恋姫無双〜覇王の弟〜   作:ホークス馬鹿

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59話です。

少し長くなりました。

それでは、どうぞ。


59話

城の攻防戦が始まってから約一ヶ月が経過した。劉備軍は、最初の焔耶達の奇襲と連日の戦闘にもかかわらず未だに城は落ちず味方の被害が拡大するため、士気は最悪の状態になっていた。また、兵糧が残り少なくなり、状況を更に悪化させていた。

 

劉備軍武将A「兵達は食糧を調達するために、近くの山に野草を採りに行っています。しかし、それもすぐに尽きるでしょう。」

 

劉備軍武将B「兵達は皆、空腹にあえいでいます。」

 

劉備軍武将C「それに、連日の戦闘で疲労困憊です。逆に城兵の方も、おそらく我らと同じく疲労困憊だと思います。しかし、士気は更に上がるばかりです。」

 

関羽「・・・そうか。」

 

そして、関羽は疲労で疲れ切っている兵士の肩を叩いた。

 

劉備軍兵士A「関羽様・・・。」

 

関羽「すまないな・・・。」

 

関羽は、ただ一言そう言うしかなかった。そして、周りにいる兵士を見て皆疲れ切っていると感じた関羽は、

 

関羽「桃香様とご主人様は、この状況をどう思っておられるのだ・・・。」

 

関羽「城攻めが始まって、一ヶ月ほど経つ。しかし、状況は未だ変わらない。大義の無い戦であるにもかかわらず、ただ己の欲のために動いているとしか思えぬ。何が理想を叶えるだ。理想を信じ死んでいった兵達を何と思っているのだ・・・!」

 

と関羽は兵士達を見てそう呟いた。

 

関羽「桃香様とご主人様は、今何をしておる?」

 

劉備軍武将A「この数日、劉備様と御遣い様は本営の中で二人っきりになって酒を飲み、情事を重ねております。」

 

これを聞いた関羽は、

 

関羽「何、こんな時にか!?」

 

とただただ驚き、呆れてしまった。

 

劉備軍武将B「張飛様と鳳統様が何度もお諫めしておりますが、全く耳を貸しません。」

 

劉備軍武将C「加えて、口を開けば自身の理想の素晴らしさを語るのみで・・・。」

 

関羽「なんと言うことだ!」

 

そう言った関羽は、本営に向かったのだった。

 

 

 

 

劉備軍本営

 

 

 

 

劉備「ねえご主人様、何で城は落ちないんだろうね?」

 

北郷「それは多分、前線の兵士の気合と桃香と俺への忠誠心、そして愛国心と必勝の信念が足りないからだと思う。どんな状況でも、それさえあれば勝てるよ。」

 

劉備「そうだよね、ご主人様の言う通りだね。私とご主人様に対しての思いがあれば、城は簡単に落ちるよね。」

 

北郷「そういうことだ。それより、今日も飲もう。そして今夜・・・。」

 

劉備「もう、ご主人様ったら・・・。」

 

その頃、劉備と北郷は、酒を飲みながら現実逃避をしていた。そこへ、

 

関羽「桃香様、ご主人様、失礼します。」

 

関羽が本営に入ってきた。

 

北郷「おお、愛紗。」

 

劉備「愛紗ちゃん、どうしたの?」

 

関羽「どうしたのではありません!!我らは城を攻めて一ヶ月、連日の戦闘で被害は拡大し、食糧も不足しております!それなのにお二人は、兵達を慰労せず、かといって作戦も立てず、酒を飲み情事を重ねるとは!!こんな事をしていて兵達に申し訳が立つのですか!!」

 

そう言って、器の中に入っている酒を投げ捨てた。

 

北郷「まあ愛紗、落ち着けよ。」

 

劉備「そうだよ愛紗ちゃん、すぐ頭に血が上るんだから。」

 

北郷「今俺達の兵は五万程いる。それに比べて城にいる曹和の兵はたかが五千。仮に曹操が救援に来ても、俺達の兵の数には到底及ばない。つまり、この城を落として曹和を殺し、その勢いで曹操達を殺せば、この国は俺達の物。そうすれば、この国を圧政の苦しみから救う事が出来るのさ。」

