これが逃げるという事だ   作:福泉

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第2シーズン第4話お待たせいたしました。ご意見ご感想お待ちしております。


第2シーズン第4話 スカウト初挑戦(ウマ娘)

第1回選抜レースが終わった後、私とルーちゃんは美浦寮に、キタちゃんとサトちゃんは栗東寮に帰っていった。

寮に入るとヒシアマ姉さんが出迎えてくれた。

「お、お前が遅れてきた新入生だな?」

「は、はい。さ、サムシングブルーと申します。よ、よろしくお願いします」

「はは、そんなに畏まる必要はないさ。あたしは寮長のヒシアマゾン。気軽にヒシアマ姉さんとでも呼んでくれ」

ペコペコと頭を下げるルーちゃんにヒシアマ姉さんは豪快な笑顔で答える。

「ルーちゃんの案内は私がしますのでヒシアマ姉さんはご自分の事をなさってください」

「お、早速仲良くなれたみたいだな。関心関心」

そう言ってヒシアマ姉さんはルーちゃんに諸注意の書かれた冊子を手渡すと手を挙げて去っていった。

「さ、こっちだよ」

「うん」

私はルーちゃんの手を引いて部屋へと案内した。

 

「右側は私が使わせて貰っちゃってるけど良かったかな?」

「は、はい、私も特に強い拘りがある訳じゃないですから大丈夫です」

部屋の左側にはルーちゃんの私物が入っているであろう段ボールがいくつか詰まれていた。

「とりあえず荷物整理から始めよっか。お手伝いするよ」

「あ、ありがとうございます」

私とルーちゃんは手分けしてルーちゃんの荷物を仕舞った。

その後に寮の中を簡単に案内すると丁度夕食の時間になったので食堂へと向かう。

「ここが寮の食堂だよ。ご飯もとっても美味しいし量も沢山あるからお腹いっぱい食べられるよ」

「わぁ。良い匂い」

今日も美味しそうな匂いで満たされた食堂にはすでに何人もの寮生達がご飯を食べている。

「あ!ライス先輩!こんにちは」

「あ、ターちゃんもご飯?」

丁度お盆に夕食を乗せたライスシャワー先輩が通りがかった。

「あ、その子が言ってた相部屋の・・・」

「は、はい。サムシングブルーと申しま・・・」

あれ?この光景どこかで見たような?

「なんだろう・・・?」

「な、なんでしょう・・・?」

「「運命的な何かを感じます」」

ああ、私がイクノディクタス先輩に感じたのと同じでしたか。

このウマ娘同士が運命的な何かを感じるのは良くある事らしく、今の所詳しい事は分かっていないが何かしらの縁があるのではないか、と言われている。

「あ、あの・・・ライスお姉さまって呼んでもいいですか?」

「ら、ライスがお姉さま・・・!?」

小柄で儚げなライス先輩が良く自分の元トレーナーさんの事をお姉さまと呼んで慕っているのは話に聞いていたがそのライス先輩がお姉さまと呼ばれる事に若干違和感がありつつも嬉しいみたいでしっぽがワシャワシャと動いている。

「良かったですねライス先輩」

「ありがとうターちゃん」

その後ライス先輩の同室のゼンノロブロイ先輩を交えて4人で夕食を食べた。

 

そして翌日の登校途中・・・。

 

