僕は、僕らは失敗した。
最終暗殺計画が発動し、僕らE組は殺せんせーに会うために、そして殺すために地の盾に囲まれた旧校舎へと向かった。しかしその道中にシロ…正確には柳沢と、触手を移植された二代目死神に出会って戦闘になった。もちろん僕らが勝てる相手でもなく、僕以外は簡単に殺された。善戦したように見えたカルマや磯貝君、前原君も遊ばれてただけで殺された時は一瞬だった。
僕は運良く致命傷を避けたが、出血で死ぬのは時間の問題だ。薄れる意識の中見えたのは、シロからカルマが盗んだ変な形の注射器。中身は多分……触手だ。
「もう…どうでもいいや…」
震える声で呟きながらそれを取り、首の後ろに打つ。右腕が動いてよかった。頭が痛い……寒気もする……そういえば適合とかそんなこと考えなかった…血液型とか大丈夫かな……
そんなことを考えていると、頭の中で誰かが囁いた。この正体はきっと触手だ。
触手は聞いてきた。
「何になりたいか、どうなりたいか」と。
僕は答えた。
「殺し屋に…教師なんかじゃ救えない人を救える…誰でもいつでも殺せる最強の殺し屋になりたい」と。
意識が遠のく。時間が足りない。脇腹と左肩に空いた穴から出る血の量が凄いことになっている。
「もう…ダメかな…」
気がつくと椅子に座っていた。目の前には机があって、周り見る限りここは………3のE?
茅野が何か話しかけてきた気がしたがとりあえずスマホで日にちを確認する。この日にちは………僕たちが初めて殺せんせーにあった日…僕たちの運命が変わった日だ。
「……さ!渚!」
「え!?……あぁ…何? 茅野?」
「ボーッとしてたから…大丈夫? 熱でもあるの?」
「大丈夫。ちょっと考え事してただけ」
「そう…ならいいけど…」
僕は首の後ろをさりげなく触る。あの触手はない。そりゃそうか、時間が巻き戻ったならないよね。あったとしても困るし。
そんなことを考えてるとドアが開き、黒ずくめの人…烏間先生達が入ってくる。前と同じように殺せんせーが挨拶をし、暗殺の依頼をされる。
ああ…言われなくても殺すよ…僕が…絶対に殺す。なにがなんでも。どんな犠牲を払ってでも僕がせんせーを殺す。他の殺し屋に取られるのは二度とゴメンだ。そのためにまずは…
僕はその日家に帰るまでに殺せんせーを殺すために必要なことを考えた。まずは戦力。クラスのみんなが適任だろう。一人でやっても絶対無理だし。あとはその戦力を上げるための時間…時間…時間かぁ………
家に帰ってこれから起こる出来事を書いた。修学旅行…鷹岡先生のこと…特別夏期講習…イトナくん…茅野の触手…暗殺サバイバル…最終暗殺計画…そして、それらを必要じゃないイベント、必要なイベントに分けた。まるでゲームだ。でも必要な事だ。いらないイベントのフラグは折って、必要なイベントで更に戦力を強化する。余った時間を訓練やみんなのサポートに回す。我ながらいい考えだと思う。
「ただいまー」
あっ、母さんだ……やばい! ご飯の用意してない!
