彼はとある魔導師達の村で生まれました。
彼は運動面では人より明らかに劣っていましたが、
魔法の才能があったのか、老練の魔導師がやっと使えるような魔法を、
弱冠16歳にして使えるようになりました。
しかし、彼は自惚れることはなく、ひたすら研究に打ち込みました。
何度日が昇り、沈み、月が昇り、沈み、
何度春が来て桜が咲き、夏が来て蝉が鳴き、秋が来て紅葉が舞い、冬が来て雪が降ったか、
それがわからなくなった頃、彼の研究は終わりを迎えました。
彼は恐らくは全ての魔法を知り、扱えるようになったのです。
彼は歓喜しました。
そして、世界中の人々に使って貰おうと思って、世界中に広めました。
彼が結婚したのはこの頃です。
彼も幸せになり、世界中も幸せになり、
きっと便利な世の中になるぞ。
そう思っていました。
しかし、現実は違いました。
国々が魔法を使い、戦争を始めたのです。
彼は驚き、止めに行きました。
たった一人で戦争に介入し、人が死なない程度の魔法で、戦争を止めようとしました。
彼の必死の努力の末、戦争は終わりました。
ただ、彼は自らの力を示しすぎたのです。
彼は危険人物とされ、世界中の国々が彼に攻撃を始めました。
彼は戦いました。たった一人で。
此のときばかりは死なない程度の魔法だなんて言っていられないので、本気で戦っていました。
戦いは長い間続きました。
しかし、ずっと続くわけではありません。
もう少しで彼は勝利しそうになり、少し安心しました。
そんな時、誰かの手によって彼の背中にナイフが刺さりました。
彼はとっさに魔法で攻撃しました。
すぐに自らの傷を魔法で癒し、刺した誰かを見ました。
刺した人物は妻でした。
彼は悲しみました。
何故私を刺したのかと。何故私は気づけなかったのかと。
何故、何故、何故、何故何故何故何故何故何故何故何故何故。
泣き続け、涙が枯れた頃、彼は絶望の淵でこう思いました。
死にたい、と。
そこで彼の意識は途切れました。
次に目覚めたときには、もう人ではありませんでした。
吸血鬼だったのです。
しかし、彼は然程動揺せず、あることを誓いました。
魔法はもう使わない、と。
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「これが私が吸血鬼になった詳しい経緯だよ。
それとその本を持っている理由はね、私が書いたからさ」
割りと暗い話だったのに、何でもないように父は話す。
私が、詳しく話してくださいと言うと、詳しく話してはくれたが、正直頭の整理が追い付かない。
この人が、全ての魔法を知っている大魔導師で、世界を相手に戦った?
ぶっちゃけ信じられない。
そんなことを信じろという方が難しいだろう。
唸りながら時計を見ると、もう朝だった。吸血鬼なら寝る時間だ。
そう思い、微笑んでる父に話しかける。
「ありがとうございます·········それでは、私はそろそろ眠りにつくので」
「あぁ、お休み。レミリア、また夜に」
「また夜に」
別れの言葉を交わし、私は部屋を出てさっきの部屋に戻る。
相も変わらず不気味な部屋だ。
しかし、そんなことを考えても仕方がないと思い、棺に入る。
直ぐには眠れないかと思っていたが、
色々あったせいで疲れていたのか、直ぐに意識を手放すことになった。
その時、私は知らなかった。
未来に起こる出来事を。それが私の運命を大きく変えることを。
私は知らなかった。
物語風に。
割りと直ぐに仕上がりました。