「サムシングブルー君!是非ともウチのチームに入ってくれないか!」

「熱血馬鹿は黙ってなさい!サムシングブルーちゃん、私のチームに入ってちょうだい!」

「サムシングブルー!」

「サムシングブルー!」

・・・・・。

「いや~人気者ですねぇルーちゃん」

「はぅ~・・・」

スカウトの熱気に人酔いしてしまったルーちゃんが机で燃え尽きている。

「ふぅ~!しつこかったぁ!」

「本当に大変でしたね」

慌てた様子で教室にキタちゃんとサトちゃんが入ってきた。

「二人ともどうしたの?」

「スカウトがしつこくて参っちゃったよ。私はテイオーさんの居るチームスピカに入りたいのに!」

「私も同じです。スカウトが多くて大変でした」

どうやら二人ともスカウト攻勢が酷かった様だ。

「その様子だとルーちゃんも?」

「は、はい・・・あんな勢いで来られると怖いです・・・」

ようやく復活したルーちゃんがまだ少し青い顔のままキタちゃんに返事をした。

「ターちゃんは大丈夫そうですけどどうだったのですか?」

「ん~私は全然かな~」

「「「ええ!?」」」

三人が驚いてこっちを見る。

「あんなにターちゃん早かったのにスカウト来てないの!?」

「うん」

「一人もですか!?」

「全く」

「ど、どうしてなんですか!?」

「多分私の走りが問題あったんじゃないかな~」

何となく察しのついている私はそう答えた。

「どういう事なの?」

「ほら、私って3つのレースを全部大逃げしたよね?」

「そういえばそうですね」

「大逃げって勝てないウマ娘のする事だってよく言われててね。最近のセオリーだと序盤中盤は抑え気味で後半に全力を出す!ってのが当たり前みたいで、私みたいな大逃げは一か八かの賭けになっちゃうからスカウトもこないんじゃないかな?トレーナーとしてもリスクは取りたくないだろうしさ」

尋常ならざる肉体を持つウマ娘達だが強すぎる力は自身を危険に晒す事もある。

全力疾走しているウマ娘が転倒すれば大怪我、最悪命に係わる事さえある。

普通の人に比べてはるかに頑丈で強靭な肉体も強すぎる力に耐えきれない事があるのだ。

特にウマ娘第二の命と言われる脚は最も影響を受けやすい。

「で、でもスカウトされなかったらレースに出られないです」

「そうなんだよね~。どんなチームでもいいからスカウトしてくれると助かるんだけどなぁ」

他の走り方をすればスカウトも来るかもしれない。

でもきっと私はその走りでは勝てないだろう。

「だったら一緒にチームスピカに行こうよ!あそこならサイレンススズカ先輩も居ますからきっとターちゃんでも受け入れてくれるよ!」

「うん!それがいいですよ!」

「あはは、二人ともありがとうね。もしどうしてもダメそうなら考えてみるよ」

キタちゃんとサトちゃんはもうスピカに入れる気分で居るらしい。

尤も二人の実力なら十分入ることは出来るだろうけど。

「あ、あの・・・」

「ん?どうしたのルーちゃん」

ルーちゃんがオズオズと一枚のプリントを取り出した。

「い、一緒にチームリギルの特別選抜レースに出ませんか?」

そこにはチームリギルの特別選抜レースの日程が書かれていた。

「さ、さっきマスクを着けた先輩に渡されて・・・『是非受けると良いデ~ス!というか受けて欲しいデ~ス!!受けてもらえないとエルが叱られるデ~ス!!!』って・・・」

「いや~私はチームリギルとは相性が悪そ・・・」

ウリュリュリュリュリュリュリュッ!

そ、そんな涙を溜めに溜めた目で見つめないで欲しい・・・。

「マエムキニケントウサセテイタダキマス」

私はルーちゃんの泣き落としに屈した。

「あ、あはは・・・二人とも頑張って・・・」

私はキタちゃんの肩をガシッっと掴んだ。

「キタちゃん・・・分かるよね?」

「う・・・はい・・・」

私の圧力にキタちゃんは屈した。

「どこに行こうと言うのかね?サトちゃん」

「ちょ、ちょっとお花を摘みに・・・」

こっそりと逃げようとしていたサトちゃんがビクッ!っとする。

「ルーちゃん!」

ウリュリュリュリュリュリュリュッ!

