ゴリラ、トレーナーになるってよ   作:エヌラス

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久しぶりに更新したのに皆さん覚えてくださっててありがとうございます!!
しかも何周した〜とか、一気読みした〜とか、めちゃくちゃ嬉しいですありがとうございます!

皆さんの暇つぶしになればと、頑張ります!


お気に入り再び400人へ!!ありがとうございます!!


13.お前のユメは

「あぁ…?モルモットだと…?」

 

不破は今、さっき話しかけてきたウマ娘”アグネスタキオン”から、モルモットにならないかと言われていた。

 

笑っているような表情をしているが、目は確実に笑っていない。今までのウマ娘とは確実に違う異色さを放つ存在だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「モルモットって…あのケージの小動物だろ?____お前人の男捕まえてモルモット遊びとか…倫理観イカレてんじゃねぇのか?」

 

だが答えはタキオンが想像していたよりもあまりに予想外すぎた。まず話を理解していないことが確実にうかがえた。このスーツの男、見た目の割にバカなのか…?

 

 

「ち、違うよ…だれもケージでごっこ遊びをするとは言ってないじゃあないか…具体的には”私の作った薬の実験体”になる。ということさ」

 

「…は?」

 

そう言うとタキオンは少しばかり興奮したような雰囲気で言葉を並べた。

 

「君のカラダは普通の人間よりはるかに頑丈に作られている、もしかすると私達ウマ娘に匹敵するのかもしれない。それを使えばもっとウマ娘達は強くなれるかもしれない…私のこの脚も強くなるかもしれないだから_____」

 

「冗談じゃねぇ…」

タキオンが興奮したまま並べた言葉を、不破が一言で黙らせた。不破のまとうオーラが一気に膨れ上がる。

 

(……なんだ?)

 

タキオンが無意識に後ずさる。まるで触れてはいけないような場所に足をつけた気分だった。それに気づいた不破は一気に近づいて顔を近づけた。

 

 

 

 

 

「誰かの実験材料になるのは二度とごめんだ。分かったら諦めろ、いいな?」

 

 

 

 

「っ…!」

 

タキオンが不破の目を見て息を呑んだ。殺意が混じっているような目に自分が感じているのは____恐怖…?自分が考えている可能性を探る。人に恐怖するなどありえなかったからだ。だが…

 

 

 

「おっと…いけねぇ…」

 

(…消えた?)

 

その一言を発すると、不意に自分の肩が軽くなった。目からは殺意のようなものも消え、ただの目つきの悪い人になった。

 

「アイツに言われてたんだっけな、目付きが悪すぎてまるで脅してるみたいだから気をつけろって…」

 

(確かに、気をつけた方がいいね…)

 

「で、アグネスなんちゃらだったか?、その話はお断りだ。分かったな?」

 

「…あぁ」

 

そうタキオンが返事をすると、なにかに納得したのか不破はまた歩き始めた。タキオンはただひたすら、その後ろ姿を眺めていた__________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「タキオンさん?どうしたんですか?」

 

「…!?」

 

後ろから声をかけられて、我に返り振り向く。そこにはウマ娘のひとり、ダイワスカーレットがいた。

 

「ス、スカーレットくんか…、どうしたんだい?」

 

「タキオンさんが珍しくぼーっとしてたから……何かあったんですか?私、力になりますよ?」

 

「…いや、何も無かった…何も無かったよ、スカーレットくん」

 

「……?___そうですか!なら良かったです!」

 

 

 

(不破諫…面白いトレーナーだ…)

 

 

_________________________

 

〜中庭〜

 

「はぁ…」

 

さっきはやっちまったと後悔しつつ、不破は中庭に歩いていた。モルモットになるのはもう嫌だ、ただえさえ自分の過去すらまともに描かれていないのに……

 

「おい、不破諫…!」

 

その時だった。不破を呼び止める声が後ろから聞こえ、振り返る。

 

「お前は……」

 

見覚えのある顔___確か門川………のはずだが前に見た時よりかはいくらか痩せており。何やら怪しい雰囲気を纏っていた。

 

『なにかこの男、嫌な予感がします』

 

亡も頭の中でそう言い、不破も内心でそれに賛同した。だからこそとる行動は1つ______

 

「ここじゃアイツらの迷惑になる、話なら向こうで聞いてやる」

 

