「セレスティナお姉様、大丈夫ですか!?」
「見ての通り心配ないよ、まあ防具の方はかなり危険だけどね・・・、
ともかく私たちは勝ったんだ・・・! ほら、この通り奴は魔石になった!」
興奮冷めやらぬ様子でそう告げるセレスティナお姉様の手には、
とても大きな魔石がしっかりと握られていました
それは紛れもなく大型モンスターのヴィラーオ・クルーラが変化したものであり、
同時に二人の勝利を示すほかならぬ証拠です
守くんは、お姉様が無事であったこと、脅威が去ったことを
ようやく実感できたのか、大きな息を吐きながらその場へ座り込みました
「はぁぁ・・・、よ、良かったぁ・・・」
「おっと・・・! 大丈夫かい・・・? すまなかったね、君にはかなり無理をしてもらった」
「あ・・・、僕は大丈夫です、けど・・・、お姉様が落っこちて怪我をするんじゃないかって思って・・・」
「ああ、そういうこと・・・、防具がある間は大丈夫だよ、
モンスターの攻撃以外のダメージも肩代わりしてくれるからね、
ま、着地に失敗してたらどうなっていたか分からないけど・・・」
何てことないようにそう告げるお姉様でしたが、
こちらも大きな息を吐きながらその場に座り込みます
そして力ない笑顔を浮かべながら会話を続けました
「はぁ・・・、おっと失礼、しかし二人とも無事だって分かったら
ちょっと力が抜けてしまった、だけどよくやってくれたね、
私一人じゃ絶対に倒せなかったよ」
「そんな、僕の方こそ・・・、お姉様がいなかったら
きっと怖くて震えることしかできなかったです・・・、
それに、最後だって倒してもらわなかったらどうなっていたか・・・」
「いやいや、どちらかと言うと私はトドメだけ頂いてしまったようなものだよ、
あそこまで追い詰めたのは他ならぬ君のお手柄で・・・」
「でも僕は、指示してもらって、励ましてもらわなかったら
立ち向かうことすら・・・」
「それを言うなら私の方こそ心のどこかで諦めかけてしまった時・・・、
隣に君がいたから・・・、ふっ・・・、ふふっ・・・♪」
「くすっ・・・、あははっ♪」
二人はお互いにお互いのお陰だと繰り返し言い続け、
そしてどちらともなく笑い出します
ひとしきり笑い終えると、双方ともすっきりした笑顔を浮かべていました
「あ~・・・、笑った笑った・・・♪ それじゃ、この手柄は私たち二人のもの
ということにしておくかな♪」
「分かりました、そうしましょう♪」
「さてと・・・、よく考えたらいつまでも笑いあっている場合じゃなかったな、
元々倒す予定だったモンスターたちは大型モンスターのせいで縄張りを離れていたはずだ、
そうすると厄介な気配が消えた以上いつ戻ってきてもおかしくないぞ」
「えっ? じゃあ、すぐに移動した方がいいんじゃ・・・?」
「そういうことだね、まだまだモンスターを退治したいというなら話は別だが
そうでないなら逃げることをお勧めするよ」
「さ、さすがにもう疲れちゃったのでこれ以上は・・・」
「私も同じだよ、それじゃあ通って来た道をたどって帰ろう、
昨日の今日だからモンスターは早々出てこないはずだが、
この周辺にいるはずだった奴らが通り道に移動しているかもしれない、最低限の警戒はしておくんだよ」
「はい、分かりました・・・、じゃあすぐ帰りましょう」
会話を終えると二人はすぐに立ち上がり、
予定を切り上げ町の方へ戻っていきます
とはいえ、予定していた以上の成果があったためか
セレスティナお姉様は時折り大きな魔石を眺めては嬉しそうに微笑んでいました
それから数える程度のモンスターに遭遇し、それを退治しつつ、
お昼をやや過ぎたあたりで町に到着します
「ああ・・・、やっと帰ってきたんですね・・・、
一日しかたってないのに久しぶりな気がします」
「ははっ♪ まあなかなか濃厚な時間を過ごしたのは確かだね、
さて、疲れてるだろうけど、まだ本部へ戻っての報告が残っているよ?
