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天皇賞秋を優勝する事が出来た私が次に目指すのはジャパンカップ。
今度はキタちゃんも参加するのでさらにライバルが増えるだろう。
より一層トレーニングに精を出す。
そう思いながらチームルームに向かう途中の事だった。
「見つけたぞマキシマムターボ!ここで会ったが百年目ぇ!この前の借りを、あ!返してやらぁ!」
「・・・ああ、ゴールドシップか」
何故か歌舞伎の見栄を切るゴールドシップさんと意にも介さないマキシマムターボさん。
うん?何やらマキシマムさんに運命的な何かを感じるぞ?
「キィー!この間のレースで勝ったからって調子に乗りやがってぇ!何でもいい!勝負だぁ!」
「・・・それは(トレーナーさんに過度のトレーニングを禁止されているから)できない。(本番のレースで勝負しなければ)意味がない」
んん!?何か致命的に言葉が足りない様な!?
「だぁー!煽ってるんだなそうだな!ゴルシちゃんキックを喰らえい!」
そう言ってマキシマムさんにドロップキックを仕掛ける。
しかしマキシマムさんはそれをヒョイっと勢いを殺して受け止めるとゴールドシップさんをスタッと着地させた。
「格闘技の訓練か?それこそ(レースとは無関係の訓練であって個人的に興味はあるがレースには)無意味だ」
「キェーーーーーーー!!!(怒りで最早言語化不可能)」
て、天然や・・・ほんまもんの天然や!
って思わずエセ関西弁になっちゃったけどこれは強敵だなぁ。
暖簾に腕押し、真面目天然にこれほど似合うことわざも無いだろう。
結局マキシマムさんはゴールドシップさんが何故怒っているのか理解できないまま時間だからと去っていった。
後にはただただ怒りの矛先を失ったゴールドシップさんが取り合えず近くに居たトーセンジョーダンさんに襲い掛かる事で解消しようとしていた。
うん、トーセンジョーダンさんドンマイ!
「・・・という事がありまして」
「マキシマムターボか~、欲しかったんだが今の俺にはちょっと手一杯でな~」
チームとしては中堅のチームハダルではこれ以上の人数は許可が下りないらしい。
山田トレーナーはトレーナーとしては非常に優秀で沢山のGⅠウマ娘を出してはいるが浪漫癖が災いしてチームランキングは真ん中より上を維持するのが精一杯だ。
最も逃げウマ娘だけのチームで真ん中より上を保ち続けるのは非常に凄い事である。
「いずれお前とも勝負する事になるだろうな。運命的な何かがあっても手は抜くなよ」
「分かってます。先頭は譲るつもりはありませんから」
私の言葉に山田トレーナーは満足げに頷いた。
「よし、じゃあ次のジャパンカップに向けてのトレーニングを開始するぞ。今日は特別ゲストも居るしな」
「特別ゲスト?」
私は首を傾げた。
「それは後のお楽しみだ」
悪戯っぽく笑う山田トレーナーに何とも言えないモヤモヤを抱いたまま私はトレーニングコースへと移動した。
「ミホノブルボンです。本日はよろしくお願いします」
「おお!ミホノブルボン先輩!こちらこそよろしくお願いします!」
トレーニングコースで待っていたのは坂路の申し子、ミホノブルボン先輩だった。
「ブルボンのトレーナーとは同期でな。丁度ブルボンのリハビリも終わった処だと聞いたから併せを頼んだんだ。今のハダルには居ない走法の逃げウマ娘の走りをお前にも生かせると思ったからな」