一応ここは学校の敷地内、下手に騒ぎになればまた問題になりかねないのだ。正直それは避けたいのだが……

 

「関係ない…、今ここで…」

 

『相手には聞く耳がないそうですが…』

 

亡が呆れたように声を出した。それと同時に相手も内ポケットからものを取り出す

 

 

「お前、それをどこで…」

 

腰に着けたレイドライザーを露わにし、右手にはプログライズキーが握られていた。不破が止めようとするがもう既に遅かった

 

「言う必要なんかないだろ」

 

と言ってプログライズキーをレイドライザーにはめ込み_____

 

 

「変身」

 

 

”ダイナマイティングライオン!”

 

 

 

 

「え……」

 

 

「っ!?」「…!」

 

 

1人の少女が漏らした声に、不破は顔を顰め、門川は画面越しに苦痛の表情を漏らした。

 

少女から袋が滑り落ちて、中身が散乱する。門川の為に作ったクッキーだった。

 

自身の担当ウマ娘に見られてしまったのだ。この姿を……1番見られたくなかったはずの人物に。

 

 

 

(もう、終わりだ……ならいっそこのまま…!)

 

 

 

門川の中で、ヤケに近いような覚悟が決まる。それと同時に構えられた左腕と合体した武器「シューティングスターマイト」から、耳をつんざくような咆哮が響き渡る。

 

「変身ッ!!!」

 

『パンチンコング!!』

 

爆発と同時に変身をし、ダメージを無効化する。そのまま一気にレイダーまで走り抜いていく。どれだけ銃弾が身体を貫こうが______

 

「うおぉぉぉぉぉああああッ!!!」

 

「ぐっ…!」

 

痛みを感じないよう叫びながら相手にタックルを叩き込み、お互いに地面に倒れていく。まず最初にマウントをとったのは不破だった。

 

「テメェ!!何馬鹿なことやってんだッ!!____お前のウマ娘が見てんだぞ!!??」

 

「う、うるせぇッ!!!」

 

「っ!?」

 

その言葉に激昂した門川が、今度は逆にマウントをとる。

 

「俺は勝つんだッ!!!勝って勝って勝って!!彼女を最強のウマ娘にするんだッ!!!」

 

「だったらッ…!!」

 

『チャージライズ! フルチャージ!』

 

「なっ……!?」

 

不破はそのまま至近距離でアタッシュショットガンを一度アタッシュモードに戻し、再度ショットガンモードに展開。

 

『カバンショット!』

 

「くっ!!___うわぁぁぁぁぁッ!!!」

 

ゼロ距離で胸に放たれたカバンショットは、門川を吹き飛ばすには充分の火力だった。吹き飛ばされ、仰向けに倒れた門川に、変身を解除した不破が歩み寄る。

 

 

「テメェ!!目を覚ませッ!!」

 

何事かと、騒ぎを聞き付け駆けつけ始めたウマ娘達の前で不破が叫び、そして門川の襟を掴んで______頬に拳を叩き込む。

 

「……」

 

まるで人形のように吹き飛ばされ、また倒れた門川。

 

「お前はなんのためにトレーナーになった!!自分が勝つためか!?違うだろ!?___彼女を最強にする為にここにいるんじゃねぇのか!?」

 

 

「……!?」

 

その言葉に、門川が反応する。光のない目を不破に向け、そして自身が担当するウマ娘に向けた。

 

「お前のユメはなんだ!?」

 

不破が門川に問う。まだ不破自身はこの世界に来てから、ユメは見つけていない。強いて言うなら、仮面ライダーとして街を守ること。

 

____だが目の前のこいつは違う。ユメがあってトレーナーになった。ユメがあるから、ここまで来た。

 

 

「俺のユメは………俺のユメはァッ!?」

 

後半の言葉がおかしくなったのは、門川が噛んだ訳では無い。原因は_____背中に刺さった1本の矢のようなものだった。

 

 

「「っ!?」」

 

その場にいる全員が驚く中、1人の人物が前に歩み寄る。

 

「実験が終われば材料は治す、”使えないやつ”は廃棄だね」

 

男の声、それだけは分かった。だがそれ以外は分からない。フードを深く被っていてよく分からない_____だが不破はそんなものお構い無しに、的確に_________殺す勢いで頭にショットライザーから放った弾丸を当てた。

 

だが当たった時の音は、人間から出る音じゃなかった。キン、と無機質な金属の音が響いたのだ。

 

「…痛いじゃないか、君は人が触れられたくないとこに触れたんだよッ!!」

 

(はえぇ…!?)

