メジロ家の落ちこぼれ   作:神咲胡桃

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また一日飛ばしてしまった。
こうやって投稿間隔広がって行くんだろうなぁ……。


7雲ちゃんを見守り隊

トレセン学園には、様々な広さのグラウンドがいくつか点在している。

ウマ娘たちはその日のトレーニング方法によって、走るグラウンドを変える。

 

そんな中、トレセン学園の端の方。

数あるグラウンドの中でも、特に校舎から遠い、利用するウマ娘もほとんどいないグラウンドで、一人のウマ娘がトレーニングを行っていた。

 

彼女の名はメジロクラウディ。

マックイーンに似た顔立ちと白髪が特徴のウマ娘だ。

 

今回注目するのはそんな彼女……ではなく、それを少し離れた位置から見つめている一人のウマ娘。

 

「……大丈夫、大丈夫。昨日みたいに、自主トレに誘えばいいんだよ。そうだよ。一緒に並走しよって言って、クラウディから承諾を貰えばいいんだ」

 

複数ある倉庫の内の一つの影からクラウディを見守りつつ、ブツブツと呪文のように小声で呟くさまは、まさしく不気味。

 

だが、何より不気味なのは、そのウマ娘が快活を擬人化したようなトウカイテイオーであるということだ。

 

「大丈夫だよ。ゴールドシップだって言ってたじゃないか。ちゃんと謝ればクラウディは許してくれるって。あんなでも人を見る目はあるんだから、きっと大丈夫。……でも、もし許してくれなかったら? ぅ、うぁ~!」

 

クラウディに話しかけるタイミングを探し始めて、既に30分が経っている。

チャンスは何度もあったが、その度に躊躇し続け、気づけばここまでズルズルと引き延ばしていた。

 

そんなテイオーの用事とは、昨日の発言。

トレーナーがいないクラウディに対して、「じゃあ大丈夫だね!」と言ってしまったことの謝罪だ。

 

その時、テイオーはクラウディの事情を知らなかったが、それが言い訳にはならない。

なぜなら、クラウディもまた、テイオーの事情を知らなかったのだから。

 

「よ、よし……次の休憩で声を掛けよう」

 

何度目か分からない決心をしたテイオーは、チャンスを見極める。

 

そして数分と掛からずに、そのチャンスはめぐって来た。

クラウディが水分を補給し出したのだ。

 

『今!』

 

今度こそと思い足を踏み出して、そして違和感に気付いた。

 

今、誰かの声がしなかったか?

具体的には、クラウディのことを知ってそうで、尚且つ顔を合わせづらいライバルが。

 

嫌な予感を滲ませ、空耳であってくれと祈りながら視線を左に向ける。

 

そこには、自身と同じく足を一歩踏み出したままの態勢で、視線をこちらに向けているライバル(マックイーン)がいた。

 

 

「なん――――」

「ッ!」

「むぐっ!?」

 

思わず大声を出そうとしたテイオーを、察したマックイーンが口を塞いで自分が隠れていた倉庫の影に引きずり込む。

この間、わずか3秒。

 

「しー! 静かにしてくださいまし!」

「ま、マックイーン? なんでここに……」

「それはこっちのセリフですわ。どうして滅多に人が来ないようなここに、あなたがいるのですか」

「ボクは、クラウディに一緒に並走しないかって聞きに来ただけだよ! そういうマックイーンの方こそ、こんな所で何やってるんだよ!」

「わ、私はただ、クゥ…ラウディに明日のアフタヌーンティーに来ないかと聞きに来たのですわ!」

「……じゃあ、ボクたちはどっちもクラウディに用が有ってきたわけだ」

「そうですわね」

 

自身の理由を言った二人は、何となく見合ったままの顔を逸らす。

 

そもそも、マックイーンのスピカ脱退から、二人の間にはギクシャクとした空気が漂っていたのだ。

それが、クラウディへの用が重なっていたことと、久々に顔を合わせたことといった要因が重なり、二人の間に気まずい雰囲気が広がる。

 

しかしそれも、新たな第三者によって打ち破られた。

 

「あれ? マックイーンさん?」

「その声は、ライスさん?」

 

