恋姫無双〜覇王の弟〜   作:ホークス馬鹿

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79話です。

秋蘭は、どうなってしまったのか!?

では、どうぞ。


79話

陳留

 

 

 

稟「・・・お帰りなさいませ、純様、焔耶。」

 

純「ああ。ただいま、皆。」

 

焔耶「・・・ああ。」

 

短くも激しい戦いを終えて、陳留に帰還した純達を迎えてくれたのは、帰還の報告を受けて集まってくれた稟、風、桂花、香風、栄華だった。

 

稟「報告は早馬で聞きました。予期せぬ戦いだったようですが・・・まずは、お疲れ様でした。」

 

純はいつも通りだったが、焔耶の顔を見てか、稟の表情は芳しくなかった。

 

純「うむ。少し前に戦った連中の残党が野盗化したのだった。・・・首領格らは、一部に任せて連行してくれている。」

 

桂花「・・・はい。既に第一報は早馬で受け取っていますから。」

 

香風「後は、任せて下さい。」

 

本来敵の首領格の尋問は純達の役目だったのだが、彼らを前にしたら、特に純が何をしてしまうか分からなかったため、純は一部に任せたのだ。

 

純「すまんな、嫌な仕事を押し付けてしまって。」

 

稟「構いません。情報の把握は我々の役目ですから。」

 

香風「・・・うん。秋蘭様のためにも・・・絶対に、ここで終わらせる。」

 

栄華「それよりもお兄様。・・・秋蘭さんの事は。」

 

純「それはまあ・・・姉上は?」

 

栄華「・・・もちろんお姉様もご存じですわ。奥でお待ちの筈ですけれど。」

 

純「そうか・・・。」

 

焔耶「・・・栄華様。華侖様のお姿が見えませんが。」

 

栄華「・・・あの子は先に秋蘭さんの所に行きましたわ。」

 

焔耶「・・・そうですか。」

 

桂花「純様。華琳様へのご報告は・・・。」

 

純「ああ、分かってる。・・・その件も併せて、すぐ行くつもりだ。」

 

栄華「焔耶さん。あなたも、ご報告に行くつもりですの?」

 

焔耶「そうですが・・・。」

 

栄華「お兄様はともかく、あなたはそのお顔でお姉様にお会いになるおつもりですの?」

 

焔耶「それは・・・。」

 

栄華「・・・。」

 

焔耶も栄華の言いたいことは分かるのだが

 

焔耶「なら、どうすれば宜しいのでしょうか?」

 

と焔耶は言った。

 

栄華「そんなの、決まっているでしょう!!」

 

それに対し、栄華は焔耶に一喝した。その時、

 

風「ぐー。」

 

風が眠ってしまったのだった。

 

稟「って、風!こんな所で寝ないで下さい!」

 

桂花「そうよ、風!」

 

風「おおっ・・・いやぁ、あまりに空気が重いもので、つい眠くなってしまいました。」

 

焔耶「・・・。」

 

風「おや。無事に作戦も終わったのに元気が無いですねー?焔耶ちゃん。純様はいつも通りですが。」

 

焔耶「・・・無事って。」

 

稟「焔耶・・・。」

 

風「おやおや。主君にとって良い事なんですよー。もう少し喜んでは如何ですかー?純様はいつも通りですが、心はとてもお喜びですし。」

 

焔耶「風・・・。」

 

その時、

 

秋蘭「純様。荷物の整理、終わりました。」

 

秋蘭が春蘭達と一緒にやって来た。

 

純「秋蘭、お前何やってんだ!腹の赤子に悪いだろ!」

 

秋蘭「大丈夫です。ここ数日はつわりも落ち着いていますから。」

 

栄華「大丈夫ではありませんわ!お兄様の言う通りです。まずはご自分の体を大事になさらないと・・・もうお一人の体ではありませんのよ?」

 

秋蘭「だから・・・。」

 

華侖「そうっすよー。純兄に言わなかったんすけど、演習の時も、つわりひどくて大変だったんすよね?」

 

