とりあえず僕はカルマの合流を待つことにした。いや、まだこの時間じゃ君付けだったっけ。カルマの事だから突然呼び捨てにしてもあんまり気にしないだろうけど…。色々考えてとりあえず君付けで呼ぶことにした。
その間に僕は無事に体育教師として就任した烏間先生に追加訓練を頼んだ。近くにいた杉野や茅野を巻き込んで、たまたまその話を聞いた磯貝君もクラス委員として付き合ってくれるらしい。ついでに前原君も巻き込まれたらしく僕を含めて5人が追加訓練を受けている。内容は基礎的なトレーニングに体術、ナイフ術、射撃訓練、これといって体育の授業でやってるものと違いはないが、それでもしっかりとした指導者の元で体を動かしているので独学でやるよりは力がつくだろう。
そんな事をやっている間にカルマ君は前回と同じのようにE組に復帰した。
ちなみにその後に来たビッチ先生も前回と同じようにE組のみんなに認められた。
「みんなは殺せんせーのこと、どう思う?」
「んー…勉強教えるの上手いし先生としてはいいんじゃね?」
追加訓練が終わって、僕たち五人は雑談しながら山を下りる。
「そうじゃなくて、殺せるかどうかってこと」
「うーーーーん…」
磯貝君の質問に僕達は唸り声で返す。
「そうだよなぁ…速いし隙が無さすぎる。俺たち、せんせーのこと殺せるのかなぁ…」
「殺すしかないんだよ。そうしないと地球は滅びる」
そうだ、殺さないと地球は滅びる。そんなことを話しながら僕達は別れ、僕は家に帰る。
「ただいまー…っていないか…」
母さんはもちろん居ない。夕食を作りお風呂を沸かし、宿題を片しながら帰りを待つ。
八時半頃にドアが開き母さんが帰ってくる。いつものように夕食のメニューに文句を言いビール缶を持ちながら自室にこもる。今日も派手に散財してきたようで家計簿をつけながら溜息をつく。
「なによ。文句ある?渚」
まずい、聞かれた。これは…
「いつもいつもムカつくのよ」
空き缶を投げつけられ服に残ったビールがつく。そのまま髪を掴まれ怒声を浴びる。何を言っているかはよく分からないがとにかく怒っているらしい。
……もういいや…これ以上は支障になる。
「母さん。今月は少し余裕がありそうなんだ。だから…これ…」
「ふん、少ないけどまぁ…いいわ」
家計費からぼくのお小遣い分の二万五千円を渡す。なんとか怒りから逃れた僕は服を洗濯してもう一度シャワーをあびる。
「殺そう」
小さく呟き、僕は決意した。
僕が母さんに金を渡したのには理由がある。あの母親はこうやって金を貰った次の日は決まって遊びに行くのだ。そこを狙って暗殺する。もうプランは考えてある。
だって
前回も殺ったんだから。
次の日学校でせんせーに放課後勉強を教えて貰えるように頼む。
「せんせー。今日は親いないから追加で家で勉強教えてよ!」
「ええ、いいですよ渚君。そういえば渚くんのお宅にお邪魔するのは初めてですねぇ」
「ケーキもあるからぜひ来てよ!」
「にゅやっ!ケーキですか!?もちろん行きます!」
「じゃあ19時位でどうかな?」
「わかりました。その時間に向かいます!」
「よろしく!殺せんせー!」
そろそろ19時だ。
僕は準備を済ませて待つ。
「こんばんは渚君」
「早いね。殺せんせー」
「ヌルフフフ、5分前行動は基本ですよ」
さて。計画開始だ。
「あれ!?無い!」
「どうかしましたか?」
「バック忘れてきちゃったかもしんない!」
「ほう?それはまたどこに?」
「多分______かな。今日はそこの近くのゲームセンターによってきたから…」
「それなら先生がすぐに取ってきましょう!」
「待って!僕も連れてってよ!どこに落としたかわかる僕がいた方が多分早いしさ」
「ふむ…それもそうですね。分かりました。そういうことならおまかせあれ!」
さっき先生に伝えた行き先に向かう。そこは、母さんの行きつけの店がある場所だ。
「では行きましょう」
マッハで窓から飛んで行く。せんせーとは路地で別れ、僕はゲームセンター…の近くにある母さんがいるであろう店に行く。そして案の定いた。ガラス越しに見えるあれは確実に母さんだ。
事前に考えておいたカメラに映らないルートを歩き、コインロッカーから荷物を取り、戻って路地で僕は着替える。母さんが僕のために買った赤いパーカーとミニスカート、身長を誤魔化すためのシークレットブーツはすこし足のサイズが大きめのを買った…というよりそれしか無かったのでそれにタオルを詰めてサイズを調整する。パーカーのフードの内側に仕込んだヘアピンで前髪を留め、フードの位置がズレないようにする。