一括りに逃げウマ娘と言ってもその走りは様々だ。
中距離を圧倒的ハイペースで走り、他者を置き去りにするアイネス先輩。
長距離を完璧なるマイペースで相手を翻弄するスカイ先輩。
スタートからゴールまで兎に角バクシンのバクシンオー先輩。
努力と根性で今の走りを作り上げたパーマー先輩。
テンションの赴くままに走るヘリオス先輩。
己の最高の輝きを見せられる走りが逃げだったファル子先輩。
それぞれに特徴のある逃げを私は見てきた。
そしてミホノブルボン先輩は完ぺきなタイムを刻む逃げ。
1寸の狂いもないその走りはまさに走るマシーン。
それを私の走りに活かせと言うことだ。
「私も以前から貴女の走りに興味がありました。互いに良き研鑽となるでしょう」
「はい!」
私の走り、それはどうしても立ち上がりが悪いウマ娘達を置き去りにして、最初から飛ばすという走りだ。
一見バクシンオー先輩の走りと似ているが、私の場合もっとも疲れ難いペースが早めのペースだという事だ。
バクシンオー先輩のように全力疾走をしている訳ではない。
私の場合最大速力はチームの中では遅い方だろう。
だが一方で加速能力の高さと早めのペースを保ち続けられる息の長さを併せ持つ私の走りは序盤から中盤で大きなリードを作りやすい。
どうしても後半にかけて体力を残す戦法を取らざるを得ないウマ娘が多いなか、この特性は強みである。
一方でラストの伸びが悪い為に追い付かれてしまうと抜き返せないという欠点もある。
「いいかインパクト、ミホノブルボンの走りは自分の中のベストタイムを本番にも出せるように常にタイムを刻み続ける走りだ。お前もそれが出来るようになればラストまでにさらに大きなリードを築けるようになるだろう」
「分かりました!」
こうして私はミホノブルボン先輩と併走をして、その走りを学習していったのである。
そしてジャパンカップを迎えた。
「さあ、海外からの強豪ウマ娘が複数参戦いたしますジャパンカップ。先日からの雨の影響を受けましてコンディションの悪いレースとなってしまいました。今年も9人の海外ウマ娘が参戦しています。前年度勝者のスレッジハンマーの連覇となるでしょうか」
この実況を聞く限り、スレッジハンマーも参戦しているのだろう。
大丈夫、私なら勝てる。
そう思いながら勝負服に着替える。
「ターちゃん貴女なら大丈夫なの」
「まあ気張り過ぎずに気楽に行こうね~」
アイネス先輩とスカイ先輩が控室にやってきた。
「アイネス先輩、スカイ先輩。ありがとうございます」
山田トレーナー達他のチームメンバーはバクソウオーちゃんのデビュー戦の応援に行ったので不在だ。
本来であれば夏にデビューする予定だったバクソウオーちゃんだったがデビュー前のゲート訓練中に自分を抑えきれずにドアが開く前に走り出して衝突。
幸い今回は大した怪我ではなかったもののこのままではいつか大怪我をする可能性があったので山田トレーナーがゲート訓練の合格を出すまでデビューを延期。
どうにかこうにか合格をもらったバクソウオーちゃんのデビューが偶然重なってしまったのである。
「インパクト、調子はどうですか?」
「応援にきたぞー!インパクトー!」
「イクノ先輩!ツイン先輩!」
「ターちゃんを心配してたから誘ったの!」
「ありがとうございますアイネス先輩」
これだけ応援して貰っているんだ。
落ち着いてやれば勝てる!