 

劉備「そうそう。流石ご主人様!!」

 

そう言って、北郷と劉備は聞く耳を持たない。すると、

 

関羽「兵達は飢えております!!それに、そんな都合良く上手くいくとは思えません!!加えて、曹操達が救援に来たら、我らは包囲されてしまいます!!」

 

関羽はそう怒鳴って言った。

 

北郷「戦が苦しいのは当然だ!愛紗、それはお前も分かっているはずだ!苦しみに耐えられないなら、戦に勝てるはずが無い!!」

 

関羽「しかしご主人様!!桃香様!!お二人は、日夜酒を飲み、ただ情事を重ね己の欲を満たし、現実から目を背けるだけです!!兵達が苦しんでいても何とも思わないのですか!!」

 

北郷「愛紗、確かに兵達の中には、疲れと空腹を訴え、不満を持つ者もいる。けどそれは、気合と桃香と俺への忠誠心と愛国心、そして必勝の信念が足りないからだ!!そんな兵達は、処刑しろ!!鈴々にもそう伝えろ!!」

 

関羽「それで戦に勝てたら苦労はしません!!それに、その様なことをしたら、我が軍は崩壊します!!」

 

北郷「愛紗、俺は天の御遣いなんだぞ。天であるこの俺に逆らうな・・・。」

 

劉備「そうだよ愛紗ちゃん、私達に逆らっちゃ、ダメだよ。」

 

北郷「さあ桃香、飲もう。」

 

劉備「うん、そうだね!」

 

そう言って、二人は酒宴を再開した。それを見た関羽は、

 

関羽「・・・。」

 

複雑な表情を浮かべながら拱手して本営を出たのだった。

 

北郷「全く愛紗は、頭が固すぎる。」

 

劉備「ホントそうだよねー。本当は凄く良い子なんだけどねー。」

 

北郷(顔は可愛いのに、勿体ない・・・。)

 

劉備「ねえご主人様、この戦が終わったら、今度愛紗ちゃんと一緒に買い物に行こうよ。そうすれば、愛紗ちゃんも少しは可愛くなるんじゃ無いかな?」

 

北郷「そうだな、そうしようか。」

 

劉備「うん!」

 

そう言って、再び酒を飲み始めたのであった。

 

 

 

 

 

出城

 

 

 

 

 

純「さあ。」

 

曹和軍兵士A「ありがとうございます。」

 

純「すまんな、連日の戦闘で苦労を掛けるな。」

 

曹和軍兵士B「恐縮です、曹和様。」

 

純「さあ、食え。」

 

曹和軍兵士C「はっ、ありがとうございます。」

 

曹和軍兵士D「感謝します。」

 

純「ほら、水だ。」

 

曹和軍兵士E「ありがとうございます。」

 

その頃、純は兵士達と共に食事をしていた。

 

喜雨「純様・・・。」

 

そこに、喜雨がやって来た。

 

純「喜雨か・・・。すまんな、お前まで戦闘に駆り出してしまって・・・。」

 

喜雨「ううん、僕は全然構わないよ。それに、僕だけ安全な場所でいるのも嫌だし・・・。」

 

純「そうか・・・。もう暫く耐えてくれ。」

 

喜雨「うん・・・。」

 

その時、

 

純「何だ、この音は?」

 

遙か彼方から破裂音が木霊した。すると、

 

燈「純様。鏑矢をお願い致します。」

 

燈の声が聞こえた。

 

喜雨「母さん・・・!」

 

燈「喜雨・・・。」

 

焔耶「お館、今の音は・・・って、燈!?今までどこにいたのだ!?」

 

燈「焔耶ちゃん、城なんだから、主が逃げるための出入り口の一つや二つあるわよ。」

 

焔耶「何と・・・!?」

 

風「おやおや、焔耶ちゃんも一本取られましたねー。」

 

燈「それより純様。先程のは、華琳様達が上げた我々への反撃の狼煙。こちらも、相応の返答を。」

 

