弱くなってニューゲーム   作:桜油

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そろそろ終わりも近いこの作品ですが、
日常回はまだ浮かんでません……

続編書くので許してヒヤシンス……


れんdetermination②

俺と充喜が戦っていた時間軸まで巻き戻すと、待ち構えていたかのように一つの人影がそこにあった。

 

 

 

姿こそは俺だが、どうも別人のように見える。……だいぶ雰囲気は違うが、それこそ『前回』の『丈凪怜』のように感じられる。

 

 

 

充喜は早速『投影』を始めている。

 

 

 

人影は俺を見て目を見開き、充喜に視線を移し、弾幕を複数張って放つ。

 

俺は『循環』で被害をそらしたが、そらした先で弾幕が爆発すると、『投影』で色づいていたのがまたモノクロに戻る。

 

そらせないな、これ。

 

相殺する方針にし、俺が『循環』弾幕を大量に放つ。それに合わせて人影も弾幕を大量に張った。

 

 

 

弾幕は時間差で俺の近くに迫ってくる。同時に放っていても到達するタイミングが違っているので、『循環』で時間をいじくっているのかもしれないし、速度の問題かもしれない。

 

埒が明かないと判断したのか、人影は俺に迫ってくる。かなり早い。

 

人影は俺の懐まで接近すると、前傾姿勢になって地面に手をつき、体をひねって回転蹴りをする。俺は跳んで躱す。

 

 

 

『―――――』

 

ノイズが走って、こいつの声をうまく聞き取れない。

 

だが、不思議と意味は理解できた。『決意』か『投影』、はたまた、異なる世界軸の同じ存在同士だからか。

 

 

 

―未来と進化を願い、普通に生まれ、物語を歩み、死を迎えることに憧憬と羨望を抱えた。

 

 

 

着地したところに再び回し蹴りが繰り出され、俺は体をそらして避ける。

 

 

 

『―――――』

 

―しかし現在、時間の経過だけがそこにある。成長しない自分は破壊し、廃れていくのがお似合いなのか。

 

 

 

地面で体勢を整える中、拳が降り下ろされて横跳び、更に拳が降ってくるので転がって避けて、何とか立ち上がる。

 

 

 

『―――――』

 

―どうしてこうも、世界は僕に破壊を強いるのか。いや、それは被害妄想猛々しいというものか。

 

 

 

俺は立ち上がった後に『循環』も応用して宙に跳び、人影も宙に跳んで、俺の腹部に拳を入れる。俺はよけきれないので受け身を取り、敢えて後ろに吹っ飛ぶ。

 

 

 

『―――――』

 

―何も考えたくない。行きつく先には絶望しかない。

 

 

 

吹っ飛ぶ勢いを止めていると、着地点にまで人影が駆け、思い切り足場を踏み下ろす。俺は『循環』で着地点を変え、続けて迫ってくる人影の攻撃を避ける。

 

 

 

『―――――』

 

―もう何も思い出せないけど、最期に宿敵でも殺そう。

 

 

 

そのまま懐まで近づき、腹部へ伸びる人影の腕の関節を決めたが、足払いされてバランスを崩す。そのまま背負い投げをされたが、着地して受け身もとる。

 

 

 

『―――――』

 

―もう何も思い出せないから、特に意味はないけど。

 

「……意味はあるだろ」

 

俺の言葉に、人影が若干動揺したのを感じた。

 

 

 

「理由なんぞ、俺に価値を示したいでも、答え合わせでも、魔術師が憎いでも、なんでもいい。だが、理由もなく人を殺すわけじゃないだろ?『明白に嫌われた正義』ってのは」

 

『……』

 

「お前の世界はどういう経緯を踏んだかわからない。だが、口ぶりからして既に滅んだんだな。それもお前が滅ぼした」

 

『……』

 

「……今、俺と充喜は協力して仲間を、世界を救っている。別の世界軸のお前はちゃんと『主人公』になりたいなんて誇大妄想を現実にしてる。お前はその邪魔をしてるだけだ」

 

『……』

 

