「あれはヴィラーオ・クルーラ、本来こんな場所に現れるモンスターじゃないはずだぞ・・・!?
こいつがいたから小型のモンスターを見なかったわけか・・・!」
「お、大きい・・・、ものすごく大きな鳥みたい・・・!」
太陽の光を遮り、地上に大きな影を落とすモンスターを見上げながら
お姉様は戦慄し、守くんはただただ驚いています
しかし二人の反応は無理からぬことでしょう、
新たな大型モンスターは、まるで空を飛ぶ要塞と言える相手でした
「これはまずいな・・・、逃げようにも恐らく向こうは私たちに気が付いている・・・、
あいつの攻撃をかわしながら町まで逃げられるか・・・!?」
「に、逃げるんですか・・・? あんな大きな相手からどうやって・・・」
「それはね・・・、こうやって逃げるのさっ!」
そう言いながら、お姉様は守くんを脇に抱え、
一目散に来た道を戻っていきます
そのスピードはかなり速く、守くんの視点では
周りの景色がどんどん流れていきました
「うわわっ! すっ、すごいっ! お姉様、こんなに早く走れるんですか!?」
「私の装備は脚力が高まるものを特別に作ってもらったからねっ!
高くジャンプする場面は何度も見せただろうっ!?
これで逃がしてくれるといいが・・・、むっ、あれは!?」
お姉様が振り返り、モンスターの様子を確認すると、
ヴィラーオ・クルーラは空中で翼を広げ、はっきりとこちらを睨みつけています
そして次の瞬間大きく羽ばたくと、突風が巻き起こって周りの木々をなぎ倒しました
「うわっ!? ま、まずいっ! マモル、私にしっかり捕まってっ!」
「わっ! うわぁぁっ!」
嵐のような風に巻き込まれ、二人は大きく吹き飛ばされてしまいます
さらに、モンスターの翼から飛び散った羽や一緒に飛ばされた木々にぶつかり、
大きな衝撃を受けながら遥か遠くへ叩きつけられました
「ぐぅっ! くぅ・・・、防具を付けててもこの衝撃だけはどうにもならないな・・・、
マモル、大丈夫かい・・・!」
「だ、大丈夫です・・・、お姉様がかばってくれましたから・・・」
「そうか、良かった・・・、しかしこの状況はまずいな・・・、
私の防具は耐久面が弱いんだ、それに君の防具も強化してないなら・・・、
次は耐えられるかどうか分からないぞ・・・!」
「ど、どうしましょう・・・? これ、逃げられそうにないですよね・・・?」
「そうだな・・・、それにこいつを町へ誘導したらとんでもないことになりそうだ・・・、
あんな攻撃を一度でも使わせたら大きな被害が出る・・・!
マモル、覚悟を決めてくれ・・・!」
「わ・・・、分かりました・・・!」
お姉様が守くんを胸に抱く恰好となって攻撃を耐えた二人ですが、
双方ともそんなことに触れている場合ではありません
逃げきれない相手だと悟り、立ち上がって迎え撃つ覚悟を決めました
「私の攻撃はまだ届きそうにない・・・、さっきの羽ばたき攻撃が出せないよう
ここから君が攻撃を仕掛けてくれ! 威力よりも当てることを考えるんだ!」
「やってみます・・・! ラー・ヴィグァ・ハイト!」
お姉様の号令に従い、守くんが攻撃を放ちます
白い刃がまっすぐ飛んでいきますが、
それに気付いた相手は空中で制止し、一度羽ばたきます
すると翼から無数の羽が飛び出し、撃った魔法を全て迎撃してしまい、
残った翼が守くんたちの方へ飛んでいきました
「えっ!? 魔法が消え・・・」
「マモル! 動かないでっ!」
攻撃されていることに気付いたお姉様は、
守くんを抱きしめつつ攻撃の軌道を確認します
幸いにも、こちらに向かってきた攻撃は魔法で相殺されていたらしく、
鋭い羽は周囲の地面へ突き刺さるだけでした
「なんだこの羽・・・、まるで鉄のように輝いてる・・・!?
これでマモルの魔法を弾いたのか・・・!」
「は、羽・・・!? この羽で僕の魔法を・・・!?
ど、どうしましょう!? 魔法がきかないんじゃ・・・!」
「まだ諦めちゃだめだ・・・! 諦めるのは、できることを全部やってからだ・・・!」
(とはいえ、私の攻撃は間違いなく届かない、
せいぜい今の羽攻撃を防ぐのがやっとか・・・)
(これは・・・、予想よりもかなり不味い状況だな・・・)
大型モンスターの攻撃に手も足も出ない守くんとセレスティナお姉様
二人の危機は、すぐには終わりそうにありませんでした・・・