これが逃げるという事だ   作:福泉

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第2シーズン第10話お待たせいたしました。
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第2シーズン第10話 いざ!夏季強化合宿!(ウマ娘)

薄氷の勝利だった日本ダービー。

でも勝利には違いない。

そんな私の元には沢山の取材などが押し寄せてきた。

流石にメディアをあまり蔑ろにはできないので学園側が用意した会場での取材を受けた。

「インパクトターボさん、無敗の2冠おめでとうございます」

「ありがとうございます。まさかあのメンバーに勝てるとは思いませんでした」

事前に山田トレーナーやたづなさんからのインタビューに対しての受け答えの講習を受けたので緊張しつつもよどみなく答える。

「次に目指すのはやはり菊花賞でしょうか?」

「はい、そのつもりでいます。私の適性では厳しい戦いとなりますがトレーナーの指導のもと、距離延長トレーニングを重点的に行い、菊花賞までに走り切れるだけの体を作りたいと思います」

「宝塚記念には出場なさらないのですか?」

「今の私では菊花賞以外の目標に手を出す余裕がありません。大変失礼な事ではありますが宝塚記念は辞退させていただきたいと思います」

他にも幾つかの質問がなされたが想定された範囲の質問であった為に私は何とか取材を終える事ができた。

後になって事前に学園側から強い注意と悪質なインタビュアーの排除が行われていた事を知って私は改めて学園に感謝した。

 

SIDE:キタサンブラック&サトノダイヤモンド

 

「ダービーは惜しかったな。インパクトターボとお前たちの差は1バ身もなかった。あの中の誰が勝っていてもおかしくはないレースだった」

沖野トレーナーはそう言うけど負けは負けだ。

ターちゃんは強い。

それが私たちの今の思いだ。

「だが俺の見込みではインパクトターボは菊花賞では勝てない。彼女の適性距離では菊花賞は長すぎるだろう。もちろんそれをそのままにするとは到底思えないが最初から適性のあるお前たちと訓練で適性を得たインパクトターボでは土台が違う。次は勝つ。そのつもりでトレーニングに励め。俺もお前達をより強化するトレーニングを考える」

「「はい!」」

私たちは返事をすると先輩たちの居るトレーニングコースへと向かった。

 

SIDE:サムシングブルー

 

「いい?ルーちゃん。皐月賞、ダービーを経て分かったと思うけど貴女の適性はステイヤー。距離が長ければ長いほど強いわ。クラシックレース最長距離の3000メートルは貴女が一番本領を発揮できる距離よ」

的場トレーナーさんの言葉に私は頷く。

皐月賞よりダービーの方がターちゃんに近づけた。

それはトレーナーさんの言葉通り距離が長ければ長いほど私が得意という証拠だった。

「ルーちゃん、貴女なら大丈夫。自信を持って。菊花賞は貴女がセンターよ」

「はい!」

私はその言葉を現実にする為にトレーニングに励んだ。

 

SIDE:インパクトターボ

 

「ターボ、菊花賞は前にも言った通りお前の適性距離からは外れる。しかしすでにメディアに言ってしまった以上後戻りはもうできない」

「分かってます。トレーニングに手を抜くつもりはありませんしレースも全力で挑みます。でも私は勝てないでしょう。でも・・・勝ち逃げだけはしたくないんです・・・友達だからこそ・・・」

その言葉に山田トレーナーは真剣な表情のまま頷いた。

「分かった。俺ができうる限りの事はしてやる。スカイ、今日からターボと併走を頼む。長距離の逃げのコツを教えてやってくれ」

「はいは~い」

「先輩、よろしくお願いします」

私はスカイ先輩に頭を下げた。

「いいねぇ青春だねぇ」

スカイ先輩は楽しそうに笑っていた。

そして7月になり、中央トレセン学園名物、夏季強化合宿の時期がやってきた。

 

