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時は流れて2014年になった・・・。
菊花賞の後もマキシマムとゴールドシップは度々レースで争い続けた。
互いを強く意識しあうライバルの為に、片方しか出ていない時はつまらなさそうに走っていると専らの噂だ。
その結果、2013年の多くのGⅠレースでは、ゴールドシップかマキシマムどちらかの名前が常に優勝にあったほどだ。
マイル中距離が主戦のマキシマムと中長距離が主戦のゴールドシップが競うレースはどうしても重なりやすい。
お蔭で中距離戦のGⅠは完全に2頭の独壇場となってしまったのだ。
そんなマキシマムとゴールドシップは今年フランスに向かう。
当初、マキシマムは凱旋門賞に出る予定では無かった。
理由は単純に費用の問題だった。
海外のレースに出るのには非常にお金が掛かる。
室オーナーは共同馬主ではあるが資金の多くを出している為に海外遠征分の出費はかなりの金額になる。
さらには海外遠征への伝手も無い室オーナーでは条件を整えるのが中々難しいと言うのが理由でもあった。
ところが何とゴールドシップのオーナーから是非マキシマムを帯同馬として凱旋門賞に参加させてほしいとお願いがあったのだ。
気性が荒く、気まぐれで、頭が良いせいで人を小馬鹿にする性格のゴールドシップ。
その結果レース途中でもやる気を失くしてしまい勝てるはずのレースで勝てないなんて事もあった。
しかしマキシマムと出会ってからは見違えるようにレースにやる気を見せるようになり、マキシマムが参加していないレースだと明らかにやる気を失うという具合だ。
凱旋門賞に参加するにあたってやる気を出させるにはマキシマムが参加するのが一番だ。
海外遠征の費用も一部負担するし遠征の諸々の手配を全て引き受けるからと言われて、室オーナーは仲間と相談した上で同意した。
問題は輸送中にゴールドシップとマキシマムが喧嘩しないだろうかという事だったが間にもう1頭挟むから大丈夫だろう、との事だ。
本当に大丈夫なんだろうか・・・。
かなり心配ではあるが、しかし俺にはどうしようもない事だ。
そんなマキシマムは凱旋門賞に向けての準備の為、夏の放牧は無しになった。
少し寂しい限りである。
そんな事を思いながらモシャモシャと餌桶から餌を食べているとラジオから七夕賞の様子が流れてきた。
そう言えば俺は結局七夕賞とは縁が無かったな。
親父は七夕賞で有名になったが・・・。
その時だった。
『それでは本日のメインレース七夕賞の前に開かれます準メインレース、JRA60周年記念記念競走メモリアルレース、韋駄天ツインターボカップです』
おお!?何と親父の名前のレースじゃないか!
これは飯が美味い!
『血の宿命か、はたまた名前に引き寄せられたか。韋駄天ツインターボカップに出走いたします11頭の内なんと7頭がツインターボの息子、インパクトターボの血を引いております』
ブーッ!
な、なんだってぇ!
思わぬ出来事に食べていた餌をおもいっきり噴き出してしまった。
運悪く偶然俺の馬房の前を通りがかった厩務員がそれを被ってしまい恨めしそうな目でこちらを見ている。
かんにんや!悪気はなかったんや!
ってそれよりどうしてそうなった!
残念ながらラジオはそれに答えぬままレースは始まった。
『各馬がゲートに収まりました。・・・スタートしました!さあ7頭の先行馬による先頭争い!祖父の名を手にするのはどの馬か!先頭は3頭並びました!内が1番イーエックスキタク!真ん中が5番エヌエーエンジン!外が10番ダッシュマッシュ!その後ろに内が2番テイエムニトロ!外に7番デュアルジェット!6番ネコキックが外に抜け出しました!4番ターボチャージは前を塞がれてしまいました!3番ワイワイジョイは後方からのレース!最後方は11番サンライズポパイ!後方集団8番カシノエルフと7番レッドガルシアです!さあ第4コーナーを曲がって直線です!先頭は僅かにイーエックスキタク!エヌエーエンジンとダッシュマッシュも懸命に走る!イーエックスキタクが伸びる!エヌエーエンジンとダッシュマッシュは引き離される!イーエックスキタクです!イーエックスキタクが1着のままゴールイン!勝ったのは1番イーエックスキタク!見事なエクストリーム帰宅です!祖父の名を冠したレースを勝ちました!』
えぇ~・・・まさかの珍名馬が勝ちよった。
しかも俺の血かい!
