「お父様···············?」
彼女、フランドール·スカーレットは扉の前でこちらを見つめている。
その瞳は物心がついたばかりの子供のように純粋に見える。
いや、実際人間の幼児レベルの年齢だが。
しかし、とんでもなく邪悪な力を持っているのにねぇ。
可哀想な『運命』だ。
「フラン·············」
「御姉様も·········どうしたの?お父様は少し汚れているし·······」
フランの言葉を聞いて、私はあることを閃いた。
「あぁ、フラン。これはね」
「私がお父様を虐めていたのよ」
「········え?」
フランは理解できないといった様子で首を傾げている。
それはそうだろう。
私はフランの記憶上では父より弱者なのだから。
「レミリア············」
父の方を向き、ウィンクをする。
父は弱かったが、知識はあり、察しのいい者だったので、私のしたいことを理解してくれたようだ。
一瞬呆気にとられた様な表情をしていたが、やれやれといった顔で部屋の隅まで移動した。
ありがとう。
心の中で礼を言う。
「お姉様がお父様を?どうやったの?」
「力で捩じ伏せたの」
「弱いのに?」
「強くなったのよ、それこそあなたよりね」
「むー、弱っちかったくせにー」
頬をぷぅっと膨らませ、不満そうな表情を浮かべる。
姉を敬う気持ちはないのかと苛立ちを少し覚えるが、敬わないなら敬わせればいいと思い、怒りを抑える。
「なんなら············戦ってもいいわよ?」
「いいよ、お姉様なんか弱いもん!能力もないし!」
「あら、私にもあるわよ?」
「え·············?」
「私にも能力はあると言ったのよ、フラン」
子供を諭すような言い方で言うと、それが癪に触ったのか、少し怒りだした。
「あってもどうせ弱いもん!私の力に敵うわけない!」
「戦ってみればわかるんじゃない?」
「べーだ!やっちゃうもん!きゅっとしてぇ············」
フランが小さな手を広げる。
きたか、フランの破壊の能力。
物体を破壊し、存在を破壊し、精神を破壊し、何もかも破壊する。
一見、無敵のように見えるが、私も対策もなしに挑むようなバカじゃない。
私の能力ならなんとかなる。
「ドカーン!」
ぐしゃ
フランが手を握ると同時に、部屋に何かが潰れる音が響く。
私?私は健在だ。
その潰れた何かをフランも父も、目を見開き見つめている。
潰れたのは紙。
父がそこらに捨ててあるクシャクシャに丸められた紙の一つ。
原理はこうだ。
私の運命操作で、その紙が一秒後に潰れる運命にする。
運命なので、勝手に潰れる訳ではなく、別の要因がいる。
しかし、一秒でそんなことをできるわけがない。
そこでフランの能力だ。
フランの能力は一秒後に私を破壊するはずだった。
しかし、壊れる運命にありながら、壊れようのない紙がそこにあることによって、
フランの破壊が誘導されたのだ。
フランは呆気にとられていたが、ハッと正気に戻り、私を破壊しようとする。
しかし、何度やっても辺りにある紙が壊れる。
何度やっても当たる訳がないのに。
心の中で嘲笑しながら、私はフランの方にゆっくりと歩み寄る。
そして、
「ごめんね、フラン。虐めていたっていうのは嘘よ」
頭を撫でる。
フランは初めはびっくりしていたが、あぅと言いながら俯いている。
計算通りかな。
しかし、正直ヒヤヒヤした。失敗したら私の体が粉々だし。
死にはしないけど痛いのは嫌だから。
まずは、家の中を制圧かな?そう思い、少し安堵する。
しかし、油断はしていない。
強きものは沢山いるのだろうから。
Destroy
一日で三投稿は初めてです。
やる気がヤバい。