恋姫無双〜覇王の弟〜   作:ホークス馬鹿

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8話です。


8話

豫州の汝南

 

 

 

純「しっかし、本当にすんなり通れたよ。」

 

秋蘭「はい。前回あれほど苦労したのが嘘のようです。」

 

純「そうだな。香風。都で鳴らしたその武勇、期待してるぞ。」

 

香風「うん。シャン、頑張る。」

 

秋蘭「そう力むな。普段通りにやれば良いんだぞ。」

 

そう秋蘭は答えた。

 

純「しかし、兵糧の量を少なくするなんて思い切ったことしたな、桂花。」

 

桂花「いえ。今の我が軍の実力なら、これくらい出来ると思ったので。」

 

純「まあ、俺も姉上もこういう強行を実戦で試すのは初めてだけどな。」

 

秋蘭「そうですね。華琳様もこのようなことはしませんからね。」

 

桂花「訓練の報告書と、今回の兵数を把握した上での計算です。これでも余裕を持たせてあるので、ご安心下さい。」

 

純「そうか・・・。まあその辺りの手並み、期待してるぞ。稟と風もな。」

 

桂花「御意!!」

 

稟「はっ!!」

 

風「はい~!!」

 

その時、

 

春蘭「おお、純様、そして秋蘭達、こんな所にいましたか。」

 

純「どうした春蘭、急ぎか?」

 

春蘭「はい。前方に何やら大人数の集団がいるらしく、華琳様がお呼びです。すぐに来て下さい。」

 

純「分かった。お前ら、行くぞ。」

 

香風「はーい。」

 

秋蘭「はっ。」

 

桂花「分かりました!」

 

稟「はっ!」

 

風「はい~。」

 

 

 

本陣

 

 

 

純「・・・遅くなりました。」

 

華琳「丁度偵察が帰ってきた所よ。報告を。」

 

柳琳「はい。行軍中の前方集団は、数十人ほど。旗がないため所属は分かりませんが、格好もまちまちですし、どこかの野盗か山賊だと思われます。」

 

華琳「・・・そう。さて、どうするべきかしら?桂花。」

 

桂花「はっ!もう一度偵察隊を出し、状況次第で迅速に撃破すべきかと。」

 

桂花「将の選抜までお任せいただけるなら・・・、純様、春蘭、香風。この3名を中心に据えるのが良いでしょう。」

 

春蘭「おう!」

 

香風「まかせて。」

 

純「ほお、何となく察したが、俺を偵察隊に入れる理由は何だ?桂花。」

 

桂花「はい。柳琳はお戻りになったばかりですし、秋蘭と栄華は本隊の指揮があります。」

 

すると、

 

華侖「なら、あたしが行きたいっすー!」

 

そう華侖が答えたが、

 

桂花「せめて春蘭の抑え役くらい、してちょうだい。」

 

と桂花は答えた。

 

純「やはり、そういうことか。分かった、引き受けよう。」

 

純(まあ、華侖は春蘭と一緒に突撃してしまうところがあるし、そうなると俺に抑え役が回る。)

 

春蘭「あの、何を納得しているのですか!それではまるで、私が敵と見ればすぐ突撃するようではないですか!」

 

桂花「違うの?」

 

純「違うのか?」

 

華琳「違わないでしょう?」

 

春蘭「うう、華琳様と純様まで・・・。」

 

そう言って、春蘭はいじけてしまったのであった。

 

華琳「冗談よ。ならその策で行きましょう。どう対処するかの判断は純、貴方に任せるわ。」

 

純「はっ。」

 

香風「なら華琳様、行ってきまーす。」

 

すると、

 

秋蘭「・・・姉者、香風。純様にもしもの事があったら、分かっているな。」

 

秋蘭が、禍々しい殺気を出しながら春蘭と香風に対して、そう言った。それに対して、

 

春蘭「う、うむ。分かっているぞ、秋蘭。」

 

香風「コクコクコク」

 

2人は青ざめながらそう対応した。

 

 

 

 

偵察隊

 

 

 

純「春蘭、今回は偵察が第一だ。通りすがりの商人とかその護衛とかだったら、後が面倒だからな。」

 

春蘭「分かっております純様!そこまで私も迂闊ではありません。」

 