「うう・・・分かりました・・・」

こうして4人でチームリギルの特別選抜レースを受ける事になった。

 

そしてチームリギルの特別選抜レースの日・・・。

 

「良く来てくれたデ~ス!ってそちらのお友達は?」

「わ、私一人だと怖いので一緒に受けてくれるように頼んだんです」

朱色のマスクをつけた先輩ウマ娘がオーバーなリアクションで出迎えてくれた。

「とても助かるデ~ス!・・・これでノルマはギリギリクリアデ~ス・・・」

何かボソッと呟いたが私達には聞こえなかった。

「あの・・・」

「な、なんでもないデ~ス!さ!着替えて着替えて!」

先輩ウマ娘に押しやられる様に私達は更衣室へと入っていく。

 

「私がチームリギルのトレーナー、東条ハナよ!これよりチームリギル特別選抜レースを行う!」

ビシッと隙が無い女性、トレーナーの東条ハナさんが宣言する。

「す、すごい・・・シンボリルドルフ会長にエアグルーブ先輩、ナリタブライアン先輩等々ご歴戦の方々ばかりですね」

「うん、テイオーさんのいるチームスピカも凄かったけど・・・チームリギルはもっと凄い・・・」

「ぜ、絶対場違いだね。私たち」

「はうぅ・・・」

完全に気圧されている私達は必死に受かろうと前のめりになっている他のウマ娘達の後ろでコソコソと話しをしていた。

その時だった。

サワサワッ!

「ひゃあ!」

キタちゃんがまず最初に悲鳴を上げた。

サワサワッ!

「ひゃん!」

続いてサトちゃん。

サワサワッ!

「ひょわぁ!」

私。

サワサワッ!

「ひゅいぃ!」

ルーちゃんと次々と悲鳴を上げていく。

「うーん皆いい足をしている。最初の子は見事なしなやかさだ。逃げ・・・いや逃げよりの先行と言ったところか。次の子は見事な力強さだ。きっといい末脚を持っているな。その次の子はかなり頑丈な足をしているな。末脚はあまり強くなさそうだから逃げ向きだな。最後の子はなんとも凄い足だな。戦況に併せて自在に変えれる足か。どちらかと言えば差しの方が得意の様だが先行も逃げも行けそうだな」

驚き振り向いた私たちの後ろに屈んだまま真剣な表情で私たちの足を見つめる黄色いシャツに黒いベストの男性が居た。

「「「「へ!」」」」

「ん?」

「「「「へんたーい!」」」」

「フォボスッ!」

思いっきり私たちに蹴り飛ばされて吹き飛んでいく男性。

「そこ!静かに・・・またなのね」

東条トレーナーが私達に鋭く注意を飛ばすが私たちに蹴り飛ばされた男性を見て呆れた表情をした。

「貴方のその悪癖は何とかならないの?いい加減に訴えられてもしらないわよ。ちなみにその時私も理事長も一切助けるつもりは無いわよ」

「むぐぐ・・・注意してるつもりなんだがどうしても有望株を見るとツイな。すまなかったお嬢さん方。俺はチームスピカのトレーナーをしている沖野だ。もし興味があったら是非ウチのチームに頼むぜ!」

「・・・今の状況で勧誘できる貴方の神経には恐れ入るわ」

もはや諦めの境地に至った東条トレーナーと鼻血を垂らしながらいい笑顔を決める沖野トレーナー。

「・・・キタちゃん、サトちゃん。本当にスピカに行くの?」

「あ、あはは・・・ちょっと考えようかなぁ・・・」

「わ、私はマックイーンさんと一緒に居られれば何とか・・・」

私の問いかけに二人は引きつった笑顔で答えた。

 