焔耶「華琳殿が!?という事は・・・!?」

 

純「・・・分かった。鏑矢を放て!」

 

曹和軍兵士F「はっ!!」

 

そう言い、鏑矢を放った。すると、

 

焔耶「お館!地平の向こうに大量の兵が!」

 

兵らしき集団が現れた。

 

風「さっきの鏑矢が反撃の合図だとすれば・・・」

 

風「旗印は、紫の旗色の曹を中心に、夏侯、楽、許、郭・・・それに紺碧の張と趙の旗。みんな、お味方ですねー。」

 

これには、

 

焔耶「何と・・・!?華琳殿が救援に来るまでまだ時間が掛かるはずだ!?」

 

喜雨「空でも飛ばない限り、間に合わない・・・!?」

 

純「稟か・・・。」

 

焔耶と喜雨は驚いたが、純はどうして早く救援が来たのか察したのだった。

 

 

 

 

 

曹操軍

 

 

 

 

 

華琳「間に合ったわね!!」

 

霞「うっしゃ!!」

 

稟「急いだ甲斐がありました。」

 

星「そうだな。」

 

霞「全くや。稟もええ道選んでくれたからやで!」

 

華琳「そうね。郭嘉、ご苦労だったわね。」

 

稟「当然のことをしたまでです。それに、礼ならこの戦いに勝ってから言って下さい。」

 

霞「なんや、つまらんやっちゃなぁ・・・。」

 

星「まあ良いでは無いか。稟、この戦いに勝ったら、私が一杯おごろう。」

 

稟「はい。楽しみにしていますよ。」

 

霞「おっ!ウチもおごったる!」

 

華琳「ふふ。霞、星、程々にね。」

 

季衣「華琳様!春蘭様!城の旗は健在ですよ!純様達はご無事です!」

 

春蘭「当たり前だ!我らの純様だぞ、そう簡単に負けるはずがあるまい!」

 

華琳「そうよ、季衣。純は、私が最も信頼する弟なのよ。」

 

季衣「はいっ!」

 

春蘭「だが窮地であることには変わりない!急ぎましょう華琳様!一刻も早く、純様を劉備の包囲網からお救いしましょう!」

 

季衣「ちょっと、春蘭様ー!そんなに急いじゃ、皆疲れちゃいますよー!」

 

春蘭「ここまで持ち堪えた我らが精兵が、今さら疲れたなどと言うものか!」

 

華琳「もう、春蘭ったら・・・。」

 

流琉「秋蘭様、城から反応がありました。あれは。」

 

秋蘭「うむ。城の側もこちらの動きに同調して、突撃を掛けてくださるのだろう。」

 

流琉「さすが秋蘭さま。全てお分かりなんですね。」

 

秋蘭「・・・すまん。今のは全て私の勘だ」

 

流琉「え・・・そうなんですか?」

 

秋蘭「だが、純様の事だ。ご健在である以上、こちらの動きを見れば全て理解して下さるさ。」

 

華琳「そういうことよ、流琉。」

 

流琉「そうですね。なら、こちらも・・・。」

 

華琳「ええ。郭嘉の作戦に従い、連中の背後から一気に叩きなさい!」

 

秋・流「「はっ!/はいっ!」」

 

真桜「しかし、ここまでよく持ち堪えとるわ。」

 

凪「そうだな、流石は純様だ。」

 

華琳「ふふっ、純だからこそ出来るのよ。」

 

沙和「そうなのー!沙和だったら、こんな大軍相手に勝てるか分からないのー!」

 

真桜「せやなー。」

 

沙和「もう接敵するのー!戦闘準備よーい!」

 

華侖「純兄ーっ!お待たせっすー!」

 

香風「華侖様、さすがにここからじゃ、聞こえない。」

 

華侖「そんなことないっすよー。ほら、返事が聞こえるっすよ。」

 

香風「・・・ほんと?」

 

華侖「そう思えば、きっと聞こえるはずっす!頑張れば、きっと何でも何とかなるっす!」

 

