これが逃げるという事だ   作:福泉

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第2シーズン第18話お待たせいたしました。
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第2シーズン第18話 忘れ物(馬)

日本ダービー。

歌謡曲にも歌われるほど競馬にとっては切っても切り離せない重いレース。

馬は勿論の事、ジョッキーにとっても憧れのレースである。

俺はその栄冠を僅かの差で逃した。

誇る事の出来る成績を残してきたがそれでもダービーを手にする事が出来なかったのは俺にとって非常に悔しい想いがある。

タニノギムレットやサムシングブルーちゃんとの対決は勿論熱く燃えるものだったから、恨む気持ちは一切ない。

それでも相棒や室オーナー達にダービーを取らせてあげられなかった事はやはり心のどこかで悔やんでいた。

そんな俺の息子が今日ダービーに挑む。

無事に走り切れるだろうか。

皐月賞の走りを警戒されて潰されてはしまわないだろうか。

あるいは故障して予後不良になりはしないだろうか。

そんな思いばかりが募り、不安と心配で餌が喉を通らない事もあったが、個人的な事情で牧場長を心配させる訳にもいかないので何とか喉に押し込んだ。

いやまあ体力的な理由もあって食べない訳にはいかなかったと言うのもあったのだが・・・。

そんな俺の不安を感じ取ってなのだろうか、それとも自分も不安なのだろうかスズカミラーが俺の所にやってきた。

「体調の方はいいのか?」

「はい、もう慣れた事ですから」

当然だがスズカミラーのお腹の中には次の子供がいる。

やはり自身が生んだ子供がダービーを走るので不安で堪らないのだろう。

「大丈夫だ。俺たちの息子は絶対に大丈夫だ」

「はい・・・」

毛繕いをして気持ちを落ち着かせてやりながら俺たちはラジオをひたすら見つめていた。

ダービーの放送に合わせられたラジオは淡々とダービーの様子を告げていた。

『さあ、間もなく始まりますクラシックレース第2戦目、第79回東京優駿日本ダービー。最も運の良い馬が勝つと云われております。晴天に恵まれましたこのレース、馬場は良馬場となっております。果たしてどの馬が勝つのか。東京競馬場に詰めかけました多くのファンが出走の時を今か今かと待っております。本日出走する馬のご紹介に参りましょう。1枠1番スピルバーグ。鞍上横山典弘。1枠2番ヒストリカル。鞍上安藤勝己。2枠3番マキシマムターボ。鞍上若井武志』

相棒!?相棒じゃないか!マキシマムターボには今まで乗ってなかったのにどうして!?

室オーナーがそうしたのか。

あるいは調教師がそうしたのか。

理由は全く分からないがマキシマムターボの鞍には相棒が乗っていた。

「急に騎手が変わってあの子は大丈夫でしょうか」

スズカミラーが不安そうにそう呟く。

「大丈夫だ・・・乗ってるのは俺の元相棒だ。俺の血の事は良く知っている。だから大丈夫だ」

頼んだぜ・・・相棒。

『3枠6番ゴールドシップ。鞍上内田博幸。っとゴールドシップ激しくイレ込んでおります。3番のマキシマムターボを激しく威嚇しております。威嚇されたマキシマムターボは全く動じておりません。寧ろ鞍上の若井騎手の方が驚いています。何とか引き離されていくゴールドシップに首をかしげた様な仕種を見せるマキシマムターボ。何とも図太い馬です』

