メジロ家の落ちこぼれ   作:神咲胡桃

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みんなクラウディを雲ちゃんと呼ぶので私も呼びます。


感想でクラウディなんでトレセン学園に入れたん?って声があったのでここいらで説明を。
トレセン学園の入試は調べてもよくわからなかったのでほぼ独自設定です。

理由について、一応、メジロ家(お祖母様)からの口利きがあったからです。
ただ、トレセン学園はウマ娘のために創られた学園と言うこともあって、試験の成績ではほとんど落とされることはないです。(しかし過去に悪事を働く、著しくやる気が見られないなどといった理由で落とす事はある)
ただ、入学費と授業料が他の高校と比べてバカみたいに高く、特待生制度を使っても無理な家庭はほんと無理。
ちなみに雲ちゃんは面接で卑屈of卑屈なのでヤバかったが、大丈夫だったのは”面接官が優秀だったため”。これが、後の物語のキーポイントになる(予定)


前話のあとがきにライスのキャラ紹介を追加しました。
タグに曇らせと独自設定を追加しました。


4知らなかったか? 曇らせからは逃げられない

「またレース勝てなかった……」

 

レース場からグラウンドに直行したクラウディは、沈んだ声で今日の戦績を呟く。

順位は4位。これでもいつもよりマシだというのだから、まったくもって嫌になる。

 

一体何がいけなかったのだろうか?

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

それとも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「トレーナー!」

「それじゃ、まずは全員で柔軟体操だ。その後、それぞれの適正で別れて軽く走るぞ」

『はーい!』

 

うんうん頭を捻っていると、ウマ娘の集団がすでにグラウンドにいた。

その中には男性のトレーナーがおり、おそらくチームなのだろうと思われる。

 

マックイーンのトレーナーのように、全てのトレーナーが一人のウマ娘だけを担当するわけではない。

複数のウマ娘を担当することもあり、その場合はチームとして登録が行われる。

 

「(まぁ、私には縁のない話だけど。そういえば、あのトレーナーさん、見覚えがある気がする……まあいいか)」

 

レースからそのまま来たので柔軟を軽めに済ませ、手始めに走ろうとしたクラウディを、聞きなれた声が呼び止めた。

 

「クラウディ!」

「……ライアン姉様」

 

彼女を呼び止めたのは、幼馴染の一人、メジロライアンだった。

一緒に柔軟をしていたウマ娘に一声かけ、クラウディに笑顔で近寄る。

 

「クラウディも、トレーニングしにきたの?」

「……はい」

「そうなんだ。あれ? でもなんかジャージが濡れているような……もしかして、もうトレーニングしてたの?」

「その、これは……」

 

ライアンの質問に、クラウディは気まずそうに俯く。

 

「してたんだね? だめだよ。トレーニングだって筋トレと同じ。オーバーワークは怪我の元なんだから」

「はい、すいません」

 

ライアンの注意に、クラウディは淡々と返事を返す。その声色からは納得していないことがよく伝わった。

その様子にライアンは眉を顰めると、クラウディの手を取り歩き出した。

 

「よし! ちょっと来て、クラウディ!」

「え……」

 

驚くクラウディを連れ、ライアンが向かったのはトレーナーの元だった。

 

「トレーナー!」

「うん? ライアン、どうしたんだ?」

「その、お願いがあるんだ。この子、クラウディっていうんだけど、今回だけでいいから、トレーニングに参加させてほしいんだ!」

 

そう言って頭を下げるライアンに、クラウディとトレーナーは面食らったように驚く。

そんな二人をよそに、頭を下げ続けるライアンは理由を話す。

 

「クラウディのトレーニングがオーバーワーク気味で、でも、目を離したらトレーニングしそうで心配なんだ!」

「えーっと、ライアンの気持ちは分かるんだけど、さすがに担当じゃないウマ娘を入れるわけにはいかないんだ」

「そこを何とか!」

 

引かないライアンに、トレーナーが困ったように頭を擦る。

 

彼は、クラウディを見たことはなかったが、ライアンがメジロクラウディというウマ娘を可愛がっていることはなんとなく察していた。

とはいえ、まさかオーバーワークが心配でトレーニングに参加させてほしいと頼むとは思わなかった。

 

「ライアン姉さま。分かりました」

 

押し問答を繰り返す二人に、クラウディが恐る恐る割り込む。

 

「……今日はもう休みますから、そんなに心配されなくても大丈夫です」

「本当?」

「はい」

「……分かったよ」

「いえ。あの、お騒がせしてすいませんでした」

 

トレーナーに謝罪し、クラウディは寮に帰る……と見せかけて、学園の外に出る。

 

「ライアン姉さまには悪いけど……少しでも走らないと」

 

自分に言い聞かせるように呟き、クラウディは町へと走り出した。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「トレーナー、さっきはわがまま言ってごめん……」

「ああいや、そこまで気にしなくていいよ」

「うん」

「(やっちゃった……。あれじゃマックイーンだよ)」

 

少々マックイーンに失礼なことを思いつつ、トレーニングを終えたライアンはトレーナーと別れる。

寮に帰る途中で、ライアンは皆に迷惑をかけたことを反省する。

 

マックイーン程ではないが、ライアンもクラウディのことが可愛いと思っている。

 

小さい頃は「ライアン姉さま、かっこいいです!」「一緒に遊びましょう!」と言いながら、笑顔を浮かべて駆け寄ってくるような子だった。

今では見る影もないが、昔のクラウディはいつも笑ってるような、そんな子だった。

 