「次!スレッジハンマー!」

「あ、あの不良ウマ娘だ」

次のレースのメンバーにはあの不良ウマ娘が居た。

「あの子スレッジハンマーって名前だったんだ」

「いつも1人だし全然名前知らなかったね」

クラスでも少し浮いている不良ウマ娘ことスレッジハンマー。

誰かと一緒にいる事も無く授業が終われば直ぐにどこかに行ってしまう為に一体何をしているのかすら不明だ。

レースは最終直線でスレッジハンマーが物凄い末脚を発揮したが残念ながら3着に終わった。

「クソッ!クソッ!」

自分の走りへの不甲斐無さにスレッジハンマーは憤慨している様で東条トレーナーの発表を待つ事無くどこかへと走り去ってしまった。

 

「次!インパクトターボ!」

「おっと、行ってくるね」

「「「ターちゃんがんばれー」」」

今回はメンバーの中で一番最初に呼ばれた私がレース場へと移動する。

「私はファインモーション、よろしくね」

「インパクトターボです。こちらこそよろしく」

おっとりふんわりしたウマ娘、ファインモーションさんと隣になった。

「よーい!スタート!」

ナリタブライアン先輩の掛け声と共に私は全力でスタートを切る。

「貴女早いですね。でも負けませんよ」

おっとりとした声のまま、しかし視線だけは鋭く見つめるファインモーションさんが私を追いかけてくる。

あの緩やかな雰囲気のまま、しかしその走りは力強く確実に前を狙っている。

しかも意外な事に先行型の様だ。

(あのおっとり雰囲気からなんて攻めた走りなんだ!)

必死に逃げる私だったが最終コーナーで恐るべき加速力を発揮したファインモーションさんがあっという間に抜かしてゴールを駆け抜けた。

「つ、強い・・・」

あっという間に、しかもあんなに軽々とした表情で抜かれてしまった事に私は驚きを隠せない。

もちろん私だって無敗で居られるとは思ってはいない。

でもここまで格の違いを見せつけられたのは初めてだった。

「うふふ、楽しかったですね」

やはりどこか少しずれた感想なのは天然故なのだろうか。

 

「惜しかったねターちゃん」

「いや~ちょっと今の私じゃあのファインモーションさんに勝てるビジョンが浮かばないなぁ・・・」

キタちゃんにそう答える私。

「そんなに強かったんですか?」

「うん、軽々とした表情のまますごい末脚で追い抜かれちゃった」

「す、すごい方なんですね」

そんな風に話していると・・・。

「次!キタサンブラック!次!サトノダイヤモンド」

「あ、二人とも呼ばれたよ」

「それじゃあ行ってくるね」

「今日は負けないよキタちゃん」

「が、頑張ってください」

私とルーちゃんはキタちゃんとサトちゃんを見送った。

 

「今日は私の勝ちですねキタちゃん」

「くぅぅ!あとちょっとだったのにぃ!」

ギリギリの所で差し切ったサトちゃんが満面の笑顔で帰ってくる。

私は悔しそうにするキタちゃんの頭をヨシヨシと撫でた。

「次!サムシングブルー!」

「ルーちゃん頑張ってね」

「は、はい!がんばります!」

まだレースに集中出来ていない為にちょっとあわあわしたままのルーちゃんだったがスタート位置に着くと前髪をヘアピンで持ち上げ、その顔から表情が削ぎ落とされていく。

うん、やっぱり何度見てもちょっと怖い。

レース展開はルーちゃんが完璧なマークと差し切りを見せて勝利した。

 

「今回のチームリギル特別選抜レースの合格者を発表します!トップ合格はファインモーション!」

「は~い」

終始おっとりしたままのファインモーションさんだったがその実力の高さは本物だ。

実際のタイムでも他の追随を許さないトップタイムだったのだから合格は当たり前だろう。

「次点合格としてサトノダイヤモンド、キタサンブラック、サムシングブルー、そしてインパクトターボ!」

ふぇ!?てっきり不合格だと思っていた私まで合格とは驚いた。

「今回上げた5人以外のメンバーはリギルには入れません。また誤解無いよう先に伝えておきますが合格者も必ずチームリギルに入らなければならない訳ではありません。以上でチームリギル特別選抜レースを終わります。合格者以外は解散しなさい」