それから、大まかな手続きも教えてあげるんだったね」
「あ、そうでした・・・、よろしくお願いします」
「まあ、難しいことはしないから大丈夫だよ、
簡単な書類を書いたりするくらいだし」
無事に帰って来た二人ですが、一息つく間もなく
その足で本部へと向かいます
そして建物に入ると、すぐさま窓口へ行きました
「失礼、昨日外泊込みでモンスター退治に出た・・・」
「ええ、存じております、お帰りなさいませ、
まだお昼過ぎですが帰還手続きをされるということでよろしいでしょうか?」
「ああもっといるつもりだったんだけど事情が変わってね、
・・・生息地外にヴィラーオ・クルーラが出現したんだ、
それで、なんとか撃退した証拠がこの魔石」
「・・・えっ? いや、まさかそんな・・・、
1日2日でたどり着ける場所に・・・!?
しかしこの魔石はどう見ても・・・」
必要な書類を探しつつ対応していた受付の女性は
お姉様の言葉に手を止め、驚きながら真実を確かめます
そして、差し出された大きな魔石を見て
ひとまずは嘘偽りないと判断しました
「で、では詳しい話をお聞かせくださいますか?
一応、報告書としても提出してもらいますが
きちんと聞いておかないと・・・」
「ああ、そのことなんだが、先に報告書の受理と
魔石の換金手続きをして欲しい、やり方を彼に教えるから」
「あら・・・、そういえば新人さんを含めた二人分の外出手続きをされておられましたか、
ではそちらから先に承ります」
「ありがとうございます、じゃあ、何からすればいいんでしょう?」
「そうだね、とりあえず報告書の書き方だけど、
はこの紙に記載されている通り必要なことを書いて、ここには軽く説明を・・・」
約束通り、今までアミーお姉さんにしてもらっていた
窓口での手続きを教えてもらい、守くんは必要なことを覚えます
女神様の言っていた通り、文字の読み書きは問題なく行えてるようです
時に自分で考え、時にお姉様に尋ね、
そして無事に出来上がった書類を自分の手で提出しました
「できました・・・、これでいいですか?」
「はい、問題ありませんね・・・、では、マモル様は今回の活動で
無事に5階級への昇格基準を満たされました、滞りなければ数日後に正式な書類が届くでしょう」
「えっ? 本当ですか? わぁ・・・♪」
「おっと、良かったじゃないか、おめでとう♪
これで君も本当の一人前というわけだ、これからは一人で活動することも可能になったね」
「ありがとうございます♪ そっか・・・、一人前・・・♪」
すると予想外に昇格を言い渡され、
守くんは驚きながらもお姉様の称賛にお礼を言い、喜びをかみしめます
まだあまり実感はわきませんが、
少しずつ強くなっていってるように感じられるみたいです
「これで手続きは終わりなんですか? じゃあ・・・、あ、そうだ、
そういえば説明をしないといけないんでしたっけ?」
「いや、そっちは私一人でやるよ、こっちはちょっと複雑だからね、
私以外にも遭遇した人間がいるという情報はもう伝わってるからそれだけで充分さ」
「そうですか・・・、それなら・・・」
「確か、ご家族がいらっしゃるんだろう?
