ハロウィンライス出ました。可愛い。
「テイオーさん、こんにちは」
「やっほー。クラウディ」
休日のよく晴れた日。
学校はなく、トレーニングも休養日となった今日、私はテイオーさんと待ち合わせをしていました。
三冠の断念にショックを受けていたテイオーさんと、そして生徒会長さんと話した後日。失礼な口をきいてしまった生徒会長さんに怒られやしないかと、戦々恐々としていたところ、テイオーさんからメールを貰いました。
内容は日時と待ち合わせ場所のみが書かれており、話したいことがあると短く書かれていました。
「今日は来てくれてありがとうね」
「……大丈夫です。私も、こういうことに興味がありましたから」
「へ?」
「ああ、いえ。なんでもないです。それで、お話ししたいこというのは?」
「まーまー。それは後でもできるし、せっかくだから、一緒に遊ぼうよー!」
話題を無理やり変え、私の背中を押して歩き出したテイオーさんに、敢えて追求することはなかった。
今日はテイオーさんから呼び出されたのだ。急ぐ必要もないでしょう。
それに、お友達とのお出掛け……楽しみです。
それから、テイオーさんに引きずられるように、いろんな場所に行きました。
水族館に行ったり、映画を見に行ったり、ウィンドゥショッピングというのもやりました。
その中でテイオーさんは、何度か声を掛けて来ようとして、やっぱりやめたのを見て見ぬふりをしながら、ですが。
「はー! 楽しかったー!」
「そうですね。私も楽しかったです」
空が茜色に染まり、視界がオレンジ色に染まる頃、たまたま通りかかった公園のベンチで、私たちは休憩していました。
初めは今日の事を楽しそうに振り返っていたテイオーさんでしたが、次第に口数は減り、私も口を開かなくなりました。
「……ね、クラウディ」
「はい」
「この前ね、カイチョーと話したんだ」
「はい」
「ボク、カイチョーみたいになりたかったんだ」
「はい」
「皐月賞とダービーを勝って、菊花賞も勝って、三冠ウマ娘になるって、そう思ってた」
「はい」
そこまで言って、テイオーさんは荒ぶる何かを落ちつけようと一息開ける。
「でも、叶わなかった。全部崩れちゃって、空しくて、あの学園のベンチでずっと項垂れてた。……でも、その時カイチョーが来てくれてさ。あのいつも余裕のあるカイチョーが、息を切らしてたんだ」
「はい」
「何を話したのかは、正直覚えてないけど。だけどね、こう言われたことだけは覚えてるんだ。ボクは強くて、弱い。ボクよく分かんなくてさ、どういう意味なのかって、聞いたんだ」
「はい」
「ボクは皐月賞とダービーを取った二冠ウマ娘。菊花賞を断念しても、それは変わらない。だけど、ボクが目指してたのは三冠だ。だからそれ以外の結果じゃ満足できない」
私と同じだ。2位も3位も、私にとっては無価値同然。一位であることに意味がある。
私にとっての1位が、テイオーさんにとっての三冠なんだ。
「その後にね、こう言ったの。ならば、それ以外の目標を作ればいいって」
「三冠以外の目標、ですか」
「うん。目標が消えたのなら、また別の目標を作ればいい。そう言ってた。でもさ、酷いんだよカイチョー。ボクがさ、カイチョーはそういう経験があるの? って聞いたら、『私の夢は、ウマ娘にとってより良い世界を作ることだ。だから、ないな』って! なのに別の目標を作れっていったんだよ!?」
何やってるんですか、生徒会長さん。
「そっからさ、なんだかバカバカしくなっちゃった! ウジウジ悩むより、新しい目標に向けて走った方が、よっぽどいいに決まってる。それで、さ……どんな目標があるかなって思ったときに、ちょうど良いのがあったんだ」
「それは?」
「クラウディ、言ってたよね? ボクの背中、追いかけ続けるって」
「……はい。あなたがどれだけ自分を否定しても、テイオーさんは私にとって追いかけるべきウマ娘ですから」
私がそう言うと、テイオーさんは不敵な笑みを浮かべた。
「なら、ボクの目標は、クラウディの目標であり続けること! だからクラウディ、ボクを追いかけて来てよ?」
「……追いつくのが、また大変になりそうですね」
「大丈夫だよ! ボクたち友達なんだから!」
立ち上がってこちらを見るテイオーさんの顔には、昔のような自信に満ち溢れた笑みが浮かんでいた。
◇◇◇
……ボクがどれだけ君に救われたのかなんて、君は気付いてないんだろうね、クラウディ。
あの時のボクは、本当にひどかったんだ。それこそ、自殺を考えるくらいには。
三冠を目指すというアイデンティティが消えて、ボクという存在が壊れていって、それを繋ぎとめたのは、クラウディが居てくれたからなんだよ?
カイチョーがボクを探しに来たのも、クラウディのお陰だって知ってる。
それとね、一つだけ嘘をついたんだ。
カイチョーは、別れ際にこう言ってた。
『実はだな、さっきはああ言ったが、私にも目標の挫折はあった。しかし、その時支えてくれたのは、他ならぬ大切な友人たちだった。テイオー、君は良い友人を持ったな』
カイチョーのその言葉を、ボクは即座に違うと、心の中で否定した。
この時、自覚したんだ。クラウディは、ボクにとって友人なんかじゃない。
――
君がボクに救われたとしたら、ボクは君に壊されたんだ。
今までの自分が、音を立てて、今度こそ明確に崩れ落ちた。
クラウディを友達と見ていた自分が消え去って、クラウディへの思いが埋め尽くしていった。
本当なら、ボクだけを見ていてほしい。他のウマ娘に目移りなんてしてほしくないんだ。
でも、そんなことをしたら、君はきっとボクを嫌っちゃう。
だから、ちょっとずつ、ちょっとずつ、それでも確かに、ボク以外が目に映らないようにしてあげる。
だってボクの本当の目標は―――――――――だからさ。
テイオーは雲ちゃんに依存してます。
闇堕ちしかかってたところを、自分のために動いてくれた雲ちゃんによってギリギリのところで踏ん張ってる感じ。
ただな~。これ話のオチ的にこうなったわけで、もしかしたらいつの間にか立ち直ってるかもしれません。もしそうなっても許して下さい。
次回から第三レース。次回予告をどうぞ。
「……トレーナーさん」
「トレーナーさん」
「トレーナー」
「「「――春の天皇賞に出ます/出ますわよ/出たい」」」
次のステージ。
「今年度代表ウマ娘に選出されたお二方です!」
「私は天まで駆けてみせますわ!」
「ボクは地の果てまで駆けていきます!」
新たなライバル。
「マスター。ご指示を」
「私にとって、三冠は目指すべき場所です」
消えない苦しみ
「ライスのせいで、また不幸に……!」
「天皇賞には、出ません!」
春の盾は
「メジロ家の名に懸けて、勝利します」
勝利の名誉は
「悪役じゃない……ヒーローでもない……!」
誰の手に――
「……『蜃気楼』が由縁、教えてあげます」
「悪役と呼ばれようと、ヒーローと呼ばれようと、私が目指すのはただ一つ!」
メジロ家の落ちこぼれ 第三レース 近日開始
「気づけば私は、そこにいる――」
Alexandrosの閃光を頭の中で挿入しておいてください。
あれマジ、かっこよすんぎよぉ