僕は母さんに非通知で電話をかけ、外に誘導する。母さんは電話に出るために店から出て路地に入る。少しドキドキするけど問題は無いだろう。
僕はその後ろから忍び寄って肩を叩く、女が振り返ったのでその喉元に彫刻刀を深く突刺す。声を出されると困るので声帯を狙ってたんだけど多分外した。すぐに引き抜いて次は心臓を狙う。まだ息があるようなのでもう一度喉に刺す。
「…ぁ…ぃ…さ…」
なんか言ったような気がするけど多分気のせいだ。僕はその場から離れ、着替えてせんせーの所に戻る。
「ごめんねせんせー!遅くなっちゃった!」
「いえいえ大丈夫ですよ。見つかりましたか?」
「うん!ほら!」
僕はコインロッカーから取り出した荷物を見せる。
「………それはよかった。では帰りましょうか」
僕とせんせーは帰ってケーキを食べながら机に向かう。
ペンを持つ手に今でも返り血の温もりをかんじる。肉を引き裂く感覚、殺した感覚、まだ残ってる。
僕はまた……殺したのか。
次の日の朝、警察から連絡が来る。
「渚さん。よく聞いてください。あなたのお母さんは、何者かに襲われ重症を負いました」
「え…」
僕は受話器を落とす。
「……どういう………ことですか…」
嗚咽の入り交じった声で言葉を返す。
「とにかく、今から迎えが行きます。お母さんは病院で治療を受けていますのですぐに向かってあげてください」
「分かり…ました…」
僕は殺せんせーに休みの連絡をし、警察の人に連れられて病院へ向かう。どうやら助からなかったらしく、警察の人に同情を目を向けられる。僕は涙を流し、嗚咽しながら言葉を繋ぐ、まるで母親が殺された中学生かのように。
警察に事情を聞かれ、母はその日帰ってきておらず、自分が家から出ていないことを伝える。七階の部屋に住んでる僕が外に出るために絶対通る場所であろうマンションの出入口の監視カメラに僕が映っていなかったらしく簡単に信じてくれた。後々聞いた話によると目撃者もおらず、付近の監視カメラにも映っていなかったため事件は難航しているらしい。僕は泣きながら事件解決を警察の人に訴え、開放された僕は帰途に着く。
誰もいないリビング、もう僕以外誰も帰ってこないであろうこの家。そんなことを考えていると、頬に何かが伝うのを感じた。
「あれ……もう演技はしなくていいのに……何泣いてんだよ僕…」
咽び泣きながら自分自身に問う。けれど自分が何を考えて泣いているのかわからなかった僕はシャワーを浴びてベッドに入った。もう寝よう。きっと疲れてるんだ。
次の日に起きてリビングに向かうと殺せんせーがいた。どうやら朝食を作ってくれていたようで美味しそうな洋食が用意されている。
「おはよう。殺せんせー……」
「おはようございます。渚君……」
ここで話が弾まないのは前回と同じ。
「今日は学校に来れますか?」
「うん……なんとか…みんなといた方が安心するだろうし」
「それはよかったです。よろしければ送りますよ」
「うん、よろしく」
シャワーを浴び、用意を済ませたあとにマッハで飛んで学校に向かう。
学校で僕に話しかけてくるのは、いつも通り明るく話しかけてくる茅野と、キャッチボールに誘ってくる杉野くらいだった。2人とも僕のことを気にして話しかけてくれたのだろう。逆に話しかけてこないみんなはどんなことを喋ったらいいか分からないのだろう。
その日は特に何も無く山を下りる。烏間先生には今日の追加訓練は休むと伝えた。
警察に電話をし、名前を伝え、犯人が見つかったか聞く。もちろんそんなこと伝えてくれるはずもなかったので電話を切った。
ああ…………………
良い実験だった。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
渚母、早々に脱落!
この世界線の渚母はこんな感じなので前回の時も渚くんは殺しています。その時のプランが結構上手くいったのでまた殺りました。結構周到に計画を立てていたので警察にはバレません。科学捜査が発展したなら、その科学を超えた殺せんせーを利用すればバレないと思った渚くんでした。
原作と同じようなお話は今回のように1行から2行で済ませてなるべく省くつもりです。
追記6/9
数話ほど書いて納得いかない出来だったのでプロット練り直し中です。更新はちょっとお待ちを。矛盾してたりする点は…まぁ…なんとかしたいですねぇ。
追記7/7 行間とかのレイアウトを最近のに合わせました。それとちょいちょい変だった言葉を少し変えました。ほとんどストーリーに変更はないところなので無視してもらっても結構です。計画性なくてごめんなさいーー…