これが逃げるという事だ   作:福泉

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第2シーズン第7話お待たせしました。
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第2シーズン第7話 激闘!札幌ジュニアステークス!(ウマ娘)

私のメイクデビューを終えて翌々週・・・。

 

「せーの「「がんばれ~ルーちゃ~ん!」」」

ルーちゃんが恥ずかしそうにターフから手を振ってくれた。

「本日のメイクデビュー戦は2000メートル芝でのレースです。デビュー戦としては最長距離の2000メートルを走ります今日の6人を紹介いたしましょう。1番ドカドカ。2番ツーシーター。3番サムシングブルー。4番オータムフェスタ。5番ピンクシュシュ。6番トウオウフウハイ。以上の6名です。それぞれが胸に抱いた夢と共に、本日のメイクデビュー戦を走ります。各ウマ娘のゲートインが完了しました。・・・スタートしました。揃ったスタートになりました。先頭を行きますのは6番トウオウフウハイ。その外、後ろにつきました3番サムシングブルー。内にツーシーター。続いて5番ピンクシュシュ、4番オータムフェスタ。最後方は1番ドカドカといった順番。先頭から最後方まであまり差のない展開となりました。各ウマ娘牽制が続いています。まもなく1000メートルを通過します。タイムは1分01秒とゆったりとしたペース。さあここから誰がどう動くのか注目です。第3コーナーにトウオウフウハイが入ります!その外にサムシングブルーが並んでいく!ツーシーター懸命に内側に切り込む!ピンクシュシュ、オータムフェスタは最後の直線にかけているのか!?ドカドカが先に上がっていきます!第4コーナーを回って最初に抜け出したのはサムシングブルー!後続をドンドン引き離していく!トウオウフウハイ疲れたか!?ツーシーターはトウオウフウハイに前を塞がれて出遅れた!ドカドカ懸命に上がっていくがこれは追い付けないか!サムシングブルーです!サムシングブルーが完璧なレース展開で勝利しました!」

「「「やったー!」」」

私たちは手を取り合って喜んだ。

 

翌日、学園昼休み、食堂にて・・・。

「これで全員デビューが終わりましたね。皆無事に勝ててよかったです」

「そうだね。次のレースはいつになるかなぁ?」

キタちゃん、サトちゃんも順調にデビューが終わり、全員が勝利した事を喜んでいる。

「私は来週からレースが続くんだよね~」

「え、えっと、応援行けないけど頑張ってね」

デビュー戦の時は許可が下りたけど授業もあるのであまり頻繁に応援でのお休みはもらえない。

チームなら割と許可も出易いのだがお友達だとデビュー戦の様な特別な時やGⅠなど大きなレース以外では中々難しい。

「無理だけはしないでくださいね」

「流石に山田トレーナーも無理はさせないと思うよ」

尤もあの様子だとあまり安心できそうにはないが・・・。

「入学1週間でデビューさせられたスペシャルウィーク先輩よりは大丈夫じゃない?」

「ほ、方向性が違うと思います・・・」

いきなりのデビューと連続出場どちらも辛いのではないだろうか。

私は若干気持ちの重いまま食事を終えた。

 

 

「スタートしました。一人飛び出しましたのは5番インパクトターボです。他はややバラついたスタートになりました。インパクトターボ早くも大きくリードを取りました。速すぎるようにも見えますが焦った様子は窺えません。大逃げを打ちましたインパクトターボ。果たして最後まで走り切れるのでしょうか。他の娘達は追いかけるべきか抑えるべきか迷っている模様。さあ早くもインパクトターボただ一人だけが中間地点を通過しました。非常に縦長になりましたこのレース。インパクトターボの一人旅はまだ続いています。失速する様子は見られません。全力で走り続けていますインパクトターボは早くも第4コーナーに入りそうだ。後方が今やっと上がってきましたがこれは間に合うか分かりません。最終直線に入りましたインパクトターボ。これはセーフティリードだ。完璧な逃げ切り体制に入りましたインパクトターボ。後方を一切振り返ることなくゴール板を超えましたインパクトターボゴールイン。1600メートルを完璧に逃げ切りましたインパクトターボ」

よし、逃げ切り成功!

「調子はどうだ?」

控室に帰ってきた私に山田トレーナーがそう尋ねた。

「特に疲れも無いですし足が痛いとか捻ったとかそういう事も無いですよ」

「ふむ、なら次も行けるな」

あ、有言実行するんですね。

結局毎週レースとまではならなかったがさらに3回のレースを走った。

幸いな事に極端に疲れたり足に怪我をする事はなかった。

もちろん山田トレーナーも私の足に異常が無いか毎度チェックをしてくれていたし、チームの先輩たちも色々と気を使ってくれた。

そして山田トレーナー曰く私の足の頑丈さはウマ娘の中でも群を抜いて強いらしく、ウマ娘学会に遺伝子提供したら論争になるんじゃないか、との事だった。

なんだろう、嬉しいような嬉しくないような・・・。

そしてついに札幌ジュニアステークスがやってきた。

 