私はそう決意を固めると先輩方にお礼を言ってパドックの舞台裏まで移動した。
「さあ、本日出走いたしますウマ娘達のパドック披露です。1枠1番はキタサンブラック。和風衣装の似合う元気ウマ娘です」
キタちゃんが衣装を披露すると海外からのお客さん達から『Oh!ゲイシャガール!』と言った様な声が聞こえる。
ちょっと違うんだけどまあ細かい事を言うのは野暮だろう。
キタちゃんが戻ってくると2番のウマ娘がステージに出ていく。
「へっ!俺様がまたぶち抜いてやるからな!」
「スレッジハンマー、最近見なかったけど調子はどう?」
「ちっと張り切りすぎちまってな。大した事は無かったんだがトレーナーがあんまりにも煩く言うからな」
以前のトレーナーとは折り合いが着かず、幾つかのチームを渡り歩いたスレッジハンマーが落ち着いたのが新人トレーナーだったので一時噂になったのだ。
見た目が貧弱そうなトレーナーに何日でスレッジハンマーが飛び出すか、と密かに賭けが行われている程だったが以外にも長続きしている。
「さて、俺の番だな」
そう言ってスレッジハンマーはステージへ出て行った。
「2枠3番はスレッジハンマー。今日もパンク衣装でキメています。前年度ジャパンカップの覇者。今年はどんな走りを見せてくれるのでしょうか」
悪そうな見た目のファッションに若干ヤジっぽい歓声が聞こえるがスレッジハンマーは舌を出してそれに答えた。
「この間負けたせいで会長に怒られたんだから今日は負けないよ」
「怒られたのは負けたせいでは無くて普段の生活態度なんじゃないの?」
「勝てばあそこまでのお説教にはならなかったはずなんだ」
「そういう問題なの?クリスティ」
「ボクには深刻な問題なの」
そう言ってシンボリクリスティはステージに出て行った。
「3枠5番はシンボリクリスティ。軍服姿のウマ娘です。最終直線での末脚が強烈です」
あ、観客席からルドルフ会長が険しい表情で睨んでる。
その様子を見たシンボリクリスティがちょっと嫌そうな表情をしていた。
パドック披露は進んでいき、私の番になった。
「6枠12番はインパクトターボ。今日も黒いだんだら模様の羽織が似合う逃亡屋。すべてのレースで大逃げと言うまさに個性派です」
私の衣装に海外の人たちも『Oh!サムライガール!』と中々の評判の様だ。
何時もの様に見得を切ると会場からも大きな声援が聞こえる。
よし、今日もレースを楽しもう。
私はそう決意するとターフに移動する地下道へ向かった。
SIDE:実況
「さあ、間もなく始まりますジャパンカップ。前日からの雨の影響で非常に荒れたバ場となりました。この荒れ具合がレースにどういった影響を与えるのでしょうか。海外から参戦する9人のウマ娘を含む18人フルゲートでのレースとなりました。出走するウマ娘達を振り返ってみましょう。1枠1番キタサンブラック。1枠2番デモン。2枠3番スレッジハンマー。2枠4番フォーマルオブオマー。3枠5番シンボリクリスティ。3枠6番アンメアリー。4枠7番ツルマイボーイ。4枠8番シンユニヴァース。5枠9番アンジェガブリエル。5枠10番レッツプレンティ。6枠11番ネイティブバイオ。6枠12番インパクトターボ。7枠13番ジョアー。7枠14番イギリンドン。7枠15番スルーヴァーリ。8枠16番セイラフィン。8枠17番ジャガーテイル。8枠18番ムーンレイペガサス。以上です。ゲートの準備が終わりスターターが旗を振ります。ファンファーレです。大勢の観客に見守られながらウマ娘達が次々とゲートインしていきます。今最後の一人が収まりました。体制完了。・・・スタートしました!先頭争いはやはり1番キタサンブラックと12番インパクトターボの2人!荒れたバ場でも見事な加速で先頭争いをしています!2人が競り合ったまま後続をどんどんと引き離していきます!大きく離されて3番手になりましたのはレッツプレンティ!少し間が空いてネイティブバイオ!フォーマルオブオマー!アンジェガブリエルと続いています!その後ろにイギリントン!そしてジョアー!中団固まってシンボリクリスティとスレッジハンマーが睨み合っています!