なんかすっごく喜べない。
そして10月・・・。
『さあ、間もなく始まりますフランスGⅠ凱旋門賞。今年は日本から3頭の馬が出走いたします。皆さんご存じゴールドシップとマキシマムターボ、そしてジャスタウェイです。互いにライバルとして切磋琢磨するこの3頭が揃っての凱旋門賞出走には多くのファンが期待を寄せています。全20頭という数で行われますこのレース。果たして日本競馬は世界に通用するのか。ゴールドシップは2番ゲートでゼッケンは6番、マキシマムターボは12番ゲートでゼッケンは19番、そしてジャスタウェイは14番ゲートでゼッケンは7番となりました。日本競馬と違ってゲート番号とゼッケンが一致しませんので分かり難いですがご容赦願います』
「頑張れよ・・・マキシマム・・・」
「無事に帰ってきて・・・」
「・・・」
俺とスズカミラー、そしてイクノ母さんはラジオに全神経を集中している。
他の馬達も心配そうにラジオに意識を向けている。
『さあ、20頭もの馬が順々にゲート入りしていきます。日本のゴールドシップ、マキシマムターボ、ジャスタウェイはゲート入りが終わっています。さあ、今最後の1頭がゲートに収まりました。フランスロンシャン競馬場芝2400メートルのレースです・・・スタートしました!20頭もの世界最高峰の馬達が轟音とともにストレートを走ります!先頭争いですがやはりマキシマムターボは宣言通り逃げを狙います!その後ろにつきましたのは12番のモンヴィロン!ゴールドシップはやはり最後尾からのレースのようです!ゴールドシップから数えて4頭前にジャスタウェイ!先頭と最後尾に日本馬という布陣になりました!』
「行け!世界にお前の走りを見せてやれ!」
「マキシマム・・・!」
「・・・!」
『さあ!第3コーナーのきつい上り坂!先頭はマキシマムターボのまま!第3コーナーを抜けまして今度は10メートルもの落差のある下り坂!そしてコーナーを曲がり終えても最終直線ではありません!フォルスストレート!偽りの直線と呼ばれるロンシャン競馬場名物の第3コーナーから第4コーナーにかけての250メートルの直線があります!さあここでゴールドシップが動いた!なんとフォルスストレートで進撃を開始する!果たして届くのか!それとも走り切れるのか!第4コーナーをカーブして残り533メートルの直線!マキシマムターボムチが入る!後方を引き離す!行けるのか!日本勢初の勝利となるのか!ゴールドシップが大外から一気に上がってくる!ジャスタウェイは内から抜け出すチャンスを伺う!マキシマムターボに欧州馬が迫る!ゴールドシップが一気に上がる!マキシマムターボも懸命に粘る!ジャスタウェイはチャンスが中々訪れない!残り200メートル!日本勢の思いは届くのか!マキシマムターボに欧州馬が並ぶ!ゴールドシップも先頭集団に追いついた!マキシマムターボがもう一度引き離そうと必死に走る!』
「「「マキシマム!!!」」」
『先頭並んでいる!日本勢が並んでいる!マキシマムターボとゴールドシップだ!届くか!届くか!届け!届け!届いた!届いたああああああああああああああ!勝ったのはゴールドシップかマキシマムターボか!まだ分かりませんが日本勢が勝ったことには間違いありません!やりました!凱旋門賞に日本が初めて届きました!優勝は!ゴールドシップだぁ!黄金船が凱旋門賞を制しましたぁ!マキシマムターボ惜しくも2着!どちらが勝ってもおかしくない大接戦!やりました日本競馬!今!世界に日本競馬が届きました!』
「・・・よく頑張った・・・マキシマム」
「本当に・・・よく頑張りました・・・」
「さすがは私の孫ですね・・・」
世界最高の栄誉には残念ながら僅かに届かなかった。
だが十分すぎる成果だ。
親父・・・あんたの血はここまで来たぜ・・・。
競馬四コマ『馬なり1ハロン劇場』著:よしだみほ より
逃亡屋一家編その2
1コマ目 「きぃー!俺の方が3代目に相応しいのに!」とハンカチを咬むバクソウオー
2コマ目 「シルク姉ちゃんもそうは思わないか!」とシルクヴェールに食って掛かるバクソウオーと「私は別に逃げに興味無いからどうでもいいわ」と全く興味無くソッポを向くシルクヴェール
3コマ目 「こうなったら俺が3代目に相応しいって思い知らせてやる!」と高松宮記念をレコード勝利するバクソウオー
4コマ目 「よ!暴走屋!」「見事な暴走だったぞ!」と観客に言われて「なぜだー!」と滂沱の涙を流すバクソウオーと「アンタの走りは逃げに見えないからじゃない?」とジト目で喋るシルクヴェール
次回予告
時は流れ、私もトゥインクルシリーズを引退し、ドリームトロフィーリーグへと移行した。
他のライバル達やキタちゃん、サトちゃん、ルーちゃんもドリームトロフィーへ。
私が入学した頃とは変わって行く学園。
そんなある日私はあるレースに参加した。
第2シーズン第20話 韋駄天(ウマ娘)