「お前の世界軸はもう救えない。だが、ほかの世界軸はどうなるか分からない。故にこそ、選べ。人々の礎になるか、人々の枷になるか」

 

『……』

 

 

 

殺気が消えた。

 

 

 

「ありがとうな。……俺の歴史を再現する」

 

俺はそういって弾幕で奴を囲い、一斉に砲撃した。

 

 

 

「できた」

 

「わかった」

 

充喜の言葉に、俺は『決意』でこの時間軸を復活させた。

 

奴の姿は消え、一旦状況が落ち着いた。

 

 

 

「……結局どんな世界軸だったんだ?奴が壊したのはわかったが」

 

「僕の持論は『主人公補正』を生かしきれなかった『前回』の僕の末路だね」

 

「はい?」

 

俺の独り言に充喜が電波な発言をしてきたので、思わず聞き返す。

 

 

 

充喜は俺の発言を意に介さず、問いかけた。

 

 

 

「なんで僕たちが世界の命運を握ってるんだと思う?」

 

「『受容』とか『決意』を持ってるから……なんて回答は期待してないみたいだな」

 

「そうだね。なんで『受容』『決意』を僕たちが所持していたのか、って言ったほうが僕の質問の趣旨に添うよ」

 

「……そもそも俺らが何なのか。そういうことか」

 

「うん」

 

 

 

俺はしばらく考え、首を振る。

 

 

 

「わからんな」

 

「まあそうだろうね。僕もわからない。きっと神のみぞ知る話だ」

 

「じゃあなんで聞いたんだよ」

 

「仮説ならある」

 

「……」

 

 

 

俺が無言で次を促すと、充喜は語り始める。

 

 

 

「世界軸の歪み。この空間。簡単に物理法則に干渉できる状態。これだけだと、本郷が世界を壊したがるとは到底思えないんだよ」

 

「そうだな。そこは少し腑に落ちてなかった」

 

「ほかにも疑問はある。深月命はゲーム的に例えたがる。丈凪みたいなゲーマーなら違うけど、彼女は幽閉されていた上に兵器として利用されていた過去がある。ゲームをいじる余裕が果たしてあったのかな」

 

「……」

 

「それともクリスの影響を受けた?いや、ない。ゲームにかまける暇があるなら、少しでも妻が助かる可能性を上げたかったはずなんだ。有住とは関わる機会が少なすぎる」

 

「……」

 

「あと、真白の話も。ある世界軸で死んだら、ほかの世界軸では記憶がないって話と、逆行した際はほかの世界軸にも記憶が同期されてるという話。つじつまを合わせるなら『逆行した場合、全ての世界軸に記憶は同期されていくが、死んだ世界軸に関する記憶だけは同期されない』ことになる。これなら黒守が真白に殺された後に記憶がありながら執拗に自分の手段にこだわる理由もわかる。自分の行動で世界が滅ぶ可能性を知らないんだ」

 

「それは、……なんとなくわかっていたが」

 

「……すべての話から思うのは、この世界は何者かに作られたものなんじゃないかってこと。本郷はそれを本能で理解したから発狂した。世界を壊したがった。深月命は世界を否定した際に知る機会があった。真白は……知ってるかどうか定かじゃないけど、説明はゲーム的に言い換えられるよ。要するに、『記憶をほかの世界軸に自動セーブできるけど、死んだらその記憶はセーブされてないから、最後に逆行した時の状態がロードされる』そういうことじゃないかな」

 

「……そして、意図的にセーブできるのが『受容』、意図的にロードできるのが『決意』、意図的にリセットできるのが『否定』ってか」

 

「そう。そんなことができる僕たちはまさに、『主人公補正』を持って生まれたというところか」

 

「あー……」

 

 

 

色々納得できた。そうなると、さっきの奴も粗方推測できる。

 

 

 

「『充喜暁』と逆行、入れ替わりする手段が浮かばず、だれにも頼れないまま戦いはじめ、『パラノイア』で『決意』が発動して殺しちゃった。そしてそのまま世界が壊れた。そんなところじゃない?」

 

「……まあ、どんな世界であっても俺たちはそこで幸せになるだけだけどな」

 