・・・本当に大丈夫なんだろうか。

本当に頼むぜ相棒。

そしてついにその時が来た。

『さあ、ゲートの準備が終わりましてスターターが旗を振ります。ファンファーレです。各馬がゲートに次々と収まっていきます。やはり1頭ゴールドシップがゲート入りを嫌がりましたが何とか押し込んで全馬ゲートイン完了です。・・・スタートしました!各馬揃った綺麗なスタートです。先行争いはやはりマキシマムターボがハナを主張します。ディープブリランテ、外からトリップも上がってさらに外トーセンホマレボシ。そしてグランデッツァ今日は先行策。さらにはコスモオオゾラ。その後にフェノーメノが行きましてエタンダール、ブライトライン、インコースからはベールドインパクトが行きます。1コーナーカーブに入ります。その後ろ中団にワールドエースがつけましてその内でゴールドシップ続いていきます。1コーナー曲がりましてマキシマムターボ若井武志3馬身のリード。2番手トーセンホマレボシ、ウィリアムズ騎手。2コーナー曲がって13番クラレントが3番手で10番ディープブリランテが4番手抑えています。その後ろ2馬身差グランデッツァ今日は先行策で行きます。その後ろにトリップ、フェノーメノといった体制です。また少し間が空いてコスモオオゾラが続いています。1馬身差でブライトライン。さあ1000メートルは58秒7と早いペースで行っています。その後ろ9番のエタンダール。その外中団の外にワールドエース。さあゴールドシップが外に持ち出して前を伺っています。そのインコースにベールドインパクト。1馬身後ろにアルフレード武豊が上がって4番ジャスタウェイ。3コーナーに入ります。モンストールが後ろの方にいまして4馬身程あいてヒストリカルが後方から2番手。スピルバーグが最後方。さあ大欅の向こう3、4コーナー中間で先頭マキシマムターボとそれを追いかけるトーセンホマレボシその差は3馬身!そのあとはもう10馬身ぐらい空いているでしょうか!クラレントが3番手!ディープブリランテが4番手!外からゴールドシップが進撃を開始します!直線に入りまして先頭は変わらずマキシマムターボ!トーセンホマレボシ苦しいか失速!坂を駆け上がるディープブリランテその差は5馬身と迫ってきている!外からゴールドシップがすごい勢いで突っ込んで行く!マキシマムターボ若井武志懸命にムチを入れて後ろを引き離す!しかしゴールドシップ凄い末脚だ並びかける!ディープブリランテも追い上げる!マキシマムターボとゴールドシップが並びます残り200メートル!ディープブリランテも半馬身差まで迫ってきた!マキシマムターボ粘ります!ゴールドシップも凄い脚だが僅かに抜けません!いや前に出たか!?しかしマキシマムターボが意地で抜き返す!ディープブリランテは苦しいか!マキシマムターボか!ゴールドシップか!並んだままゴールイン!僅かにマキシマムターボが有利に見えましたでしょうか!?判定は・・・マキシマムターボです!3代目逃亡屋、ダービーを制しました2冠目達成!』

「やりましたよターボさん!私たちの息子が!」

勝った・・・息子と相棒が・・・勝った。

「ああ・・・そうだな・・・勝ったんだ・・・勝ったんだ!」

徐々に実感が沸いて俺は大きな声を上げた。

周りの馬達も息子を褒め称える声を上げる。

ラジオは相棒へのインタビューに切り替わった。

『おめでとうございます若井騎手』

『ありがとうございます!』

『ダービージョッキーになった気持ちはいかがですか?』

『もうこれ程に無いほど嬉しいです!インパクトターボに取らせてやれなかった忘れ物を息子のマキシマムターボが取ってくれた!あの時から胸に刺さったままのトゲが抜けたような気分です!お前の息子がやったぞ!相棒!』

『馬主さんの意向でダービーだけは若井騎手にとの事でしたが本当ですか?』

『はい!室さんが僕にあの時の忘れ物を取ってこいと発破をかけてくれました!本当に感謝しかないです!』

そうか・・・室オーナー・・・貴方は素晴らしいオーナーです。

『今日はおめでとうございました!若井ダービージョッキーでした!』

『ありがとうございました!』

ありがとう、室オーナー・・・ありがとう、相棒・・・ありがとう、マキシマム・・・。

俺はただただ涙を流し続けた。

そんな俺をスズカミラーはそっと慰めてくれた。

なお号泣する俺を見た厩務員が目の病気かと大慌てで獣医を呼んだのは余談である。




JRA公式が病気のコラボ JRA×新劇場版エヴァンゲリオン(公式WEBサイトブラウザゲーム)

1枠1番 バクソウオー初号機 碇シンジ騎手
2枠2番 ダイワスカーレット弐号機 式波=アスカ=ラングレー騎手
3枠3番 シルクヴェール零号機 綾波レイ騎手
4枠4番 ゴールドシップ五号機 真希波=マリ=イラストリアス騎手
5枠5番 ディープインパクトマークⅥ 渚カオル騎手

次回予告

秋2冠を達成した私が次に狙うはもちろん有記念

年末の一大レースに多くのファンと有力ウマ娘が集う

いざ達成なるか私の秋3冠!

第2シーズン第18話 忘れ物(ウマ娘)
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