シュークルス・フィリィ・ワールド   作:RE×

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第四十一話 散策と意外な再開

 アミーお姉さんがいつも買い物をしているお店を出た二人、

ここからは、買い物というよりちょっとした探検の時間になります

 

 

「さて、と・・・、あのお店以外はあまり行ったことがないから

案内はできないけれど、大丈夫かしら?」

 

「はい、大丈夫です♪ どんなお店があるのか見てみたいです♪」

 

「それじゃ行きましょうか♪ 時間はまだあるからゆっくり見て回りましょう♪」

 

 

 こうして二人は楽しそうに話をしながら

大通りを歩き出しました

 

 いろんなお店が立ち並んではいますが、

大半は守くんの元居た世界でも見たような施設のようです

 

 

「あれは・・・、何でしょう? 飲み物を売ってるのかな・・・?

あそこで買って飲んでるんでしょうか?」

 

「そうね、あのお店で買ったお水やエネレーなんかを

向こうの机ですぐに食べられるサービスをやってるみたい♪」

 

「お外で食べるのってなんだかわくわくしますね♪」

 

「あら、マモルくんも何か飲んだり食べたりする?♪」

 

「うーん・・・、まだあんまりお腹が空いてません」

 

「確かにまだちょっとお昼には早いかしら・・・、

他にもこういうお店があるかもしれないし、お腹が空いてから探しましょうか♪」

 

「はい、そうします♪」

 

 

 立ち並ぶお店を見て軽く予定を決めつつ散策していると、

守くんの視界に見慣れたものが入ります

 

 それに気付いて立ち止まると、青果店でしょうか、

見慣れた果物の絵を掲げたお店がありました

 

 

「あっ、もしかしてあれ、八百屋さんでしょうか?♪

お姉さん、入ってみましょう♪」

 

「えっ? やおや・・・、マモルくん、あのお店に入りたいの・・・?」

 

「? はい、僕の元居た世界にある果物なんかがあったら

久しぶりに食べてみたいなって」

 

「く、果物を食べたい・・・!? い、いくらなんでも

今日そこまでのお金は持って来ていないわよ・・・?」

 

 

 ただフルーツを買ってみたい、そう言っただけにも関わらず

お姉さんはとても驚いているようです

 

 きょとんとする守くんですが、

以前エネレー以外の食べ物がこの世界でどう扱われているか

軽く教えられていたことを思い出しました

 

 

(そういえば・・・、料理は普通食べられないんだっけ・・・、

じゃあ、果物なんかも高いのかな・・・?)

 

 

 そんなことを考えながら店先に置いてある

リンゴらしきものを眺めてみます

 

 それ自体はただのサンプルでしたが、

その下に書いてある値段を見て驚きました

 

 

「えっ・・・!? ぜ、ゼロがいくつも・・・、

これ一つでエネレーがいったい何個買えちゃうんですか・・・?」

 

「そういうこと、果物一つくらいなら私たちだって手が届くか届かないかってところだけど、

エネレーが何百個も買えるようなお金を払ってまで食べるのは躊躇われるでしょう?」

 

「確かに・・・、こんなに高いなんて思いませんでした・・・」

 

「久しぶりに食べたかったんでしょうけど、ごめんなさいね?

お金はないわけじゃないし、もしまた機会があったらということにしておきましょう?」

 

「た、食べたかったのはそうなんですけど・・・、

良かったらお姉さん・・・、いえ、分かりました・・・」

 

 

 最後に何か言い淀む守くんですが、結局は何も言わず

素直に言うことを聞き入れます

 

 名残惜しさを感じながらその場を離れて少し歩いていると、

今度は別のお店が見えてきました

 

 

「あら? こんなところに下着を売ってるお店があったのね、

たまには別のところも覗いてみようかしら♪」

 

「へっ? 下着って、お姉さんの・・・」

 

「ええ、ここは女の人の下着を売ってるみたい♪

マモルくんも一緒に入らない?♪ 折角だし、何か選んでもらって・・・」

 

「ぼ、僕は遠慮しますっ! お、お姉さん一人でどうぞっ!」

 

「あらそう? それじゃあ・・・、あ、そうだ、はいこれ♪

マモルくんにもお金を渡しておくから、ここからは一人でお買い物してごらんなさい?」

 

「え? あ、ありがとうございます・・・」

 

「だけどあんまり一人で遠くへ行っちゃだめよ?