「渚!夕飯の用意なんでしてないのよ!」
怒鳴りながら乱暴に僕の髪を掴む。いつもこうだ…父さんが出ていってから八つ当たりの対象は僕になった。
「ごめん母さん!今作るから!だから先にお風呂入ってて!」
「ちっ……早くしなさいよ…」
危なかった…今日は殴られなかった…すぐに夕食を作る。その後は母さんはすぐに自室に籠った。僕もお風呂に入り、明日の用意をしながら考える。僕にあるのは前の記憶と…暗殺の才能だけ。残念ながら前に鍛えた体力は戻ってしまっていたので明日からすぐにトレーニングを始めよう。烏間先生が来たら放課後の追加訓練も頼むつもりだ。
昔ながらの目覚まし時計が震えながらやかましい音を鳴らす。朝日がカーテンの隙間から入り、僕は目を覚ます。前の時より二時間ほど早く起きてみた。
朝ごはんとお弁当を作り、外に出てランニングを始める。基礎体力はあって困らないからね。どうやら前の体の感覚が染み付いているようで、筋肉が動きについてこなくて何回か転びかけた。一時間半ほど走って家に戻ってシャワーを浴び、母さんを起こす。運良く寝起きが良かったようで朝ごはんを食べ、すぐに出ていった。僕も用意を済ませて学校へ向かう。
「おはよー!渚!」
「おはよう、茅野」
そうだ…茅野の触手は早めに抜いておきたい。茅野が殺意を隠すために計画した巨大プリン暗殺は予めフラグを折っておくイベントリストに入っているので早めに茅野をなんとかする。本人もつらいだろうし。
「なぁ渚、放課後にキャッチボール付き合ってくんね?」
「ごめん杉野…放課後は用事入ってて…」
「そっか…じゃあ!また今度!ちゃんと埋め合わせしろよ!」
「うん!もちろん!」
ごめん杉野…キャッチボールしてる暇があったら…今は基礎体力作りをすることにするよ。勉強は幸いにも前の記憶があるので困ることはないだろう、もちろん忘れない為に授業やテストはちゃんとやるし、宿題や予習復習もやる。殺せんせーの強化合宿にもいくつもりだし、怪しまれないようにテストの点も触手がかかっているであろう1学期期末以外は自然になるようにするつもりだ。
四時間目が終わり、せんせーはお昼ご飯を食べに四川省まで飛んでいった。なぜか寺坂くんに呼ばれたので行ってみると…………絡まれた。そういえばこんなこともあったなぁ…
「渚!おめーが殺りにいけ!」
「ええ!僕が!?」
わざとっぽく驚いてみる。どうやら本当に驚いてると思ってくれたようで、茅野の横で一年過ごしたおかげで少しは演技力を盗めたのかななんて思った。
僕は手榴弾を渡され、三人は満足そうに教室へ戻っていく。
「おや?どうしましたか渚くん?」
「あ、おかえりせんせー」
「ただいまです」
そうだ…
「せんせー!ちょっと殺したいからこっち来てよ!」
校舎の窓から見えない木々の方に歩きながらナイフで手招きする。
「ええ、もちろんです。渚君の暗殺ですかぁ…楽しみですねぇ」
五時間目が始まり、触手なりけりで終わる短歌を作れと言われみんなが悩んでいる。僕は油断している先生にナイフを隠し持って近づき、突く。もちろん前と同じく殺れない。だからナイフを捨てて、抱きついて、首についた手榴弾の爆発を待つ。
「よっしゃー!」
「こいつも自爆テロは予想してなかっただろ!」
前と同じセリフを吐く。なので殺せんせーは、前と同じように怒り、前と同じように褒め、前と同じように茅野が殺せんせーの名前をつけた。大体は前と同じだ。 ちょっと違ったところは……その後村松くんと吉田くんから謝罪のメッセージを受け取ったことかな。正直らしくないのでやめて欲しい。
放課後になって僕は職員室に向かう。
「殺せんせー!今日はありがとう!」
「おや、渚くん。今日は災難でしたね」
「でも、先に話しておいたおかげで怪我もなかったし、寺坂くんたちも反省したみたいでよかったよ!これでみんなも自爆なんてしないだろうしね」
そう。寺坂くん達から手榴弾を貰った後に殺せんせーにその事を話しておいた。三人を懲らしめるために、そして今後みんながこんなことをしないようにわざとその作戦にのりたいと話した。殺せんせーは僕の危険を考慮して反対したので、結果として手榴弾の火薬の量を減らして実行することで決着した。それでも殺せんせーは反対していたけど…おかげで三人は反省してくれただろう。
「もうこんな危険なことをしてはダメですよ。渚くん」
殺せんせーは顔を紫にしてバツのマークをうかべながら言う。
「うん、そうするよ。じゃあね!殺せんせー!またあした!」
「はい。さようなら」
僕は殺してみせるよ。殺せんせーを。どんな犠牲を払ってでもね。
絶対に………僕の手で。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
はい。原作との違いとしては、みんなの最期が全く違いますね。あとは渚母のクズ度が猛烈にUPしてます。なので渚からの愛情は0に近いです。
次の投稿は…気分です。なる早で。
7/7追記
行間を空けて、おかしかった言葉や文をを変えました。特に大きな変更は無く、ただの自己満に近いので無視していただいて結構です。計画性がなくてごめんなさいーーー。