 

その道中、

 

 

 

 

劉備「・・・あの、魏延さん。」

 

焔耶「何でしょう?劉備殿。」

 

劉備「魏延さんは、どうして曹操さんと曹和さんの所にいるのですか?魏延さん程の人なら、沢山の人を助けられたと思うんです。」

 

焔耶「・・・私の主君はお館です。私があのお方に仕えている理由は、お館の理想を・・・、夢を叶える為です。」

 

劉備「しかし、曹操さんと曹和さんは武力を持って人を従えようと。」

 

焔耶「力を持つことは、良いことだと思いますが。」

 

劉備「いいえ、違います。力を持っていても笑顔にはなりません。力を持っているから戦をするのです。」

 

焔耶「なら、どうしろと?」

 

劉備「皆が手を繋ぎ、話し合えば平和な世の中になります。」

 

焔耶「なら、どうして劉備殿は武力を手に入れたのですか?」

 

劉備「それは・・・、困っている人を助けたかったからです。」

 

焔耶「それなら武力を使わず、話し合えば良かった。なのにあなたは、黃巾党の時も武力で倒した。」

 

劉備「違う!!黃巾党は罪も無い人達を襲った!!だから・・・!!」

 

焔耶「なら、反董卓連合の時はどうだった。あなたは董卓と話し合うこともせずに連合に参加した。」

 

劉備「それは、董卓さんが都の民を苦しめてる悪い人だと聞いたから!!けど違かった!!違うなら、話し合えば良かったのに!!なら、魏延さんはどうなのですか?あなたの主である曹和さんの夢を叶える為に罪の無い人を殺すのですか?困っている人がいても手を差し伸ばさないのですか?そんなのおかしいです!!本当なら魏延さんは私とご主人様の所に来て欲しかった。そしたら沢山の人を助けられた。笑顔になれた。なのに・・・」

 

その時、

 

焔耶「いい加減にしろ!!」

 

劉備「・・・っ!?」

 

焔耶が我慢の限界を迎えたのか、劉備に怒り、その闘気を劉備に向けたのだった。

 

焔耶「私やお館、そして華琳殿が好きで人を殺していると思うのか?困っている人を助けないと思っているのか?それは大間違いだ!!私達は仙人ではないのだ。全ての人を助けるなんて事は出来ないのだ!!」

 

劉備「だ、だから、皆で手を取り合って、話し合っていけば平和で皆が笑顔に・・・」

 

焔耶「手を取り合ったら良いのか?」

 

劉備「・・・え?」

 

焔耶「手を取り合ったら良いのか。・・・なら、私が苑州のとある村で賊に襲われた時、あの村の村長が救援を求めた時、どうして誰も手を差し伸べてくれなかったのだ!!」

 

劉備「それは・・・。」

 

焔耶「あの戦は、お館が助けてくれたから何とかなった。とはいえ、犠牲者も出た。差し伸べてくれたら、犠牲になった村人は助かったのか?残された者達は悲しい思いをしなくて済むのか?答えろ、劉備!!」

 

劉備「そ、それは・・・。」

 

その時、

 

霞「ちょ、焔耶!!どないしたん!?お前らしくもないで!!」

 

稟「そうです、焔耶。いくら劉備殿の言葉が甘いとはいえ、あなたがここまで怒ることではありません。」

 

そう言って、霞と稟は焔耶を抑えようとしたのだが、あまりにも膨大な闘気となっていたため、2人は中々近づけなかった。すると、

 

純「焔耶、口を慎め。相手は国の主でもあるのだぞ。」

 

と純も止めた。

 

焔耶「・・・申し訳ございません。少し頭を冷やして参ります。」

 

そう言って、焔耶はどこかに行った。

 

霞「ちょ、焔耶!」

 

稟「焔耶!」

 

純「俺が行って来る。後は任せた。」

 

そう言って、純は焔耶が向かった先に行った。その時、

 

ドスッ

 

劉備が倒れてしまったのだった。焔耶の闘気にあれだけ間近に受けていたから、闘気が消えて緊張が途切れたのである。それを見ていた関羽と張飛が急いで駆けつけた。

 

張飛「お姉ちゃん!」

 

関羽「・・・駄目だ。完全に気を失っている。しかし、あれ程の闘気を。」

 