柳琳「そうですよ、秋蘭さん。栄華ちゃんの言う通りです。」

 

流琉「そうですよ。あの時みたいな重いつわりがまた起きたら・・・本当に大事にして下さい!純様が心配しますよ!」

 

秋蘭「あ、ああ・・・。」

 

あの戦の後、従軍していた医者の所に担ぎ込んだ純達に告げられたのは、毒矢どころか、秋蘭のお腹に純との間に出来た新しい命が宿っているという報告だった。

 

純(まあ俺も、あの時耳元で言われてびっくりしたんだけどな・・・。)

 

稟「しかし秋蘭様、どうして我々に妊娠の事を秘密に?別に隠すような事でもないでしょうに。」

 

秋蘭「一応書物で見てはいたが・・・まさか私にこのような事があるなど思わんだろう。確かに私は純様とよく一緒にいたのだが・・・。」

 

桂花「そういう問題ではないわよ。城や街の医者にかかるなりしても・・・。」

 

秋蘭「そのようなものに頼らずとも、自分の体の事くらい私が一番よく分かって・・・」

 

春蘭「・・・いなかったから、今回みたいな騒ぎになるのだろうが!純様がどれだけ心配した事か!」

 

流琉「そうですよ。お陰で私達も、報告を聞いた時はどれだけ驚いたか・・・。」

 

秋蘭「・・・う、うむ。すまんな、姉者、流琉。そして、純様。・・・はぁ。」

 

稟や桂花だけでなく、春蘭や流琉に怒られて、流石の秋蘭も溜息を一つついた。

 

季衣「・・・そう言えば何かあったの?純様。なんだか言い合いしてたみたいだけど。」

 

純「ああ、それは・・・」

 

栄華「そうですわ。聞いて下さいまし!お兄様はともかく、焔耶さんが、この顔でお姉様に会いに行くと仰いますのよ?どう思いまして!?」

 

栄華の話を聞いて、皆焔耶の顔を見たら、

 

秋蘭「ないな。」

 

季衣「うん。ないね・・・。」

 

華侖「焔耶、ひどい顔っすよ?」

 

柳琳「焔耶さん、流石にその顔でお姉様に会うのは・・・。」

 

流琉「ですね・・・。」

 

焔耶「いや・・・ああ・・・うん。分かってるんですよ?」

 

春蘭「・・・何だ、まだ二日酔いが抜けていないのか?だらしない。」

 

そう。純達は、秋蘭の妊娠祝いで昨日酒を飲んでおり、純はさほど飲まなかったのだが焔耶はついつい飲み過ぎてしまい、二日酔いの頭を抱えていたのだ。

 

焔耶「何で皆はそんなに元気なのですか?お館と秋蘭様はともかく、春蘭様は私と同じくらい酒を飲んでた筈では。」

 

春蘭「あの程度の酒で参る方がどうかしているだろう。情けない。」

 

稟「・・・そもそも城に戻る前に祝宴という点がおかしいのですよ。城に戻るまでが戦なのですよ。」

 

栄華「まったく、お兄様とあろうものが、常識を疑いますわよ!」

 

純「俺だって普通はしねーけどさ・・・秋蘭に子供が出来たって分かったら、ついな・・・。」

 

稟「ついじゃありません!」

 

華侖「えーっ。純兄達、宴会したんすか?羨ましいっすー!」

 

栄華「そこは羨ましがる所ではありませんわよ!華侖さん!」

 

柳琳「そうよ、姉さん!」

 

焔耶「大声出さないで下さい・・・あいたた。」

 

風「おや。焔耶ちゃんもとんとんして欲しいですかー?」

 

焔耶「流石にやめてくれ。頭に響く・・・。」

 

華侖「あ、だったらあたしがやるっすー!とりゃー!」

 

柳琳「ね、姉さん!」

 

焔耶「や、やめて下さい!」

 

そう言って、焔耶は華侖のチョップを避けていた。すると、

 

華琳「・・・何?いつまでも報告に来ないと思ったら、何をしているの、あなた達は。」

 

華琳がやって来た。

 

