守くんに二人の女性ディアさんとエミリーさんを加えた三人は
モンスター退治をするために町の外へ出てきました
一面の草原が広がる、他の出入り口より少しだけ安全なこの場所から
先へ進んだところにある荒野、本日の目的地はそこになります
「えっと・・・、じゃあさっそく行きますか」
「あ、ちょっと待って、ウチらが索敵係するから
マモルさんは荒野までの戦闘役おねがい♪」
「6階級の担当って言えば当然索敵だよね♪
じゃあ、マモルさんが一番前歩いてちょうだいっ♪」
「あ、そうですね、分かりました・・・」
慣れない呼ばれ方に戸惑いながらも、
守くんは言われた通り先頭を歩いて先へ進みます
ここへ来るまでもあれこれ話をしましたが、
なぜか、二人は妙に彼のことを持ち上げていました
戦闘の経験について聞かれたので
大型モンスターと戦ったことを伝えると
黄色い声を上げながら抱き着いたり・・・
名乗っていなかったことを思い出して名乗ったら
どういうつもりかさん付けで呼ばれるようになったり・・・
他にも、何かと触れてきたり顔を近づけてきたりと
守くんは外へ出るまでにとてもドキドキさせられていました
「じゃあウチが右ね、シェルム・リプナ!」
「はいはい、あたしは左、シェルム・リプナ!」
二人は索敵の魔法を使って
周囲にモンスターがいるかどうか確かめます
女神フィリィ様に貰った素質のお陰で攻撃魔法だけは使えるものの、
それ以外はさっぱりな守くんにとってこれは素直にありがたい行動でした
「右よーし」
「左もよーし」
「この辺にはまだモンスターはいませんでしたか?
助かります、僕、索敵の魔法が使えなくって・・・」
「えっ? 5階級なのに? これが使えないの? ほんと?」
「もしかして、攻撃に関することだけずーっと練習してた系の人?
だからその年でシュクトゥル・セージュになれたんだぁ、
でも索敵なしで魔石見つけるとか運いいね♪」
「運に関してはウチらもどっこいどっこいでしょ♪
まあ、そういうことならとにかく索敵はウチらに任せてちょうだい♪」
「ありがとうございます、じゃあ行きますね」
外へ出る際に重要な魔法が使えないことに対し
それほど突っ込まれることもなく、守くんは胸を撫でおろします
黙っておくわけにもいかないことですが、
かと言って深く聞かれては全て答えられるものでもないので、
早々に話題が切り上げられて一安心でした
フィリィ様のことに関して誰彼構わず話せない以上、
あまり続けたい話ではなかったのです
そして三人がしばらく歩き続けたところで
草木の数がかなり少なくなり、むき出しの地面が見え始めてきました
「そろそろ荒野につきますね・・・、
ここまではモンスターに出会わなかったですけど、
ここからは増えるので気を付けてください」
「はーい♪ と言っても大丈夫でしょ?♪
マモルさんが守ってくれるもんねー♪」
「あたしたちは索敵やっとくからとにかく戦闘はおねがいねっ♪」
「えっ? は、はい、分かりました・・・」
思わず返事をしてしまった守くんですが、
モンスター退治に誘ってきたはずの二人は
なぜかあまり戦う気がないように見えます
とはいえ、6階級の人は基本的にモンスターとあまり戦わず
索敵などの補助が主な仕事であることは彼も話に聞いてはいました
そのため大した違和感も覚えることはなく
どんどん先へ進んでいきます
「あっ、さっそくいたよ、まだ見えないけどあっちの方に、
結構多いけど動いてないから気付かれてないっぽい」
「向こうからも・・・、あ、こっちは動いてる・・・、
ってか近付いてきてない?」
「えっ、本当ですか? じゃあ近くにいる方から倒しましょう、
僕たちに気付いてるなら迎え撃ってみますので見ていてください」
いちおう指導らしきことをしながら戦いの方針を大雑把に決めると、
守くんはエミリーさんが見つけた方の敵を迎撃する体勢に入ります
少しすると、動く影が数体ほど近付いてくるのが分かり
その内には視認できる距離まで来ました
「あれもしかしなくてもビスティ・ノワートじゃない?