 

 

 

クラウディと出会ったのは、まだ小さい頃、幼馴染のマックイーンに会いに行った時のことだった。

 

可愛いものが大好きなあたしは、友達になったマックイーンとよく遊んでいた。

だから、その日もマックイーンを訪ねに行ったんだ。

だけど彼女は、すでに誰かと遊んでいた。

 

それがクラウディだった。

彼女と遊んでいるマックイーンは沢山笑ってて、子供心にマックイーンが取られたって思ったあたしは、クラウディに突っかかっちゃったんだ。

 

「マックイーンを取らないで!」

「ラ、ライアン?」

「……? もしかして、マックイーンのお友達? なら、一緒に遊ぼ!」

 

その後は、マックイーンの説得もあって、私はクラウディと友達になった。

 

彼女は無邪気という言葉が似合う子供だった。

色んなことに喜んで、興味を持って、楽しんで……そんな彼女だからかな。

 

あたしもマックイーンも、沢山可愛がった。

そんなあたしたちに、クラウディは沢山笑いかけてくれた。

 

 

だけどそんなある日、クラウディは笑わなくなってしまった。

 

「マックイーン、急にどうしたの? いきなり呼んで」

「それについては謝りますわ。ですが、今は緊急事態ですの」

 

マックイーンに連れられたのは元当主、お祖母様の部屋だった。

困惑するあたしをよそに、マックイーンは躊躇なく戸を開け、まるで私たちが来ることを予期していたように佇んでいたお祖母様の前に座った。

 

今から何が起こるのか分からなかった私は、ひとまずマックイーンの隣に座った。

話を切り出したのは、マックイーンからだった。

 

「お祖母様。先日クゥ、クラウディが家に来たとき、彼女と何か話していたそうですね。何を話していたのか、教えて頂いてもよろしいでしょうか?」

「そのことですか。いいでしょう。あの時――――」

 

それからは、なんというか、いろんな意味で信じたくなかった。

 

お祖母様がクラウディに才能はないと言い、それにマックイーンが怒る。

怒りのあまり、掴みかかろうとしていたマックイーンを羽交い絞めにして押さえ、その後、落ち着いたマックイーンから事の次第を聞いた。

 

どうやら、数日前からクラウディが部屋に閉じこもりがちになったらしい。

マックイーンはその原因がお祖母様にあるのではと考え、あたしを連れて話を聞きに行ったと言うことだ。

 

なんであたしを連れて行ったのかと聞くと、マックイーンは顔を背けてポツリと小さな声で呟いた。

 

「なんとなく、許せない理由なら私が暴れるかもしれないと思っていました。だから、あなたなら、止めてくれると思って……」

 

こんな言い方もなんだけど、彼女の信頼がとても嬉しかった。

 

その話は置いといて、クラウディのことを知ったあたしはどうするか悩んだ。

考えて、考えて、ある方法を思いついたあたしは、お祖母様に会わせてもらったんだ。

 

「いったい何の用ですか?」

「お願いがあります。あの子を、クラウディを、トレセン学園に通わせてあげてください!」

 

あたしが思いついたのは、クラウディをトレセン学園に入学して貰うこと。

もしクラウディに走りの才能があれば、お祖母様はきっとあの発言を撤回してくれると思ったから。

 

だけど、トレセン学園は入学費や授業料が他の学校より割高な上に、当たり前だが試験もある。

 

クラウディの家は、あたしやマックイーンの家とは違い、普通の一般家庭で、メジロ本家とは、あたしたちが知り合えたことが奇跡なぐらいの親戚という関係だ。

あたしのお願い一つでトレセン学園の入学費などを工面してくれるとは思えない。

だから、お祖母様にお願いする。

メジロ本家からの口利きがあれば、多分行けるはずだ。

 

きっとあたしも、マックイーンと同じように、あの子に才能がないことを認めたくなかったんだと思う。

ウマ娘は本能的にレースを、走ることを求める。

それはきっとクラウディも同じだと思ったから。

 

 

だけど、私は色んな意味で現実を舐めていたんだ。

 

お祖母様が、数々のレースを走ってきたウマ娘だと言うことを。

 

そんなお祖母様が「才能がない」と言うことがどういうことなのか。

 

思えば、クラウディはあたしたちと鬼ごっこをすれば必ず鬼で終わるし、かくれんぼをすれば必ずと言っていいほど最初に見つかる。

 

 

結局の所、現実を見れていなかったんだ。

 

そのせいで、あの子がどれだけ苦しむことになるか、考えることも出来なかった。

 

 

 

 

数日後、あたしのお願いを聞いてくれたかはわからないけど、お祖母様がクラウディのトレセン学園入学のためのお金を工面してくれることになった。

 

クラウディを通じて知り合ったドーベルに連れられてきた彼女は、突然の話に困惑したみたいだったけど、最終的には話を受けた。

 

 

さらに時が経ち、あたしたちはトレセン学園に入学した。

 

 

 

そして、入学からそう遠くない日、あたしは後悔をし続けることになったんだ。

 

 

 

 

 

 




メジロライアン

雲ちゃんがトレセン学園に入学する理由を作ったウマ娘。
彼女を心配したが故の行動だけど、それがマイナスに作用しちゃって曇り進行中。
メジロ家三大シスコンウマ娘の中では一番の常識人枠。
他? 決まってるでしょ暴走枠ですよ。


ライスのトレーナーはどうするか

  • おはなさん
  • オリトレーナー
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