純「姉上。」

 

春蘭「華琳様!」

 

純「申し訳ございません、姉上。ちょっと秋蘭の事で色々話しておりました。」

 

華琳「・・・成程。流石の純も、嬉しそうね。けど焔耶、あなた水でも被ってきなさい。」

 

焔耶「・・・はい、華琳殿。」

 

華侖「ねぇねぇ。純兄は知らなかったようっすけど、華琳姉ぇは、秋姉ぇの事知ってたんすか?」

 

華琳「純も知らなかったんだから、私が知るわけないでしょう?」

 

純「秋蘭も、軍医に担ぎ込まれて初めて知ったのだからな。」

 

焔耶「それは一体・・・?」

 

純「秋蘭は、昔っから医者が嫌いだからな。」

 

そのまさかの新情報に、

 

流琉「・・・え?」

 

焔耶「そうなのですか!?秋蘭様・・・。」

 

と揃って顔を秋蘭に向けた。

 

秋蘭「・・・別に医者が好きな者などおらんだろう。」

 

すると、秋蘭はぷいと顔を背けたのだった。

 

純「俺には、ちょっと体調が悪いだけで医者を呼ぼうと言う癖にな。肝心な時に自分が行かねーんだから・・・。」

 

季衣「僕も食べ過ぎた時に、医者に行けって言われた事が何度か・・・。」

 

流琉「・・・季衣が食べ過ぎたなんて言ったら、秋蘭様じゃなくてもお医者さん呼ぼうかって言うと思うよ?」

 

焔耶「・・・季衣でも食べ過ぎる事なんてあるのか・・・?」

 

季衣「焔耶、僕の事なんだと思ってるの・・・いくらでも入るわけじゃないんだよ・・・?」

 

この発言に

 

稟「え・・・。」

 

春蘭「なんだと・・・?」

 

季衣「ちょっと・・・皆!?」

 

皆驚いてしまった。

 

純「とは言え、秋蘭は後の事は良いから、安静にしろ。」

 

華琳「そうよ。つわりが落ち着くまでは暫く掛かるわよ?・・・だったわよね、風。」

 

風「そうですねー。もう一月もすれば落ち着く筈ですから、それまでは油断すると・・・」

 

春・秋「「・・・うっ。」」

 

そう言った途端、秋蘭は顔を青ざめたのだった。

 

純「秋蘭、厠はあっちだ。背中、さすってあげるから。」

 

秋蘭「は・・・はい。申し訳ございません。」

 

純「焔耶、お前に報告を任せるから、顔を洗って報告しろよ。では姉上、これにて。」

 

焔耶「はっ。」

 

華琳「ええ。暫くは秋蘭の傍にいてあげなさい。」

 

純「はっ。」

 

そう言い、純は秋蘭と共にその場を後にした。

 

春蘭「・・・。」

 

焔耶「・・・何故春蘭様まで青い顔してるんですか。二日酔いですか?」

 

春蘭「いや、秋蘭があんな顔をしていたからな・・・つい・・・。」

 

稟「双子ならともかく、そこまで似なくても良いでしょうに。」

 

華琳「とりあえず、純と秋蘭には休みを取らせるわ。純の仕事に関しては、焔耶、あなたがやりなさい。」

 

焔耶「はっ。」

 

華琳「季衣、流琉。」

 

季・流「「はいっ。」」

 

華琳「秋蘭が復帰するまでは、二人で秋蘭の仕事を引き継ぎなさい。」

 

季衣「はい!」

 

流琉「分かりました!」

 

華琳「さて、話はここまでよ。焔耶、改めて今回の件の報告をなさい。桂花と郭嘉も同席するように。」

 

焔・桂・稟「「はっ!」」

 

 

 

 

 

 

凪「純様、秋蘭様!おめでとうございます!」

 

真桜「おめでとー!」

 

沙和「おめでとうなのー!」

 

その日の夜、城で開かれたのは、純達の無事の帰還と秋蘭の妊娠を祝う祝宴だった。

 

純「ああ、ありがとう、三人とも。」

 