残暑の厳しい本土と違い、幾分涼しい札幌競馬場

私は広大な北海道の空気を胸いっぱいに吸い込んで重賞レースへの気持ちを高める。

「それにしても・・・まさかルーちゃんも出るなんて思わなかったよ」

「え、えへへ」

全く、キタちゃんもサトちゃんもグルだな。

今朝がたスマフォのチャットには意味有り気に笑う顔のスタンプと両手を合わせて謝るウサギのスタンプが送られてきてレース前に一体何事かと思ったじゃないか。

「悪いけど、友達だからこそ全力で逃げるよ」

「うん、私も全力でついてくね」

私たちは静かに火花を散らした。

 

SIDE:実況

 

「さあ、間もなく始まりますGⅢ札幌ジュニアステークス。デビューしたばかりの新人ウマ娘達。その中でも早くも頭角を現している娘達が初めての重賞に挑みます。ウマ娘達の紹介に参りましょう。1番リンリン。2番ハングオン。3番インパクトターボ、1番人気です。4番サムシングブルー。5番レッドリボン。6番スイーツシショウ。7番サマーシー。8番レインコート。以上の8人が走ります。さあ続々とゲートインが始まりますがおっとこれはどうした事だ?インパクトターボゲート前で立ち止まっています。落ち着きを取り戻すためでしょうか一度ゲートから離れて深呼吸をしたあと、尻尾を引っ張りながらようやくゲートインしました。体制完了。・・・スタートしました。先頭に立ったのはやはりインパクトターボです。先ほどの様子から心配されましたが今日も好スタートで一人旅・・・いえ!今日は後ろに一人います!4番のサムシングブルーが追走しています!ここまで大逃げで全戦全勝してきたインパクトターボにサムシングブルーが果敢に挑みます!勝つのは全戦全勝の逃亡者インパクトターボか!はたまた全戦全勝の追跡者サムシングブルーか!尋常ではないペースです!もはや二人だけが完全に別のレースをしています!後方集団はどうしていいのか分からず困惑しています!3番手を走りますハングオンですが完全にペースを乱されています!そんな後方を見向きもせずに先頭をひた走りますインパクトターボ!その差3バ身で追走するサムシングブルー!2人が第3コーナーを抜けて第4コーナーへと入ります!3番手ハングオンがペースを上げようと必死ですが自分の走りができていないのか思うように上がりません!他の娘達も必死に走っていますがこれは無理でしょう!さあ2人だけが早くも最終直線です!意地と意地とのぶつかり合い!インパクトターボ逃げる!サムシングブルーが並びかける!逃亡者か!追跡者か!懸命に粘るインパクトターボ!並び立てるサムシングブルー!2人並んでいる!並んだままゴールイン!これはどちらが勝ったのか!実況席からでは分かりません!逃亡者が逃げ切ったのか!それとも追跡者が差し切ったのか!まったく分かりません!今ようやくほかの娘達がゴールしました!」

 

SIDE:インパクトターボ

 

ゲートイン直前、私は目の前に強い何かを感じて立ち止まってしまった。

「大丈夫ですか?」

係員が声を掛けてくれる。

「・・・少し緊張してるみたいです。一度離れても?」

「はい、あまり遅くなるとペナルティがありますから注意してくださいね」

私は一度ゲートから離れると深呼吸を何度かする。

「大丈夫。落ち着いて。いつも通り走れば勝てる」

自分に言い聞かせるようにそうつぶやくと、それでも抗い難い何かを感じるので尻尾を強く握りしめながら私はゲートに入った。

「・・・ッシ!」

ゲートが開くと同時に私は飛び出した。

一気に足の回転を上げて前に出る。

よし!いつもどおり!

「ついてく・・・ついてく・・・」

後ろにはルーちゃんが居る。

前より力強くなった走りで、確実に私の後を追ってくる。

「今日は・・・いつもより飛ばすからね!」

「のがしません・・・」

ただひたすらに全力で前に進み続ける!

そう、やる事は何も変わらないんだ!

私は全力で前に進み続ける。

「ついてく・・・!ついてく・・・!」

ルーちゃんの声が少しずつ、確実に大きくなってくる。

そして最終直線。

「捕らえました・・・!」

「まだまだぁ!」

一瞬並びかけられた私だったが最後の力でもう一度前に出る。

「やりますね・・・!」

ルーちゃんが再び並びかけてくるがそこがゴールだった。

「やったぁ!」

「うう・・・また負けました・・・」

もしゴールが後少し遠かったら私は負けていただろう。

それほどの接戦だった。

「ルーちゃん、また戦おうね」

「うん、次は逃さないからね」

私たちは硬い握手を交わした。

 

育成目標:GⅢ札幌ジュニアステークスに5着以内に入る CLEAR

固有二つ名獲得条件:9個以上のレースを全て逃げで勝利し、皐月賞を無敗のまま勝利する 条件継続中




今回から若干ゲームアプリの育成モードっぽい表記を増やしてみました。
また作者の妄想するゲーム内データっぽいものも今後書いていこうかと思います。
手始めにアプリ内プロフィール的なものからです

初期開放
自己紹介:インパクトターボと言います。逃げる事には自信があります。粘る事も得意です。レースの時は必ず逃げを指示してくださいね。・・・というか逃げしかできません。不器用なんです。
学年:中等部
所属寮:美浦寮

次回予告

有馬記念。
日本競馬において一年の最後に開かれる大レース。
実力と人気を兼ね備えた選りすぐりの馬達が集うレース。
選ばれたからには勝って見せましょう!

次回 第2シーズン第8話 俺の有馬記念、皆の有馬記念
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