2時間くらいしたらこのお店の前か、さっきの食べ物屋さんで落ち合いましょう♪」

 

「分かりました、それじゃあどこかで何か買ってみます」

 

 

 一人で下着の専門店へ入っていくお姉さんを見送り、

守くんは思わず額をぬぐいます

 

 女性の下着を売っている場所に入るのは

いくらなんでも恥ずかしい気持ちが強かったのでしょう

 

 『女性に弱い』という女神様から貰わざるを得なかった素質のために

女の人の頼みなどを断りづらくなっていた彼ですが、

珍しくきっぱりと断ることができました

 

 

「良かった・・・、いくらなんでもあんなところ・・・、

えっと・・・、じゃあ、どこ行こう・・・?」

 

 

 独り言を呟いたところで、返事など来るはずもありません

 

 改めて一人になったことを実感しつつ、

守くんはあちこち見ながら歩き出し始めました

 

 いろんなお店があるようですが、どれも似たり寄ったりで

そう種類は多くないようです

 

 

「あそこは飲み物屋さん? あそこはコップを売ってるのかな・・・?

最初のお店で買えちゃうものばっかり、

だからお姉さんが良くあそこへ行くのかな」

 

 

 大して興味のそそられないお店を眺めてあれこれと独り言ちる守くんですが、

そこへ不意に後ろから声がかけられました

 

 

「なあ、お前もしかして・・・、あ、やっぱりマモルじゃねえか!」

 

「えっ? だ、誰・・・、あ、皆さんっ!♪」

 

 

 そこにいたのは、試験の時に助けてもらった3人組の男性たちです

 

 正確には守くんも相手のことを助けているのですが、

その後に安全な場所へ運んでもらったこともあってか

どちらかと言うとお世話になった印象の方が強いみたいでした

 

 

「こんなところで遭うとは奇遇だな、元気そうじゃねえか」

 

「ここにいるってことは買い物か、まあそれ以外することねえよな」

 

「あれからちったあ外に出てんのか? 受かったからってそこで終わりじゃないんだぜ」

 

「皆さんもお元気そうで何よりです、僕はお姉さんと一緒にお買い物へ来たんですけど、

皆さんもやっぱりそうなんですか?」

 

「まあな、飯と着替えを買いに来たんだよ、明日からまた特訓だからな、

で、お前は家族と一緒なのか? の割には誰もいねぇけど迷子ってわけじゃ・・・」

 

「ち、違いますよ・・・、ただ、その・・・、

お姉さん、下着を買いに行ってしまったので僕は・・・」

 

「あ~、なるほどな、確かにあそこは男が入るにゃきついぜ」

 

「つってもお前くらいの年なら周りも変な目で見ねえだろ?」

 

「いやむしろこんくらいの時の方が余計恥ずかしいんじゃねえか?」

 

 

 お姉さんと一緒に来た守くんがなぜ一人でここにいるのか、

理由を聞いてみんな納得してくれたようです

 

 そのまま道端での談笑は続きましたが、

ふとこんなことを尋ねてみました

 

 

「そういえば、皆さんは特訓ってどんなことをされるんですか?

資格がない人は町の外に出られないんですよね?」

 

「どんなって、そりゃお前、本部に行って俺らを指導してくれる4階級以上の人を探すんだよ、

4階級以上からは資格のない奴を外へ連れ出していいからな」

 

「人によってまともな指導してくれたりしなかったり、

金がかかったり自分で稼いだ魔石程度ならくれたりする奴とか様々だ」

 

「というかお前は違ったのか? いったい誰に指導してもらったんだ?」

 

「あ・・・、僕はお姉さんやその知り合いの方に

いろいろ教えてもらって・・・」

 

「あー、資格持ちが身内にいるパターンか、マジかようらやましいな」

 

「教えてもらいたい放題かよ、通りでその歳で戦えるわけだ」

 

「俺らまともに訓練できるの3日に1回くらいだからな・・・、

まあ疲れるから毎日はごめんだけどよ」

 

「そうだったんですね・・・、そっか・・・」

 

 

 3人の境遇を聞き、守くんは自分がどれだけ他の人に助けられていたか

改めて実感します

 

 女神様にお願いされていたとはいえ、自分のわがままに

試験が始まるまでの間ずっと付き合ってくれたお姉さんたちへ、心の中で感謝しました

 

 

(僕、他の人に比べてずっと助けてもらってたんだなあ・・・、

アミーお姉さんにも、ベルリーナお姉ちゃんにも、

それにセレスティナお姉様にも・・・)

 

(うん、決めた・・・、やっぱりもう一回みんなにちゃんとお礼を言わなきゃ)

 

 

「教えてくださってありがとうございます、

ところで、皆さんはこれからどうされるんですか?」

 

「おう? まあ買い物して帰って明日に備えて休むくらいだけど・・・」

 

「じゃあ、あの・・・、良かったら、

僕の買い物に付き合ってもらえませんか?

一つだけ、買いたいものがあるんです」

 

「構わねえけど、何買うんだ?」

 

「それは、あそこにあるものを・・・」

 

 

 すぐ近くにあるお店を指さし、

そこで3人組にお買い物を手伝ってもらう守くん

 

 どうやら、先ほどの会話で何か思いついたみたいです・・・

 

 

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