「……」
「南雲くん?」
「……ハジメじゃねぇよ。ここは?」
俺はキョトンとしているとそこには二人のさっき見た少女の姿が心配そうに俺を見ていた
さっきからめまいや頭がガンガンとするし、なんか物凄く気持ちが悪い
「……そっか。もう南雲くんはいないんだね」
「…あなたが南雲くんの振りをしていた訳ではないのね?」
「生憎ハジメはハジメで、俺は俺だからな。一人称が僕だったらハジメだよ……まぁさっきから探しているけどその魂魄は見つからないから多分消えてるのかな?魔法自体がちょっと訳がわからないことが多いから分からん。ただ、あいつが最後に話したかったのが白崎であることは確かだろ?……自分が消えてまでも守りたかったらしいからな」
「魂魄魔法。人の魂魄を操る魔法ってことかしら?」
「ハジメがいうにはもっと幅広いらしいけどな。……てか、すげぇ頭が痛いし、なんだこれ。気持ち悪いっていうか?なんの知識だ?全く身に覚えがないんだけど」
よく分からない魔法陣や鉱石の情報、この世界のこともそうだが、武器や様々な物語のストーリなど全く関係ないものばかりが脳内に入ってくる
すると八重樫が少しだけ俺を見てくる
「…それは多分だけど南雲くんの記憶と知識よ」
「……どういうこと?」
「あなたに伝言があるのだけど、『ボクの知識と技能、お礼と言ってはなんだけど置いていくね』って言っていたから」
「………技能?」
俺は気になってステータスプレートを見る
千川大河 17歳 男 レベル20
天職:騎士
筋力:220
体力:220
耐性:220
敏捷:170
魔力:120
魔耐:220
技能:剣術・盾術・騎乗・錬成・魂魄魔法[+魂魄吸収]・言語理解
ステータスが僅かながら上がり、
……バカが。そんなことしてるんなら俺を乗っ取ればよかっただろうが
俺自身正直南雲に肉体を乗っ取られてもいいと思っていたのだ
俺は南雲みたいに強くなんてないし、あの時、乗っ取られなければ南雲も白崎と暮らせて、俺自身も魂魄として二人の姿を見ることができたはずだ
「……そういえば、あなたってオルクスの大迷宮のいつから入れ替わっていたわけ?」
「みんなを逃す判断をしてた時から」
「…そうなの?」
「あぁ。パニック状況になってから俺自身気持ち悪かったしな。混乱状態になったところをハジメに乗っ取られたって感じ」
「……本当に無理やりだったんだね。体を乗っ取られるって南雲くんって結構強引だったんだね」
「まぁ、オルクスの大迷宮の外に出た瞬間に視点が元に戻ったからな。言っとくけど今回の憑依はハジメの希望だからな。まぁ、元々白崎と二人で話した方がいいと思っていたから俺は外で待ってたんだけど」
実際何を話したのかは全く知らない。部屋の中には入らないようにしていたし、ハジメがノックした瞬間に知識に脳が押しつぶされそうになったのだ
「恨んでるか?」
「えっ?」
「ハジメじゃないから恨んでいるかって聞いてんだよ。白崎はハジメのこと好きだっただろ?」
「……うん。でも千川くんは恨んでないよ。南雲くんに告白できただけでも、良かったかな。それに私は振られちゃったし」
「……振られた?」
「えぇ。ばっさりと」
八重樫がどこか苦笑気味に答える。どうやら本当にハジメは振ったらしい
「うん。だから少しだけスッキリしてるんだ。初恋は報われないってよく言うしね」
「香織、迷惑だったってはっきりと言われたのよ。いつも一人でそっとして欲しかったらしいわ。だからあまり香織にいい想いを描いてなかったらしいわ」
「……ハジメらしいや」
白崎さんをお願いしてもいいと言う奴が振るってどう言うことだよと少しだけ苦笑してしまう
「……そっか。八重樫は?ハジメから何か言われたか?」
「えぇ。白崎さんをよろしくってこととあなたが私を心配してくれたことを教えてくれたわよ。……白崎さんよりも八重樫さんの方が心配していたって」
「あいつ……まぁ。魂魄状態だったからな。魂になれば冷静に見ることができたんだよ。心配するだろうが。自分のことよりも他人を優先する八重樫の方が俺はちょっと危なく見えたかな?自分だって怖いはずなのにずっと押し殺していられる八重樫はもしかしたハジメと同じ行動をするんじゃないかって」
「……南雲くんと?」
少しだけ白崎が反応する。俺は少しだけ白崎の反応を見ながら頷き俺は説明しはじめる
「あぁ。少しだけ南雲って自暴自棄だと思っているんだよ。それに自分のこと過小評価しすぎ。どう見たって英雄であって……二人には悪いけど勇者よりも勇者らしいっていうか。……あいつなんとなく自分が消えることもわかっていたような気がするんだ。だけど白崎を守るためだけに俺を使ったと思うんだよ」
恐らく俺の力を使えば魂魄を他の物質に移すことも可能だと思う。いわゆる死者蘇生ができるということも過言ではない魔法だ
