メジロ家の落ちこぼれ   作:神咲胡桃

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ついネタが浮かんだから書き上がってしまった。


11運命の分かれ道

「今日の雨は、よく降りますわね」

 

校舎の廊下の窓から覗く外の風景は、季節外れの大雨が降り注いでいた。

 

朝から続く大雨のせいで、グラウンドが使える筈もなく、仕方なくジムの器具を使ってトレーニングしていました。

 

ですが中々身が入らず、トレーナーさんの判断で今日はトレーニングを取りやめることになり、しかし部屋に居てもどこか落ち着かず、こうして校舎を歩いています。

 

「……それにしても、今朝の夢は一体なんだったのでしょう?」

 

雨だからトレーニングにやる気が出ない。

そんなことは今までありませんでした。

同じような状況なら、今まで何回かありましたし。

 

もし他に原因を上げるとするのなら、それは今朝見た夢でしょう。

 

 

気づくと私は、暗い場所に一人で立っていていました。

周りを見てもだれもおらず、どれだけ声を上げようと返事は返って来ない。

ですがふと正面を見ると、そこにはクゥが立っていました。

私は誰かと会えたことが嬉しくて、その上クゥだったことがさらに嬉しくて、彼女を抱きしめようと手を伸ばした瞬間、どこからか流れてきた津波に、クゥは呑み込まれてしまいました。

 

 

目が覚めたのは丁度その時。

なんでそんな夢を見たのか分かる訳もなく、ただただ気味が悪かったです。

 

そんなものですから、とにかくクゥに会いたくなって探しているのですが、なかなか見つかりません。

 

「はぁ……。上手くいきませんわね」

「何が?」

「きゃぁ!?」

 

溜め息をついていると、背後からぬぅとテイオーが現れました。

 

「そんな大げさに驚かなくてもいいじゃん」

「驚きますわよ! というか、なんでここにいますの?」

「べっつにー。ボクだって、同じメジロならクラウディが良かったなー」

「そのお言葉、そっくりそのまま返しますわよ」

 

先日テイオーと久しぶりに話してからというもの、いつの間にかクゥと知り合っていたという彼女と、話す機会が増えました。

 

私がスピカを抜ける前のようにとまではいきませんが、あの一件以来、どこかよそよそしくなっていた空気が変わったことは、とても嬉しいです。

 

これもクゥのお蔭、でしょうか?

 

「それで、どうしてここに?」

「じつはさー、何かトレーニングに気分が乗らなくてさー」

「何をゴールドシップさんのようなことを」

「えー、じゃあマックイーンは何してたのさ」

「それは……トレーニングに身が入らなくて、クラウディを探していたんですの」

「マックイーンだって人のこと言えないじゃないか!」

「「…………」」

 

気分的に会話が続かない。

 

これは思っていたよりも重症だと感じた私は、クゥを探そうと歩みを再開する。

 

「それでは、私はこれで」

「あれ? マックイーンどこ行くの?」

「クゥ…ラウディを捜しに行くのですわ」

 

彼女を探しているのは、気分が上がらないからだけではありません。

 

昨日、クゥを見かけたのですが、その際の様子がどこかおかしかったのです。

 

目にはうっすらと隈が浮かび、小さな声でブツブツと何かを呟き、フラフラと歩いていて今にも倒れそうでした。

自殺でもするのではないか……冗談抜きでそう思いました。

 

心配になり声を掛けようとしましたが、ちょうどトレーナーさんに呼びとめられてしまい、その後で探しましたが結局見つかる事はありませんでした。

 

ということで、今のこの時間を使って彼女を探しているのです。

 

それに、なんだか嫌な予感もしていますし。

 

「あ、だったらボクも行く!」

「何でですの!?」

「元々ボクも探してたんだよね。クラウディのこと。最近元気なさそうだったし。それに、なんか変な夢見ちゃったしさー」

「……変な夢?」

「そ。なんかさ、真っ暗な場所にいてさ。離れた場所でクラウディが手を振ってたんだ。側に行こうとしても何でか近づけなくて、それがずっと続いてた……」

 

そう話すテイオーの声色は、段々と沈んでいった。

 

テイオーも、私と同じだったということですか。

 

「ま、そんなんだから、クラウディと一緒にスイーツでも食べようかなーって!」

 

……この人、前々から思っていましたが、クゥに対して少々馴れ馴れしすぎでは?

 

まさか、私のクゥを奪うつもりでしょうか。

その場合はO☆HA☆NA☆SIする必要がありますわね。

 

さすがのテイオーさんでも、あっさりと渡すほど優しくありませんわよ?