二人の元にふらりと現れたのは、帽子をかぶったウマ娘ライスシャワーだった。

 

「マックイーンの知り合い?」

「ええ。彼女はライスシャワーさん。トレーナーを通じて、以前少しだけ話したことが」

「へー。僕はトウカイテイオー! よろしく!」

「ラ、ライスシャワーです」

 

さっきまでヘタレていたのが嘘のように、テイオーはライスシャワーに自己紹介する。

 

「……あの、ライスさんはどうしてここに?」

「あ、えっと、ライスはクラウちゃんがここに行くのを見たって人がいて、お話ししたいなって」

「まさかテイオー以外にも、ライスさんと面識があったなんて」

 

思いがけない事態に、マックイーンは天を仰ぐ。

 

その言い方にカチンッときたテイオーは、頬を膨らましながら文句を言う。

 

「何だよその言い方ー! べつに良いだろ! ボクがクラウディと知り合ってたってさ!」

「別に、そこまでは言ってませんわ。あの子に友人が増えるのは、私としても喜ばしい限りですわ」

 

マックイーンとテイオーの間に、険悪な空気が流れ始める。

それを察したライスは、すぐに別の話題を振る。

 

「そ、それにしても、クラウちゃんはここでトレーニングしてるんですね……」

「毎日というわけではないでしょうけど……」

「ここって、他のグラウンドに比べて整備がされてない感じするよね」

「それってやっぱり……」

 

テイオーの言うとおり、このグラウンドを見渡せば端の方にそれなりに育っている雑草が目に入る。

 

おそらくトレセン学園のグラウンドの数と、その広さに対応できるほどの人員がいないのだろう。

3人が何時もよく使っているグラウンドも、たまに小さな雑草が生えていることもある。

とはいえ、立地の問題からしても、ここの整備は後回しにされているのだろう。

 

しかしマックイーンは、グラウンドのことより、最後のライスのセリフが気になった。

 

「……確認しておきたいのですが、お二人はすでにクラウディの事情については知っておられるのですか?」

「えっと、はい……」

「まぁ、ボクもかな……」

「……そうですか」

 

二人の反応に、マックイーンは目を閉じると、二人に向かって深く上半身を倒した。

 

「えっ!?」

「マックイーンさん!?」

 

驚き困惑する二人に構わず、マックイーンは上体を倒したまま話し出す。

 

「これが、私の独り善がりだというのは分かっています。ですが、あなた達があの子の事情を知ってもなお、それでも、あの子と友達でいてくれるのなら、どうかお礼を言わせてください。私だけでは、あの子を救ってあげることが出来なかった。ですが、あなたたちが友人でいてくれるのなら、あの子を救ってあげれると思うのです」

 

そう言って、未だに頭を下げ続けるマックイーンに、二人は声を掛ける。

 

「頭を上げてください。マックイーンさん」

「ボクたちは、別に言われたから友達になる訳じゃないからね」

「クラウちゃんに何があったかは聞きません。でも、もしクラウちゃんが苦しんでるなら、私たちも手伝います。だって、友達だから」

「……ありがとうございます」

 

マックイーンは頭を上げ、三人は微笑みあう。

 

そんな中、今度はテイオーが思い出したように声を上げた。

 

「……あ! クラウディ!」

『あ』

 

テイオーの声で思い出した二人も、慌ててクラウディの様子を伺う。

 

視線の先では、次の休憩に入っていたクラウディと、その側に別のウマ娘がいた。

 

「あれって、誰?」

「あのウマ娘さん、アグネスタキオンって人じゃないかな?」

「私もうわさなら聞いたことはありますわ。なんでも、研究を頻繁に行っているウマ娘だとか」

 

何故そんなウマ娘が、クラウディの側にいるのか?