純(いや、その迂闊がありえるから俺が付けられたんだよ・・・。)

 

すると、

 

香風「春蘭様、あそこー。」

 

春蘭「よし!と」

 

純「突撃禁止だぞ!」

 

春蘭「わ、分かっております・・・!と、とりあえず、とりあえず・・・、私は何を言おうとしたのでしょうか、純様!」

 

純「お前なぁ・・・。しかし・・・、何だ?ありゃ、行軍してる感じじゃねーぞ?」

 

春蘭「何かと戦っているようですね。」

 

すると、

 

香風「あ、何か飛んだー。」

 

純「ありゃ、人だな。」

 

春蘭「何だ、あれは!」

 

兵士A「誰かが戦っているようです!・・・その数、1人!それも子供の様子!」

 

春蘭「何だと!?」

 

すると、その報告を聞いた春蘭は、馬に鞭を当てて、一気に加速させてその集団へと向かっていった。

 

純「おい、春蘭!」

 

すると、

 

香風「純様は、後で来て下さい。」

 

そう言った香風も、春蘭が向かった方向へ馬を走らせたのであった。

 

兵士A「曹和様・・・。」

 

純(あいつら、何しに来たんだよ・・・。)

 

純「しょーがねー。お前は20騎程率いて春蘭達の援護に行け。ただし、全滅させるな。一部は逃がし、そいつらを残りの俺が追跡する。恐らく敵の本陣かもしくは本隊に逃げ込むはずだ。」

 

兵士A「はっ!承知しました!」

 

そう言って、その兵士は20騎程率いて、春蘭達に向かったのであった。

 

 

 

一方、

 

 

 

??「でえええええいっ!」

 

野盗A「ぐはぁっ!」

 

??「まだまだぁっ!でやあああああああっ!」

 

野盗B「がは・・・っ!」

 

野盗C「ええい、テメェら、ガキ1人に何を手こずって!数で行け、数で!」

 

野盗D「おおぉぉ!」

 

??「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。もぅ、こんなにたくさん・・・、多すぎるよぅ・・・!」

 

その時、

 

野盗E「ぐふぅっ!」

 

1人の野盗が倒れた。

 

??「・・・え?」

 

春蘭「だらぁぁぁぁっ!」

 

野盗F「げふぅっ!」

 

香風「はぁぁぁぁぁっ!」

 

野盗G「ぐはぁあっ!」

 

春蘭「大丈夫か!勇敢な少女よ!」

 

??「え・・・?あ・・・はいっ!」

 

春蘭「貴様らぁっ!子供1人によってたかって・・・、卑怯というにも生温いわ!てやああああああっ!」

 

野盗C「うわぁ・・・っ!退却!退却ーっ!」

 

春蘭「逃がすか!全員、叩き斬ってくれるわ!香風、回り込め!」

 

香風「了解。」

 

するとそこへ、

 

兵士A「夏侯惇様!徐晃様!お待ち下さい!」

 

先程の兵士が止めに入ったのであった。

 

春蘭「ばっ・・・!貴様、何故止める!」

 

兵士A「我々の仕事は偵察です。その子を助けるために戦うのは良いですが、敵を全滅させるのが目的ではありませんっ!」

 

香風「桂花、流れ次第で全滅させて良いって・・・。」

 

春蘭「そうだぞ。敵の戦力を削って何が悪い!」

 

兵士A「それは確かにそうですが、もっと良い作戦があります。」

 

春蘭「・・・例えば何だ?」

 

兵士A「逃がした敵をこっそり追跡して、敵の本拠地を掴むといったのです。」

 

春蘭「・・・おお、それは良い考えだな。誰か、おおい、誰かおらんか!」

 

兵士A「・・・曹和様が既に偵察に向かわれました。」

 

香風「さっすがー、純様。」

 

春蘭「うむ、そうだな。」

 

兵士A「はぁ・・・。」

 

 

 

一方純達は、

 

 

 

 

純「よし、一部を逃がすことは出来たようだな。あの集団を追うぞ!」

 

兵「「「はっ!!」」」

 

そう言って、純達は逃げた敵を追い、盗賊団の本拠地を見つけ、華琳の本隊に戻ったのであった。

 

 

 

 

その頃、

 

 

 

 

華琳達本隊がやって来た。

 