 

「おっ。メジロマックイーンにトウカイテイオーか」

 

テイオーと一緒にクゥを探して、それなりの時間が経った頃。

 

私たちは一人のウマ娘に話しかけられました。

 

「ヒシアマゾンさん、御無沙汰しておりますわ」

「ああ」

 

クゥが住んでいる寮の寮長をしてる方で、私も一度挨拶に向かったことがあります。

如何にもな姉御肌の人で、いろんな方から頼りにされているのだとか。

 

まあクゥの姉は私なのですが。

 

「それで、どうかなされましたか?」

「いや、それがよ。さっき他の奴らが、レインコートを着て外に出るウマ娘を見たっていうもんでな」

 

その話を耳にしたとき、私の心臓がドクンと音を立てた。

 

先ほどから感じていた嫌な予感が、速さを増して強くなっていく。

 

「この雨の中をですか? それもウマ娘が?」

「ああ。ウマ娘用のレインコートを着ていたらしいから、間違いないだろう」

「ゴールドシップとかじゃないのー?」

「聞いた話だと、そいつは()()だったらしいぞ。それに、フードから少しだけ見えた髪が()()()()()()()()

 

それを聞いた瞬間、私はすでに走り出していました。

 

やはり、昨日の時点で探しておくべきでした!

 

「おい!」

「えちょっ、マックイーン!?」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「ハァ……。変な夢見ちゃった……」

 

今日は、なんだかおかしい。

 

ライスがそう思い始めるきっかけになったのは、おかしな夢を見てからだった。

 

 

真っ暗な怖い場所で、ライスは一人でポツンと立っていた。

震えながらその場所を歩いていると、やがて小さな光が見えた。

それに喜びながら光に向かって走ると、そこに居たのは私の大切なお友達、クラウちゃんだった。

 

だけどクラウちゃんは目を閉じて横になってて、その周りには青い薔薇が散乱していた。

 

ライスが戸惑っているとクラウちゃんの下から、赤い、紅い色が広がってきた。

その色はやがて周囲の薔薇へと届き、その花弁を紅く染めていった。

 

それはまるで、クラウちゃんの血を薔薇が吸い取っているようで。

そこまで考えて、咄嗟にクラウちゃんを見た。

 

眠るように目を閉じる彼女は、本当に死んでいるかのようで……次の瞬間には、自分の叫び声で起きていた。

同室のブロイちゃんも起こしちゃって心配された。

 

そんな怖い夢を見ちゃったからなのか、何をするにもやる気が起きなくて、初めてお姉さまにトレーニングをお休みさせて欲しいってお願いした。

お姉さまはとても驚いたようで、体調は大丈夫かだとか、熱は出てないかとか、いっぱい心配されちゃった。

 

だけど、部屋にずっといるのも良くないと思って、今はクラウちゃんを探してる。

それだけ、あの夢は怖かった。

 

「クラウちゃんとぎゅー! ってしたら治るかなぁ?」

 

それにしてもさっきから探しているんだけど、中々見つからない。

そのまま校舎をウロウロしていると、前から誰かが走ってきた。

 

「……マックイーンさん?」

「っ! ライスさん、ちょうど良かったですわ! あなたも来てください!」

「ふぇ!?」

 

走って来たのはマックイーンさんで、ライスの手を掴むとライスはそのまま引っ張られていった。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

昇降口に着き、急いで靴を履き替え、近くにあった貸出し用のレインコートを3着取り、ライスさんにも1着渡す。

 

「あ、あの……マックイーンさん、何があったんですか?」

「ライスさん、いきなりで悪いですが、手を貸してください。時間が惜しいので詳細は省きますが――――クラウディが行方不明です」

「え……!」

「おそらく、今は外にいると思われます。誘拐とかそういったものではありませんが、何か胸騒ぎの様な物を感じるんです。そうでなくても、今のクラウディは何か危険な気がします」

 

これが杞憂だとか考えすぎならいいが、昨日のあの娘の様子を見る限り、あながちそうとは思えない。

何かあってからでは遅い。

 

ライスを連れて来たのは、多少強引でも話がすぐに通じるからだ。

 

「分かりました。ライスも手伝います!」

 

私の話を信用してくれたライスさんが靴を履き替え、レインコートを着る。

 

そのタイミングで、テイオーも追いついてきた。

 

「ちょっとちょっと! 一体どうしたのマックふぉッ!?」

 

困惑しているテイオーに、もう一着のレインコートを投げ渡し、私も急いで身に纏う。

 

……ああ、もう! ウマ娘用のレインコート、耳が引っ掛かりやすすぎますわ!