「それもそうだね」

 

「じゃあ、巻き戻しを再開するか」

 

「ああ」

 

会話を切って、俺は再び巻き戻し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今度は高校一年生の時。たしか、深月が『殺さない殺人鬼』になって、」

 

「それは『自己否定』で自我を消してたのが原因だった」

 

俺の言葉をさえぎるように充喜が口を開く。

 

 

 

「僕が至らなかったせいだ。変に『前回』の関係にこだわりすぎてたんだ。おかげでずいぶん待たせてしまった。……今更妹扱いを赤の他人の僕がやっても、僕のエゴであって育は全く嬉しくないなんて、少し考えればわかることだったよ」

 

「……」

 

 

 

今回は誰も襲ってきそうにない。充喜は話しながら『投影』を進め、あっさり終わった。

 

 

 

「どうぞ」

 

「いいのか?本来の歴史通りで」

 

「勿論。僕は、僕の失敗も受け入れて次に生かす。なかったことにせず、前を向いて、今度こそ育を泣かせないつもり」

 

「……わかった」

 

 

 

そう返して『決意』を使用する。

 

 

 

「あのさ」

 

「なんだ」

 

「……丈凪は一応、育の兄だ。僕が、君の妹をもう一度泣かせる大莫迦になったら、一発僕をぶん殴ってよ」

 

「……善処する」

 

 

 

今まで赤の他人のような扱いだった深月を妹扱いできる気がしなかったし、本人も満足するのかはわからないので、そう流して巻き戻す。

 

 

 

次は……有希と日向、有住か。

 

 

 

「中学三年。徐々に巻き戻すから、充喜は有希、日向、有住と二人の脱走という感じで『投影』できるか?」

 

「問題ないよ。そっちのほうが効率いいし、そういう方向性でやろう」

 

充喜から了承を得て、俺は巻き戻しの速度を遅くした。

 

 

 

「まず、今は有希の一件があった時間軸。……夕映とクリスの交渉がなければ、『院生室』との同盟より人命優先になっただろうな」

 

「……『教会』がこの時点で襲ってくるのがイレギュラーなんだけどね」

 

 

 

充喜はそう苦笑いし、『投影』を始める。着々と進んでいく中、俺は周囲への警戒よりもある姿を探してしまう。理論上無理だとわかっているが、それでも願わずにはいられなくて。……だが、やはり俺の望んだ人影はない。

 

 

 

強いて言えば、暴走している有希の姿が見えたことか。異なる世界軸……いや、『前回』か?とにかく有希が異能の使い過ぎで自我を喪い暴走していて、『投影』された世界を片っ端から破壊する。

 

 

 

「あれを止めてくる」

 

それだけ言って充喜のそばを離れ、有希に相対する。

 

 

 

有希は俺を見つけるや否や、俺に急接近して俺を壊そうと手を伸ばすが、俺の知っている有希とは比べ物にならないほどに動きが遅い。出会った当初の有希と同じくらいだ。

 

落ち着いてその手を避けて、手刀で思い切り有希の胸を貫き、そのまま心臓を引き抜いた。有希は倒れこみ、そのまま動かなくなる……かと思われたが、起き上がって再び突進してきた。

 

回避に集中し続けると、不意に有希の姿が消えて、日向が代わりに現れる。恐らく、何の策もないまま日向咲を生かす選択をした世界軸なんだろう。

 

 

 

日向は俺にかみつこうとひたすら暴れている。戦闘経験があまりないからか、こちらも動きが素人のように感じられる。避けるのは容易だが……少しやりたいことがあった。

 

過去の……『前回』の後悔。もうとっくにないが、今はちょうどいい機会だ。半ば諦めていたことでもしてみようか。

 

俺は敢えて嚙みつかれるように、首元を差し出す。容赦なく日向は噛みつき、吸血から始める。……そうだ。『日向咲』は吸血をして、飲み切ってから食べ始める。懐かしい。ほかの世界軸でも変わりなかったんだな。

 