「……なんとなくだけど俺は八重樫も同じようなことをしそうな気がするんだよな。危険が迫ったら、自分が我慢すればいいって、白崎の気持ちなんて考えず白崎の騎士であり続けそうなんだよ」
「そんなことないわよ。なんでそんなことが言えるのかしら?」
「今も足の怪我は治ってなさそうだからな」
すると八重樫はポカーンと俺の目を見る。白崎もギョッとしたように八重樫の方を向いた
「雫ちゃん?」
「ハジメが言っていたんだけど、白崎と八重樫には精神を落ち着かせる、いわゆる回復魔法で精神を落ち着かせる魔法の上位互換の魔法を使っていたらしいんだよ。元々俺は遠目で見てただけだからなんとも言えなかったけど、でも精神が安定しているのにも関わらず八重樫は地上に上がってから白崎の支えがないと歩けなかった。どこかで足をくじいたんだろ?階段登っている最中だと思うけど明らかに白崎を背負っていない八重樫がハジメよりも疲れるのが早かったからな」
「雫ちゃん。足見せて?」
「えっ?香織?」
すると白崎はすぐに動き出し、八重樫の足を軽く触るとわかりやすい反応があった
「……いつのまに?」
「階段の中層。俺精神体で見てたけど、多分ハジメが白崎をお姫様抱っこしてた時かな。魂魄で見てた時に驚いた時に足を踏み外してた。アドレナリンでずっと耐えていたんだろうけどでも20層に着いた時に気が一瞬ゆるんだんだろうな。それくらいからだろ?痛みが襲ったのって」
「……えぇ。明日治らなければ香織に回復しもらおうって思っていたのだけど」
「白崎。八重樫はこう言っているわけだけど」
「…雫ちゃん」
「……ごめんなさい」
そして、部屋の中から白崎の説教とそれを正座は足を挫いているのでできないのかベットの上で腰掛けて聞いている八重樫の姿を見てあることに気付く
「八重樫ってさ?もしかして白崎が甘えているように見えて、八重樫が白崎に甘えてるのか?」
「……えっ?」
「……なんとなくそう思ったんだよ。元々八重樫って結構皆に頼られる割に、誰かを頼る事は少ないなって思っていたんだけど、八重樫が白崎に頼られたいというか構ってほしくてこの位置に落ち着いている気がしたんだよなぁ。今も少し嬉しそうだし」
「……貴方遠慮ってことは知らないの?」
「…ん〜気を使わない方にしたからなぁ。八重樫だけに頼ると反対に八重樫に責任を押し付けると同じ意味だし、それにもうバラされたから言うけど、八重樫を守れるほどに強くなりたいなって思ってさ」
キョトンとしてる八重樫苦笑してしまう
「私を?」
「…八重樫を正直結構ボロクソに言ったけど、普通にすごいって思ってるから。八重樫の白崎を気遣いができるところは本当に凄いって思ってるんだよ。でもさ、どこか不安になったんだよ。いつか危機になった時、八重樫が真っ先に犠牲になるんだろうなって」
「そんな事」
「…ちょっとだけ分かるかも。雫ちゃん、私たちのことばっかりで自分の行きたいところとか全く言わないし」
多分自分を押し殺して死んでいきそうだから尚更だ
「……それに典型的な共依存に陥りそうなんだよなぁ」
「…共依存?」
「あぁ。依存されることに依存することとか色々あるけど八重樫の場合は……他の人を後始末を八重樫ばっかりがやっているせいで他の人がその後始末をしないでもいいと錯覚させることかな?」
「…っ!」
「確かに優しさだって必要だけど、八重樫がいるからって自分がやらなくてもいいってことではないんだよ。任せるにしろその責任は自分が負うべきなんだ。よく言うだろ?誰にでも優しいは無責任ってな」
「……ならどうするべきなのよ?」
するとイラついたように俺を睨みつける
白崎が止めようとするが俺は首を横に振る
不安そうな白崎を背後に八重樫は俺の方に近づいてくる
足の痛みなんてほったらかしで俺の胸元を掴む
「あなたに私の何がわかるのよ!!勝手に言いたいこと言って何様のつもりなのよ!!何私のことを分かったつもりでいるのかしら?」
「わかるはずねぇだろ」
「っ!」
「当然だろ?元々付き合いがそこまであるわけじゃないんだぞ?てかな。他人のことなんてわかるはずがないんだ。俺が使ったのはコールドリーディングという話術を使って八重樫に性格を白崎の反応から読み取っただけなんだよ。警察の誘導尋問や占いにも使われることができる話術で外観を観察したり何気ない会話を交わしたりするだけで相手のことを言い当て、相手に『わたしはあなたよりもあなたのことをよく知っている』と信じさせる話術なんだ」
話術に関しては俺が一番得意とする方法だ。人を騙し信じ込ませる。趣味の占いでよく使うやり方なのだ
「……どこまでが嘘でどこまでが本当なの?」