「「「「海だ~!」」」」

バスから勢いよく飛び降りた私たちは砂浜を走ると海に向かって叫んだ。

「お前たち~!遊ぶのは宿に行ってからにしろ~!」

沖野トレーナーがそう叫ぶので私たちは引率のトレーナー達の所に戻る。

「楽しみにしていたのは分かるが他の生徒やトレーナーも居るんだからあまり勝手な行動はするな」

「「「「すいませんでした」」」」

他のトレーナーさん達も苦笑いしているのは毎年の誰かの恒例なのだろう。

その後に中央トレセン学園が貸切っている宿に移動して荷物を下ろした私たちはそれぞれのトレーナーの部屋に集まってミーティングを開始した。

 

SIDE:キタサンブラック&サトノダイヤモンド

 

「各種トレーニングのスケジュールはこの冊子の通りにやってくれ。ノルマを達成したら自主練を続けるか遊ぶかはお前たちに任せる。ただしいつもよりトレーニングはハードだし基本的に毎日朝からトレーニング

になるからあまり疲れすぎないように注意しろ」

「「はい!」」

私たちはトレーニングメニューが書かれた冊子をトレーナーから受け取った。

「テイオー、マックイーン。二人を良く見てやってくれ」

「オッケーだよ」

「はい、お任せください」

テイオーさんとマックイーンさんが頷いた。

二人の期待に応える為にも頑張らないと。

 

SIDE:サムシングブルー

 

「ルーちゃん、今日は貴女にサプライズよ」

「なんですか?」

トレーナーさんがそう言って誰かを部屋に招き入れた。

「あ、ライスお姉さま!」

「ルーちゃん、ライスと一緒にトレーニング頑張ろうね」

なんとライスお姉さまが忙しい合間を縫ってトレーニングを手伝ってくれるのだという。

「ライスとルーちゃんは作戦が似てるからいい練習になるわよ」

「ありがとうトレーナーさん!ライスお姉さま!」

菊花賞に向けてがんばるぞ!

 

SIDE:インパクトターボ

 

「いいかターボ、スカイとの練習で長距離の逃げ方のコツはつかんだと思う。この合宿中はスタミナ強化と距離延長を中心に行うからな。多少は友人と遊べる時間は確保するがあまりハメを外さないようにな」

「はい、よろしくお願いしますね山田トレーナー」

合宿前の練習でスカイ先輩から息の入れ方を教えてもらった。

長距離の場合ただ早く走るだけではなく、早く走るフリをしてこっそりと足を残すのが重要だそうだ。

上手にできるかは分からないが知らないのと知っているのでは大違いだ。

「よし、早速近くの山でトレーニングするぞ」

「はい!」

この夏の特訓でどう変わるのか。

負けたくはない。

出きる事はやり切るんだ。

 

こうして合宿は忙しく過ぎていく。

勿論トレーニング漬けという訳ではないので遊ぶ時間もある。

早めにトレーニングが終わった時などは海で泳いで遊んだりビーチバレーなんかをやったりした。

夜に近くの神社の夏祭りに出かけたり、コンビニで買った花火をやったりもした。

 

夏祭りの様子・・・

 