残念そうに肩を落として立ち去る不合格のウマ娘たち。

そして残ったのは私たち合格ウマ娘5人とチームリギルのメンバーに東条トレーナーだけだ。

「ではまずファインモーション。改めてチームリギルとして貴女をスカウトします。私の元で走ってくれますか?」

「はい、是非よろしくお願いしますトレーナーさん」

どうやらファインモーションさんはチームリギルに入る事を決めたらしい。

「ありがとう。貴女みたいな才能あるウマ娘をスカウト出来て誇らしいわ。私の指導の下、必ずその才能を開花させて見せるわ」

実際に会長を始め優れたウマ娘を沢山指導してきた東条トレーナーの言葉には重みがある。

「さて、貴女達はさっき沖野君に絡まれていた娘達ね。特にキタサンブラックとサトノダイヤモンドには見覚えがあるわね。確かトウカイテイオーとメジロマックイーンに憧れていたはずよね?」

「あ、えっとその・・・大変失礼な話になっちゃうんですけど実は・・・」

私達はルーちゃんが一人でレースに参加するのが怖かったので一緒に受けた事を説明した。

「なるほどね。どうするかは貴女達次第だけれども出来れば前向きに考えて欲しいわ。スカウト期間はまだあるけれどもあまり悠長にしているとデビューが遅くなるから決心は早めにね。今日は参加してくれてありがとう。気を付けて帰りなさい」

東条トレーナーはそう言って微笑むとファインモーションさんとチームメンバーを連れてチームルームへと歩いて行った。

私達も更衣室へ向かうと着替えて帰る事にした。

 

「う~ん悩むなぁ・・・」

私は帰り道で天を仰ぎながら悩んでいた。

「せっかく合格できたんだからリギルに入ったらどう?」

キタちゃんの言葉も最もなのだが・・・。

「でも東条トレーナーさんってどっちかって言うと逃げは苦手だと思うんだよね。ヒシアマ姉さんに聞いた話だと逃げ馬のサイレンススズカ先輩の才能を開花させられなかったって悩んでたみたいだし・・・」

きっとチームリギルでは私は行き詰ってしまうだろう。

しかしこんな変わったウマ娘を受け入れてくれるチームが他にあるかどうか・・・。

「たりゃ~!」

その時、私の耳に以前聞いた事のある声が聞こえてきた。

顔を向けた方には練習用コースで全力疾走する青い髪のウマ娘が居た。

「あ・・・あの髪色は・・・」

「どうやらチームで練習中みたいですね。ちょっと見学していきます?」

立ち止まった私にサトちゃんがそう問いかけてくれた。

「うん・・・」

半ば無意識に返事をすると私は駆け足でコースへと近寄っていった。

 