「嘘は一度も言ってないぞ?嘘を使わなくてもコールドリーディングは使えるしな。……それが話術で読み取った八重樫雫であってうまい人ならもっと深くまで分かるらしいけどあいにく俺は趣味かじりなだけだ。だからこそそれだけしか分からない。八重樫が何が好きで、何が嫌で今までどんな人生を送ってきたのかとか詳しいことは知らない。俺は喧嘩も強くないし、勉強も得意ではない。でも交渉術や話術で交友関係や自分の居場所を作ってきた人間だ。話題を振るときにコールドリーディングで話題を探りつつ、相談を乗っていたんだからな」
実際俺は高校では結構有名だったりする。元々カウンセラーの母に少しコツを教えてもらって相談部というなの愚痴を聞いてもらえる非公式部活を開いている生徒として有名なのだ
なお。学校公認で畑山先生が顧問だったりしている。畑山先生が味方になって、俺が基本的にヒールになる。それが相談部の基本的な体制だ
「でも、俺はアドバイスはしないようにしているんだよ。俺の相談は自分を見つめなおすことを目的にしているからな。『どうすればいい』って俺が知るかよ。自分が決めないと恋愛でも交友関係も上手くいかないんだよ。だから俺は八重樫にも白崎にもこうしろあぁしろなんて言ったか?」
「……」
「言葉や態度にも責任があるんだよ。それがどれだけ重いことなのかも知っている……両親がそういう仕事をしているからな。実際俺のことを好んでない人間だっているはずだ。でもな、本当に心配するんなら相手の触れてほしくない話題に触れないといけないんだ。何がいけないのかはっきり言わないと伝わらない。嫌われる覚悟がなければ心配しているってことにはならないんだ。それでようやく一歩進めるんだよ。自分の問題は何かを伝えないといけないからな」
すると八重樫は少しだけ胸の掴む力が緩む。実際当たっていることは多いのだろう
白崎が思いっきり証言していたからな
「……俺は八重樫は弱い人間だと思っている。だって実際自分の弱いところに気づいていて、そのことに向き合おうとしてないんだから。まぁそれが至って普通なんだけどな。でも、だからといって逃げていていい存在じゃないんだよ。気づいているんならそれにいつかは向き合わないといけない時はくる。いや向き合わないといけないんだよ。そうしないと、今度はもっと大切なものを失う可能性だってあるんだ」
「……どうすればいいの?」
初めて不安そうに泣き出しそうになる八重樫に俺は小さくため息を吐く
「それは俺に聞くことではないだろ……聞くのであれば一番身近にいるだろ?」
「……香織?」
「始めに浮かぶ人が白崎なら白崎だろうな。俺は八重樫にとっては他人だ。俺があれこれサポートしたって限度があるんだ。八重樫にあれこれ言っても聞いても限度がある。だからこそ親友や友達がいるんだよ。苦しくても助けになってくれる人だからな」
これくらいかな。たぶんあとは白崎に愚痴を聞いてもらった方がいいだろう
「……白崎。後は頼む。白崎も俺が居たら泣きづらいだろうしな」
「……待って」
そして俺は部屋に出ようと白崎に止められる
「なんだ?」
「ありがとう。雫ちゃんのこと心配してくれて。それと私と雫ちゃんのためにここまでしてくれる千川くんは他人なんかじゃないよ」
「……」
俺は戸惑う。それがどう言う事なのか理解したからだ
多分俺が白崎ではなくて八重樫を真っ先に心配する理由
ハジメを失った今白崎は唯一の支えである八重樫を失ったら生きる理由はなくなるのだ
「……後は任せる」
俺は軽く手を振り部屋を出る
……嫌われるつもりだったんだけどなぁ
そんなことを考えながら、俺はハジメの部屋に向かうのであった。
主人公設定
ネタバレがあるので嫌な人はスキップを
千川大河 男 天職 騎士 部活相談部(非公式)
好きなこと、もの
相談を受けた後にお礼を言われること 友達 推理
嫌いなこと、もの
敵 勉強 人の死
苦手なこと
恋愛 女性に泣かれること
交友関係
愛ちゃんと二人で相談部をやっている。
優花たちのパーティーに入っていて前衛を任されている。優花の相談事にのったことがあり、優花自身店の合間に相談部に訪れ、料理相談などは優花に任せるくらいには仲がいい
相談と言いながらタイガの相談は基本的に現実を知ることが目的であり、元々内気であった優花の依頼ではなんで友達ができないのかと説明された優花が泣き出すほど。その分的確であり優花自身、自分が変われたと感謝している。
魂魄魔法でハジメの記憶が入ってから香織と雫を気にしていることがあり、特に雫に限っては香織が気づかなかった怪我を魂魄状態で発見することび成功しており、雫に現実を見て香織に頼るようにしているところからも口調口調から時々二人のことを心配している様子が見られる
なお絶対に合わない人間に理想派である光輝を地球から発言している