「あんまり遅くまでは禁止ってトレーナーさん達にも言われてるし、最初は何をしようか?」

「私これに出たいなぁ」

キタちゃんが取り出したチラシにはカラオケ大会の参加者募集と書かれていた。

ウマ娘も大歓迎!と書いてある辺り毎年何人かは参加しているのだろう。

「門限は9時までですしカラオケ大会は7時からですから出られますね。やっぱりお父さんの演歌?」

キタちゃんは恥ずかしそうに頭をかいた。

「わ、私は応援に回るね」

ライブは何とか慣れてきたがまだまだ人前でパフォーマンスするのは苦手なルーちゃんは参加はしないようだ。

「キタちゃんは受付を済ませてきなよ。そうしたら屋台を回って色々買おうよ」

「うん!」

キタちゃんは喜んでカラオケ大会の受付に行った。

そんな様子を笑顔で私たちは見送るとどんな屋台を回るか相談を始めた。

その中で全員がやはり綿菓子や焼きそばと言った食べ物系なのはウマ娘だから仕方がないだろう。

キタちゃんが戻って来たので私たちは相談した屋台を回る事にした。

「オジサン!ニンジン焼きそば4個ウマ娘盛で!」

「あいよ!ニンジン焼きそば4個ウマ娘盛ね!」

威勢のいいオジサンがこんがり焼けたニンジンを一本丸ごと上に乗せた焼きそばを4個手渡してくれる。

並盛の4倍はあるウマ娘盛だがウマ娘からすれば大した量ではない。

コンビニの大き目の弁当サイズのパックにみっちりと詰め込められた焼きそばを受け取るとお金を渡した。

「まいどあり!」

威勢のいいオジサンの声に送られて私たちは次の屋台を目指す。

綿菓子、かき氷などいくつかの屋台をめぐって品物を購入した後キタちゃんが参加するカラオケ大会の会場へと向かった。

 

「~~~~(コブシの効いた熱唱)」

大体がライブ曲や流行りの曲を歌う事が多いウマ娘がガッチガチの演歌を歌う様子に周りは最初騒然としたが、キタちゃんの熱唱にお爺ちゃんお婆ちゃん世代ががっつり心を掴まれて大盛り上がりである。

私たちもキタちゃんの熱唱を聞きながら購入した食べ物を食べた。

 

「優勝は出来なかったけど特別賞貰ったよ」

優勝したのは圧倒的歌唱力とパフォーマンスで会場を沸かせたファル子先輩だった。

さすがウマドルを自称するだけあって3年連続での優勝で今年見事殿堂入りを果たしたとの事だった。

キタちゃんは特別賞のニンジンクッションを抱きしめて嬉しそうにしている。

その後に色々遊び系の屋台を回る。

私は輪投げで、ルーちゃんは射撃で、サトちゃんはくじ引きでそれぞれ景品をゲットできた。

私たちは手に入れた景品を手にしながら宿へと帰っていった。

 

夜の花火の様子・・・

 

「他の皆も買ってたからこれ一個しか残ってなかった」

夕食後に近くのコンビニに買いに行ったが考える事は皆同じなのか花火セットはもう一個しか残っていなかった。

「今日で合宿もおしまいですからね」

長かった合宿も今日で終わる。

濃厚で、大変で、充実した強化合宿。

過ごしてみたらあっという間に終わってしまった。

「宿からバケツ借りてきました」

ルーちゃんが水を入れたバケツを持ってきてくれた。

宿の方も毎年の事なので借りられるのも慣れているのだろう。

私たちは手早く準備を終えると花火を手にもって火をつけた。

様々な色の花火が暗くなった海岸や私たちを照らす。

「楽しかったね」

「うん、来年が待ち遠しいね」

手持ち花火の時間は短い。

私たちは次々と花火を変えては火をつけていく。

「菊花賞・・・負けませんから」

「私もです」

最後の線香花火が終わると私たちはゴミを片付けて宿へと帰る。

もうすぐ菊花賞がやってくる。




インパクトターボ 初期能力(☆3時)

スピード:90 スタミナ:90 パワー:94 根性:85 賢さ:85

バ場適性:芝A ダートG
距離適性:短距離E マイルA 中距離A 長距離C
脚質適性:逃げA 先行G 差しG 追込G
成長率:速0% 体0% 力20% 根10% 賢0% 
スキル:初期所有 逃げのコツ 勢い任せ
    覚醒:Lv1急ぎ足 Lv2コンセントレーション Lv3押し切り準備 Lv4大逃げ
大逃げ(金スキル)作戦:逃げ 説明:レース序盤に先頭に立った時、とても大きなリードを作りやすくなる
下位スキル:ペースメイカー 作戦:逃げ 説明:レース序盤に先頭に立った時、わずかにリードを作りやすくなる
固有スキル:いよっ!逃亡屋! 作戦:逃げ 説明:出遅れなくスタートに成功した場合、勢いに乗って速度を上げ続ける

次回予告

見事に失敗してしまった天皇賞秋

しかし時間は戻ってくれない

気を取り直してジャパンカップを連覇するぞ!

第2シーズン第11話 ジャパンカップ大逃走!
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