 

三人の疑問をよそに、ベンチに座っていたクラウディが動き出した。

 

いきなり靴を脱いだかと思うと、靴下も脱いでしまい、ズボンの裾を引き上げる。

女性特有のしなやかさと、トレーニングによって培った主張しすぎない筋肉で構成された御御足(おみあし)が、白日の下に晒される。

 

さらにそれだけではなかった。

 

『なぁ!?』

 

なんと、両足を曝け出したクラウディが頬を薄らと赤く染め、タキオンに向かって片足を差し出したのだ。

その姿はまるで、忠実な家臣に褒美を差し向ける女王が如く。

 

しかし、それを見せられている三人にとっては、堪ったものではなかった

 

「はわわわわわわっ!?」

「な、なななななな何あれ!?」

「おおおお落ち着いて!? あ、あれですわ! おそらく足を怪我したから見てもらってるのですわそうに決まってます!」

 

必死に理由を考えるも、すぐにその希望は打ち砕かれる。

 

タキオンがクラウディの足をペタペタと触り始めたのだ。

無抵抗なクラウディは、足を触られるたびに頬を染めてピクッ、ピクッと小さく跳ねる。

 

それを眺める三人は、クラウディの扇情的な姿に顔を真っ赤にする。

 

「ひゃぁ~!」

「ギ、ギルティ! ギルティですわ! もう誰だろうと構いません! クゥに手を出す者には鉄槌を、ですわ!」

「そ、そうだよ! ボクだってしたことないのに! ずるい!」

 

もはや我慢ならないと、テイオーは一歩を踏み出す。

 

「ぜ、絶対にダメ! 何が何だか分かんないけど、絶対にダッ――――!」

「ハイハーイ、ゴルシ宅急便でーす! トレーニングに行くぞー」

『はーなーせー!』

 

 

 

………

 

 

 

 

「……え? いや、え?(というかあの子、自主トレなんて嘘ではないですか)」

「な、何ですか今のぉ……」

 

麻袋に詰め込まれ運ばれていくテイオーを見送る二人。

 

いきなりのことに呆気にとられる二人だったが、こうなればクラウディを救えるのは自分たちしかいないのだと、二人は頷き合いクラウディたちの元へ向かおうとする。

 

しかし、肩をガッチリと掴まれ動きが止まった。

 

「ふぇ?」

「いったい誰です…の……」

「やーっとみつけたよー? マックイーン?」

「今まで何していた? ライスシャワー?」

 

マックイーンとライスが振り返ると、そこにはそれぞれのトレーナーが、笑顔で担当ウマ娘の肩を掴んでいた。

笑顔で。

 

「あ、いや。これは、ですね……」

「は、はぁぁぁぁぁぁ……」

 

ゴゴゴゴゴゴッという音が聞こえそうな威圧感に、マックイーンはしどろもどろになり、ライスに到っては可哀相なぐらいに青ざめている。

 

釈明はなしと判断した二人のトレーナーは、ズルズルと二人は引きずって行く。

 

「待ってくださいトレーナーさん! 鉄槌を! せめて、せめてあのウマ娘に鉄槌をー!」

「ふぇーん! ごめんなさいお姉さまー!」

 

この後、二人は地獄のトレーニングを課されたとか……。

 

 

 

 

 

 




メジロマックイーン

雲ちゃんに友達が出来て嬉しく思っている。
直に用事を済ませるつもりが、ヘタレを発揮したせいでトレーナーから地獄のトレーニングを課された。南無三。


トウカイテイオー

雲ちゃんと知り合ってから、謎の感覚に戸惑っている。
ゴルシに運ばれたことを表面上は怒りながらも、雲ちゃんに気付かれなかったことに安堵している。
書いてると知らずの内にヤンデレになりそうで怖い。


ライスシャワー

可愛い。
なんかもう尊い。
ブルボンと絡ませた小説書きたい。でもブルボンが出てくれない。
トレーナーに連行された後は、地獄のトレーニングを涙目でこなし、後でトレーナーに可愛がられた。


ゴールドシップ

実は最初からテイオーを見守ってた。
トレーニングがあったけど、テイオーのためにも待っていたのに、話が変な方向に行きそうだったから、やむなく特急便した。
アプリの一コマ漫画が好き。


アグネスタキオン

マッドなサイエンティスト。
でも完全に非道に成りきれないあたりが可愛い。
次回で書く。

雲ちゃん視点の時の地の文はどっちがいい?

  • ライスシャワー回の時みたいなやつ
  • トウカイテイオー回の時みたいなやつ
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