シュークルス・フィリィ・ワールド   作:RE×

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第三十一話 セレスティナさんの魔法

 本部のラウンジで出会ったセレスティナさんと守くん、

二人は複数ある町の出入り口の内、1つの前まで来ていました

 

 

「こっち側にも出入口があるんですね、僕、こっちから出るのは初めてです」

 

「おや、そうなのか・・・、とすると普段は草原や荒野へ通じる方からだね?

向こうは他と比べて安全だから、私も新人のころはそっちを利用してたっけ」

 

「向こうは安全・・・、だとすると、こっちの出入り口は

危険な場所へ繋がってるんですか・・・?」

 

「はは、町の外なんて大体どこも危険さ、

その中で他よりマシかそうでないかという区別がされている程度のことにすぎない、

まあ恐らく君が見たことのないモンスターぐらいは出るだろうけど」

 

「う・・・、あの、見たことのないモンスターだと

どの魔法を使えばいいか分からないので、できれば教えて欲しいです・・・」

 

「ふむ、そういえば遠くから戦うタイプの人はできるだけ

一撃で仕留められる魔法を使うんだったかな? だとしたらすまないが

私は恐らく君が使うような魔法は使えない、自分で学んでおくれ」

 

「えっ? それは一体どういうことなんですか・・・?」

 

 

 会話をしながら歩き始めていた二人でしたが、

セレスティナさんの衝撃的な発言に驚き、守くんは思わず歩みを止めてしまいます

 

 しかし、相手はそれに気付かず歩き続けていたので、

慌てて後を追いかけながら話を続けました

 

 

「ま、待ってくださいセレスティナさん、

魔法が使えないって一体どういう・・・」

 

「そのままの意味さ、君たちが使う基本的な遠距離攻撃の魔法や

武器を強化する補助的な魔法など、私はろくに扱えない、どうも少し特殊な体質みたいでね」

 

「ま、魔法が使えない・・・、あの、それじゃあどうやって

モンスターを退治しているんですか・・・?」

 

「勘違いしてもらっては困るな、私が使えないのはあくまで他の人が使っている魔法だ、

だから自分が使える魔法を自分で作った」

 

「魔法を作った・・・? そんなことができるんですか?」

 

「驚くのも無理はないだろう、ほとんど事例はないからね、

実は手慰み程度なら熟練者であれば作るのは難しくないが

そもそも魔法の定義から外れるものがほとんどであって・・・」

 

「え、ええと・・・?」

 

「つまりは呪文を唱え魔力を放出して空気中の魔素を集め形を成すという手順を踏んで、

なおかつ多くの人間に再現性の認められたものが正式な魔法として認められ・・・」

 

「う、ううん・・?」

 

「しかるに私のように魔素が変容した特殊な人間は

魔法の反応が従来と違っているため自分なりに調整した呪文を使って

正式なものではないが新しい魔法を作る必要があったというわけさ、分かったかな?」

 

「う・・・、ごめんなさい、全然分かりませんでした・・・」

 

「おや、そうかい? まあ、要するに私は他の人とちょっと違うわけさ・・・、

さて、そろそろ何かに出くわしてもおかしくない、索敵の魔法を使ってくれるかい?」

 

 

 熱の入った語りをさっぱり理解できなかった守くんですが、

セレスティナさんは大して気にした様子もなく説明をまとめ、

魔法で敵を見つけるよう求めてきます

 

 しかし、攻撃以外の魔法が使えない守くんは

困った様子を見せながらそれを断りました

 

 

「あの・・・、ごめんなさい、実は僕、攻撃の魔法しか使えないんです・・・、

だから、その・・・」

 

「なんと・・・、攻撃の魔法が使えるのに、

それより簡単な補助の魔法が使えないというのかい・・・?」

 

「そ、そうなんです、ごめんなさい・・・、新人のお仕事は

モンスターを見つけることだってさっき言われたんですけど、それはできなくて・・・」

 

 

 申し訳なさそうに索敵の魔法が使えないことを伝える守くんですが、

セレスティナさんは立ち止まり、そんな彼をまじまじと眺めます

 

 その表情は、好奇心や興味がそそられているような、

そしてどちらかというと好意的なものに見えました

 

 

「そうかそうか・・・、なるほど、どうやら君も苦労をしているみたいだね、うんうん・・・、

分かった、じゃあ先ほどの言葉は忘れてくれ、気に病む必要はない」

 

「え・・・? その、いいんですか・・・?」

 

「できないことを今すぐできるようになれなんて言うはずないさ、

索敵が無理なら警戒しつつ進めばいい、ただ一つ問題があるとすれば・・・」

 

「な、なんでしょ・・・、えっ!? な、なんですか今の声・・・!?」

 

「やはり気付かれていたか・・・、上だ、向こうの空を見てごらん・・・!」

 

 

 会話の途中に叫ぶような声が聞こえ、話は途切れてしまいます

 

 守くんがセレスティナさんに言われた方を見ると、

空から数体の黒い影が近付いてきてました

 

 

「な、なんですかあれ・・・!?」

 

「あれがこの辺りにいるモンスター、フォード・ティラニエルさ、

警戒心が強くて縄張りに誰か入ろうものならすぐに襲い掛かる、

だから索敵ができないと移動するたびにこのような奇襲を受けてしまうんだ」

 

「ど、どうしましょう、初めて見るモンスターです、

どんなことをしてくるのか・・・、どんな魔法を使えばいいのか・・・」

 

「ふむ、基本を守るのは悪くないがもう考えている暇はないぞ?

というわけでここは私に任せてくれ、私の『魔法』を披露しようではないか」

 

 

 セレスティナさんは言葉の途中で腰を落とし、

両手を片方の腰へ持っていきます

 

 その恰好になんとなく思い当たる節があった守くんは、

これがどういう構えなのか考えますが、答えはすぐに分かりました

 

 

「グラスウォルト・ルーフ、ノマディ!」

 

 

 呪文が唱えられた瞬間、両手の中に光が現れ、ぼんやりとした形が作られます

 

 そして光が消えると、セレスティナさんの手にあるものが握られていました

 

 それは、守くんも元の世界で見たことがある「刀」のような武器だったのです・・・

 

 

 

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