セイラフィンはその後ろで2人を警戒しています!アンメアリーがそれを追走!3コーナーに向かいます!シンユニヴァースはやや後ろの集団を走っています!後ろの方にはムーンレイペガサス!ツルマイボーイが足を溜めています!果たして間に合いますでしょうか!さあまもなく3コーナーに入ります!先頭キタサンブラックとインパクトターボ全く譲らずひたすら飛ばし続けています!後ろとの差はなんと13バ身という大きな差!3番手のレッツプレンティその後ろネイティブバイオ!ジョアーとスルーヴァーリの外を回ってイギリントンが上がっていきます!スルーヴァーリも上げていきます!3、4コーナー中間を過ぎましてアンジェガブリエルとシンボリクリスティ、スレッジハンマーの3人が上がっていきますが間に合いますでしょうか!先頭キタサンブラックとインパクトターボが全く譲らないまま直線に入ります!譲らない!どちらも先頭を譲りません!後ろとの差は7バ身まで縮まりましたがどちらも足色は変わらない!3番手はネイティブバイオとデモン!シンボリクリスティとスレッジハンマーはまだ中団でもがいている!先頭キタサンブラックとインパクトターボ激しい睨み合いで互いに譲りません!リードはまだ4バ身から5バ身!ネイティブバイオ疲れたか追い上げが悪い!シンユニヴァースか!レッツプレンティか!シンボリクリスティとスレッジハンマーは足を取られているのか伸びが悪い!残り200を切って先頭はキタサンブラックとインパクトターボの激しい競り合い!リードは3バ身!必死に追い上げるレッツプレンティ!シンボリクリスティとスレッジハンマーが漸く上がってきましたがこれは届かないか!先頭はキタサンブラックとインパクトターボが並んだままだ!どっちだ!どっちだ!大接戦のゴール!勝ったのはキタサンブラックかインパクトターボか!」
SIDE:インパクトターボ
「ッシ!」
ゲートが開くと同時に飛び出す。
しかし今日はいつもより加速が悪い。
濡れて滑りやすい芝がどうしても力を逃してしまいいつもより速度を上げるのに苦労する。
それはキタちゃんも一緒の様で私たちは滑る芝に苦労しながらなんとか先頭に躍り出た。
それは他のウマ娘たちも同じのようで滑り、走り辛い芝に思うように走れていないようだ。
「これは厳しい戦いになりそうだねキタちゃん!」
「でも負けないよターちゃん!」
私たちは互いにそのまま後ろを引き離していく。
抜けない!
でも抜かせない!
走り辛い!
足が滑る!
濡れた芝生が重い!
でも・・・楽しい!
そして負けたくない!
後ろの事はどうでもいい!
今この私たちだけの勝負の邪魔をしないでほしい!
それはキタちゃんも同じだろう!
私たちは全く譲らないままコースを走り切り、ほとんど同時にゴールを駆け抜けた!
「「どっち!?」」
写真判定の結果、僅か2センチ先にゴールした私の勝利だった。
「やったぁ!」
「うわーん!2センチってそんなのないよぉ!」
いける!今の私ならきっと秋シニア3冠を達成できる!
私は有馬記念に強く思いを馳せた。
育成目標:ジャパンカップで1着 CLEAR
????:条件フラグ1取得 条件フラグ2取得
マキシマムターボ 初期能力 (☆3時)
スピード:91 スタミナ:95 パワー:90 根性:81 賢さ:86
バ場適性:芝A ダートG
距離適性:短距離G マイルA 中距離A 長距離B
脚質適性:逃げA 先行C 差しG 追い込みG
成長率:速10% 体10% 力10% 根0% 賢0%
スキル:初期所有 勢い任せ 逃げのコツ
覚醒:Lv1先駆け Lv2脱出術 Lv3逃げコーナー Lv4じゃじゃウマ娘
固有スキル:鋼鉄の逃亡者 説明:最終直線に先頭で入った時、スタミナに余裕があればあるほど力強く前に進む(速度と加速の複合スキル。スタミナ残量で効果量変化)
次回予告
見事に俺の後を継いでくれたマキシマムターボ
自慢の息子が次に挑むはダービー
あいつならきっと、ダービーを取れるはずだ
頼んだぜ・・・相棒
第2シーズン第18話 忘れ物(馬)