セレスティナお姉様と町の外へモンスター退治に出て数日たったある日のこと、
アミーお姉さんの家に郵便が届きました
なんてことない手紙の中に何やら重要そうな封筒が紛れていましたが、
その宛名を見ると守くんの名前が書かれています
「あれっ? これ、僕に・・・?」
「マモルくん、今日は何か来てた? ・・・あらっ、その封筒はもしかして」
「あ、お姉さん、これ、僕に来たものみたいなんですけど・・・、
なんだか大事そうなものなんです、開けてもいいんでしょうか?」
「あなた宛てなら、あなたが開けるべきでしょう?♪
とにかく開けてみて♪」
守くんが回収した手紙を受け取りに来たアミーお姉さんは、
彼の手にある郵便物を見て何やら察したらしくすぐに開けるよう促します
誰から何の用事でこんなものが来るかさっぱり分からない守くんは、
首を傾げながら封筒を開けてみました
「中に手紙と・・・、あれっ? 他にも何か入ってる、なんだろ・・・、
これは・・・、バッジみたいな・・・?」
「それがシュクトゥル・セージュ5階級を示す証よ♪」
「えっ!? あっ、そっか、そういえば近いうちに
何か来るって言われてました・・・」
「ひとまずは、これで見習いから一人前になったってことね、
おめでとうマモルくん♪」
「わぁ・・・♪ ありがとうございます♪」
「これでもう一人で町の外へも出れるようになったけど、
お願いだからこの間みたいな無茶はしないでね?」
「そ、それはもう・・・、あの時は、セレスティナさんがいなかったら
どうすれば良いか分かりませんでした・・・」
「その人にも会う機会があればお礼を言わなきゃ・・・、
あ、そうそう、一緒に入ってた手紙も見ておかないとね」
「忘れてました、えっと・・・、なんでしょう? 注意事項、みたいな・・・」
封筒の正体は、以前シュクトゥル・セージュの本部で来ると言われていた
守くんの昇格を示すものだったようです
中にはその証だけでなく、できるようになったことやしてはいけないことなどから
基本的な心構えなどいくつもの事柄が記載されてました
「いっぱい書かれてますね・・・、何枚あるんだろう」
「一つ一つを全部読まなくても、最初の部分だけ軽く読んで、
気になるところがあればじっくり見てみるといいわ、
まあ、注意の方は言われるまでもなくやっちゃいけないことが書かれてるんだけどね」
「なるほど・・・、それじゃあこっちは・・・」
「そっちは5階級で出来ることが書かれているわ、
さっき言ったように町の外へ出られるようになったけど、
同時に6階級の人を連れていくことも許されるの」
「あ、そっか、これまでは僕が連れてってもらう立場だったけど、
今度から逆になるんですね」
「ええ、その代わり何度か連れて行って、
今度はあなたがいろいろ教える必要もあるのよ」
「お、教えるんですか・・・、何を教えればいいんでしょう・・・?」
「そう難しく考えなくても、私たちに教わったことでいいの、
基本を復習させたり、一緒について行って戦いを見守ってあげたりするだけでも構わないんだから」
「そうなんですか・・・」
「まあ、期間は長いから焦って人と組む必要はないわね、
だけど、繰り返し続けて偉い人にきちんと認められたらまた昇格できるわ」
「まだまだ上があるんですね、僕になれるかな・・・」
「もう一つ上までは、真面目にやっていれば誰でもなれるわ♪
まあ、その分しなきゃけないことも増えるから、上へ行くのがいいとも言えないけど・・・」
何とも言えない表情を見せるアミーお姉さんですが、
守くんはほんの少し不安を抱きながらもわくわくしています
手の中にある、自分の頑張りを認める証が嬉しく、
そして何か誇らしく感じているようです
しかし、立場が上がっていくということが何を意味するのか、
まだ彼には想像しきれていないようでした
「・・・あともう一つ、大事な権利があって、5階級になると
特定の状況なら町の中で攻撃魔法を使うことも許されるわ」
「えっ? 町の中で・・・? 一体どうして・・・」
「主な理由は悪い人を捕まえるためね、悪い人は誰かが捕まえないといけないでしょう?
そういうのは本当だと別の機関の役目なんだけど、
万が一の時には私たちにも協力して欲しいって言うことよ」
「だけど、町の中でなんて危ないんじゃ・・・」
「危ないと言えば危ないわね・・・、
まあ、そういう場面にはめったに遭遇しないから、安心していいわ」
「ならいいんですけど・・・、もし、人に魔法を使わないと
いけないなんてことになったら・・・」
「そうね・・・、普通の人は私たちみたいに防具を付けられないから、
ダメージを肩代わりしてくれるものはないの、下手をしたら怪我させてしまうわ」
「うう・・・、ちょっと怖いです・・・」
「だけど、悪い人と出会ったらやっぱり魔法を使ってでも捕まえないといけないの・・・、
これは私たちがいろいろな権利を貰うことで発生する義務なんだから」
「あっ・・・、そっか、確かに・・・、
でも、人に・・・攻撃・・・」
悪人を相手にした時はそれを止める必要があると言われ、
守くんは少し考えこみ、そして背筋を震わせます
モンスターを相手にすることは多少慣れて来たといっても、
相手が人となれば、どうしても傷つけてしまうことを恐れているようでした
シュクトゥル・セージュとしての立場が上がるほど
するべきことが増えるのだと、少しだけ理解し始めます
「と言っても、悪い人に出会う場面なんてそうそうないから大丈夫よ、
それにそのための魔法だって作られているから心配しなくていいわ、またいずれ教えてあげる」
「良かった・・・、ありがとうございます」
「どういたしまして、・・・じゃあそろそろ私も自分の郵便を確認しないと・・・、
あら、これ給与明細だわ」
「何ですか? それ・・・」
「私たち二人に本部から送られてきたお給料の額が書いてあるのよ、
基本的には町の周囲を見回りした分と、その時モンスターを倒した数・・・、
つまり魔石の数や大きさに応じてお金が入ってくるんだけど・・・、マモルくんのは・・・、えっ!?」
「ど、どうしたんですか・・・!? ・・・わ、0がいっぱいありますね」
アミーお姉さんの声に驚いた守くんが彼女の手にある紙を覗き込むと、
一番下にぱっと見て分かるくらい桁数の多い数字が書かれていました
どうやら、大型モンスターを倒したことで
多くの報酬を得てしまったみたいです
「こんなに高いなんて・・・、ザン・ヴィーボラの時を上回ってるじゃない・・・、
どうしようかしらこれ・・・」
「これが僕のお金なんですか・・・? 0がいっぱいですけど
これだけあったら何が買えるんでしょう?」
「え・・・? あ~・・・、そういえば、マモルくんには
まだ買い物もほとんど教えてなかったわね・・・、
よし、いい機会だからお出かけしましょうか♪」
「お出かけ・・・、どこへ行くんですか?」
「もちろん商店街よ♪ そのお金で何ができるのかお勉強しましょう?
使い方もちゃんと教えてあげなきゃいけないし♪」
「わぁ、ありがとうございます♪ お出かけ・・・、なんだかとっても楽しみです♪」
「ええ、それじゃあ支度ができたらすぐに行くわよ♪
無駄遣いなんてしないようにきちんと学んでもらわないと」
「あ・・・、えっと、よろしくお願いします」
たくさんのお金が入ったことで、思わぬ形ですが
街へのお出かけが決まりました
この世界へ来てからほとんどモンスターと戦ってばかりの守くんですが、
今日ようやく、純粋に楽しいことができそうです