華琳「春蘭。謎の集団とやらはどうしたの?戦闘があったという報告は聞いたけど?」

 

春蘭「私と香風の一当てで総崩れしました。一部は逃がし、追跡させているので、本拠地はすぐに見つかると思います。」

 

華琳「あら、なかなか気が利くわね。恐らく純の指示でしょう?」

 

春蘭「はい、そうです。」

 

するとそこへ、

 

秋蘭「ところで姉者、香風。純様と一部の騎馬兵はどうした?」

 

秋蘭が春蘭達に尋ねた。

 

春・香「「・・・。」」

 

2人は沈黙の後、しまった!と言う顔をし、少し青ざめた顔をした。

 

秋蘭「姉者、香風・・・。」

 

すると、秋蘭が禍々しいオーラを出したので、

 

兵士A「そ、曹和様は、自ら一部の兵を率いて、本拠地を探っておられます!」

 

代わりに春蘭達を止めた兵が答えたのであった。

 

秋蘭「姉者!香風!純様にもしもの事があったらどうするつもりだ!」

 

すると、秋蘭が珍しく語気を荒げながら春蘭達に言ったのであった。

 

春蘭「秋蘭。純様は我が軍最強の武人だぞ!この程度の連中に遅れを取るものか!」

 

秋蘭「しかし・・・。」

 

華琳「秋蘭。純の事を慕っているのなら、信じなさい。春蘭の言う通り、そう簡単にはやられないわよ。」

 

華琳がそう答えたので、

 

秋蘭「・・・御意。」

 

秋蘭も怒りを静めたのであった。

 

??「・・・!」

 

華琳「この子は?」

 

??「お姉さん、もしかして、国の軍隊・・・っ!」

 

春蘭「まあ、そうなるが・・・ぐっ!」

 

その時、春蘭と一緒に戦っていた少女は、鉄球なぎ払い、春蘭に攻撃したのであった。

 

春蘭「き、貴様、何をっ!?」

 

??「国の軍隊なんか信用できるもんか!僕達を守ってもくれないクセに、税金ばっかりどんどん重くして・・・ッ!」

 

??「てやあああああああっ!」

 

春蘭「・・・くぅっ!」

 

??「僕は村で一番強いから、僕がみんなを守らなきゃいけないんだっ!盗人からも、お前達・・・役人からもっ!」

 

香風「・・・。」

 

春蘭「くっ!こ、こやつ・・・なかなか・・・っ!」

 

華琳「・・・。」

 

柳琳「・・・お姉様。」

 

??「でえええええええええええええいっ!」

 

春蘭「ぐぅ・・・!仕方ないか・・・いや、しかし・・・。」

 

するとそこへ、1人の影が2人の間に立った。

 

 

 

 

数分前、

 

 

 

 

純「よし、敵の本拠地も割り出せたし、姉上の本隊に合流すっか。」

 

そして、

 

純「ん?あの少女、さっき野盗の集団と戦ってた子だな。本気が出せないとは言え、あの春蘭を押すとは・・・。とは言え、止めなきゃな。」

 

そして後ろを振り返り、

 

純「俺、あいつらを止めるから、お前らは後で来い。」

 

そう言って、純は2人に向かって行ったのであった。

 

 

 

 

現在

 

 

 

 

純「お前ら、そこまでだ。」

 

純は、春蘭と少女の間に立った。それぞれ大小の刀を向けながら。

 

??「え・・・っ?」

 

春蘭「純様!」

 

純「剣を引け!そこのお前も、春蘭も!」

 

??「は・・・はいっ!」

 

純の覇気に当てられて、少女は軽々と振り回していた鉄球を、その場に取り落としたのであった。

 

純「・・・。」

 

その様子を見た純は、刀を鞘に収め、華琳の傍に立ったのであった。

 

華琳「・・・春蘭。この子の名は?」

 

春蘭「え、あ・・・。」

 

季衣「き・・・許緒と言います。」

 

華琳「そう・・・。」

 

そして華琳が取った行動は、

 

華琳「許緒、ごめんなさい。」

 

季衣「・・・え?」

 

許緒に頭を下げたのであった。

 

桂花「華琳、様・・・?」

 

春蘭「何と・・・。」

 

純以外の皆は、華琳の行動に驚いていた。

 