折角だし、早めに帰って顔を見せてはどうかな?」
「いいんですか・・・? それじゃあそうさせてもらいます・・・、
お姉さん、きっと心配してるだろうなあ・・・」
「ははっ、ならなおのこと顔を見せてあげるといい、
あ、そうそう、今日の稼ぎは二人で半分こってことにしておくけど
君の方はそれでいいかい?」
「えっ? 半分も・・・? セレスティナお姉様の方が
いっぱいモンスターを倒してたし、僕の方はいろいろ教えてもらったのに・・・」
「最後の大型モンスターに比べればそんなの微々たるものさ、
あれは間違いなく二人で倒したものだからね、
後で届く給料の額を楽しみにしてるといいよ♪」
「ううん・・・、じゃあ、分かりました・・・、
何から何まで、本当にありがとうございます♪」
「こちらこそ、久しぶりに人と組んで楽しいと思えた♪
それにたくさん稼がせてもらったから防具の強化に手が届く♪」
「えっ? 防具って強くできるんですか?」
「ああ・・・、いろいろ強くできるんだけど、
そこらへんも今度会った時に教えてあげようか?♪」
「本当ですか? ありがとうございます♪」
「私は本部に入り浸っているから、朝か夕方にここへ来れば
きっとまた会えるさ、その時はいろいろ教えてあげるよ♪
あ、それと・・・」
お姉様は一度言葉を切ると、身を屈めて守くんの耳に顔を近づけます
そして、囁くような甘い声でこう告げました
「お風呂の約束も忘れていないから・・・、
今度連れて行ってあげるね?♡」
「ひゃっ! ひゃい・・・、分かりました・・・、
そ、それでは失礼します・・・」
お風呂を紹介してもらうだけのはずが、
セレスティナお姉様はどこか艶やかにな表情を浮かべています
何か、自分と相手の考えが少し違うように感じながらも、
守くんは家路に着きました
(昨日から今日まで、いろいろあったなあ・・・、
見たことのないモンスターと戦ったり、町の外で寝泊まりしたり、
大型モンスターに出会って、5階級っていうのになって・・・)
(お姉さん、心配してるだろうなあ・・・、
大型モンスターに出会ったこと言ったらもっと心配するかな・・・、
だけど、黙っててもどこかから知られそうだし、言わないとだめかも・・・)
道すがらこの2日間にあったことを、思い出してはいけない部分に関しては
頭の隅に追いやりつつ考える守くん
既に通い慣れた道を歩き続け、
気付けばいつの間にか家の前に戻っていました
「到着っと・・・、お姉さんは今日いるのかな?
えっと鍵は・・・、あった、それじゃ、ただい・・・」
「マモルくん・・・!? 帰って来たのっ!?」
「わわっ! た、ただいま、お姉さん・・・」
扉を開けて中に声をかけた瞬間、
アミーお姉さんが慌てて迎えに出てくれます
そして守くんの姿を確認すると、
すぐさま近付いてしっかりと抱きしめてしまいました
「もうっ・・・、心配したのよ? いつまでたっても帰ってこないから
本部へ行ってみれば他の人と一緒に外泊込みで少し強いモンスターの出る方へ行ったって言うし・・・」
「ご、ごめんなさいアミーお姉さん・・・、
だけど、ちょっと放して・・・、むぐっ!?」
「無事に帰ってきてくれて良かったけど・・・、
あんまり危ないことはしないでね・・・?」
「わ、分かりました、ごめんなさい・・・、
でもお願いですから放し・・・、ぐむっ!」
これまでの心配と、無事な姿を見られたことの安心、
そんな感情が混ざったような声であれこれ言うアミーお姉さん
おまけに、守くんを胸に抱いて大切そうに抱擁しています
守くんの呼びかけも届かず、
おっぱいの間に顔が思い切り埋まる形となってしまいました
(アミーお姉さん、やっぱり心配してたんだ・・・、ごめんなさい・・・)
(だけど・・・、お願いだからちょっと放して・・・、
顔が・・・、おっぱいに・・・)
(あう・・・、また鼻がむずむずして・・・、もう、だめ・・・)
心の中でも謝罪を続ける守くんですが、
奮闘むなしく刺激的な懐抱に耐え切れず、段々と意識が途切れてしまいます
ようやくお姉さんが落ち着いて解放されたころには、
大量の鼻血を出し、すっかり目を回している彼の姿が谷間から出てきました・・・