霞「悪く思わんでくれ。一度だけ焔耶が話したんや。『あの戦の時、私は偶然あの村にいて、村の人達と一緒に戦った。お館が救援に駆けつけてくれたおかげで、村は救われた。とはいえ、犠牲者も出た。私がもっとしっかり指揮をしていれば、あの者達は生きて、これから太平の世が来たときには、村の皆で畑を耕し、飯を食い、寝るといった、当たり前の生活が出来たのではないかと。だから、あの者達の無念の思いを背負い、お館を、華琳殿を、そして皆を助けるために人を殺す。いつか太平の世になるように。』って言ってたんや。」

 

関羽「魏延殿はそのような思いで戦っていたのか・・・。」

 

霞「焔耶はな、根っこはメッチャ優しい奴なんや。だから、今の劉備を見て腹が立ったんとちゃうんかな。」

 

張飛「けど、お姉ちゃんをこんな風にさせるなんて、許せないのだ。」

 

関羽「しかし鈴々、今回は桃香様が悪いと私は思うぞ。」

 

張飛「愛紗!!愛紗もあんな奴の味方なのか!!」

 

関羽「話を最後まで聞け。人はそれぞれ違う思いを持っている。触れたくない過去も。しかし、桃香様はその過去に触れてしまった。それはどうしようもない事実だ。」

 

張飛「けど・・・!!」

 

関羽「人には忘れたくても忘れられない過去があるというのだよ、鈴々。」

 

関羽がそう言って悲しい顔をすると、張飛は何も言わず華琳と純の領を通ったのだった。

 

 

 

 

一方、焔耶が激怒している時、

 

 

 

 

 

北郷「あの、趙雲さん。」

 

星「ん?何ですかな、北郷殿?」

 

北郷は、一緒に並んでいる星に声をかけたが、星は何故呼んだか察したのか、不機嫌そうに北郷を見た。

 

北郷「あの・・・、今からでも良いから、魏延さんと一緒に俺達の軍に入らないか?」

 

そう言って、北郷は星を勧誘した。

 

星「・・・何故ですかな?」

 

そう言って、星は目を細めながら北郷を見つめた。

 

北郷「桃香はとても素晴らしい人だ。絶対に全ての人を笑顔にし、平和にしてくれる。それに、俺のいた世界の歴史では、趙雲さんと魏延さんは劉・・・」

 

その時、

 

星「巫山戯るな!!天の御遣い!!」

 

そう言って、星は殺気を出して北郷の首筋に槍を向け、威圧した。

 

北郷「え・・・?趙・・・」

 

星「貴様のいた世界の歴史で私と焔耶はどうなっているのか知らないが、私は私、焔耶は焔耶だ!!例え我が主である曹子元に出会わなくても貴様に出会わなくても、私は誰かと同じ道を行く!!それは焔耶も同じ事‼︎今そなたは客人ゆえ、何もせぬが、次はないぞ!!」

 

そう言って、星はその場を後にしたのだった。その時北郷は、

 

北郷「どうしてだよ・・・!!何で、俺の思い通りに・・・!!俺は天の御遣いなんだぞ!!くそっ!!くそっ!!あいつだ、あいつのせいだ!!あの疫病神め!!殺してやる・・・殺してやるぞ・・・曹和めぇ!!あいつを殺せば全ての人が救われる!!俺は、天の御遣いなんだ!!」

 

憎悪の目をしながら、そう喋ったのだった。

 

 

 

 

一方焔耶は、

 

 

 

 

焔耶「はぁ~。私はどうして・・・。」

 

頭を冷やすために、馬から降りて川辺の大きな石に座っていた。そこへ、

 

純「焔耶。」

 

焔耶「・・・お館。」

 

純がやって来た。

 

焔耶「劉備軍の案内をしていたのでは?」

 

純「それは霞と稟に任せた。焔耶。」

 

すると、

 

焔耶「お館!?」

 

馬から降りて、純は焔耶を抱き締めた。そして、

 

純「お前は優しくて強い武人だ。けど、そんな思いで武器を振るい、兵を指揮していたとは知らなかった。申し訳なかった。だから・・・んちゅ・・・。」

 

焔耶に口付けをしたのだった。その口付けは唇をそっと撫でるだけだったが、今の焔耶には心安らぐ口付けだった。

 

純「その思い、俺にも分けてくれ。俺も、お前の思いを共有する。だから、全部自分1人で背負うな。」

 

焔耶「はい・・・。ありがとうございます・・・お館。」

 

そう言って、焔耶は涙を流しながら純を抱き締め返し、暫くそのまま過ごした。そして、馬に乗り、急いで霞達の後を追った。

そして、劉備達一行は、無事に華琳と純の領地を通り抜けたのであった。

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