このまま悠長にしていると、異能を無効化できない俺の場合は失血死は不可避。なので対策として、俺の血液を『循環』で永久回路のようにした。これなら、どんなに吸われても、俺が死ぬことはない。

 

 

 

「咲。どんなにお前が普通じゃなくても、俺は死なないから。吸いたいだけ吸え」

 

『―――――』

 

何を言っているかわからない。だが、嬉しそうなのは伝わった。

 

 

 

「俺の血はおいしいか?」

 

『―――――』

 

「そうか。よかったな」

 

日向咲はたっぷり俺の血を吸ったあと、満足げに消えていった。

 

これで、完全に『前回』を振り切れた。

 

 

 

でも。

 

「……」

 

でも、……俺が救いたいのはほかの世界軸でも、日向咲でもない。

 

 

 

「……丈凪、有住が二人を連れて脱走した時間軸にしてくれない?血液循環で作業止まってるよ?」

 

「ああ、そうだったな」

 

 

 

充喜に催促され、巻き戻しを再開する。あっという間にその時間軸に巻き戻しが完了し、日向と有希を足して二で割ったようなキメラと有住が現れた。

 

脱走に失敗してたらこうなっていたのだろうか。

 

攻撃を黙々と捌くうちに『投影』が完了したので、特に何もなく『決意』で世界軸を再生した。

 

 

 

……。

 

 

 

「次。宥だな……」

 

「あのさ、丈凪」

 

「始めるぞ」

 

「……」

 

胡乱げに充喜がこちらを見ていたが、知らぬ存ぜぬで俺は話を続ける。

 

 

 

「宥は『軍』のスカウトがあったな。夕映の加勢がなければ危うかった」

 

「それもだいぶイレギュラーだけど、……捕獲されたら保護という名目で飼い殺しにされただろうね。そして、深月命との協力関係で汐宮を保護する代わりに、僕と丈凪の顔を書き換えさせる計画だったみたいだよ。ソースは黒守の記憶」

 

「そうなのか」

 

と話していると、案の定、暴走状態の宥が来た。

 

 

 

例にもれず、割と動きが雑だ。昔は手一杯だったが、今は余裕で回避できる。

 

俺はあの日のように宥に声をかける。

 

 

 

「宥。俺は絶対死なない。お前を絶対助ける。俺が助ける。お前は違うんだ。お前は殺人鬼じゃない。理由なく人を殺したりしない。俺は信じてる」

 

人影は涙を流して、それでも襲ってくる。

 

まあ、そりゃそうか。こんなところに来る時点で、もう取り返しがつかないところまで暴走してるってことだよな。

 

だから。

 

 

 

「俺は……今回もちゃんと助ける」

 

目の前の宥の首を絞め始めた。

 

足搔きに足搔く宥は、暫くすると動きが止まる。

 

 

 

口が何か言葉を紡ぐ。音こそ出ていないが、それでもなんとなくわかった。

 

 

 

「どういたしまして。……安らかに眠れ」

 

そういって首を絞める力を強めた。宥は動かなくなった。

 

 

 

「『投影』終わった」

 

「……おう」

 

 

 

……夕映はまだ出てこない。

 

俺はとりあえず歴史を確定させる。そしてそのまま巻き戻し続ける。

 

 

 

小学校高学年。いない。

 

「……」

 

小学校中学年。いない。

 

「……丈凪」

 

小学校低学年。いない。

 

「……丈凪ってば」

 

保育園。まだ出てこない。

 

「……おい」

 

生まれたころ。でてこない。

 

なら、もっと前に―――。

 

「丈凪!!!」

 

 

 

充喜が俺の体をゆすって、無理矢理止めた。『受容』で巻き戻しを無効化された。

 

 

 

「……なんだよ」

 

「これ以上巻き戻しても、真白はいないから無意味だ。わかるだろ」

 

「……」

 

そうだ。これ以上巻き戻したって、夕映が生まれていない時代など意味がない。

 

 

 

……だが、

 

「じゃあ夕映を『投影』しろ。早く」

 

「無理だ」

 

「なぜだ」

 

「……わかってるでしょ?真白が説明してたんだろ?」

 