真桜「けど、報告を聞いてホンマびっくりしたわ・・・。」

 

凪「そうですよ。私も驚きました。」

 

秋蘭「皆にも心配を掛けたな。だがあの程度、かすり傷に過ぎん。」

 

矢には毒が塗られておらず、医者の話でも傷跡を残さずに治ると言われたのだ。

 

凪「秋蘭様も女性なのですから、もっと体の事は大事にして下さい。・・・自分のようになっては・・・。」

 

純「凪も十分魅力的だぞ。」

 

凪「じ、純様!?秋蘭様の前で、そのような・・・。」

 

秋蘭「私も凪は魅力的だと思うが?」

 

それを言われた凪は

 

凪「あ・・・あうう・・・。し、失礼しますっ!」

 

顔を真っ赤にしてその場を後にしたのだった。

 

沙和「ああ・・・凪ちゃん、待ってなのー!」

 

真桜「なら大将、秋蘭様、また後でなー!」

 

そう言い、沙和と真桜は凪の後を追ったのだった。

 

華侖「秋姉ぇ!おめでとうっすー!」

 

栄華「改めて、おめでとうございますわ。」

 

霞「おめでとさん!」

 

秋蘭「うむ。三人もありがとう。」

 

三羽烏と入れ替わるように霞達もやって来て、お祝いの言葉を述べた。

 

栄華「・・・お加減、よろしくありませんの?顔色が少し悪いようですけれど。」

 

秋蘭「大丈夫だ。純様や皆にもこれから心配を掛けるが、すまんな。」

 

華侖「そんなの気にしなくていいっすよ!それより、お腹触っても良いっすか、秋姉ぇ!」

 

秋蘭「ふふ、構わんが、まだ膨れてもいないぞ?」

 

華侖「気分の問題っすー。」

 

すると、華侖はそのまま嬉しそうに秋蘭の腹にそっと手を触れてみせた。

 

華侖「・・・あれ、何か動いた気が。」

 

栄華「気のせいでしょう。ねえ、秋蘭さん。」

 

秋蘭「うむ。流石に気が早いぞ。」

 

霞「・・・けど、やっぱり秋蘭が最初に身籠もったかぁ。いっつも純と一緒やったからな。」

 

秋蘭「正直、一番驚いているのは私だよ。・・・まさか妊娠してるとは思わなかったからな。」

 

純「俺も驚いたよ、流石に。」

 

霞「せやろな。」

 

栄華「ほら、華侖さん。あまり触ってばかりいても、秋蘭さんに迷惑になるでしょう?」

 

華侖「うー。・・・それじゃあ秋姉ぇ、赤ちゃんおっきくなったら、また触らせて欲しいっすー!」

 

そう言って、霞達はその場を後にし、残ったのは純と秋蘭の二人だけになった。

 

純「ったく、気が早えーんだよ、アイツは・・・。」

 

秋蘭「しかし・・・良いものですね、純様。こうして皆に祝福してもらえるというのは。」

 

純「そうだな。少しは実感、湧いてきたか?」

 

秋蘭「まだつわりがあるだけで、そこまでは殆どないですが。まあ・・・時間がなんとかしてくれるでしょう。」

 

純「俺もそう思う。けど・・・」

 

秋蘭「ん?純様も触りますか?」

 

純「え、良いのか?」

 

秋蘭「当然です。ここに宿っているのは、純様と私の子ですよ。」

 

純「そうか。なら・・・」

 

そう言って、純は秋蘭の腹を触った。

 

秋蘭「ん・・・。」

 

秋蘭は擽ったそうな顔をしたが、拒むことなく、寧ろ幸せそうな表情をしていた。

 

秋蘭「純様・・・。」

 

純「ん?どうした、秋・・・!」

 

すると、純は秋蘭に呼ばれ顔を向けると、秋蘭に口付けをされたのだった。

そして、

 

秋蘭「大好きです、純様。」

 

と言った。それを聞いた純も、

 

純「俺も、大好き。」

 

そう返して口付けをしたのだった。

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