季衣「あ、あの・・・っ!」

 

華琳「名乗るのが遅れたわね。私は曹操。あなたを止めたのは、弟の曹和。山向こうの陳留の地で太守をしている者よ。」

 

季衣「山向こうの・・・?あ・・・それじゃっ!?こ、こちらこそごめんなさいっ!」

 

春蘭「な・・・?」

 

季衣「山向こうの噂は聞いてます!向こうの太守様は凄く立派な人で、悪いことはしないし、税金も安くなったし、後、その太守様の弟様のおかげで、盗賊も凄く少なくなったって!」

 

季衣「・・・あ!もしかして行商のおじさんが言ってた、陳留の太守様がこっちの悪い賊を討伐に来るっていうのが・・・!!」

 

華琳「・・・。」

 

許緒の言葉を聞いた華琳は、黙って頷いた。

 

季衣「そんな・・・。そんな人達に、僕・・・僕・・・!ごめんなさい!僕達を助けに来てくれた人に・・・本当にごめんなさい!!」

 

華琳「・・・構わないわ。今の政事が腐敗しているのは、太守の私が1番よく知っているもの。官と聞いて許緒が憤るのも、無理のない話だわ。」

 

季衣「で、でも・・・。」

 

華琳「だから許緒。あなたの勇気と憤り、この曹孟徳に貸してくれないかしら?」

 

季衣「え・・・?僕の・・・?」

 

華琳「私はいずれこの大陸の王となるわ。けれど、今の私の力はあまりに小さすぎる。」

 

華琳「だから・・・村の皆を守るために振るったあなたの力と勇気。この私に貸して欲しい。」

 

季衣「曹操様が、王に・・・?」

 

華琳「ええ。」

 

季衣「あ・・・あの・・・。だったら。曹操様が王様になったら、僕達の村も、治めてくれますか?盗賊も、やっつけてくれますか?」

 

華琳「約束するわ。陳留だけでなく、あなた達の村だけでもなく・・・この大陸の皆がそうして暮らせるようになるために、私はこの大陸の王になるの。」

 

季衣「この大陸の・・・みんなが・・・。」

 

桂花「ああ、華琳様・・・。」

 

華琳「ねぇ、許緒。」

 

季衣「は、はいっ!」

 

華琳「これから、あなたの村を脅かす盗賊団を根絶やしにするわ。まずそこだけでいい、あなたの力を貸してくれるかしら?」

 

季衣「はい、それならいくらでも!じゃない、僕の方こそお手伝いさせて下さい!!」

 

華琳「ふふっ、ありがとう・・・。春蘭、香風。許緒はひとまず、あなた達の下に付けるわ。分からないことは教えてあげなさい。」

 

香風「はーい。」

 

春蘭「了解です!」

 

季衣「あ、あの・・・ええっと・・・。」

 

春蘭「既に華琳様には謝ったのだろう。ならば、それで良い。」

 

香風「それより・・・ごめんなさい。」

 

季衣「ほぇ・・・?どうして君が僕に謝るの?」

 

香風「シャンも、前は都の役人だった。・・・何も出来なかった。」

 

季衣「あはは。僕は悪い役人は大嫌いだけど、曹操様みたいに良いお役人様は大好きだよ。それより、さっきは助けてくれてありがとう。これからよろしくね!」

 

香風「うん。シャンは、香風だよ。」

 

春蘭「ならば、私の事も春蘭でいい。」

 

季衣「えええっ!?でもそれって、真名じゃ・・・僕なんかが、畏れ多いです!」

 

春蘭「あれ程の使い手なら、名を預ける価値もあると言うものだ。先程の猛攻、恐れ入ったぞ。」

 

香風「うん。今度、シャンともやろう。」

 

季衣「は・・・はいっ!なら、僕のことも季衣って呼んで下さい!春蘭様、香風、よろしくお願いします!」

 

春蘭「うむ。季衣、その力、華琳様のためにしっかり役立ててくれよ。」

 

季衣「はいっ!もちろんです!」

 

華琳「純。」

 

純「はっ。偵察した結果、盗賊団の本拠地はすぐそこです。」

 

華琳「そう。分かったわ。・・・では総員、行軍を再開するわ!騎乗!」

 

純「総員!騎乗!騎乗っ!」

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