「ゼヒーゼヒー・・・やっぱりターボ・・・以前みたいな走りはできないぞ・・・」

「ターボちゃん大丈夫?」

青い帽子を被ったウマ娘がコースでへたり込んでいる青髪のウマ娘を気遣っている。

有馬記念以降完全にダメになっちゃったわね。イクノ、心拍の方はどう?」

「時々ですが不整脈が見られますね。まだまだ体調が戻るには時間がかかるみたいです」

入学式で出会ったイクノディクタス先輩が青い髪のウマ娘がつけているスマートウォッチを覗き込んで答える。

「あ、あの!イクノディクタス先輩!」

「ん?貴女はインパクトターボさんですね。お久しぶりです」

イクノディクタス先輩が嬉しそうに出迎えてくれて私は心が温かくなった。

「イクノ、知り合いなの?」

「はい、入学式で知り合いまして、運命的な何かを感じたんです。ああ、こちらは私のチームメイトのナイスネイチャとツインターボ、それとマチカネタンホイザです」

「おいっすー、ナイスネイチャでーす。一応チームカノープスのリーダーやってまーす」

態とちょっと軽い感じで挨拶をしてくれるナイスネイチャ先輩。

「はい、インパクトターボと言います!よろしくお願いしますナイスネイチャ先輩!」

「あはは、そんなに硬くならなくていいって。そんでこっちが」

「マチカネタンホイザと言います。ターボちゃんと名前が同じなんだね」

「ツインターボだぞ。なんだか名前も似てるし運命を感じるな!」

あの日見たあの背中・・・それが今、目の前にいた。

「おや?見学の方ですか?」

トレーナーと思わしき若い男性がやってきた。

「初めまして、チームカノープスのトレーナーをしております南坂と申します」

「初めまして!中等部新入生のインパクトターボです!」

私は慌てて頭を下げて自己紹介した。

「ターちゃん1人で先に行かないでよ」

「あ、ごめん皆」

すっかり我を忘れていた私を追いかけてキタちゃん達がやってきた。

「お友達も一緒みたいですね。南坂と申します。皆さんよろしくお願いします」

「あ、はい。新入生のキタサンブラックです。よろしくお願いします」

「サトノダイヤモンドです。ご丁寧にありがとうございます」

「さ、サムシングブルーです。よ、よろしくお願いします」

三人もそれぞれ挨拶をして頭を下げた。

「あの・・・ツインターボ先輩どこか悪いんですか?」

「ええ・・・少し心臓に負担が掛かり過ぎまして、現在はリハビリ中です」

「そう・・・なんですか・・・」

もうあの走りを見る事は出来ないかもしれない。

それだけが少し残念ではあるが仕方がない事でもある。

「あの!私をチームカノープスに入れて貰えませんか!?」

気を取り直して私は南坂トレーナーにお願いをした。

「大変嬉しい申し出なのですが今の私ではこれ以上のウマ娘を指導できないんです。すでに新しいメンバーを決めてしまいまして。私がトレーナーとして未熟なばかりに申し訳ありません」

南坂トレーナーはそう言って大変申し訳なさそうに頭を下げた。

「そうですか・・・すみません無理なお願いをしてしまって・・・」

「いえ、構いませんよ。もし私で相談に乗れる事がありましたら力になりますね」

その後、後ろ髪を引かれる私を半ば引きずるようにしてキタちゃん達が引っ張っていった。

 

「はぁ・・・残念だったなぁ・・・」

「しょうがないよ。タイミングの問題もあるし、やっぱりターちゃんも一緒にスピカに行こうよ」

「そうですよ!さっきの沖野さんも言ってたしスピカに行きましょうよ!」

「えっと・・・えっと・・・げ、元気だして」

落ち込む私を3人が必死に励ましてくれる。

「ありがとうね皆。そうだね。落ち込んでばかりもいられないし、まずはチームをどうするか考えないと・・・」

「む!そこの君達!」

そんな私たちに一人の男性が声をかけてきた。

「まだチームは決まってないようだな。私は山田。良かったら私のチームハダルに入らないかい?先の選抜レースを見てからずっと君達をスカウトしたいと思っていたんだ」

「全員ですか?」

「勿論全員来てくれれば言う事は無いが特にインパクトターボ君!私は君の走りに惚れたんだよ!」

「ええ!?」

山田トレーナーの言葉に私は思わず大声を出した。

「大逃げしか出来ませんけど!?」

「大逃げ結構!タブーは人が作るものだ!定石なんて蹴り飛ばせ!気にする事は無いさ!」

私はその言葉に惹かれた。

沖野トレーナーには悪いけど沖野トレーナーより私はこの山田トレーナーに任せてみたいと思った。

「あの、是非お願いします!」

「ありがとう!これからよろしくな!」

こうして私の所属するチームは決まった。




次回予告

日本ダービー

それは日本競馬会で最も重いとされるレース

たった一度のそのレースに、全てを賭けても惜しくはないとさえ言われている

そのレースに俺は挑戦する

第2シーズン第5話 夢の日本ダービー(馬)
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