シュークルス・フィリィ・ワールド   作:RE×

12 / 52
第十一話 魔素について

「は、はい・・・、あの、初めまして・・・」

 

「ふふ・・・♪ そう固くならないでいいのよぉ?♪

緊張してるのかしら・・・♪ かわいい子♪

お名前はなんていうの?♪」

 

「ま、守っていいます・・・」

 

「そう、マモルちゃんね♪ よろしく♪」

 

 

 どこか甘い声で会話するベルリーナさんに、

守くんは少しだけ動揺してしまいます

 

 それでも一応は挨拶が済んだこともあり、

今度はアミーお姉さんが話を始めてくれました

 

 

「お久しぶりですベルリーナ先輩、今日はこの子のことで

お願いがあってきました」

 

「あら、もうお姉ちゃん呼びはおしまいなの? つまらないわぁ・・・、

それで・・・、アミーちゃんったらいつの間に男の子を産んでたの?♪

言ってくれればお祝いしたのに♪」

 

「ち、違いますよ先輩、マモルくんは私の息子じゃなくて・・・」

 

「そっか、なら彼氏さんかしら♪ 奥手だったアミーちゃんが

こんなかわいい恋人を手に入れちゃうなんて・・・♪」

 

「もう、分かったわよお姉ちゃん! これでいいでしょ!?

話が始まらないからそろそろからかうのはやめて!」

 

 

 知り合いらしい二人でしたが、ベルリーナさんが一方的にからかい、

アミーお姉さんが呼び方を改めています

 

 どこか手慣れたやり取りに守くんは呆然としますが、

ようやく話が始まるようです

 

 

「ふふ、それでいいわ♪ じゃあ引き受けてあげるから

何を頼みたいのか詳しく話してちょうだい♪」

 

「えっ、いや・・・、話を聞く前に引き受けちゃっていいの?」

 

「水臭いこと言わないでよ♪ アミーちゃんのお願いだったら二つ返事で引き受けちゃうわ♪

・・・何か訳ありなんでしょうけど、悪いことはしてないって分かるもの♪」

 

「お姉ちゃん、ありがとう・・・♪ じゃあ言うね・・・、

もうすぐ資格の試験があるでしょ? それまでこの子の特訓をしてもらいたいの」

 

「あら、ということは試験を受けるの? マモルちゃんが? ふぅん・・・?」

 

 

 守くんがモンスター退治の試験を受けると聞き、

ベルリーナさんはまじまじと彼を眺めます

 

 そして不思議そうな顔をになると、もう一度アミーお姉さんと話し始めました

 

 

「ねぇアミーちゃん・・・、この子、魔法も使えないみたいだけど

本当に試験を受けるの?」

 

「えっ? お、お姉ちゃん、それどういうこと?」

 

「だってこの子、体内の魔力が魔素と適合してないじゃない、

これじゃ魔力を外に出すこともできないでしょう、

それとも、純粋な肉体の力だけで戦うつもり?」

 

「魔素と適合してない・・・? それ本当なの?」

 

「ええ、私には分かるわ、ねぇマモルちゃん、あなた一体どこで暮らしていたの?

少なくともこの国の生まれじゃないでしょう?」

 

「えっ? えっと、その・・・」

 

 

 二人がさっぱり分からない話を始めたかと思うと

唐突に話を振られ、守くんは動揺してしまいます

 

 すると、その質問を遮るように

アミーお姉さんが声を掛けました

 

 

「お姉ちゃん、ちょっと待って?

・・・マモルくん、私の方からあなたのことを説明させてもらっていい?

つまり、あなたの世界や女神様についてお話することになるんだけど・・・」

 

「あ・・・、はい、それはいいんですけど、

その・・・、ベルリーナさんは・・・」

 

「大丈夫よ、きっと全部信じてくれるから♪」

 

「分かりました、じゃあ、お願いします」

 

 

 守くんを励ますように微笑むと、アミーお姉さんは

ベルリーナさんにあれこれ話し始めます

 

 守くんが異世界からやってきたこと、

女神様に素質を貰って魔法を使ったこと・・・

 

 そしてお願いされて資格を取ろうとしていること、

全て伝えました

 

 ベルリーナさんは最後まで黙って話を聞き、

一通りの説明が終わったところで口を開きます

 

 

「なるほどねぇ・・・、なんというか、とんでもない話だわ、

女神様に異なる世界・・・、フィリィ様のお姿を見たなんて始めて聞いたかも」

 

「あの、信じられないかもしれませんが、

本当なんです・・・、僕、違う世界から来て・・・」

 

「ああごめんなさい、信じていないわけじゃないのよ?