充喜の言葉に、俺は言葉に詰まった。

 

 

 

そう。確かに夕映は言っていた。

 

『同じ世界軸で巻き戻した場合、同じ世界軸の人間は蘇生できるけど、違う世界軸の人間に干渉はできないよ』

 

 

 

充喜が言葉を続ける。

 

「僕が『投影』しても、それは君の知らない真白夕映にしかならない。僕の理解、ほかの世界軸のどちらが反映されるかはわからないけど、前者にしろほかの世界軸にしろ、この周回限定の記憶はかなり難しい。君を全く知らない状態だろうね。生きてさえいてくれればって話なら、今から『投影』するけど」

 

「……それじゃ、意味がないんだ」

 

生きていてくれればいい。それは間違いないが、それじゃ俺が約束を果たせない。

 

 

 

充喜は辟易したように肩を竦めた。

 

「……まあ、そうだよね。僕も多分そういうし」

 

「……」

 

 

 

一つだけ、引っかかっていることが実はある。

 

夕映は、異なる世界軸の人間の蘇生は不可能といった。

 

 

 

だが、その後にこう続けていた。

 

『これをひっくり返す方法はなくもないけど、そういうのはやめておいたが賢明だよ。どんな代償があるかわかったもんじゃない』

 

 

 

そして、一か月前の会議では、『運命』を対象に異能を使った場合の副作用について、こう言った。

 

『君の場合は異能を二度と使えなくなるくらいで済むと思うけど』

 

……俺の考えている手段なら、夕映は帰ってこれるかもしれない。

 

 

 

だが、どうする?俺が異能をそのタイミングで使えなくなるってことは―――――。

 

 

 

「……えーっと」

 

充喜が、ふと口を開いた。

 

「君の力は『決意』。あらゆる理不尽を超える力。……そうだろう?」

 

そこまで言うと、充喜は微笑みながら俺を見つめる。

 

 

 

……俺もその作戦は思い浮かべていた。

 

だが、……だが。

 

「それは……世界軸はどうするんだ」

 

「問題ない。『受容』は人の力や記憶を自分に『SAVE』できる力。だけど、『SAVE』って本来の意味がある。練度が低くても、深月命みたいに世界に影響を及ぼすことは可能だよ」

 

「……充喜。そんなことをしたら、お前まで」

 

「大丈夫」

 

充喜は俺の言葉をさえぎった。

 

 

 

「……僕は、幸福をその身に充分『受容』したから、この力はいらない。黒守の想いも、丈凪の努力も、全て背負って、『前回』のお前よりずっと幸せになるよ。だから、変に遠慮してないで、君じゃなきゃダメだったって証明しろ」

 

「―――――」

 

言葉が咄嗟に出てこなかった。

 

 

 

目に涙が滲むのを感じながら、俺は、素直に言った。

 

「ありがとう。……お前、やっぱりたまにはいいこと言うよな」

 

「うるさいな……なんだと思ってたんだよ」

 

「うーん、誇大妄想者?自己中心的、物分かりが悪い、悪知恵と応用力だけはあるから時々頭がいい?まあ、因縁はあるよな」

 

「ひどいな」

 

「……でも、それでも、大事な仲間でもあったよ」

 

そう答えると、彼は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして、笑った。

 

 

 

「お前はそういうやつだよな。……そうこなくっちゃ」

 

 

 

俺は深呼吸をし、脳内で流れを組み立てる。そして早送りをしていくと、今まで再生した時間軸が色鮮やかに広がっていく。そして、世界が壊れる瞬間で止める。

 

 

 

ここからは失敗できない。俺は『決意』で『異なる世界軸』出身の夕映を、俺が知っている状態で復活させ、異能が使えなくなった俺の代わりに、彼が世界を『SAVE』する。どちらが失敗しても即ゲームオーバーだが、……やってみるしかない。

 

 

 

「……よし。じゃあ、行こうか。暁」

 

「うん。みんなを助けに行こう、怜」

 

 

 

俺は『決意』を使った。




ちなみに最終話の後、解説という名の言い訳回も作るつもりです
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