 

何とかレインコートを着ると、土砂降りの外へ飛び出す。

 

先ほどから感じている嫌な予感、そしてヒシアマゾンさんからの話で、私の中にある予想が生まれた。

 

これが違ってくれれば良いのですが……。

 

「マックイーンってば! 一体どうしちゃったのさ! それに何でライスもいるの!?」

「ライスさんには手伝ってもらっているのです! 先ほどのヒシアマゾンさんの話、おそらく外に出たウマ娘というのは、クラウディですわ! 」

「うぇ!? でも、こんな大雨の時にどうして……?」

「分かりませんが、何か嫌な予感があります。何もなければいいのですが……」

 

さっき言っていた”悪夢”のことを思い出したのか、テイオーの顔は見る見るうちに真っ青に変わる。

 

「このままじゃ見つからないよ! ボクはあっちを探してみる!」

「ライスはそっちを探します!」

「はい! なら、私はこちらを!」

 

お願いですから、変なことを考えず、無事でいてくださいな、クゥ!

 

三女神だろうと関係ない。

ありとあらゆる神様仏様に祈りながら、ポケットから出した携帯で、急いで電話を掛けた。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

大漁の雨粒が、身体を叩く。

 

地面を踏むたびに跳ねる泥が、裾を汚す。

 

私は今、大雨の降る中、河川敷を走っていた。

 

どれくらい走っていたなんて、もはや覚えていない。

だけど、とにかく走っていたかった。

こうして自分を苛めている間は、苦しいことなんて考えなくていいから。

 

才能も無く、実力も無く、甲斐性も無ければ、度胸も無い。

 

そんな私にできるのは、こうして走るだけだった。

 

風と共に横殴りの雨が吹き、レインコートで覆われていない顔を叩く。

 

なんだか、頭がフラフラする。

 

「……あ」

 

その風に煽られて体勢を崩した。

 

今までは、この程度の風で体勢を崩すなんて、無かったのに……。

 

倒れないように咄嗟に足を踏み出すも、濡れた草で覆われた坂だったために足を滑らせ、坂を転がり落ちていく。

 

 

視界が回る。

 

 

体中が痛い。

 

 

頭がグラグラする。

 

 

気持ち悪い。

 

 

転がり続ける身体が、やっとのことで止まった。

だらりと垂れた左腕が、大雨で荒れる川に浸かる。

 

 

なんで、こんなに、苦しいんだっけ……?

 

もう、嫌だ……嫌だよ……。

 

誰にも期待されない、誰にも認めてもらえない、誰にも振り向いてもらえない。

 

甘えるな? 諦めるな? 才能が無いのはお前だけじゃない? 

 

 

……だからなんだッ!!

 

 

甘えは弱さだから、捨てろというのか!

 

夢は誰だって何時か叶うから、諦めるなというのか!

 

自分以外にも才能が無い奴がいるから、絶望しないというのか!

 

 

そんなの知るかッ!

 

 

辛いことに辛いと言って何が悪い!?

 

無理だと思うから無理だと言うことの何が悪い!?

 

背負いたくないものを背負いたくないと言ったら悪いのか!?

 

 

……もう、嫌なんだ。

 

 

 

眼の前にいる何か、おそらく最後に残った私の希望というくだらないもの。

それに叫んだ瞬間、私の中で、何かにヒビが入った。

 

 

 

――思い立ってからの私の行動は速かった。

 

震える身体をやっとの想いで立ち上がらせ、眼の前の底の見えない濁流を見る。

 

私の眼も、こんなふうに濁っているんだろうか。

 

そんなことを他人事のように感じていた。

 

 

「もう、疲れた。さよなら、■■■■■――――」

 

 

胸に残る虚無感が命じるままに、私は左足を踏み出した――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――ッ!!」

 

 




ここでルート分岐。


テイオーエンド①とマックイーンエンド①、それとライスシャワーエンド①、バッドエンド①とトゥルーエンドに分岐します。

ちなみに次回は最終回じゃないです。まだまだ続きます。


というわけで、次回は3人の個別エンド。

バッドエンドは後書きにこう言った流れです~ってのを書くくらいにします。
だって流れは思いついてても文章にするのが難しすぎるんだもん。

雲ちゃんのハッピーエンドのために必要なのは?

  • 友情
  • 勇気
  • 希望
  • 才能
  • 努力
  • 理解者
  • 親友
  • 奇跡
  • ルームメイト
  • チームメイト
  • 肯定
  • 同じ境遇のウマ娘
  • 知識
  • 甘々イチャイチャ百合ハーレム
  • 名優
  • 帝王
  • 青い薔薇
  • 全部あっても足りねぇ!!
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