でもちょっと予想外のお話だったからすぐに飲み込めなくて・・・、

ともかく、このお話はあまり広めない方がよさそうねぇ・・・」

 

「やっぱりそうよね・・・、信じる人は少ないでしょうけど

大っぴらにできる話じゃなさそうだし」

 

「それに、万が一信じる人が現れたら大変なことになるかもしれないわよぉ?

特に女神様のお姿を実際に見たなんて部分はね・・・、

ま、大抵の人はそこが一番信じられないでしょうけど」

 

 

 話を一応は信じてもらえたのでしょうか、

お姉さんたちは考える様子を見せながら会話していました

 

 守くんはというと、さきほど話に出ていた「魔素」が何か気になり

思い切って問いかけようと考えます

 

 

「あの・・・、ちょっといいですか?

さっきベルリーナさんが言っていたマソって何でしょう?」

 

「ああ、そう言えばマモルくんには説明してなかったわね、

簡単に言うと、魔法の素となる存在よ」

 

「空気の中に混じっていてねぇ、体の中の魔力と

その魔素を混ぜ合わせたら魔法になるの♪

普通は存在が分からないんだけどぉ、訓練した人間ならいろいろと感じられるのよぉ♪」

 

「そうなんですか、この世界にはそんなものが・・・、

やっぱり僕がいた世界にはないんでしょうか・・・」

 

「ええ、恐らくだけど、あなたのいた世界にはなかったでしょうねぇ、

あなたを見ればそうだって分かるわ」

 

「僕を見ると? どうして分かるんですか?」

 

「簡単に言うとぉ、あなたの身体は内にある魔力を

外へ放出できるようになっていないの」

 

「魔力を・・・、外へ・・・?」

 

 

 少しずつ説明が難しくなってきたからでしょうか、

守くんは首を傾げながら質問を重ねます

 

 相手にもそれが伝わったのでしょうか、

ベルリーナさんは少し考えてから言葉を選びつつ返答しました

 

 

「魔素を何年も浴び続けているとぉ、それができるようになっちゃうの♪

少しずつ魔力が変わっていくからね・・・、

魔法を使う第一歩ってところかしら♪」

 

「第一歩・・・そうなんですね、

じゃあベルリーナさんが僕は魔法が使えないって言ったのは・・・」

 

「ええ、あなたの魔力は変わっていないの、

きっと魔素を浴びていないからね・・・、

だから、本当は魔法が使えないはずなのよ」

 

「でもお姉ちゃん、マモルくんは現に魔法を使って私を助けてくれたのよ?」

 

「そこが不思議なの・・・、実際に使っているところを

見たわけじゃないから分からないけれど、

多分その女神様にもらった素質のおかげなんでしょうね」

 

「う~ん・・・、私は実際に見たんだけど、

お姉ちゃんみたいに魔素も魔力もちゃんと感じられないし、

魔法の発現する仕組みもよく知らないから・・・」

 

「あの・・・、今朝のことなんですけど、僕、お姉さんに教えてもらった

お湯を出す魔法が使えなかったんです、

女神さまが言うには僕の素質は『攻撃魔法』にしか意味がないらしいんですけど・・・」

 

「お湯を出す魔法が出せなかった? それならやっぱり、

私が見た通りあなたは魔法を使える段階に至ってないんだわ・・・、

でも、攻撃魔法だけは使えるなんて不思議・・・、これは一度、見てみる必要があるわねぇ♪」

 

 

そう言うと、ベルリーナさんは机の上にあった三角帽子を被ります

 

そして振り向き、楽しそうな笑顔で二人にこう言いました

 

 

「ともかく行きましょうか♪ 外へ出発よぉ♪

部屋から出るのは久しぶりだわ♪」

 

 

こうして難しいお話はひとまず終わり、守くんの特訓が始まるようです

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。