華琳「ふふっ、華侖らしいわね。」

 

香風「頑張れば、空も飛べる?」

 

華侖「もちろんっすよ!空が飛べたら、ここから純兄の所までだってひとっ飛びっす!」

 

香風「それ良い・・・!シャンも頑張る!」

 

華侖「その意気っす!」

 

栄華「それにしてもお兄様、なんという無茶を・・・。」

 

柳琳「大丈夫よ、栄華ちゃん。お兄様の事だから、きっとこうなる事も予想済みだったはずよ。そうですよね、お姉様?」

 

華琳「ええ、そうよ柳琳。」

 

栄華「そうですわよね・・・そうですわよね・・・。」

 

柳琳「ふふっ。なんだかいつもと逆みたい。」

 

柳琳「いつもは姉さんを心配する私を、栄華ちゃんが元気付けてくれるのに。」

 

栄華「だって、心配なんですもの。お兄様は、お姉様と同じくいつも完璧で・・・理想の殿方で・・・それが、こんな敵陣に囲まれて・・・!」

 

柳琳「なら、早くお兄様を助けに行きましょう。」

 

栄華「ええ、そうですわね!私達が行けば、あれしきの軍勢・・・!」

 

華琳「そうよ、栄華。純は、簡単に死にはしないわ。だって、私の弟なんだもの。」

 

翠「純殿、よくぞご無事で!!」

 

楼杏「翠さん、純さんは、そう簡単にやられないわ。」

 

華琳「そうよ馬超。純は、あのような輩にやられないわ。だって、私の自慢の弟なんだもの。」

 

翠「そうだな。よし、奴らに西涼の騎馬隊の力を見せつけるぞ!!」

 

楼杏「ええ!!」

 

 

 

 

出城

 

 

 

焔耶「皆・・・。」

 

風「純様ー。作戦はどうなさいますかー?」

 

純「この機を逃すわけねーだろ。」

 

純「焔耶、三千の兵馬を城門に集めろ!!俺が率いて出陣する!!焔耶も一緒に来い!!風は、残りの兵を率いて城を守れ!!」

 

焔耶「はっ!!」

 

風「はいー!!」

 

純「皆の者、ついてこい!!」

 

曹和軍兵士「「「はっ!!」」」

 

そして、純達三千の兵馬は、城門前に着いた。

 

純「よく聞け!!外にいる奴らは、徐州での恩を忘れ、この国を征服しようとした不義不逞の輩だ!!奴らには天の御遣いがおるが、天は奴らに味方しない、何故か!!それは恩を忘れ、この国を私利私欲で制圧しようとしたからだ!!その様な輩に、天は味方せぬ!!俺と共に突撃し、姉上達と共に、奴らを打ち払うのだ!!」

 

曹和軍兵士「「「おおーっ!!」」」

 

純「行くぞ!!残る力を全て怒りに変えて奴らを叩き潰せ!!突撃ー!!」

 

 

 

 

 

曹操軍

 

 

 

 

華琳「皆、戦闘準備は出来ているわね!」

 

霞「おう!待ちくたびれたわ!」

 

星「私もだ!」

 

華琳「春蘭と季衣、流琉で一気に突撃を掛け、劉備達の背後を叩きなさい!霞と星、そして秋蘭と柳琳はその隙を突き、崩れた相手を根こそぎ打ち砕くのよ!」

 

春蘭「はっ!」

 

季衣「分かりました!」

 

華琳「華侖、香風、栄華は遊撃よ!自由に動き、奴らの動きを縛り付けなさい!」

 

華侖「お任せっすー!」

 

凪「私達は援護に回る!二人とも、頼むぞ!」

 

真・沙「「任しとき!/お任せなの!」」

 

華琳「我らが目指すはただ一つよ!」

 

華琳「劉玄徳を打ち払い、我が弟を救う事よ!」

 

春蘭「はっ!」

 

季衣「はいっ!」

 

秋蘭「はっ!」

 

流琉「もちろんです!」

 

華琳「全軍、突撃!!」

 

こうして、純の救出作戦が始まった。

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