ねえ大丈夫? あの数で勝てるの?」
「さすがに草原とは違うよね、
1体ずつならともかくあんないっぺんに来たらやばくない?」
「えっと・・・、ビスティ・ノワートなら多分大丈夫です・・・、
もう何回か戦いました・・・!」
迫ってくるモンスターはどうやら試験の時にも出会ったことがある
ビスティ・ノワートというモンスターのようでした
長い手足が特徴で動きは早く、二足歩行で近付いてきて
その手足を使った鋭い攻撃を繰り出すかなり危険な相手と言えるでしょう
戦い方を教えらえていた時は、
できれば一度に複数を相手しないよう言われていたくらいには手ごわい敵でした
しかし、守くんもあの時とは違い、お姉さんたちから更にいろいろ教わったり
まだ数回とはいえ一人で戦ってきた経験もあるのです
「向こうも気が付いてるなら・・・、よおし・・・!」
守くんは前に出て二人から少し距離を取ると、
まだ遠くにいる敵に向かって両手を突き出しました
すると、その動きに反応したモンスターたちは
攻撃が来ると判断したのか全員がそれぞれ別の方向に飛び上がります
しかし、そうやって相手を動かすことこそが
守くんの狙いだったのでした
「飛び上がった瞬間なら避けられない・・・! ラー・グレース・ハイト!」
守くんが呪文を唱えると、氷の刃がいくつか発生し、
それぞれ全てのモンスターに向かって一気に飛んでいきます
そして、着地しようとしていたところへ
頭部めがけてほぼ同時に着弾しました
ビスティ・ノワートの群れは、そのまま空中で魔石に変わっていきます
「・・・ふぅ、やった・・・! あ、まだ気を緩めちゃだめ・・・、
あの、他にこっちへ近づいてくるモンスターはいますか?
さっき見つけたもう一つの群れなんかはどうでしょう?」
「いや・・・、こっち来てる奴はいない、けど・・・」
「いっぺんに全部倒しちゃった・・・、マジ?」
一度に全てのモンスターを倒したことが予想外だったのか、
ディアさんとエミリーさんは呆気にとられながら守くんを見ています
ですが、他に接近してくるモンスターがいないと聞き、
緊張を解いていた彼はその様子を大して気にかけていませんでした
「そっか、良かった・・・、なんとか上手くいきました・・・、
あ、ビスティ・ノワートは動きが早くて
こちらが攻撃しようとするとジャンプしてかわす習性があるんです、だから・・・、あの・・・?」
無事に敵を倒し、指導者の立場としてきちんとお手本を見せられたことに安堵しつつ、
ちゃんと戦い方を教えようとする守くんですが、
話をしている内に二人が奇妙な目で自分を見ていることに気が付きます
どうしたのか問いかけてもなかなか返事は来ませんが
次の瞬間、二人は予想していなかった反応を見せました
「ちょっとすごいじゃんっ♪ あの魔法を全部あてちゃうなんて
あんなの見たことないよ♪」
「その年で一人前になれるだけあるよ♪ マジで強かったんだね♪」
なんと、ディアさんとエミリーさんは黄色い声を上げながら
揃って守くんに抱き着いてきます
全身に女性特有の柔らかな感触を感じ、更に豊満な胸を両側から顔に押し付けられ、
守くんの頬は見る見るうちに真っ赤になっていきます
「ひゃうっ! むぐぐ・・・、あの・・・、二人とも離れてください・・・」
「あんなことできるなら早く言ってよ~♪
訓練とか相当してるんだろうね~♪」
「これからも機会があったらマモルさんに指導して欲しいな~♪
ねぇいいでしょ~?♪」
二人は甘ったるい声であれこれと言いながら
胸や身体を守くんに擦りつけています
非常に大きく、そして柔らかい感触に何度も頬を撫でられ、
段々とふわふわした感覚に包み込まれていきました
「わ・・・、分かりましたから・・・、離れて・・・」
「「は~いっ♪」」
守くんがもう一度離れてもらうよう呼び掛けると、その訴えが聞こえたのか、
はてまた違う理由があるのか二人は唐突に離れていきます
しかし、とてもいけないものに顔を挟み込まれていた守くんは
すっかりふらふらになっていて、おまけに鼻血もたくさん出ていました
「えっ? ねぇどうしたの? なんか鼻血出てるけど・・・」
「どこかで打ったの? でも防具付けてるのに変なの」
「ら、らいりょうぶれふ・・・、ちょっと休んでたら治ります・・・」
思わぬところで刺激的な体験をしてしまいましたが、
なんとか気絶することもなかったため、モンスター退治は続きます