 

苛立ったような声を出しながらこちらに詰め寄り、不破の手からショットライザーをたたき落とした。そのまま胸部に複数回、肉眼では見えない速度で拳を叩き込んだ。

 

「う、あ、…ぐぉ…!」

 

何が起きたか分からないまま、吐血してしまう不破。だが相手はお構い無しに話を続ける。

 

「ちなみにあの実験材料はもう助からないよ。あの矢には大量のネビュラガスがある。急激にハザードレベルがあがり、灰も残らず消えるさ。それでは__」

 

「…ま、、て…!」

 

足を掴む暇もなく、相手は煙にまかれて消えてしまった。

 

「クソ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トレーナー!!!」

 

光の粒を散らしながら消えていく門川に、担当ウマ娘が歩み寄った。

 

「…最期まで、俺に優しくしてくれるんだな……色々と、迷惑かけて…ごめんな……」

 

「トレーナーだって私に優しくしてくれるじゃないですか!!私を選んでくれて、練習でタイムが縮んだら褒めてくれて、初めてのレースで勝ったら一緒に喜んで…!」

 

「………そうか、、俺は本当に……最低なことをしたなぁ……目的も履き違えて、全部お前のためだって…押し付けた部分もあるのに…」

 

「トレーナー…」

 

体の半分が、既に消えつつある中、門川は最後の力を振り絞った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の……ユメは……世界一の_____ウマ娘を______育てる____こと______」

 

 

 

 

 

 

 

 

言い終わると同時に、体は完全に崩壊していった。周りのウマ娘達は声を出さない。駆けつけたシンボリルドルフも、エアグルーヴも、どう声をかけていいのかすら分からなかった。

 

ただその中で1人、担当ウマ娘は泣き続けた。

 

_________________________

 

 

 

「おかえり〜、あの実験材料。消したんだね」

 

「変に情報をばらまかれても、我々がこまるだけだ。それより今回の実験データをこのライザーとプログライズキーから取り出さなければ…」

 

「大した騒ぎにはなってないから、そんなないと思うけどな」

 

「アタッシュショットガンと、パンチングコングか…」

 

青は大型のPCを触りながら呟き、赤はまぁ関係ないやというふうに、ウォッカのグッズコーナーを作っていたのだった。

 

計画は地道に、しかし着実に進み始めている。ゼアとアークの複製も、もうすぐだろう。

 

(鍵は…不破諫か…)

 

興味深い実験材料が更に興味深くなったと言わんばかりに、青が笑った。

 

_________________________

 

〜メジロ家・1部屋〜

 

 

「よぉ!オマエ元気してたか!?」

 

「なんだオマエか」

 

「おい!?酷いぞ!ゴルシちゃんこんなに心配してたのに…♡」

 

(ドン引き)

 

「おい今引いただろ」

 

「それで?何の用だ」

 

「あのウマ娘だが、今は少し寝込んでるらしーぜ。ったく騒ぎを聞き付けたらお前血流して倒れてたしあのウマ娘泣いてたし…マックちゃんが運んでくれたらしいからな。お礼しといてやれよ!?_____あいつなら〜メロンパフェとか喜ぶんじゃね?」

 

その時だった。ちょうど空いた扉から溢れんばかりの闘気が流れてきたのだ

 

「ゴールドシップさん…?あなた一体何をおっしゃってるのですか…?」

 

「あっ………すまんマックイーン、今度はちみー奢るからな…?」

 

「ゴールドシップさん…!?」

 

「ひっ…!!ぎゃああああああああああ!!!」

 

 

(…うるせぇ)

 

一応ここに怪我人がいるんだぞと思うが今のふたりに通用はしない。

 

(ん?…そういえば今日は…)

 

予定があったような気がして、カレンダーを見る。そして_______

 

 

(フクキタル、デビュー戦だった)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜レース場〜

 

 

「どうして誰もいないんですかぁぁぁぁ!!!???」

 

 

 

フクキタルの涙混じりの叫びが響いたのは、また別のお話

 

 

 




唐突なシリアス要素





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